花屋のエルム〜触手と男の危険な香り〜

金盞花

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14.粗相の罰

 それから数日間は大変だった。
 アンビスはずっと一緒に居てくれた。最初に目覚めた時、気付いたらベッドに寝かされており、ドラゴンウィスカーもどきの存在に気付かれるのではと冷や冷やしたがずっとただの草のままでいてくれた。

 それよりも俺の身体の方が問題だった。腹と尻は完全に壊れ、酷い時には何か口にしても数十分経つと尻から噴き出していた。
 度々トイレに立つがまともに歩けない為にアンビスの手を借りねばならず、突然の便意に間に合わず漏らしてしまうことも何度もあった。それを想定してか布おむつを着けられていたのがあまりに恥ずかしい。
 ソファはアンビスの魔術により概ね汚れを落とされた後で破棄されたらしい。リビングの床も綺麗になっていた。
 下の世話までやってくれる上に、俺が店に出れない間商品の手入れもしてくれていたアンビスに、俺は申し訳無く思っていた。

「その……本当にすまない」
「何がです?」
「ここまで色々やってもらって……」
「まぁ、僕も少し悪ノリし過ぎましたからね。そのお詫びです」

 俺のベッドで粥と飲み物だけの食事を終えてからアンビスはしれっと言った。確かにそれはそうなのだが、随分と変な縁になってしまったものだ。
 その頃には俺も大分回復してきていて、失敗することも減っていた。もう暫くすれば自由に動けるだろう。

「アンビスにもアンビスの生活があるだろ? そろそろ戻っても……」
「どうせ固定のパーティもいない、気ままな流れの冒険者ですからお気遣い無く。それとも、早く消えてほしいですか?」
「まさか。でも、お前の方は俺が嫌いなんじゃないのか?」
「…………」

 そう言うとアンビスは無表情で俺の顔を見詰めた。美形にいきなりこんな反応をされると何だか不安になってしまう。
 そもそも俺が無理矢理襲ったのが発端だ。全部俺の所為で、あんなことをしたのは報復の一環で、今は仕方無くこうしていると言われてもおかしくはない。

「……どうでしょうね。僕もよく分かりません」
「へ?」

 だが返って来たのは、なんとも捉え所の無い回答だった。

「少なくとも、嫌いならこんなことはしないし、もっと酷いことをするんじゃないでしょうか」
「……そうだな」

 確かに、今の弱った俺に対してならどんなことだって出来るだろう。俺は寧ろ、それをしないアンビスの根の優しさに内心感謝した。

「とは言え、長らく居付くつもりもありませんよ。食い扶持は稼がないといけませんし、ここで稼ごうにも2人分の儲けは出ないでしょう?」
「う、なんでそれを……」
「お店の様子も見させてもらいましたが、ほとんどお客さんは来ませんでしたから。それに草花を切ったり、狭苦しい鉢に閉じ込めて売るなんて、僕にとっては気持ちの良いものではありませんしね」

 やはり花屋という商売はエルフには合わないらしい。まぁそれも仕方の無いことだ。彼にとっては気持ちの良いことではないだろうが、このまま行きずりの関係にしておいた方が楽だろう。

「そうそう、そこのドラゴンウィスカーですけど」
「……!?」

 空になった食器を持って立ち上がったアンビスが傍らの鉢植えを指差すと、俺は心臓がひっくり返るかと思った。
 俺の状態を把握しているのか、エルフは獲物として好みではないのか。触手を伸ばすこともなく、その草はここ数日大人しくしていた。
 なので外見上はただのドラゴンウィスカーにしか見えない筈だが、そもそも鉢植えで寝室に置くことは少ないだろう植物だ。それを怪しまれたか、それとも森の民に本性がバレたのか。
 俺は必死に何事も無い表情を取り繕いながら彼を見返す。

「それがどうかしたか?」
「いえ、何だかちょっと変な魔力を有しているように思うんですが……何か特別なんですか?」
「さぁ、俺もよく分からないんだ。魔力について詳しく知ったのも最近だし、全然気付かなかった」
「そうですか……」

 アンビスはじっと草の方を見ていたが、別段それ以上気になる点は無かったのか、それとも言いたいことを飲み込んだのか。「じゃあ片付けてきますね」と一言置いて、食器を持って寝室を出て行った。

