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第1章 人生の転換期
第22話 鍋の湯気と警告のチャイム
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店で牛丼をテイクアウトし、雪乃を連れて帰路につく。
到着すると、巨大なエントランスの前で、雪乃はぽかんと口を開けた。
「……え、ここ?」
「ああ。今、パパが住んでるところだ」
きらめく照明、吹き抜けのロビー、静かな空気。
雪乃の瞳に、ほんの少し光が宿った。
――現金なところは、母親譲りかもしれない。
そんな苦い感情が胸をかすめながらも、俺は笑ってしまった。
部屋に入り、テーブルに牛丼を広げる。
「いただきます……」
雪乃は両手を合わせ、メガ盛りの牛丼を夢中で頬張る。口いっぱいにご飯を詰め、何度も噛んで、飲み込み、またすくう。
その姿を見つめていると、視界がにじんだ。
ああ――この子は、まだ中学生だ。
まだ、助けを求めることしかできない年齢なんだ。
「ごめん……本当に、ごめんな……」
パパとして声が震え、言葉が途中で崩れる。
俺が泣き出すと、雪乃も箸を止めて顔を歪めた。
「……パパ、泣かないでよ……」
次の瞬間、二人の涙がテーブルの上に落ちた。
言葉なんて、もういらなかった。
ただ――親と子として。
同じ痛みを抱えたまま、夜の静けさの中で泣き合った。
◇◆◇
雪乃は、しばらく俺の家で過ごすことになった。
俺は仕事の合間に弁護士と連絡を取り合いながら、学校への連絡、生活リズムの調整、最低限の環境づくりを進めていった。
翌朝、今年最後の登校日。
送迎することになったが、当然ながら俺の手元に車はない。
「パパ、ほんとに車ないの?」
「……ない。タクシーで行く」
「ダサっ」
雪乃はクスクス笑い、俺もつられて笑った。
笑顔が、こんなにも自然に浮かぶのは、いつぶりだろう。
学校へ送り届けると、雪乃は小さく手を振って校舎へ入っていった。
その背中を見送りながら、胸の奥がじんわり温かくなる。
――守らなきゃ。
そう強く思った。
夜。
俺は「今日はテイクアウトでいいか」と言いかけた瞬間、雪乃に睨まれた。
「ダメ。ちゃんと栄養摂らないと」
「は、はい……」
「ほら、スーパー寄るよ」
手を引かれ、雪乃は真剣な顔で野菜を選び始める。
「鍋にしよっか。あったかいし、いっぱい食べられるし」
「お、いいな」
「白菜はこれ。ネギは太いの。豆腐は絹ね。あと、きのこ!」
買い物かごがどんどん重くなる。
表情は楽しそうで、声にも明るさが戻っていた。
――ああ、こんな時間を、もっと早く作ってやれたら。
胸の奥が少し痛んだ。
部屋に戻り、鍋の準備を始める。
「パパ、これ切って」
「了解。パパ、包丁さばきはプロ級だからな」
「嘘つけ。指切らないでよ」
雪乃は笑いながら鍋をかき混ぜる。
「それ先に入れなきゃ。煮えにくいんだから」
「すみません、料理長」
「うむ、よろしい」
台所に笑い声が満ちる。
立ちのぼる湯気の向こうで、雪乃の横顔はどこか柔らかくなっていた。
「……ありがとう、パパ」
「なにが?」
「こういうの、久しぶりだから」
言葉が喉に詰まり、俺はただ微笑むしかできなかった。
翌朝、土曜日。
まだコーヒーを淹れようとしていた矢先――
――インターホンが鳴った。
嫌な予感が、背筋を走る。
玄関を開けると、数人の警察官が立っていた。
物々しい雰囲気。胸元の無線が、微かに鳴る。
