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僕は黙って席を立つと、そのまま玄関に向かった。
靴を履いている時だった。
後ろから声をかけられた。
「ねえあなた、どこに行くの?」
「彼女と話をつけてくる、三人で逢えるように。」
「そう……じゃあ私も行くわ!」
「いや、いいよ。これは僕が解決しないといけない問題だから。それに、二人きりで話がしたいんだ。」僕はそれだけ言うと、玄関を出て行った。

ただ彼女の言葉だけが頭の中で繰り返された。
―――私はあなたの事が大好きです!女性ももっと好きです―――

ネットカフェに彼女を呼び出した。いつも通り彼女は笑顔でやってきた。
僕の隣に座って、肩にもたれかかってきた。
そしてすぐに手を繋いできた。
今日は僕からも握り返してみた。
すると彼女も強く握ってきた。
しばらく無言の時間が流れた。

「ごめん、妻にバレた。君との関係はもう同じように出来ない。」
「本当に申し訳ないと思っている。」
彼女は俯いて泣き出してしまった。
僕はハンカチを渡すことしか出来なかった。
しばらくして落ち着いたのか、彼女が顔を上げた。
涙を浮かべて微笑んでいた。
「私、諦めませんからね?」
「そうか、覚悟があると言うなら、妻は女性との行為を楽しむ性癖がある。」

「えっ……」
「それで君の気が済むなら好きにして構わない。それが条件だ。」
「それって……」
「ああ、そうだ。君は妻とそういう関係になるんだよ。つまりセフレだな。それでも良いかい?」
彼女は嬉しそうな顔をしていた。
「もちろんです!だってあの人ずっと私の事を子供扱いするんですもん!」
「そっか、わかったよ。でも気をつけるんだぞ?君はこどもなんだから。」
「はい!ありがとうございます!」
それからというもの、彼女は毎日のように僕の家に来た。そして妻とのセフレライフも始まった。ただ、3pをする事は無かった。
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