58 / 118
睡眠学習
しおりを挟む
休息には約半日も充てるそうだ。
それはスマッシャーズの魔法使い系の人の為かと思ったけど、ヴァイオレットレインの女性陣の為でもあるそうだ。確かに、ミニ魔人像と戦ってる時は結構魔法を使ってたような……まあ確認すればいい話だよね。
休息時間の間に、僕は《再生機》を発動して、ついさっきの戦いを何度も再生した。まあ、時間的な問題がまったくないからできることだね。
おかげで、いくつもの有用なスキルや魔法を手に入れることができた。
常時発動系のスキルは、基本的に基礎能力を上げてくれたり、感覚が強化されたりするので非常にありがたい。
それから、二つの特別そうなスキルも手に入った。
一つは《英雄の一撃》というもので、もちろんカインが持っていたものだ。カインが自分を「英雄」と呼ぶ理由はこれなんだろう。効果は《一撃》の超強化版のようだ。それと、応援してくれる人が多ければ多いほど威力が上がるらしい。僕の場合は、単に《一撃》の上位スキルとして使うことになりそうだ。
もう一つは《野生の剛力》というものだ。これも想像がつくだろうけど、持っていたのはミレニアだ。これも既に取得済みの《筋力強化》の超強化版と言えるものだ。発動時に大きな声を出すと、更に強い力が発揮できるようだ。
あとは《魔法陣》、《探索者》の《偽装》と《壁隠れ》、魔法の《一点集中》なんかも面白いスキルだと思う。色々と試してみたい。
そして、僕のレベルは三四から三九まで一気に上がっていた。
さっきの戦闘ではミニ魔人像を結局十体以上壊したし、巨大魔人像にも大きな一撃を入れることに成功したし、パーティーに公開しているレベルも二二から三〇くらいに上げてしまおうかな。一気にレベルアップしててもそんなに不思議じゃないだろうし……無理があるかな?
「ね~、さっきの変身ってどうやったの~?」
ヴァイオレットレインの中で一番華奢な子がやって来て、僕の隣に座りながら話しかけてきた。
彼女はレッティ。華奢な細腕で大きな戦斧を振るう《怪力》の持ち主。かと思えば、見た目のイメージにあった《風魔法》の使い手だったりもする。と言うのは僕が観たから知ってることなんだけど。
「ダールさんという人に作ってもらったんですよ」
僕は正直に話す事にした。どうせもう、多くの人に見られてしまってるし、ギルマスだって同じ装備を持ってるらしいからね。
「っえ~~! ダール親方の仕事なの、あれって! すっごお~。ねぇ、もっかい見せてよ!」
「いや、あの装備も僕も見世物じゃないから」
「あ、そっか。ごめんごめん」
そう言って両手を顔の前で合わせて謝る彼女は、意外にいい人なのかも知れない。ちょっとうるさいけど。
その後も数分ほど話に付き合わされたんだけど、保護者がやって来て「ちゃんと寝てろ!」と言いつつ、首根っこを掴んで連れて帰ってくれた。
どうやら《怪力》よりも《野生の剛力》の方が上で間違いないらしい。
ようやっと静かになったので、僕もそろそろ少し寝ておこうかと思った所に、またもや声を掛けられた。
「怪我はしてないか?」
それはラングルだった。今後についての話をしに来てくれたそうだ。
「そうか……ソルトは三階層に行くのか。いや、あれだけ戦える奴を使わないわけがないよな」
僕が三階層の戦闘に参加する事になったと伝えると、ラングルは少し申し訳無さそうな顔をして続けた。
「悪いんだが俺達は一旦街に戻ろうかと思う」
二階層で戦えないことはないんだけど、僕を見て装備の大事さを改めて再確認できたのだという。だから、一階層のレイドで素材を獲得して、パーティー全体の装備を強化したい。そんな話をされた。
「三階層の事が無事に終わったら、できればパーティー強化の為に特殊討伐を手伝ってほしいんだが……いや、まずは三階層の戦いに集中だよな。休んでるところすまなかった。頑張ってきてくれ」
パーティー強化の為、かぁ。
ギルマスから聞いた話が本当ならだけど、ハイレア素材を狙うなら、僕がいると都合が悪いはずなんだよね。
どんな仕組みか分からないけど、特殊討伐をしたことがある人間が特殊討伐の条件を満たした場合、肝心のハイレア素材はドロップしないらしいから。
だから僕がその場にいてもいいんだけど、僕がトラの尻尾を落としたり、ワニの首を落とした場合は、魔物が強くなるだけでドロップの内容は通常討伐と変わらないってことだ。あ、ワニの場合は特殊討伐の条件がイコール討伐完了になるから、被害が出たりはしないのか。だったら、試しにもう一回くらい戦ってみてもいいのかな。
でもまあ、結局、強くなりたいんなら、自分がなんとかしなきゃだめ、ってことだね。
これ、後で話さなきゃ駄目だよなぁ。僕が悪いわけじゃないのになんだか憂鬱だ。
ああ、今度はカインがこっちに向かってきてるようだ。
休息の為の時間なのに頭がなかなか休められない。彼には悪いけど、寝たふりをさせてもらおうかな。
僕は目を閉じて、三階層にいるという敵、五竜について聞いた話を頭の中で再確認することにした。
残念ながら、カイン達の記憶を巻き戻そうとしても、ヒュドラ戦までは辿り着けなかったんだ。だから、ヒュドラとはもらった情報で戦うしかないんだよね。
それはスマッシャーズの魔法使い系の人の為かと思ったけど、ヴァイオレットレインの女性陣の為でもあるそうだ。確かに、ミニ魔人像と戦ってる時は結構魔法を使ってたような……まあ確認すればいい話だよね。
休息時間の間に、僕は《再生機》を発動して、ついさっきの戦いを何度も再生した。まあ、時間的な問題がまったくないからできることだね。
おかげで、いくつもの有用なスキルや魔法を手に入れることができた。
常時発動系のスキルは、基本的に基礎能力を上げてくれたり、感覚が強化されたりするので非常にありがたい。
それから、二つの特別そうなスキルも手に入った。