「はぁ……!」

 危なかった。気付かれるかと思った。よく動かずにいてくれたと思いながら、俺はベッドに倒れ込んで大きな溜息を吐いた。ここまで隠し通せたのだから、もっと長く共に暮らしたい。そんなことを思ってしまっていた。
 いけないことながら、触手との触れ合いは、アンビス達のような誰かとするセックスとはまた違った気持ち良さがあるのだから。

「う……」
 キュン……ゴロゴロッ……

 それを思い出して尻穴が疼くのとほぼ同時に腹から不吉な音をした。先程食べて飲んだ物に早速反応しているのだろう。
 これはいけない兆候だと感じ取って俺は素早く布団を跳ね除け、起き上がってベッドから降りる。だが体力の落ちた身体では立って歩くのも重労働だ。

 ゴロゴロゴロ、ギュルルルルッ!
「ぁ、あっ……!」

 激しい腹痛と共に一気に腸が蠢き、腹の中身が一気に下る感覚が襲う。俺は咄嗟に壁に凭れて腹を押さえるが、そんなもので治まる筈が無い。
 早くトイレへと思うが痛みと体力消耗で1歩ずつ、ゆっくりとしか動けない。これは無理だと思うのと、腹の中身が直腸に雪崩れ込むのはほぼ同時だった。必死に堪えようと思っても、ガバガバになった穴は言うことを聞かなかった。

 ブスッ、ブピピ……ッ!ブビビビーッ!ブリリリリッ!!
「うっあぁっ……!」

 俺の肛門は大きな破裂音を響かせ、緩やかに未消化物の混じった液体を吹き出した。極少量の固形物が含まれているものの、概ねドロドロの茶色い物がおむつの中に広がる感覚がする。
 またやってしまった。そう思いながらも、俺はそこにしゃがみ込むことしか出来なかった。

 ブピッ!ビュル……ビチチチッ!!ブッボォオッ!!
「うっ……くぅっ……!」

 腸の動きのままに腹の中身が排泄され、未消化物なのか残便なのか分からない程たっぷりと尻から出る感覚に身体がビクつく。
 漏らしたというレベルではなく、トイレではない場所で排便してしまったことが妙に恥ずかしく思え、顔から火が出るかという程に真っ赤になっていた。
 幸い飲み食いしている量が少ない分、すぐに全て出し終えて排泄は止まる。だが尻にはべったりと汚れたおむつが張り付いている感覚が続き、俺は情けなさで思わず涙が出て来る。

「……エルムさん!」

 片付けを終え、様子を見に来たアンビスがこちらに気付いて駆けて来た。腹を抱えて廊下に蹲っているなど、今の俺の状態を考えたら何が起きたかは一目瞭然だ。おまけに汚臭まで漂っているのだから。

「……また漏らしちゃったんですか?」
「っ……! す、すまん……」

 直前までは心配そうだったのに、わざと冷たく、それでいて微かな嘲笑が滲む声でアンビスは言う。俺の身体はそれだけでビクリと跳ねた。
 恐怖や憤りではない。羞恥と、惨めさと、それが引き起こす興奮は自分で抑えられるものではなかった。

「まだ出そうですか?」
「い、いや、大丈夫だ……」
「全部出しちゃったんですね。おむつの中、大変なことになっているのでは?」
「あ、ああ……もう、ぐちゃぐちゃで……」

 何故こんなことを言っているのだろう。だが俺は被虐欲のまま顔を上げると、アンビスの見下すような微笑を目の当たりにした。
 この美貌を前にして汚して、汚されたのだ。そう思うと現状に相応しくない興奮が抑えきれなかった。

「アンビス……」
「……そんな顔しないでくださいよ。おむつ、替えてあげますから」

 歪に口角を上げたアンビスに支えられ、どうにか立ち上がった俺は寝室へと戻り、ベッドに仰向けになる。尻の下で汚泥が潰れる感覚に眉を顰めるが、この後待つものに心臓は高鳴っていた。
 アンビスが俺のズボンを下ろしておむつを開く。俺は思わず眼を閉じたが、彼には汚れた秘所が丸見えになっている筈だ。大の大人が下の世話をされるなどあまりに恥ずかしく、俺は自分の手の甲で口元を押さえた。

「あーあー、本当にドロドロだ。……それで、なんでココは元気なんですか?」
「……ひあっ♡」

 アンビスはせせら笑いながら、何故か甘勃ちしていた俺の肉棒に指を這わせた。本当は全部分かってるくせに、改めて言語化されると全身の熱がどんどん高まってくる。

「まさかお漏らしして興奮したんですか?」
「っ……あ、ち、違う……」

 俺の嘘つき。指摘されてさらに性感は昂まり、ひくひくと震える陰部は半勃起からしっかりと勃起するまでになっていた。
 しかしアンビスはそれを嘲るように撫で続ける。尻に感じるドロドロと相俟って緩い快感が積み上がった。