「雪乃さん、こちらにいらっしゃいますよね?」
喉が乾く。
「……います。事情は――」
「お母様から通報がありまして。帰宅した際、娘さんの姿が見当たらず……」
彩花、か。
俺はすぐに弁護士へ電話を入れ、事情をかいつまんで説明する。
雪乃も玄関へ出てきて、震えた声で叫んだ。
「ママのところには行きたくない!!」
警官たちの表情が変わる。
弁護士が到着し、丁寧かつ冷静に経緯を伝えた。
「まずは警察署で話を整理しましょう」
「……わかりました」
俺たちは全員で向かうことになった。
警察署の面談室。
彩花はそこにいた。腕を組み、足を組み、睨みつけている。
「はぁ!? 勝手に連れ帰って何様のつもり?」
「落ち着いてください。状況を――」と弁護士。
「黙れよ。親父ヅラしてんじゃねえの? キモいんだけど」
胸の奥がぐらりと揺れたが、俺は歯を食いしばった。
そのときだった。
「虐待だよ、こんなの!!」
雪乃の叫びが室内に響いた。
空気が、凍りついた。
警察官が顔を見合わせ、弁護士の表情が鋭くなる。
「その言葉、詳しく聞かせてください」
「……はい」
雪乃は震えながら、あの夜のこと、これまでの出来事を話し始めた。
言葉にするたび、胸の奥が軋んだ。
俺はただ、拳を握り締めて聞くしかなかった。
「本件については、親権移譲を視野に入れて動きます」
弁護士がはっきりと告げる。
警官も真剣な眼差しで頷いた。
彩花は顔を歪め、椅子を蹴りそうな勢いで立ち上がろうとしたが、職員に制止された。
雪乃は俺の袖を掴み、小さく息を吸った。
「……パパ。私学校、ちゃんと行くから」
「ああ。俺も全力で支える」
互いにうなずき合う。
小さな約束が――
この先の道を照らす灯りになった気がした。
◇◆◇
夜が更け、窓の外に街の灯りがぽつぽつと残る頃、リビングのソファに腰を落ち着けた俺は、配信機材の準備を整えていた。
雪乃は風呂上がりで、まだ少し赤みの残る頬をして、毛布を肩にかけている。
「パパ、寝ないの?」
ベッドルームの方を振り返りながら、雪乃が首をかしげた。
「ああ、今日は配信があるからな。先に寝てていいぞ」
「やだ。配信見たい」
思わず固まった。
「……は?」
「見たい。ちゃんと見たい。パパがどんな配信してるのか、ちゃんと知りたい」
真っ直ぐな目だった。
冗談でも好奇心でもなく、どこか決意の色がにじんでいる。
「いや、でも……ほら、ああいうのはな……」
俺が言い淀むと、雪乃は毛布を握りしめたまま続けた。
「大丈夫。覚悟できてるから」
胸に小さく痛みが走る。
――覚悟なんて、子どもにさせたくなかった。
それでも、拒む言葉は喉の奥で消えていった。
「……わかった。じゃあ静かにしてろよ」
「了解です、パパ」
軽く笑って、雪乃はソファの端に座った。
配信ソフトを立ち上げ、マイクのゲインを調整し、照明を確認する。
いつも通り、配信モードのスイッチが入る。
「こんばんは、姫宮みことです。今日も来てくれてありがとう」
――私、という声色に切り替わる。
コメントが次々と流れていく。
〈待ってた!〉
〈昨日の件どうなった?〉
〈今日もかわいい〉
俺は落ち着いた声で笑い返し、いつものテンポで雑談を続けた。
隣で雪乃が静かにモニターを見つめているのが視界の端に入る。
しばらく順調に進んでいたそのとき――
俺の冗談に合わせて、隣から小さく吹き出す声がした。
「ぷっ……」
それが、マイクに乗った。
一瞬、時が止まる。
画面に、怒涛の勢いでコメントが流れ始めた。
