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第4章
第69話 出題者の主観マシマシ難解クイズ(カンペ付き)
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1時間ほどの筆記試験を終わらせ、待合室に戻ったところ――。
「だから納得できねぇっつてんだろ!」
「納得する必要はない。ただ真実として受け入れればいい」
「まだ何かやってる……」
赤火さんの叫び声と、対照的な雪さんの落ち着いた声が聞こえてきた。
「ですから――おや、ちょうどいいですね。凜きゅんに確認してもらいましょう」
「そ、それは……ず、ズルはいけない。そう、いけないんだ。あくまでこれは試験なんだから本人に答えを聞くなんて許されない……よくないよぉ……」
ルミナさんの言葉に、それまでドヤ顔をしていた雪さんの様子が一気におかしくなった。眉毛が八の字だ。
「えーっと?」
「実はですね、初代雪さんが『“凜音くんクイズ”に全て答えられたら凜音くんとの仲を取り持ってあげることを考えなくもないかも知れない』と仰っておりまして」
それ、どう転んでも取り持たないと思うよ……!
「そのクイズの答えが納得できねーんだよ! だから本人に直接聞いてやるって訳だっ!」
「ダ、ダメ……」
「ふむ……」
雪さんが可愛い顔をして困ってるんだ、ここは一肌脱ごうじゃあないか。
「もちろんいいですよ!」
「……では第1問。『凜音くんがお嫁さんや恋人の中で1番好きなのは誰だ』です」
はっは~ん。こんなのは簡単だ。
「第1夫人の宝条の娘に決まってんだろ!」
「いえいえ、お優しい凜きゅんの答えは“みんな1番”ですよね?」
「もちろん、雪さんですよ!」
雪さんの八の字眉毛が少しフラットになった気がした。
「……正解、ですね……」
「はぁっ!? いいのかよそれで! お嬢様が悲しむぞ!」
「もちろん! みんなすっごく魅力的で、会うたびに1番好きになっちゃいますから! なので今の1番は雪さんですね!」
しかし1番を更新する回数が多い人は存在するということだけ言っておく。
「くっ……では第2問! 『唯一凜音くんから告白した女性は誰だ』です。私はよく見かけるメイドさんだと思っております。告白……というよりは、立場を利用して無理やり迫ったのでしょう?」
「これこそ宝条の娘だろ! あんないいとこの娘が自分からいく訳がねぇ!」
「ふむ。これはシンプルに雪さんですよ」
言い訳もこじつけも不要の真実だね。後ルミナさん、俺のこと『お優しい』とか言ってたくせにその回答はないでしょ。
「そう、ですか……では第3問! 『初代雪は凜音くんに求婚をされた後、すぐに同衾を求められたが断った。それはなぜか』」
「……まず同衾ってなんだ?」
「セッ○スですよ」
あぁ、雪さんが恥ずかしさで気絶したやつね。もちろん、答えは――。
「決まってますよ。誇り高く気品に満ち溢れた雪さんが、たった1度求められたからと言って応じる訳がありません。過去の逸話になぞり、3度の礼を以てようやく願いがかなったのです」
「す、すげぇ……文言がほとんど同じだ……!」
「くっ……これも真実ですか……!」
真実はいつも捏造!
「どう? これでわかったでしょ」
先程までの不安そうな顔から一転、雪さんがフンスと鼻を鳴らしてフラットな眉毛で勝ち誇る。かわよ。
「……これは……疑いようがありませんね。他の問題を聞くまでもないでしょうし、潔く認めましょう。完敗です」
「そうだな……まだまだオレ達は甘かったみたいだ」
もう少し疑いの心を大事にしたほうがいいと思う。
「今日のところは出直すとしよう……しかしこれだけは覚えておいてくれ――」
「私達はいつでも、あなたの子種を欲しがっていることを――」
「チゲぇよ! いつでも助けてやるってことだよっ!」
「あら、ほとんど同じでしょう? 助けた後にご褒美は欲しい、下品な顔にそう書いております」
「嘘だろっ!?」
……もういいや、この人たちのことは放っておこう。
なんだかんだ言って仲良さそうだし。
「……よくわかったね……」
「『凜音くんクイズ』? 当たり前だよ、雪さんのことは何でも理解したいからね! 今のくらいはわかるさ!」
「……凜音くん……!」
嬉しそうな顔で飛びついてくる雪さんを抱きしめる。
……視線の先、とある女性と目が合う。
それは雪さんたちの背後、見知らぬ人たちと飲んでるミコさん。その手には、大きなカンペ。
今度お礼をしなきゃね。
「ところで、星奈さんは?」
実技試験の途中から姿が見えなかった。当然ミコさんとも一緒にはいない。
「看護婦さんに連れてかれてた」
「……」
やはりまだ退院じゃなかったんじゃん! しかもめんどくさいことを引き起こすだけ引き起こして本人はいないとか!
