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さて、書き上がってみれば思った以上に色恋がなかった。このままではジャンル詐欺になるやも知れぬという天の声が聞こえた気がしたので――どうやら私は巫女や聖女といった属性も抱えていたようである――、全くの蛇足だがその後の話を少々しよう。
まず殿下だが、学園でのアレコレで全くもってヴェロニカにもヴェロニカの生家にも頭が上がらなくなり、今では楽しく尻に敷かれている。
ヴェロニカに辛辣な言葉を掛けられる度に嬉しそうにするその様は、完全に調教済みのそれである。
殿下に引き摺られる形で人格形成に少々の変革が起きたヴェロニカが、名実ともに女王様として君臨する日も近い。
兄はあの卒業パーティーで、王都に貴族向けのレストランを五店舗経営する家の娘さんと懇ろになるという、大金星をあげていた。
二人の間を繋いだのはイモである。
この国のジャガイモはデッコボコの男爵芋系なのだが、我が男爵領では兄が品種改良したメークイン的なジャガイモを栽培している。
男爵領なのに男爵芋ではなくメークインを作るだなんてと、コロッケが三度の飯よりも好きな――というか三度の飯にコロッケを食べたい――私としては噴飯ものなのだが、芽が浅く皮も薄いメークインは廃棄ロスが少なく、レストラン向きなのだそうだ。
絹のような滑らかな歯触りという謳い文句で、お貴族様の間でちょっとしたブームにもなっているらしい。
そのメークインを優先的に彼女の生家のレストランに卸すという契約で、お嫁に来て貰っていた。
こうして見ると政略しかないみたいだが、しかし私は知っている。少しぽっちゃりで素朴な顔立ちの彼女が、兄の好みド真ん中である事を!
母を反面教師に育った私たち兄妹は、真逆な人が好きなのだ。自分たちが派手だからというのもあるが。
そして私。その後一年の学園生活でも鳴かず飛ばず――殿下相手にやらかしたのが尾を引いた――の有り様だったのだが、なんと自身の卒業式のその日にプロポーズを受けた。
お相手は殿下の御庭番の頭領である。
もう一度言おう。
殿下の御庭番の頭領である。
一年生の時に卑劣な追い込み漁で私を追い詰めた、その当人だ。
「陛下の御前でも動じぬその胆力、女にしておくのが惜しいほどだ。」
という、何だかよく分からないプロポーズを受けた。
その言葉がプロポーズであると気付けたのは、ひとえに跪いて指輪を差し出されたからである。
しかしアレよ? 腐っても私は男爵家の娘、お貴族様だ。
平民には高嶺の花――と思ったら、さすが王家に直接雇用されているだけのことはある。頭領は子爵様だった。
であれば私に否やはない。
人混みに紛れ込めば、あっという間に見失いそうな印象の薄い顔も、私の好みである。細身なのに胸板が確りしているのもポイントが高かった。
そして三十五歳という、貴族としては晩婚な男に嫁いだ若い嫁に、子爵家はそれはもう沸きに沸いた。
ポンポンと立て続けに男3人に女2人を産んだ後には、蝶よ花よどころか下にも置かぬ扱いで大切にされている。
まぁ何が言いたいかといえば、私も周りの人もみんな幸せになりました!!
まず殿下だが、学園でのアレコレで全くもってヴェロニカにもヴェロニカの生家にも頭が上がらなくなり、今では楽しく尻に敷かれている。
ヴェロニカに辛辣な言葉を掛けられる度に嬉しそうにするその様は、完全に調教済みのそれである。
殿下に引き摺られる形で人格形成に少々の変革が起きたヴェロニカが、名実ともに女王様として君臨する日も近い。
兄はあの卒業パーティーで、王都に貴族向けのレストランを五店舗経営する家の娘さんと懇ろになるという、大金星をあげていた。
二人の間を繋いだのはイモである。
この国のジャガイモはデッコボコの男爵芋系なのだが、我が男爵領では兄が品種改良したメークイン的なジャガイモを栽培している。
男爵領なのに男爵芋ではなくメークインを作るだなんてと、コロッケが三度の飯よりも好きな――というか三度の飯にコロッケを食べたい――私としては噴飯ものなのだが、芽が浅く皮も薄いメークインは廃棄ロスが少なく、レストラン向きなのだそうだ。
絹のような滑らかな歯触りという謳い文句で、お貴族様の間でちょっとしたブームにもなっているらしい。
そのメークインを優先的に彼女の生家のレストランに卸すという契約で、お嫁に来て貰っていた。
こうして見ると政略しかないみたいだが、しかし私は知っている。少しぽっちゃりで素朴な顔立ちの彼女が、兄の好みド真ん中である事を!
母を反面教師に育った私たち兄妹は、真逆な人が好きなのだ。自分たちが派手だからというのもあるが。
そして私。その後一年の学園生活でも鳴かず飛ばず――殿下相手にやらかしたのが尾を引いた――の有り様だったのだが、なんと自身の卒業式のその日にプロポーズを受けた。
お相手は殿下の御庭番の頭領である。
もう一度言おう。
殿下の御庭番の頭領である。
一年生の時に卑劣な追い込み漁で私を追い詰めた、その当人だ。
「陛下の御前でも動じぬその胆力、女にしておくのが惜しいほどだ。」
という、何だかよく分からないプロポーズを受けた。
その言葉がプロポーズであると気付けたのは、ひとえに跪いて指輪を差し出されたからである。
しかしアレよ? 腐っても私は男爵家の娘、お貴族様だ。
平民には高嶺の花――と思ったら、さすが王家に直接雇用されているだけのことはある。頭領は子爵様だった。
であれば私に否やはない。
人混みに紛れ込めば、あっという間に見失いそうな印象の薄い顔も、私の好みである。細身なのに胸板が確りしているのもポイントが高かった。
そして三十五歳という、貴族としては晩婚な男に嫁いだ若い嫁に、子爵家はそれはもう沸きに沸いた。
ポンポンと立て続けに男3人に女2人を産んだ後には、蝶よ花よどころか下にも置かぬ扱いで大切にされている。
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