〈今の声は??〉
〈誰かいるよな?〉
〈幽霊!?〉
〈女連れ込んでんぞw〉
〈ついに同棲発覚ww〉
雪乃が慌てて口を押さえる。
俺は軽く息を吸い、覚悟を決めた。
「……少しだけ、紹介します」
マイクを横に向ける。
「ど、どうも……娘です」
雪乃の声は、ボイスチェンジャーの影響で妙に丸くなり、本当にハムスターみたいな可愛い声になってしまった。
コメント欄が爆発する。
〈神回キタタタタタ〉
〈声かわいすぎ問題w〉
〈ハム太郎の新キャラじゃん〉
〈パパみこと、娘いたのか!!〉
〈守れ。絶対に守れ〉
〈泣きそうなんだが〉
中には悪意のあるものもあったが、
驚くほど多くの人が温かい反応をくれた。
俺は深呼吸し、静かに告げる。
「事情は話せません。今日は……遊びに来てくれています。それだけ、理解してほしい」
雪乃はマイクの外で、そっとうなずいた。
配信を短めに切り上げた直後、スマホが鳴った。
弁護士からの着信。続けて警察からも。
会議室のような狭い応接室で、弁護士の言葉を聞く。
「親権について、相手方は裁判を求める意向です」
「……裁判」
「彩花さんは金銭面でも追い込まれているようです。
しかし、本件では雪乃さんの意思が重要視されるでしょう。戦う覚悟はありますか」
俺は目を閉じ、雪乃との日々を思い返した。
鍋の湯気、涙、笑顔、握った袖。
そのすべてが胸の奥で重なっていく。
「やります。パパとして……逃げない」
弁護士は小さくうなずいた。
翌日、雪乃の送迎と生活のため、車を買いに行くことにした。
「スポーツカーにしよ! 赤いやつ!」
「いやいや、なんでだよ」
「かっこいいじゃん!」
「パパはな、もっと落ち着いてて――可愛いのがいいと思うんだが」
「え、可愛い車って何よ」
ディーラーの駐車場を歩きながら、俺たちは笑い合う。
雪乃は楽しそうに車を眺め、俺はその横顔を見守った。
到着すると、巨大なエントランスの前で、雪乃はぽかんと口を開けた。
「……え、ここ?」
「ああ。今、パパが住んでるところだ」
きらめく照明、吹き抜けのロビー、静かな空気。
雪乃の瞳に、ほんの少し光が宿った。
――現金なところは、母親譲りかもしれない。
そんな苦い感情が胸をかすめながらも、俺は笑ってしまった。
部屋に入り、テーブルに牛丼を広げる。
「いただきます……」
雪乃は両手を合わせ、メガ盛りの牛丼を夢中で頬張る。口いっぱいにご飯を詰め、何度も噛んで、飲み込み、またすくう。
その姿を見つめていると、視界がにじんだ。
ああ――この子は、まだ中学生だ。
まだ、助けを求めることしかできない年齢なんだ。
「ごめん……本当に、ごめんな……」
パパとして声が震え、言葉が途中で崩れる。
俺が泣き出すと、雪乃も箸を止めて顔を歪めた。
「……パパ、泣かないでよ……」
次の瞬間、二人の涙がテーブルの上に落ちた。
言葉なんて、もういらなかった。
ただ――親と子として。
同じ痛みを抱えたまま、夜の静けさの中で泣き合った。
◇◆◇
雪乃は、しばらく俺の家で過ごすことになった。
俺は仕事の合間に弁護士と連絡を取り合いながら、学校への連絡、生活リズムの調整、最低限の環境づくりを進めていった。
翌朝、今年最後の登校日。
送迎することになったが、当然ながら俺の手元に車はない。
「パパ、ほんとに車ないの?」
「……ない。タクシーで行く」
「ダサっ」
雪乃はクスクス笑い、俺もつられて笑った。
笑顔が、こんなにも自然に浮かぶのは、いつぶりだろう。
学校へ送り届けると、雪乃は小さく手を振って校舎へ入っていった。