「ふぅ、楽しかったっ☆ りおっちりおっちぃ~、この後……わかってるよねぇ~?☆」
飲み会を切り上げてきたらしいミコさんがニヤリと笑いながら近づいてきた。
「わかっている、わかっているとも」
俺たちの戦いはこれからだ!
◆◇◆◇◆◇
「でさぁ、これからどうするの~? 星奈さんいないし、しばらくこのまま初心者向けの動画を撮リ続ける?」
「ん~……」
激しい戦いを終え、そしてこれからの戦いの話をする。
星奈さん復帰後は高難易度ダンジョンへの挑戦をするとして、それまでのことだ。
ちなみに雪さんはきれいな顔して俺の横で寝てる。
「実はさぁ、もう1人加入させて貰えないかなぁ~って思ってる人がいてね」
「えっ!? だれだれ~? 可愛い子~?☆」
「まぁ可愛いっちゃ可愛いけどね……そのぉ~……」
贔屓目に見ても可愛い。可愛いけどね。
「言いにくい相手なの?」
「いや、その……凜花、なんだけど……」
「あ~、ね」
凜花とミコさんたちとのファーストコンタクトは最悪だった。何せ問答無用で鎖の拘束だもの。
先日謝りはしたものの、その悪い印象はなかなか拭えないと思う。
「……ウチは別にいいと思うよっ☆ あの子のスキルは強力だもんねっ!」
「ほんと? よかった……実はさ、どうしても俺と同じく探索者になりたいみたいなんだよね」
多分だけど、本気で探索者になりたい訳ではないと思う。口ではなりたいと言ってるけど。
今まで別々で過ごしていたからか、一緒にいたい欲が強いらしい。今日も学校じゃなかったらくっついてきたに違いない。
「けど、ウチの意見だけじゃ決めらんないからねっ! あくまで賛成ってだけっ!」
「わかってるよ。ありがとね」
その後目覚めた雪さんにも同じことを話す。
渋々といった感じではあったが、認めてくれた。無表情だったけど。
後は星奈さんだけだ。
「だから納得できねぇっつてんだろ!」
「納得する必要はない。ただ真実として受け入れればいい」
「まだ何かやってる……」
赤火さんの叫び声と、対照的な雪さんの落ち着いた声が聞こえてきた。
「ですから――おや、ちょうどいいですね。凜きゅんに確認してもらいましょう」
「そ、それは……ず、ズルはいけない。そう、いけないんだ。あくまでこれは試験なんだから本人に答えを聞くなんて許されない……よくないよぉ……」
ルミナさんの言葉に、それまでドヤ顔をしていた雪さんの様子が一気におかしくなった。眉毛が八の字だ。
「えーっと?」
「実はですね、初代雪さんが『“凜音くんクイズ”に全て答えられたら凜音くんとの仲を取り持ってあげることを考えなくもないかも知れない』と仰っておりまして」
それ、どう転んでも取り持たないと思うよ……!
「そのクイズの答えが納得できねーんだよ! だから本人に直接聞いてやるって訳だっ!」
「ダ、ダメ……」
「ふむ……」
雪さんが可愛い顔をして困ってるんだ、ここは一肌脱ごうじゃあないか。
「もちろんいいですよ!」
「……では第1問。『凜音くんがお嫁さんや恋人の中で1番好きなのは誰だ』です」
はっは~ん。こんなのは簡単だ。
「第1夫人の宝条の娘に決まってんだろ!」
「いえいえ、お優しい凜きゅんの答えは“みんな1番”ですよね?」
「もちろん、雪さんですよ!」
雪さんの八の字眉毛が少しフラットになった気がした。
「……正解、ですね……」
「はぁっ!? いいのかよそれで! お嬢様が悲しむぞ!」
「もちろん! みんなすっごく魅力的で、会うたびに1番好きになっちゃいますから! なので今の1番は雪さんですね!」
しかし1番を更新する回数が多い人は存在するということだけ言っておく。
「くっ……では第2問! 『唯一凜音くんから告白した女性は誰だ』です。私はよく見かけるメイドさんだと思っております。告白……というよりは、立場を利用して無理やり迫ったのでしょう?」
「これこそ宝条の娘だろ! あんないいとこの娘が自分からいく訳がねぇ!」
「ふむ。これはシンプルに雪さんですよ」
言い訳もこじつけも不要の真実だね。後ルミナさん、俺のこと『お優しい』とか言ってたくせにその回答はないでしょ。
「そう、ですか……では第3問! 『初代雪は凜音くんに求婚をされた後、すぐに同衾を求められたが断った。それはなぜか』」
「……まず同衾ってなんだ?」
「セッ○スですよ」
あぁ、雪さんが恥ずかしさで気絶したやつね。もちろん、答えは――。
「決まってますよ。誇り高く気品に満ち溢れた雪さんが、たった1度求められたからと言って応じる訳がありません。過去の逸話になぞり、3度の礼を以てようやく願いがかなったのです」
「す、すげぇ……文言がほとんど同じだ……!」
「くっ……これも真実ですか……!」
真実はいつも捏造!