「ちょっと触っただけでこの有様ですか……相変わらず感じやすいですね」
「あんんっ♡」

 アンビスが意地悪そうに言い、指先で敏感な亀頭を摩擦する。その度に目の前がチカチカとする程の快感で腰が大きく跳ねた。我慢なんて無理だった。
 だがそれを続ければ良い、ただそれだけで本当に達しそうになる寸前、唐突に両手を離される。その突然の喪失感に俺の涙腺は壊れたかのようにぼろぼろと涙を溢す。だが同時に物足りなさも感じていた。

「あ……っ♡」
「お漏らしした悪い子はお仕置きですよ」

 そんな俺の様子をアンビスは鼻で笑い、俺の汚れた尻穴の周りや尻肉を布で拭き上げた。その度に俺は感じ入って小さく喘いでしまう。
 尻たぶが綺麗になると、すっかりガチガチになり先端から涎を垂らす肉棒は無視してアンビスは俺のおむつを替え始めた。俺はそれを期待に満ちた眼差しで見ていた。

「ほら、お尻を上げてください」

 言われるがままに尻を上げれば、汚れたおむつが外され新しいものが当てられる。その感覚にすら反応してしまう自分が情けなかった。
 だがそんな思いとは裏腹に身体はどんどん熱くなり、股間はビクビクと脈打っている。早く触ってほしいという欲求だけが頭を支配していた。だが、アンビスはそんな俺の心を見透かすように微笑むだけだ。

「エルムさん、こんなにおむつを汚して恥ずかしくないのですか?」
「あ、ああ……っ♡ 恥ずかしい……っ♡」

 羞恥を煽るような言葉を投げかけられ、それだけで果ててしまいそうになる。しかしそれは許されないことだ。俺は必死に耐えながらアンビスの言葉を待っていた。

「それに、なんでこれだけでそんなに興奮してるんです? いやらしいですね」
「っ……♡」

 その通りだった。こうして挑発されることによって、さらに興奮してしまうのだからどうしようもない。それ故に言葉にされると酷く屈辱的な気分になったが、同時にそれが俺の興奮を煽った。
 アンビスは俺の尻穴を布越しに軽く押しながら言う。その刺激にすら反応してしまいそうになるが何とか耐えた。

「ほら、お尻の穴までヒクヒクさせてる」
「あ……っ♡ あ……っ♡ んあっ♡」

 俺はもう限界だった。早く触れてほしい。滅茶苦茶に犯されたい。そんな欲望がふつふつと沸いて、俺は無意識に腰を振っていた。

「アンビス……頼む、触ってくれ……」

 俺はもう我慢出来なくなり、恥じらいを捨て懇願した。だがそれでもアンビスは動かない。

「駄目ですよ。これはお漏らしをした悪い子へのお仕置きなんですから」
「あ……そんな……っ」

 アンビスの無情な言葉に俺は絶望するしかなかった。しかし同時に、それが余計に俺の興奮を煽る。
 早く楽になりたい。だがそれは許されない。その葛藤に俺の思考回路は焼き切れそうだった。

「触りたいなら自分でやったらどうですか?」

 そう冷たく言って、アンビスは本来尻を綺麗にする為に用意された濡れた布を渡して来た。
 意趣返しだ、或いはこれがアンビスなりの小さな復讐なのだろうか。俺はそんなことをぼんやりと思いながらも、欲求に抗えなかった。
 布を肉棒に掛け、その上から握り込む。布のざらざらとした感触と濡れた表面の冷たさが同時に伝わり、それだけで達してしまいそうになる。だがそれでは意味が無い。俺は必死に堪えながらゆっくりと上下に擦り始めた。

「あ……ん……っ♡」

 最初は恐る恐るといった動きだったが、徐々に快感を求めるように激しくなっていく。だがそれでもまだ足りなかった。
 もっと強く、もっと激しくして欲しいという欲求ばかりが頭を支配する。しかしそれは叶わないことだ。