その背中を見送りながら、胸の奥がじんわり温かくなる。
――守らなきゃ。
そう強く思った。
夜。
俺は「今日はテイクアウトでいいか」と言いかけた瞬間、雪乃に睨まれた。
「ダメ。ちゃんと栄養摂らないと」
「は、はい……」
「ほら、スーパー寄るよ」
手を引かれ、雪乃は真剣な顔で野菜を選び始める。
「鍋にしよっか。あったかいし、いっぱい食べられるし」
「お、いいな」
「白菜はこれ。ネギは太いの。豆腐は絹ね。あと、きのこ!」
買い物かごがどんどん重くなる。
表情は楽しそうで、声にも明るさが戻っていた。
――ああ、こんな時間を、もっと早く作ってやれたら。
胸の奥が少し痛んだ。
部屋に戻り、鍋の準備を始める。
「パパ、これ切って」
「了解。パパ、包丁さばきはプロ級だからな」
「嘘つけ。指切らないでよ」
雪乃は笑いながら鍋をかき混ぜる。
「それ先に入れなきゃ。煮えにくいんだから」
「すみません、料理長」
「うむ、よろしい」
台所に笑い声が満ちる。
立ちのぼる湯気の向こうで、雪乃の横顔はどこか柔らかくなっていた。
「……ありがとう、パパ」
「なにが?」
「こういうの、久しぶりだから」
言葉が喉に詰まり、俺はただ微笑むしかできなかった。
翌朝、土曜日。
まだコーヒーを淹れようとしていた矢先――
――インターホンが鳴った。
嫌な予感が、背筋を走る。
玄関を開けると、数人の警察官が立っていた。
物々しい雰囲気。胸元の無線が、微かに鳴る。
「雪乃さん、こちらにいらっしゃいますよね?」
喉が乾く。
「……います。事情は――」
「お母様から通報がありまして。帰宅した際、娘さんの姿が見当たらず……」
彩花、か。
俺はすぐに弁護士へ電話を入れ、事情をかいつまんで説明する。
雪乃も玄関へ出てきて、震えた声で叫んだ。
「ママのところには行きたくない!!」
警官たちの表情が変わる。
弁護士が到着し、丁寧かつ冷静に経緯を伝えた。
「まずは警察署で話を整理しましょう」
「……わかりました」
俺たちは全員で向かうことになった。
警察署の面談室。
彩花はそこにいた。腕を組み、足を組み、睨みつけている。
「はぁ!? 勝手に連れ帰って何様のつもり?」
「落ち着いてください。状況を――」と弁護士。
「黙れよ。親父ヅラしてんじゃねえの? キモいんだけど」
胸の奥がぐらりと揺れたが、俺は歯を食いしばった。
そのときだった。
「虐待だよ、こんなの!!」
雪乃の叫びが室内に響いた。
空気が、凍りついた。
警察官が顔を見合わせ、弁護士の表情が鋭くなる。
「その言葉、詳しく聞かせてください」
「……はい」
雪乃は震えながら、あの夜のこと、これまでの出来事を話し始めた。
言葉にするたび、胸の奥が軋んだ。
俺はただ、拳を握り締めて聞くしかなかった。
「本件については、親権移譲を視野に入れて動きます」
弁護士がはっきりと告げる。
警官も真剣な眼差しで頷いた。
彩花は顔を歪め、椅子を蹴りそうな勢いで立ち上がろうとしたが、職員に制止された。
雪乃は俺の袖を掴み、小さく息を吸った。
「……パパ。私学校、ちゃんと行くから」
「ああ。俺も全力で支える」
互いにうなずき合う。
小さな約束が――
この先の道を照らす灯りになった気がした。
◇◆◇
夜が更け、窓の外に街の灯りがぽつぽつと残る頃、リビングのソファに腰を落ち着けた俺は、配信機材の準備を整えていた。
雪乃は風呂上がりで、まだ少し赤みの残る頬をして、毛布を肩にかけている。
「パパ、寝ないの?」
