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第4章
第70話 夢ならばどれほどよかったでしょう
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――週末。
凜花を連れて星奈さんが入院している病院へとやってきた俺達。
そこで凜花を『アヘピス』に加入させたい旨を伝えたのだが。
「鎖少女……凜花ちゃんの加入、か……」
「お願いしますぅ~! 私ぃ頑張りますからぁ~!」
割とすんなり受け入れてくれたミコさんと雪さんとは異なり、口と目を真一文字に結んで渋い顔をしている星奈さん。
やはり難しいかぁ。
「どうして探索者になりたいんだ?」
「もちろん、お兄ちゃんと一緒にいたいからですぅ~!」
ぶっちゃけやがった! せめて『探索者王になりたいんですぅ』とか言って誤魔化してよ!
「ならば認めん! 探索者とは生半可な気持ちでなるもんではない! 辛く険しい時もあれば死ぬことだってあるんだぞ!」
「わかってますよぉ~。でも大丈夫、死ぬならお兄ちゃんの腕の中で死にたいと思ってますもんっ!」
重い! そして大丈夫じゃない!
「ダメだ! まだ死に場所を決める年じゃないだろう!」
「え~……」
それもそうではある。しかし兄としては妹のやりたいことを応援したい気持ちもある。だからこそ一緒に行動できれば、と思ったのだが。
「……それじゃあ~、私の鎖を解けなかったら加入を認めてくれませんかぁ~?」
「む?」
「実は私の固有スキル、思いの強さで拘束力が増すんですよ~!」
確かにスキルの強度は思いの強さや魔力の強さが反映されることもあると言うが……。
「ほらぁ、フランちゃんのお墨付き~!」
凜花の取り出した紙には、フランの文字で何か書いてある。
「『”拘束する鎖”、使用時に対象への想いが強いほどその拘束力の強度に直結する、ということですわ!』だって」
「ね! 今の私ならドラゴンでも悪魔でも拘束できちゃうよぉ~!」
何とも用意がいいというか……こういう強かさも凜花の良さなのかもしれない。
「ふむ、確かにそれならば能力の確認と思いの強さが計れるな」
「でしょ! 星奈さんは今入院中だからぁ~、それまではお試し加入させて貰えると嬉しいな! その後勝負しよっ!
「舐めるなっ! 今すぐにでも受けてたつ!」
「いえ、安静にしててください」
話がまとまりかけたと思っていた所に、背後から声がした。振り返ると、看護婦さんが。
「これ以上動くと……砕きますよ?」
「……す、すみません、でした」
さっきまで威厳たっぷりだった星奈さんが小さくなって頭を下げている。連日の暴走だものね、仕方ない。
「面会の方たちも、そろそろお時間ですのでお引き取りを……おや?」
「ん?」
看護婦さんが俺の顔を見てハッとした顔をする。
「これはいけません。体に不調をきたしている可能性がございます! 今日はこのまま入院して頂いて検査いたしましょう!」
「え? え!?」
体に不調!? そんなぁ!?
「お兄ちゃん、騙されないで。この女嘘ついてる。きっとお兄ちゃんを連れ込んでえっちなことするつもりだよ!」
「なっ! 言いがかりです! 私は長年の経験から……いえ、まだ20代――」
「その証拠に、乳首がヒクヒクしてる。嘘ついてる人はみんなそうなんだって」
「そんなバカな! ――ハッ!?」
マヌケは見つかったようだね……何で引っかかるんだよそんなのに。
「……今日のところは諦めますが、いつでもお注射お待ちしてますから……」
「しっしっ! あっち行って!」
良くも悪くも素直な面々のアベピス、凜花みたいな子がいてくれると助かる……かも知れない。
少しだけ耳年増を何とかしたいと思わなくもないけど。
まぁ今日のところは看護婦さんの言う通り退出しましょうか。
……。
……。
……。
「……それとね、実は私ぃ第2覚醒したんだよぉ~!」
病院のロビーにて、凜花が足を止めて驚きの発言をする。
「えっ!? まじで!?」
「それをさっき言ってればよかったのにっ!」
「第2覚醒はSランク試験を受けられるようになるほど重要なもの。どうして言わなかったの?」
ほんとそれ!
「一応ね、きっかけがアレだったからさぁ~」
「アレ?」
そう言って俺の耳元に近寄って来てこっそりと教えてくれる。
「お兄ちゃんのぉ、な・か・だ――」
「はいストップーーー!」
「もごぉ♡ ぺろぺろ~♡」
塞いだ口を舐めるでない!
「い、いったい何が……?」
「私はなんとなくわかった」
わ、わかっちゃいました……?