「エルムさん、気持ち良いですか?」

 アンビスに名前を呼ばれれば反射的に手が止まる。彼の方を見れば、彼は俺の痴態をじっと眺めていた。その嘲笑うかのような美貌に再度心臓が高鳴った。

「た、足らない……もっと……」

 俺は譫言のように思わず口走っていた。アンビスはそれを見て笑みを強め、おむつ替え用に準備していた道具の中から、小さな水差しを手に取る。

「これ、本来はお尻の穴の荒れ防止に使うらしいんですけど……こうするとどうですか?」

 アンビスは俺の肉棒の頂点から水差しの中身を少しずつ掛けた。その冷たさに思わず顔を顰めるも、段々とその意味を理解する。
 それは潤滑油のように粘性のある液体だった。布に染み込み、どろりとした感覚へと変わる。いけないと思う傍ら、この状態で擦ったら相当な快楽が生まれることは容易に想像出来た。
 だからこそ、やるのが怖い。そんな躊躇はアンビスに容易く見抜かれていた。

「ほら、やってください」

 口調は穏やかなのに歯向かうのを許さないアンビスの言葉に、俺は震える手で布の両端を持った。そして肉棒の頂点を支点ととして、磨くかのように布の方をぐいっと引っ張る。

「……~~~~ッ♡♡♡」

 その瞬間、未知なる快感が亀頭から頭の頂点まで、全身を駆け巡った。潤滑剤の滑りと布のざらつきの両方が強烈な快感を生み出す。もう手は止まらなかった。

「あ、あ、あ、あっ♡ んあっ♡」

 俺は無心になって布を左右に動かし続ける。その度に脳天まで突き抜けるような快感が走り、もう何も考えられなかった。ただ快楽を貪ることに夢中だった。

「あ゛っ♡ あ♡ あああぁっ♡」

 もう自分で言っている言葉の意味すら分からない。ただ熱を帯びた甘ったるい声で鳴き続けた。
 いつしか下半身を突き出したままがくがくと激しく腰を揺らし続けていた。ガニ股開きで一心不乱に布オナニーをする様子は側から見たら滑稽で仕方無いだろう。実際、アンビスはクスクスと笑っていた。恥ずかしいのに腰は勝手に揺れ、手は動き続けていた。

「あ゛っ♡ 見るなぁっ♡」
「ふふ、本当は逆でしょう? 見られていると興奮するんですよね?」

 あまりの羞恥に抗議するが、聞き入れてもらえない。だが彼の言った通りだった。俺は恥ずかしさとは裏腹に興奮していた。
 酷く屈辱的であまりに惨めなのに、それが堪らなく気持ち良い。もう自分が何を言っているのかすら分からない程に頭は快楽に支配されていた。
 だがそれも長くは続かない。やがて絶頂の予感に身体が強張り始める。しかしそれでも手の動きは止まらなかった。

「っ……あ、ああッ♡ アンビスッ、イくぅ……っ!!」

 一際大きな波を迎えそうになれば自然と名前を呼んだ。手が白濁を飛び散らせたくて堪らなかった。必死に許しを乞おうとするが、彼は有無を言わせなかった。

「駄目です。そうですね……あと10秒、我慢してからイってください。いいですか? じゅーぅ……きゅーぅ……」

 アンビスは俺の耳元でそっと囁いた。それは秒単位にしてはあまりに長い。それでも解放の時は近いと、俺は唇を噛んで必死に耐えた。

「ごーぅ…………よーーーー……ん……」

 だがアンビスは待ち切れない俺の心を見透かしたように、カウントダウンはどんどん遅くなっていく。反比例するように、布を動かす速度は思わず早まっていった。
 気持ち良い、出したい、早く早く早く。発射寸前の剛直の脈動すらもしっかりと感じていた。

「にーーーーぃ…………いーーーーーーち……」
「う、あっ、も、出るっ♡」

 俺の陰嚢がキュッと縮んで放出の用意が万端なことを示す。ゼロはいつまで経っても呼ばれない。まだダメ、耐えろと必死に自分で言い聞かせても、不意に視野が真っ白になると同時に股間が爆発する感覚があった。

 ビューッ!ビュッ、ビューーーーーーーッ!!
「お゛っ♡ お゛お゛お゛お゛ぉッ♡♡♡」

 次の瞬間、自分の喉から信じられないような絶叫が飛び出したのを聞いた。
 もう我慢なんて出来なかった。俺は腰を突き上げ、肉棒を天に向けて突き出し、激しく痙攣する。布の中で大量の精液が弾け飛び、ダラダラと竿を伝って落ちた。
 そして同時に、俺の敏感な先端に布が擦れる感覚があった。それがトドメだったようで、俺は思わずその状態で布を左右に更に擦り付ける。