ベッドルームの方を振り返りながら、雪乃が首をかしげた。
「ああ、今日は配信があるからな。先に寝てていいぞ」
「やだ。配信見たい」
思わず固まった。
「……は?」
「見たい。ちゃんと見たい。パパがどんな配信してるのか、ちゃんと知りたい」
真っ直ぐな目だった。
冗談でも好奇心でもなく、どこか決意の色がにじんでいる。
「いや、でも……ほら、ああいうのはな……」
俺が言い淀むと、雪乃は毛布を握りしめたまま続けた。
「大丈夫。覚悟できてるから」
胸に小さく痛みが走る。
――覚悟なんて、子どもにさせたくなかった。
それでも、拒む言葉は喉の奥で消えていった。
「……わかった。じゃあ静かにしてろよ」
「了解です、パパ」
軽く笑って、雪乃はソファの端に座った。
配信ソフトを立ち上げ、マイクのゲインを調整し、照明を確認する。
いつも通り、配信モードのスイッチが入る。
「こんばんは、姫宮みことです。今日も来てくれてありがとう」
――私、という声色に切り替わる。
コメントが次々と流れていく。
〈待ってた!〉
〈昨日の件どうなった?〉
〈今日もかわいい〉
俺は落ち着いた声で笑い返し、いつものテンポで雑談を続けた。
隣で雪乃が静かにモニターを見つめているのが視界の端に入る。
しばらく順調に進んでいたそのとき――
俺の冗談に合わせて、隣から小さく吹き出す声がした。
「ぷっ……」
それが、マイクに乗った。
一瞬、時が止まる。
画面に、怒涛の勢いでコメントが流れ始めた。
〈今の声は??〉
〈誰かいるよな?〉
〈幽霊!?〉
〈女連れ込んでんぞw〉
〈ついに同棲発覚ww〉
雪乃が慌てて口を押さえる。
俺は軽く息を吸い、覚悟を決めた。
「……少しだけ、紹介します」
マイクを横に向ける。
「ど、どうも……娘です」
雪乃の声は、ボイスチェンジャーの影響で妙に丸くなり、本当にハムスターみたいな可愛い声になってしまった。
コメント欄が爆発する。
〈神回キタタタタタ〉
〈声かわいすぎ問題w〉
〈ハム太郎の新キャラじゃん〉
〈パパみこと、娘いたのか!!〉
〈守れ。絶対に守れ〉
〈泣きそうなんだが〉
中には悪意のあるものもあったが、
驚くほど多くの人が温かい反応をくれた。
俺は深呼吸し、静かに告げる。
「事情は話せません。今日は……遊びに来てくれています。それだけ、理解してほしい」
雪乃はマイクの外で、そっとうなずいた。
配信を短めに切り上げた直後、スマホが鳴った。
弁護士からの着信。続けて警察からも。
会議室のような狭い応接室で、弁護士の言葉を聞く。
「親権について、相手方は裁判を求める意向です」
「……裁判」
「彩花さんは金銭面でも追い込まれているようです。
しかし、本件では雪乃さんの意思が重要視されるでしょう。戦う覚悟はありますか」
俺は目を閉じ、雪乃との日々を思い返した。
鍋の湯気、涙、笑顔、握った袖。
そのすべてが胸の奥で重なっていく。
「やります。パパとして……逃げない」
弁護士は小さくうなずいた。
翌日、雪乃の送迎と生活のため、車を買いに行くことにした。
「スポーツカーにしよ! 赤いやつ!」
「いやいや、なんでだよ」
「かっこいいじゃん!」
「パパはな、もっと落ち着いてて――可愛いのがいいと思うんだが」
「え、可愛い車って何よ」
ディーラーの駐車場を歩きながら、俺たちは笑い合う。
雪乃は楽しそうに車を眺め、俺はその横顔を見守った。
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