「どう? これでわかったでしょ」
先程までの不安そうな顔から一転、雪さんがフンスと鼻を鳴らしてフラットな眉毛で勝ち誇る。かわよ。
「……これは……疑いようがありませんね。他の問題を聞くまでもないでしょうし、潔く認めましょう。完敗です」
「そうだな……まだまだオレ達は甘かったみたいだ」
もう少し疑いの心を大事にしたほうがいいと思う。
「今日のところは出直すとしよう……しかしこれだけは覚えておいてくれ――」
「私達はいつでも、あなたの子種を欲しがっていることを――」
「チゲぇよ! いつでも助けてやるってことだよっ!」
「あら、ほとんど同じでしょう? 助けた後にご褒美は欲しい、下品な顔にそう書いております」
「嘘だろっ!?」
……もういいや、この人たちのことは放っておこう。
なんだかんだ言って仲良さそうだし。
「……よくわかったね……」
「『凜音くんクイズ』? 当たり前だよ、雪さんのことは何でも理解したいからね! 今のくらいはわかるさ!」
「……凜音くん……!」
嬉しそうな顔で飛びついてくる雪さんを抱きしめる。
……視線の先、とある女性と目が合う。
それは雪さんたちの背後、見知らぬ人たちと飲んでるミコさん。その手には、大きなカンペ。
今度お礼をしなきゃね。
「ところで、星奈さんは?」
実技試験の途中から姿が見えなかった。当然ミコさんとも一緒にはいない。
「看護婦さんに連れてかれてた」
「……」
やはりまだ退院じゃなかったんじゃん! しかもめんどくさいことを引き起こすだけ引き起こして本人はいないとか!
「ふぅ、楽しかったっ☆ りおっちりおっちぃ~、この後……わかってるよねぇ~?☆」
飲み会を切り上げてきたらしいミコさんがニヤリと笑いながら近づいてきた。
「わかっている、わかっているとも」
俺たちの戦いはこれからだ!
◆◇◆◇◆◇
「でさぁ、これからどうするの~? 星奈さんいないし、しばらくこのまま初心者向けの動画を撮リ続ける?」
「ん~……」
激しい戦いを終え、そしてこれからの戦いの話をする。
星奈さん復帰後は高難易度ダンジョンへの挑戦をするとして、それまでのことだ。
ちなみに雪さんはきれいな顔して俺の横で寝てる。
「実はさぁ、もう1人加入させて貰えないかなぁ~って思ってる人がいてね」
「えっ!? だれだれ~? 可愛い子~?☆」
「まぁ可愛いっちゃ可愛いけどね……そのぉ~……」
贔屓目に見ても可愛い。可愛いけどね。
「言いにくい相手なの?」
「いや、その……凜花、なんだけど……」
「あ~、ね」
凜花とミコさんたちとのファーストコンタクトは最悪だった。何せ問答無用で鎖の拘束だもの。
先日謝りはしたものの、その悪い印象はなかなか拭えないと思う。
「……ウチは別にいいと思うよっ☆ あの子のスキルは強力だもんねっ!」
「ほんと? よかった……実はさ、どうしても俺と同じく探索者になりたいみたいなんだよね」
多分だけど、本気で探索者になりたい訳ではないと思う。口ではなりたいと言ってるけど。
今まで別々で過ごしていたからか、一緒にいたい欲が強いらしい。今日も学校じゃなかったらくっついてきたに違いない。
「けど、ウチの意見だけじゃ決めらんないからねっ! あくまで賛成ってだけっ!」
「わかってるよ。ありがとね」
その後目覚めた雪さんにも同じことを話す。
渋々といった感じではあったが、認めてくれた。無表情だったけど。
後は星奈さんだけだ。
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