「お゛ッ!?♡ お、あ゛ぁッ♡」

 その途端凄まじい快感が走り、俺は思わず仰け反った。だがそれでも手を止めることは出来ず、そのまま何度も布で先端を磨いた。その度に腰がガクガクと震え、まるで失禁しているかのように精液が飛び散った。

「あーあ、まだゼロって言ってないのに……それにソレ、そんなに気持ち良いんですか?」

 射精中の快感を超える衝撃で俺は身悶えながら、コクコクと頷きつつはしたなく白濁を垂れ流すことしかできなかった。余りにも気持ちよすぎておかしくなってしまいそうだった。
 アンビスは俺の目の前で挑発するように嘲笑しながら言った。するとお仕置きの効果で期待で身体の奥がきゅんと疼くのを感じた。一応射精したものの、身体は火照ったままでどうにもならなかった。

「エルムさんは本当に変態ですね」

 彼は俺の耳元で囁いた。俺は何も言い返せない。事実だからだ。
 俺はお漏らしをして、それをアンビスに見られながらオナニーをするという変態行為で興奮していた。その事実は否定しようがない。いくら言い訳したところで事実は変わらないのだ。

「あ……う……っ♡」

 だがそれでも、この背徳的な行為にすら興奮してしまうのは何故だろう? 俺は自分の性癖が分からなくなっていた。
 最初にそれを開拓したのは触手だとは言え、本当にそれだけが原因だろうか。俺は自分の中に芽生えた新たな性癖を、ただ受け入れることしか出来なかった。

「ほら、もっと見せてください」

 アンビスはそう言うと俺の肉棒の先端に軽く爪を立てた。その瞬間、俺はまた軽く達してしまう。

「お゛っ♡」

 その快感は凄まじく、俺は獣のような声を上げて仰け反った。しかしそれでもなお、彼は手を止めない。そのままゆっくりと指を動かし始めた。布越しに亀頭を擦るようにしながら、時折尿道口を引っ掻かれる。

「んあッ♡ あ……あ……っ♡」

 もう何も考えられなくなりそうだった。だがまだこの地獄は終わりそうにない。
 アンビスは仕上げとばかりに、布ごと包むように握り込むと優しく上下に動かされる。それだけだというのに俺は腰が砕けそうなほどに感じた。

 ぬちっ♡ずちゅっ、ぐちゅっ♡

 アンビスの手が動く度に粘着音が鳴り響く。その音すら俺を昂らせた。その刺激は強すぎて頭が真っ白になる程だった。

「あ゛ッ!♡ あ゛ぁッ!!♡」

 もう限界だ。これ以上されたら壊れてしまう。しかしそんな思いとは裏腹に身体は貪欲に快楽を求めていた。俺は無意識のうちにへこへこと腰を振っていた。
 アンビスはそれを嘲笑うかのように、布越しに亀頭を擦る速度を早めた。同時に竿全体を包み込むようにして握り込み、上下に扱かれる。その刺激に俺はもう耐えられなかった。

「お゛ッ!♡ んお゛ぉ~~~~っ!!♡♡」

 俺は獣のように叫び声を上げながら絶頂に達した。勢いよく飛び出した精液は布から溢れて竿を伝い俺の股間を汚していく。
 そしてそれが治まると、俺の意識は絶頂から降りて来る勢いのままフッと途絶えた。もう何もかも限界だったのだ。

 ***

『もう大丈夫なようなので、僕は去ります。またいつか、気が向いたらお会いしましょう』

 数日後、そんな置き手紙を残してアンビスは唐突に消えた。俺の腹も回復し、店も再開してすぐのことだった。
 それは予定調和の筈だった。元々そのつもりだったと彼は語っていた。
 なのに久し振りに1人となった部屋は酷く広く感じた。カイルが去った時と同じだ。

 つまり俺は、寂しかったのだ。毎晩のように互いの身体を弄り、弄られていた所為もある。
 もしかしたらアンビスは、それではいけないと思ったのかもしれない。俺でさえもそう思う。このままズルズルと長く一緒に居たら、2人共腐っていただろう。
 だからこれでいい。俺は1人で花屋を続けるのだ。これまでそうしていたじゃないか。これまでもそうするだけのことだ。
 そう自分に言い聞かせたが、俺はもう耐えられなかった。
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