その悪役令嬢、今日から世界を救う勇者になる

ごーぐる

文字の大きさ
79 / 165
学園編

48 やりたいからやる

しおりを挟む
放課後。
私はお兄様の部屋まで連れ拐わ……ゴホン、遊びに来ていた。

「驚いたかい?サァラ」
私はニーファが淹れた紅茶を飲みながら目を伏せて頷いた。
「ええ、まさか担任とは……。お兄様は知ってましたの?」

学園に来たあの日にお兄様は馬車の中で、担任になりたいからテスト頑張ってねと言っていた。
「入試テストで上位のAクラスの担当になることしか知らなかったよ」
お兄様も激甘ティーを啜る。

なるほど、それで頑張ってねか。
「まぁ、結果は分かってたけどね~。あ、それよりも、いつ研究室に遊びに来る?」
お兄様は美味しそうに持ってきたお菓子を食べた。

「うーん、しばらくは校内探検でもしようかと思っていますの。かなり広いですし、テレポート圏内を広げようと思いまして。あと、件を降りたい運動したいですわ」
魔法学校は騎手も育成するので、戦闘用の闘技場があるらしい。

「……剣が降りたい、とか?闘技場に行きたいのかな?」
わざわざ遠回しに言ったのに速攻でお兄様にばれた。
なぜだ。

「あそこは駄目だよ。むさ苦しいし、男ばかりだ。可愛い君を行かせるなんてとんでもないから。絶対駄目」
お兄様は笑ってない笑顔で紅茶を凍らせた。

お兄様は氷魔法が得意なので、感情に合わせて魔法が出やすい。
私はいつも通り紅茶の温度を戻してやる。
「ああ、ごめんね。ありがとう。でも、駄目だから。明日から行くならお兄ちゃんもしばらくは一緒に回るよ、ね?」

「はぁ……」
教会の人に、治癒魔法でなんとかお兄様のシスコンを治せないか頼めないかしら?
私はため息をついた。

結局学校探検はお兄様がついてくることになってしまった。
彼は、先生なはずで、研究員なはずで忙しいと思うのだけれど、ついてくるらしい。

「チェニー、お兄様を止めるいい方法はないかしら?」
私は寛ぎながらメイドに愚痴ってみる。
「それならば、嫌いですと一言言えばすべて解決ですわ」
チェニーは楽しそうに告げた。

「それはちょっと可哀想なのよね……」
後、私の良心も痛むから反動があるというか……。
「では陥落なされては?一撃ですよ」
ーーーなんの話なんだろう……。

一撃って物理的に?
確かに本気で魔力強化した私の拳ならいけるかもしれないが、やったら駄目でしょ。
「痛そうだわ」
「……」
またチェニーの眉間にシワが寄った。
なにが正解だったんだろうか。
私はしばし、考えた。

放課後の学校探検をして、翌日。
テレポートをうまく使ってこの大きな校舎を一日で回りきった私は、馬車のなか、また良からぬことを考えていた。

ここでああしてああすれば……よっし、いけるっ!!!

その間チェニーに「またなにか悪さを考えていらっしゃる」と呆れられていたことをサラは知らない。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

幼馴染の許嫁は、男勝りな彼女にご執心らしい

和泉鷹央
恋愛
 王国でも指折りの名家の跡取り息子にして、高名な剣士がコンスタンスの幼馴染であり許嫁。  そんな彼は数代前に没落した実家にはなかなか戻らず、地元では遊び人として名高くてコンスタンスを困らせていた。 「クレイ様はまたお戻りにならないのですか……」 「ごめんなさいね、コンスタンス。クレイが結婚の時期を遅くさせてしまって」 「いいえおば様。でも、クレイ様……他に好きな方がおられるようですが?」 「えっ……!?」 「どうやら、色町で有名な踊り子と恋をしているようなんです」  しかし、彼はそんな噂はあり得ないと叫び、相手の男勝りな踊り子も否定する。  でも、コンスタンスは見てしまった。  朝方、二人が仲睦まじくホテルから出てくる姿を……  他の投稿サイトにも掲載しています。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...