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夕方だ(1)
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………… …………
目を覚ましてゆっくりとベットの上で身体を起こす。
窓から白いカーテン越しに朝の光がはいって、部屋を明るく満たしていた。
そのままぼんやり座っていて、ふと気づく。
あたし、泣いてる。
なんで泣いているのだろう。わからない。なにか夢でも見たのだろうか。
わからない。けれど、ただ。
眼をつぶると、光の向こうに誰かいる気がして、涙が出てくる。
ゆっくりと呼吸する。涙が落ちないように。
元気ですか? 元気でいますか? どうか、笑っていてください。
面影を追わないために、ただ、祈った。
愛しさと寂しさはなんて似ているのだろうと思いながら。
…………
眼を開けると、ぼんやりとローテーブルが見えた。
どこ?
そのまま動かずにいると、目元から一粒涙が落ちるのがわかった。
なんで、泣いているのかな、わたし。
「一花? どうしたの? 大丈夫?」
声がして、頬をさわる指があった。顔を向けると戸惑ったような表情の、懐かしい彼がいた。
体を起こして手を伸ばす。抱きしめてくれる腕がある。そのまま首に腕を回して抱きついた。
「どうしたの? 怖い夢でもみた?」
榛瑠の優しい声が耳元でする。
「……わからない」
大きな手が頭を撫でてくれる。あたたかい。どっちが夢なのだろう。彼がいる方? いない方?
榛瑠が腕をゆるめて私を見た。それから、そっとやさしく目元にキスをしてくれた。
夢じゃない。
「大丈夫?」
「うん。 ……ちょっと間違っちゃっただけ」
そう、とだけ彼は言って優しい顔で微笑んだ。
腕の中でつつまれながら、よかった、という言葉が自分の中でする。
よかった。
私……。…………。
ふいに意識がはっきりしてくる。
「え、あれ、私眠っちゃってた? わけ?」
「ああ、少しの間ね」
少しって、え……。
あわてて時計をみると、夕方の一歩手前ってかんじだった。
私はソファの背に頭をつける。ひどい。せっかく早く来たのに、今日一日ほとんど寝てただけな気がする。ひどすぎる。
榛瑠もひどい。起こしてくれれば。っていうか、わたし、なんでこんなに寝れちゃうの? 昔から!
「そんなに落ち込まなくても、まだまだ時間はありますよ。出かけますか?」
榛瑠がソファの背に肘をつきながら言う。
「ほんとに?」
「ただし、買い物はなしね、嫌いだから。ドライブでもしません?」
「する!」
外はいい天気で、榛瑠の言うようにまだ日は傾いてないし、気持ちが良かった。
彼の車にのりこむと、行き先も言わず走り出した。ほどなく高速にのる。
どこに行くか聞こうとおもったけど、楽しみにとっておくことにした。
車内にながれるビッグバンドの音を聞き流しつつ、たわいない会話をする。
「そういえばさあ、昨日鬼塚さん、珍しく集中力なくて挙動不審だったんだけど、なんか知ってる?」
「知りませんし、興味もありません」
「そんなこと言わないで。絶対、鬼塚さんは榛瑠のこと気に入ってるよ」
「仕事はお互いやり易い関係だとは思ってますが。だいたい、一花は彼のこと気にしすぎです」
目を覚ましてゆっくりとベットの上で身体を起こす。
窓から白いカーテン越しに朝の光がはいって、部屋を明るく満たしていた。
そのままぼんやり座っていて、ふと気づく。
あたし、泣いてる。
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わからない。けれど、ただ。
眼をつぶると、光の向こうに誰かいる気がして、涙が出てくる。
ゆっくりと呼吸する。涙が落ちないように。
元気ですか? 元気でいますか? どうか、笑っていてください。
面影を追わないために、ただ、祈った。
愛しさと寂しさはなんて似ているのだろうと思いながら。
…………
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どこ?
そのまま動かずにいると、目元から一粒涙が落ちるのがわかった。
なんで、泣いているのかな、わたし。
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声がして、頬をさわる指があった。顔を向けると戸惑ったような表情の、懐かしい彼がいた。
体を起こして手を伸ばす。抱きしめてくれる腕がある。そのまま首に腕を回して抱きついた。
「どうしたの? 怖い夢でもみた?」
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「……わからない」
大きな手が頭を撫でてくれる。あたたかい。どっちが夢なのだろう。彼がいる方? いない方?
榛瑠が腕をゆるめて私を見た。それから、そっとやさしく目元にキスをしてくれた。
夢じゃない。
「大丈夫?」
「うん。 ……ちょっと間違っちゃっただけ」
そう、とだけ彼は言って優しい顔で微笑んだ。
腕の中でつつまれながら、よかった、という言葉が自分の中でする。
よかった。
私……。…………。
ふいに意識がはっきりしてくる。
「え、あれ、私眠っちゃってた? わけ?」
「ああ、少しの間ね」
少しって、え……。
あわてて時計をみると、夕方の一歩手前ってかんじだった。
私はソファの背に頭をつける。ひどい。せっかく早く来たのに、今日一日ほとんど寝てただけな気がする。ひどすぎる。
榛瑠もひどい。起こしてくれれば。っていうか、わたし、なんでこんなに寝れちゃうの? 昔から!
「そんなに落ち込まなくても、まだまだ時間はありますよ。出かけますか?」
榛瑠がソファの背に肘をつきながら言う。
「ほんとに?」
「ただし、買い物はなしね、嫌いだから。ドライブでもしません?」
「する!」
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彼の車にのりこむと、行き先も言わず走り出した。ほどなく高速にのる。
どこに行くか聞こうとおもったけど、楽しみにとっておくことにした。
車内にながれるビッグバンドの音を聞き流しつつ、たわいない会話をする。
「そういえばさあ、昨日鬼塚さん、珍しく集中力なくて挙動不審だったんだけど、なんか知ってる?」
「知りませんし、興味もありません」
「そんなこと言わないで。絶対、鬼塚さんは榛瑠のこと気に入ってるよ」
「仕事はお互いやり易い関係だとは思ってますが。だいたい、一花は彼のこと気にしすぎです」
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