31 / 84
第3章
第31話 黒幕
しおりを挟む引っ越しが完了してから数日。
実は昨日ミコさんや雪さんたちもこちらに引っ越してきた。
部屋はたくさん余っているし、パーティを組んで行動することも多いからということで誘ったところ、2人が来てくれたのだ。星奈さんには丁重にお断りされたけど。
そして今。
俺の目の前には雪さん。何やら話があるということで呼び出されたのだ。
彼女もいつになく真剣な顔をしている気がする。無表情だからわからないけど。
「えと……話があるっていうのは?」
「ん。これ」
タブレットには、とある配信の画像。俺が映っている。『コスチュームプレイ』中の。
ご丁寧に顔のドアップである。マスク姿とはいえ恥ずかしい。
「あ、あぁ! 最近話題になってるね!」
「……」
「俺の最初の配信と同時期だったから人気が分散して困っちゃうよね!」
「……」
「こんな大きなモンスターと戦うなんて……大変、だろうなぁ~……」
「……」
段々と雪さんの表情が暗くなっているのは気のせいじゃないだろう。
なぜなら眉毛が『八の字』になってきているから。フラット眉毛じゃなくなっている。
「えーっとぉ……」
「……」
「これ、俺なんだぁ~……」
「やっぱり!」
白状してしまった。雪さんの無言の圧に負けてしまった……!
まぁ……うん、仕方がない。彼女の眉毛がV字回復してるから、これで良かったんだ。
「説明を求む」
「あ、はい。実は――」
実は別の世界からの転生者で、ダンジョンを破壊することを目的としていることや配信の目的。
それに第2聖句を既に習得していることなどなど。
つまり、全て話した。話してしまった。
「ということなんです……すみません、騙していて……」
「……あ、そっか。そういうことになるんだね」
「え?」
「え?」
お互いキョトンとして見つめ合ってしまった。
「実力を隠してサポートを依頼していることとかに対して怒っている訳ではない……?」
「そこは別に……探索者としてサポートが必要なのは事実でしょ? 戦闘面での実力はともかく」
「それはそうだけど……星奈さんが知ったらめちゃくちゃ怒りそう」
『曲がったことは大嫌いです』と顔に書いてあるもの。
「星奈さんは……怒るかもね。だから、私だけの秘密にしておくよ」
「……そうして貰えると助かります」
何だかよくわからないが、雪さんが楽しそうに笑っている。案外いたずら好きなのかも知れない。
ここまでの彼女の笑顔は初めて見たもの。
「ところでさ、どうして気が付いたの? 剣とか別のものだったし、他にも色々気を使ったんだけど……」
結局、ゴーレムのやつと鳳凰のやつは音声だけ切り取って配信したそうな。
なぜならランチョンもリアたちも俺の名前を呼びまくっていたからね……。
「口元でわかるよ。多分ミコもそのうち気付くと思うし」
「確かに口は出てるけど……結構画像荒いし注意して見ないとわからなくない?」
「そ、それと! 手が映ってた! あのワンちゃんの! この前真世さんのお部屋に置いてあったからすぐ気がつけたの! それだけだよ!」
慌てた様子で教えてくれる。まさかリアの手が映っていたとは気が付かなかった!
「……だめ、これ以上は……勇気出ないよぉ……」
「え? ごめん、聞こえなかった」
「な、何でもないよ! それより、動画のチェックも細かいところは漏れちゃうから……」
「うん、気を付けなきゃね。俺も真世さんも気が付けなかったよ」
真世さんは色々忙しいからなぁ。
俺はそんな細かいところの確認などできるわけがないとわかっている。
「も、もしよかったら……手伝おうか? そっちの配信も」
「えっ!? それは嬉しいけど……いいの? 雪さんも色々あるんじゃない?」
「だ、大丈夫! パーティでの活動がない日はおうちで動画見てるだけだし! それに……」
「それに?」
「り――……」
再び眉毛が下がり、目を瞑って何かを堪えるような、絞り出すような顔をしている雪さん。
そんなに力むとう◯こが――いや、これ以上はやめておこう。
「……真世さんとお話するのも楽しいから」
「……そか! そういうことならぜひお願いするよ! 早速フランと真世さんに話しに行こうよ!」
「えっ!? あっ……」
雪さんの手を引っ張り、現在フラン達がいる3階の仕事場区域へと向かう。
その後は給料などのことも含めスムーズに話が進み、今後は雪さんも『漆黒堕天騎士』の配信を手伝ってくれることとなった。
◆◇◆◇◆◇
――雪さん帰宅後。
「仕事ができすぎる真世お姉様が、機密事項であるリアを人目に付く場所に置く訳がないです」
「いくら忙しいと言っても、真世ならリアが動画に映っているのを見逃すはずがありませんわ!」
「人手を欲しがっていたのは事実。そして信頼でき、かつ高度な専門知識を持つ人物といえば雪さんしかしない」
「……」
そう、つまり今回の話は――。
「全て計画通り、そういうことですね?」
「……ふ、ふふ……ふふふふ! あーっはっはっは! はい、その通りです」
何で黒幕風高笑い……?
8
あなたにおすすめの小説
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる