プレーヤープレイヤー

もずく

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睡眠学習

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 休息には約半日も充てるそうだ。
 それはスマッシャーズの魔法使い系の人の為かと思ったけど、ヴァイオレットレインの女性陣の為でもあるそうだ。確かに、ミニ魔人像と戦ってる時は結構魔法を使ってたような……まあ確認・・すればいい話だよね。

 休息時間の間に、僕は《再生機プレーヤー》を発動して、ついさっきの戦いを何度も再生した。まあ、時間的な問題がまったくないからできることだね。
 おかげで、いくつもの有用なスキルや魔法を手に入れることができた。
 常時発動系のスキルは、基本的に基礎能力を上げてくれたり、感覚が強化されたりするので非常にありがたい。
 それから、二つの特別そうなスキルも手に入った。
 一つは《英雄の一撃》というもので、もちろんカインが持っていたものだ。カインが自分を「英雄」と呼ぶ理由はこれなんだろう。効果は《一撃》の超強化版のようだ。それと、応援してくれる人が多ければ多いほど威力が上がるらしい。僕の場合は、単に《一撃》の上位スキルとして使うことになりそうだ。
 もう一つは《野生の剛力》というものだ。これも想像がつくだろうけど、持っていたのはミレニアだ。これも既に取得済みの《筋力強化》の超強化版と言えるものだ。発動時に大きな声を出すと、更に強い力が発揮できるようだ。
 あとは《魔法陣》、《探索者》の《偽装》と《壁隠れ》、魔法の《一点集中》なんかも面白いスキルだと思う。色々と試してみたい。

 そして、僕のレベルは三四から三九まで一気に上がっていた。
 さっきの戦闘ではミニ魔人像を結局十体以上壊したし、巨大魔人像にも大きな一撃を入れることに成功したし、パーティーに公開しているレベルも二二から三〇くらいに上げてしまおうかな。一気にレベルアップしててもそんなに不思議じゃないだろうし……無理があるかな?

「ね~、さっきの変身ってどうやったの~?」
 ヴァイオレットレインの中で一番華奢な子がやって来て、僕の隣に座りながら話しかけてきた。
 彼女はレッティ。華奢な細腕で大きな戦斧を振るう《怪力》の持ち主。かと思えば、見た目のイメージにあった《風魔法》の使い手だったりもする。と言うのは僕が観た・・から知ってることなんだけど。
「ダールさんという人に作ってもらったんですよ」
 僕は正直に話す事にした。どうせもう、多くの人に見られてしまってるし、ギルマスだって同じ装備を持ってるらしいからね。
「っえ~~! ダール親方の仕事なの、あれって! すっごお~。ねぇ、もっかい見せてよ!」
「いや、あの装備も僕も見世物じゃないから」
「あ、そっか。ごめんごめん」
 そう言って両手を顔の前で合わせて謝る彼女は、意外にいい人なのかも知れない。ちょっとうるさいけど。
 その後も数分ほど話に付き合わされたんだけど、保護者ミレニアがやって来て「ちゃんと寝てろ!」と言いつつ、首根っこを掴んで連れて帰ってくれた。
 どうやら《怪力》よりも《野生の剛力》の方が上で間違いないらしい。

 ようやっと静かになったので、僕もそろそろ少し寝ておこうかと思った所に、またもや声を掛けられた。

「怪我はしてないか?」
 それはラングルだった。今後についての話をしに来てくれたそうだ。
「そうか……ソルトは三階層に行くのか。いや、あれだけ戦える奴を使わないわけがないよな」
 僕が三階層の戦闘に参加する事になったと伝えると、ラングルは少し申し訳無さそうな顔をして続けた。
「悪いんだが俺達は一旦街に戻ろうかと思う」
 二階層で戦えないことはないんだけど、僕を見て装備の大事さを改めて再確認できたのだという。だから、一階層のレイドで素材を獲得して、パーティー全体の装備を強化したい。そんな話をされた。
「三階層の事が無事に終わったら、できればパーティー強化の為に特殊討伐を手伝ってほしいんだが……いや、まずは三階層の戦いに集中だよな。休んでるところすまなかった。頑張ってきてくれ」

 パーティー強化の為、かぁ。
 ギルマスから聞いた話が本当ならだけど、ハイレア素材を狙うなら、僕がいると都合が悪いはずなんだよね。
 どんな仕組みか分からないけど、特殊討伐をしたことがある人間が特殊討伐の条件を満たした場合、肝心のハイレア素材はドロップしないらしいから。
 だから僕がその場にいてもいいんだけど、僕がトラの尻尾を落としたり、ワニの首を落とした場合は、魔物が強くなるだけでドロップの内容は通常討伐と変わらないってことだ。あ、ワニの場合は特殊討伐の条件がイコール討伐完了になるから、被害が出たりはしないのか。だったら、試しにもう一回くらい戦ってみてもいいのかな。
 でもまあ、結局、強くなりたいんなら、自分がなんとかしなきゃだめ、ってことだね。
 これ、後で話さなきゃ駄目だよなぁ。僕が悪いわけじゃないのになんだか憂鬱だ。

    ああ、今度はカインがこっちに向かってきてるようだ。
 休息の為の時間なのに頭がなかなか休められない。彼には悪いけど、寝たふりをさせてもらおうかな。
 僕は目を閉じて、三階層にいるという敵、五竜ヒュドラについて聞いた話を頭の中で再確認することにした。
 残念ながら、カイン達の記憶を巻き戻そうとしても、ヒュドラ戦までは辿り着けなかったんだ。だから、ヒュドラとはもらった情報で戦うしかないんだよね。
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