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第5話【亀】
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ここは、ある町の片隅にある小さな料理店。繁盛しているとは言えないが、人足は途絶えることを知らず、今日も悩みを抱えた人々がこの店にやって来る。
「いらっしゃい」
「こんにちは! 」
今日の客は、子連れの女性だった。3歳くらいだろうか、元気な男の子が店主に挨拶をする。
「こんにちは。テーブル席どうぞ」
小さく会釈をした女性は、随分と若く見えるが、お腹は大きく膨らんでいる。
「どれにする? 」
「うーん」
小さな客は、大きめの椅子にちょこんと座り、メニュー表を覗いていた。
「コレ! 」
「え、コレ多いよ? 」
「ママと一緒に食べるもん! 」
「そう? すみません」
「はい」
店主は、小さな客が何を選んだのか、ワクワクしながら注文を取りに行った。
「どれにしましょう」
「えっと、コレって量どのくらいですか? 」
「直径で言えば、20センチくらいで、お客様に合うように小さめに切ったり、少なめも出来ますが」
「ぼく、大丈夫だよ! 」
「じゃあ、大きさはそのままで良いので、小さめに切って貰えますか? 」
「わかりました。以上でよろしいですか? 」
「はい」
「お待ち下さい」
店主は、小さな客のセンスに感動すら覚えた。彼が選んだのは、海鮮ニラチヂミだった。妊娠している母を思ってか、ただ食べたかったのかは分からないが、素晴らしい直感センスだ。
「よろしければ、お使いください」
「ありがとうございます」
「ありがとう! 」
「いえ」
店主は、子供用の椅子を親子のテーブル席へ置いてから、厨房に入った。
調理をしている間も、小さな客はきちんと座り、母と何やら話していた。
「お待たせしました」
「ありがとう! 」
「ごゆっくり」
このチヂミは、シーフードミックスとモチモチとした生地の相性が抜群に良い一品だ。つけダレには、醤油、砂糖などを合わせ、白胡麻がたっぷりと入っている。生地に韓国料理で使われる、ダシダを使用する事によって、本場の味が味わえる。
「いただきます」
「いただきます! 」
客は、チヂミを同時に口に運んだ。
「「ううん、美味しい」」
さすがは親子だ。一言一句全く同じことを言った客は、顔を合わせて笑っている。そんな美しい情景は、どこのビュースポットにも勝るだろう。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま! 」
「まいど。お兄ちゃん、コレどうぞ」
「うわぁ! ありがとう! 」
「ママにもどうぞ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
手を繋いで、ゆっくりと歩く2人の背中を見つめる店主の目は優しく、でも羨ましそうに見えた。
「いらっしゃい」
「こんにちは! 」
今日の客は、子連れの女性だった。3歳くらいだろうか、元気な男の子が店主に挨拶をする。
「こんにちは。テーブル席どうぞ」
小さく会釈をした女性は、随分と若く見えるが、お腹は大きく膨らんでいる。
「どれにする? 」
「うーん」
小さな客は、大きめの椅子にちょこんと座り、メニュー表を覗いていた。
「コレ! 」
「え、コレ多いよ? 」
「ママと一緒に食べるもん! 」
「そう? すみません」
「はい」
店主は、小さな客が何を選んだのか、ワクワクしながら注文を取りに行った。
「どれにしましょう」
「えっと、コレって量どのくらいですか? 」
「直径で言えば、20センチくらいで、お客様に合うように小さめに切ったり、少なめも出来ますが」
「ぼく、大丈夫だよ! 」
「じゃあ、大きさはそのままで良いので、小さめに切って貰えますか? 」
「わかりました。以上でよろしいですか? 」
「はい」
「お待ち下さい」
店主は、小さな客のセンスに感動すら覚えた。彼が選んだのは、海鮮ニラチヂミだった。妊娠している母を思ってか、ただ食べたかったのかは分からないが、素晴らしい直感センスだ。
「よろしければ、お使いください」
「ありがとうございます」
「ありがとう! 」
「いえ」
店主は、子供用の椅子を親子のテーブル席へ置いてから、厨房に入った。
調理をしている間も、小さな客はきちんと座り、母と何やら話していた。
「お待たせしました」
「ありがとう! 」
「ごゆっくり」
このチヂミは、シーフードミックスとモチモチとした生地の相性が抜群に良い一品だ。つけダレには、醤油、砂糖などを合わせ、白胡麻がたっぷりと入っている。生地に韓国料理で使われる、ダシダを使用する事によって、本場の味が味わえる。
「いただきます」
「いただきます! 」
客は、チヂミを同時に口に運んだ。
「「ううん、美味しい」」
さすがは親子だ。一言一句全く同じことを言った客は、顔を合わせて笑っている。そんな美しい情景は、どこのビュースポットにも勝るだろう。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま! 」
「まいど。お兄ちゃん、コレどうぞ」
「うわぁ! ありがとう! 」
「ママにもどうぞ」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
手を繋いで、ゆっくりと歩く2人の背中を見つめる店主の目は優しく、でも羨ましそうに見えた。
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