「長年会いたがっていた凜音くんに会えたから、でしょ?」
「そそそそうだね!」
「……ふ~ん」
当たらずも遠からずではあるが、逆にミコさんが疑いの目を向けてくる。
「まあまあ♡ そのスキルの能力はぁ~、今度見せてあげるねっ!」
ということで、暫定ではあるものの凜花の加入も決まった。
そしてアレが夢の中の出来事ではなかったのが確定した。
凜花を連れて星奈さんが入院している病院へとやってきた俺達。
そこで凜花を『アヘピス』に加入させたい旨を伝えたのだが。
「鎖少女……凜花ちゃんの加入、か……」
「お願いしますぅ~! 私ぃ頑張りますからぁ~!」
割とすんなり受け入れてくれたミコさんと雪さんとは異なり、口と目を真一文字に結んで渋い顔をしている星奈さん。
やはり難しいかぁ。
「どうして探索者になりたいんだ?」
「もちろん、お兄ちゃんと一緒にいたいからですぅ~!」
ぶっちゃけやがった! せめて『探索者王になりたいんですぅ』とか言って誤魔化してよ!
「ならば認めん! 探索者とは生半可な気持ちでなるもんではない! 辛く険しい時もあれば死ぬことだってあるんだぞ!」
「わかってますよぉ~。でも大丈夫、死ぬならお兄ちゃんの腕の中で死にたいと思ってますもんっ!」
重い! そして大丈夫じゃない!
「ダメだ! まだ死に場所を決める年じゃないだろう!」
「え~……」
それもそうではある。しかし兄としては妹のやりたいことを応援したい気持ちもある。だからこそ一緒に行動できれば、と思ったのだが。
「……それじゃあ~、私の鎖を解けなかったら加入を認めてくれませんかぁ~?」
「む?」
「実は私の固有スキル、思いの強さで拘束力が増すんですよ~!」
確かにスキルの強度は思いの強さや魔力の強さが反映されることもあると言うが……。
「ほらぁ、フランちゃんのお墨付き~!」
凜花の取り出した紙には、フランの文字で何か書いてある。
「『”拘束する鎖”、使用時に対象への想いが強いほどその拘束力の強度に直結する、ということですわ!』だって」
「ね! 今の私ならドラゴンでも悪魔でも拘束できちゃうよぉ~!」
何とも用意がいいというか……こういう強かさも凜花の良さなのかもしれない。
「ふむ、確かにそれならば能力の確認と思いの強さが計れるな」
「でしょ! 星奈さんは今入院中だからぁ~、それまではお試し加入させて貰えると嬉しいな! その後勝負しよっ!
「舐めるなっ! 今すぐにでも受けてたつ!」
「いえ、安静にしててください」
話がまとまりかけたと思っていた所に、背後から声がした。振り返ると、看護婦さんが。
「これ以上動くと……砕きますよ?」
「……す、すみません、でした」
さっきまで威厳たっぷりだった星奈さんが小さくなって頭を下げている。連日の暴走だものね、仕方ない。
「面会の方たちも、そろそろお時間ですのでお引き取りを……おや?」
「ん?」
看護婦さんが俺の顔を見てハッとした顔をする。
「これはいけません。体に不調をきたしている可能性がございます! 今日はこのまま入院して頂いて検査いたしましょう!」
「え? え!?」
体に不調!? そんなぁ!?
「お兄ちゃん、騙されないで。この女嘘ついてる。きっとお兄ちゃんを連れ込んでえっちなことするつもりだよ!」
「なっ! 言いがかりです! 私は長年の経験から……いえ、まだ20代――」
「その証拠に、乳首がヒクヒクしてる。嘘ついてる人はみんなそうなんだって」
「そんなバカな! ――ハッ!?」
マヌケは見つかったようだね……何で引っかかるんだよそんなのに。
「……今日のところは諦めますが、いつでもお注射お待ちしてますから……」
「しっしっ! あっち行って!」
良くも悪くも素直な面々のアベピス、凜花みたいな子がいてくれると助かる……かも知れない。
少しだけ耳年増を何とかしたいと思わなくもないけど。
まぁ今日のところは看護婦さんの言う通り退出しましょうか。
……。
……。
……。
「……それとね、実は私ぃ第2覚醒したんだよぉ~!」
病院のロビーにて、凜花が足を止めて驚きの発言をする。
「えっ!? まじで!?」
「それをさっき言ってればよかったのにっ!」
「第2覚醒はSランク試験を受けられるようになるほど重要なもの。どうして言わなかったの?」
ほんとそれ!
「一応ね、きっかけがアレだったからさぁ~」
「アレ?」
そう言って俺の耳元に近寄って来てこっそりと教えてくれる。
「お兄ちゃんのぉ、な・か・だ――」
「はいストップーーー!」
「もごぉ♡ ぺろぺろ~♡」
塞いだ口を舐めるでない!
「い、いったい何が……?」
「私はなんとなくわかった」
わ、わかっちゃいました……?
「長年会いたがっていた凜音くんに会えたから、でしょ?」
「そそそそうだね!」
「……ふ~ん」
当たらずも遠からずではあるが、逆にミコさんが疑いの目を向けてくる。
「まあまあ♡ そのスキルの能力はぁ~、今度見せてあげるねっ!」
ということで、暫定ではあるものの凜花の加入も決まった。
そしてアレが夢の中の出来事ではなかったのが確定した。
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