獣の香りに溺れる夜

第1章

『黒狼は夜に牙を隠す』

あらすじ

獣人差別の残る歓楽街で、黒狼獣人Ωのシオンは一人きりで生きていた。
発情期を抑える薬に頼りながら夜のバーで働く彼は、ある夜とうとう倒れてしまう。

保護局勤務の人間α・久世湊は、荒々しく牙を剥くシオンを半ば強引に自宅へ連れ帰る。
「人間なんて信用できない」と拒絶するシオンだったが、フェロモンに呑まれず、ただ静かに寄り添う湊に少しずつ心を許していく。

けれど仮初めの関係には、終わりが決まっていて――。



第2章

『白狐は嘘つきな恋をする』

あらすじ

人気配信者として活動する白狐獣人Ω・白月は、炎上騒動をきっかけに世間から姿を消した。
行き場をなくした彼を保護したのは、またしても久世湊だった。

軽薄で人懐っこく、誰にでも愛想を振り撒く白月。
だがその笑顔の裏には、「誰にも本当の自分を愛されない」という孤独が隠されていた。

恋人のふり、甘える演技、カメラ越しの囁き。
偽物の恋を続けるうちに、白月は次第に湊へ本物の想いを抱き始める。

しかし湊は、決して“番”になろうとはしなかった。



第3章

『傷だらけの犬は夢を見る』

あらすじ

警備隊任務中の事故で、シェパード獣人Ω・ガロは発情誘発剤を浴びてしまう。
暴走寸前の彼を止めたのは、保護局のαである久世湊だった。

軍属時代の後遺症に苦しみ、人との距離を取って生きるガロ。
だが湊の匂いだけは、不思議と彼を落ち着かせた。

眠れない夜。
悪夢に震える身体。
触れられるたび蘇る傷跡。

それでも湊の隣だけは、少しだけ安心できてしまう。
忠誠と執着の狭間で揺れる大型犬Ωの恋が、静かに始まる。



第4章

『気まぐれ猫は愛を知らない』

あらすじ

没落した名家の御曹司、ベンガル猫獣人Ω・レオン。
傲慢でわがままな彼は、借金取りに追われた末に湊の家へ転がり込む。

家事もできず、働きもせず、文句ばかり。
それなのに、湊に甘やかされるたびレオンの孤独は少しずつほどけていく。

膝に乗る温もり。
喉を鳴らす癖。
優しさを知ってしまった猫は、もう独りには戻れない。

けれど湊は誰にも執着しない。
だからこそレオンは、初めて“選ばれたい”と願ってしまうのだった。
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