一つは《英雄の一撃》というもので、もちろんカインが持っていたものだ。カインが自分を「英雄」と呼ぶ理由はこれなんだろう。効果は《一撃》の超強化版のようだ。それと、応援してくれる人が多ければ多いほど威力が上がるらしい。僕の場合は、単に《一撃》の上位スキルとして使うことになりそうだ。
もう一つは《野生の剛力》というものだ。これも想像がつくだろうけど、持っていたのはミレニアだ。これも既に取得済みの《筋力強化》の超強化版と言えるものだ。発動時に大きな声を出すと、更に強い力が発揮できるようだ。
あとは《魔法陣》、《探索者》の《偽装》と《壁隠れ》、魔法の《一点集中》なんかも面白いスキルだと思う。色々と試してみたい。
そして、僕のレベルは三四から三九まで一気に上がっていた。
さっきの戦闘ではミニ魔人像を結局十体以上壊したし、巨大魔人像にも大きな一撃を入れることに成功したし、パーティーに公開しているレベルも二二から三〇くらいに上げてしまおうかな。一気にレベルアップしててもそんなに不思議じゃないだろうし……無理があるかな?
「ね~、さっきの変身ってどうやったの~?」
ヴァイオレットレインの中で一番華奢な子がやって来て、僕の隣に座りながら話しかけてきた。
彼女はレッティ。華奢な細腕で大きな戦斧を振るう《怪力》の持ち主。かと思えば、見た目のイメージにあった《風魔法》の使い手だったりもする。と言うのは僕が観たから知ってることなんだけど。
「ダールさんという人に作ってもらったんですよ」
僕は正直に話す事にした。どうせもう、多くの人に見られてしまってるし、ギルマスだって同じ装備を持ってるらしいからね。
「っえ~~! ダール親方の仕事なの、あれって! すっごお~。ねぇ、もっかい見せてよ!」
「いや、あの装備も僕も見世物じゃないから」
「あ、そっか。ごめんごめん」
そう言って両手を顔の前で合わせて謝る彼女は、意外にいい人なのかも知れない。ちょっとうるさいけど。
その後も数分ほど話に付き合わされたんだけど、保護者がやって来て「ちゃんと寝てろ!」と言いつつ、首根っこを掴んで連れて帰ってくれた。
どうやら《怪力》よりも《野生の剛力》の方が上で間違いないらしい。
ようやっと静かになったので、僕もそろそろ少し寝ておこうかと思った所に、またもや声を掛けられた。
「怪我はしてないか?」
それはラングルだった。今後についての話をしに来てくれたそうだ。
「そうか……ソルトは三階層に行くのか。いや、あれだけ戦える奴を使わないわけがないよな」
僕が三階層の戦闘に参加する事になったと伝えると、ラングルは少し申し訳無さそうな顔をして続けた。
「悪いんだが俺達は一旦街に戻ろうかと思う」
二階層で戦えないことはないんだけど、僕を見て装備の大事さを改めて再確認できたのだという。だから、一階層のレイドで素材を獲得して、パーティー全体の装備を強化したい。そんな話をされた。
「三階層の事が無事に終わったら、できればパーティー強化の為に特殊討伐を手伝ってほしいんだが……いや、まずは三階層の戦いに集中だよな。休んでるところすまなかった。頑張ってきてくれ」
パーティー強化の為、かぁ。
ギルマスから聞いた話が本当ならだけど、ハイレア素材を狙うなら、僕がいると都合が悪いはずなんだよね。
どんな仕組みか分からないけど、特殊討伐をしたことがある人間が特殊討伐の条件を満たした場合、肝心のハイレア素材はドロップしないらしいから。
だから僕がその場にいてもいいんだけど、僕がトラの尻尾を落としたり、ワニの首を落とした場合は、魔物が強くなるだけでドロップの内容は通常討伐と変わらないってことだ。あ、ワニの場合は特殊討伐の条件がイコール討伐完了になるから、被害が出たりはしないのか。だったら、試しにもう一回くらい戦ってみてもいいのかな。
でもまあ、結局、強くなりたいんなら、自分がなんとかしなきゃだめ、ってことだね。
これ、後で話さなきゃ駄目だよなぁ。僕が悪いわけじゃないのになんだか憂鬱だ。
ああ、今度はカインがこっちに向かってきてるようだ。
休息の為の時間なのに頭がなかなか休められない。彼には悪いけど、寝たふりをさせてもらおうかな。
僕は目を閉じて、三階層にいるという敵、五竜について聞いた話を頭の中で再確認することにした。
残念ながら、カイン達の記憶を巻き戻そうとしても、ヒュドラ戦までは辿り着けなかったんだ。だから、ヒュドラとはもらった情報で戦うしかないんだよね。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う
yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。
これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
女神に頼まれましたけど
実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。
その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。
「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」
ドンガラガッシャーン!
「ひぃぃっ!?」
情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。
※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった……
※ざまぁ要素は後日談にする予定……
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる