プレーヤープレイヤー

もずく

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魚人

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 朝になって目を覚ますと、携帯食とスープを摂りながら今日の方針を話し合う。
 話し合うとは言っても、事前に決めていたルートの再確認だ。
 今回の目的地は二階層の地底湖だ。
 魚の身が手に入ったら、いつかの時の為に少し個人的に買い取らせてもらおう。

「そう言えば、前に僕が二階層に降りてきた時はもっと魔物が多かったと思うんだけど。なんで今はこんなに少なくなってるの?」
「そりゃ、番人がいるからだな」
「番人?」
「一階層にもいだだろ?」
「もしかしてサナムさん達のこと?」
 ラングルはうんと頷いた。
「二階層にもレイド級の魔物が出る場所があるんけどな、そこを魔道具と魔法使いの力で抑えてるんだよ」
「そのおかげで~、普通の魔物の湧き率とか活性化が抑えられてる、ってこと~。ふうぅっ」
「うわあ」
「あっ、ニーシムさんまたっ」
 ニーシムが後ろから抱きついてきて、僕の耳に息を吹き掛けてくる。ゾワゾワするから嫌なんだけど、これに対して僕の《危険感知》は仕事をしてくれないんだよね。もはや立派な攻撃だと思うんだけど。
 ミントがニーシムを引き剥がしてくれて、ラングルがまたニーシムにげんこつを落とす。

「じゃあなんで一階層にも同じ事をしないのかな?」
「それは探索者が育たなくなるから、とか、素材が手に入らなくなるから、って言われとるねぇ」
「でも、その理屈で言ったら二階層の魔晶石も手に入りにくくなるんじゃ?」
「それはそうなんだけど、もう一つ理由があるらしいんだよ」
「そやね。今はそのレイドモンスターを倒せるパーティーがいないんよ」
「今は全員、三階層の降りてすぐのとこに出るレイド級のモンスター対策で手が離せないんだとさ」
 あー、確かになんか前に聞いたような気がするね。三階層の攻略が始まらない理由は、凄く強い魔物がいるからだ、って。
「でもこれだと僕らのレベルはなかなか上げられないよね」
「かと言って俺らだけでレイドモンスターは倒せないしな」
「まあ、お強い人らが三階層の魔物を倒すの待ちやねぇ」
「なんか嫌ですね、そう言うの」
「おっ、言うねぇミントちゃん」
「私も気に入らないけどね~。けどレイドモンスターが湧く所を抑えるのってギルドの指示らしいからね~」
「ギルドからの指示なんだ……じゃあ、意味があること、なのかなぁ」
 ギルマスやサブマスが決めたのなら、何かしら意味があるんだろうな、となんとなく納得してしまった。僕はいつの間にかギルマスに対して結構信頼感を持っていたらしい。

「来る、よ。魔物」
「お、もう少しで湖だってのに。まあ、しっかり経験値を稼いでおこうかね」
「はい」
「俺は《火弾》でもええ?」
「敵の数による」

 通路の奥から出てきたのは、魚顔の人型の魔物だった。僕は初めて見たけど、その名前だけは知っていた。

魚人マーマンだ!」
「三匹!」
「うげ~。私は治療に専念しま~す」
「俺も前に出なしゃーないな」

 水属性の魔物には火属性の魔法は通じにくい。もちろん同属性の魔法も効きにくい。

「火と水が二人ずつなんは嵌まれば凄いんやけど、水系にはきっついな」
「いや、前が三人いるんだから比較的楽勝だろ!?」
「がんばりますっ!」

 ラングルが言ったように、魚人と一対一になる事で後衛に被害がいかなかったし、僕は自分が担当した魚人を、通常装備の二刀流で危なげなく倒す事ができた。
 魚人は三叉槍を持ってたし、槍を振る速度自体は速かったけど、動きが遅かったから結構余裕で躱してとどめを刺せた。
 ラングルも盾できっちりと攻撃を受け止めながら剣でとどめを刺してたし、スルフも少し時間がかかったものの担当分を《寸勁》で殴り飛ばし、フォレストが短剣でとどめを刺していた。フォレストはこうやって時々とどめを刺す。そしてスルフはその度に悔しがる。
 そのやり取りは見ていて面白いんだけど、たまに本気で怒ってるというか、苛ついてる時があるように見えてちょっと気になってる。

「ふぅ、やっぱり前が一人増えると楽になるな」
「……せやね」
「な~に~? 今の間は」
「なんでもあらへんよ。いや、ほんまに楽になった思ってな」
「でもタンクがいたらもっといいかな、って思うけど」
「まあ、それらしい事は俺がやるよ」
 僕のタンク発言にラングルがそう答えて、カンカンと剣で盾を軽く叩いた。

 スキルばかりが全てじゃないとは思うけど、ずっとスキルを手に入れられなかった僕だから分かってる事がある。
 それはスキルの力は強大だって事だ。
《鉄壁》《反射》《重装備》を持ってるのと持ってないのとでは、敵の攻撃を耐え続けるのに大きな差が絶対に出る。
 どんなに技術があって、どんなに鍛えたとしても、スキルを使う事によって発揮される能力を超える事は難しいと思う。
 それはスルフの《拳闘士》の《寸勁》もそうだし、ラングルの《剣士》の《剣速上昇》もそうだ。魔法と同じで、持ってる人しか使う事ができない特別な力なんだ。
 だから、タンク役に適したスキルを持ってる仲間を入れる、と言うのは大事な事だと思うんだけど。

 あ、そうだった。後から入った新人がパーティーの構成について何か言うのは止めておこうと思ってたんだっけ。
 失敗した。つい言ってしまった。
 このパーティーにいつまでいるか分からないのに、引っ掻き回したら駄目だよね。
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