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「椅子をお持ちいたしました」

色々見ながら 思ったことを書いていっている途中
後ろから 声がかかりビクッと振り向くと


先日護衛してくれていたルイスが
手に 一脚の椅子を持って立っていた

「ルイス様 
お心遣い ありがとうございます」
カーラがそう言って受け取る


「私からお声がけして 申し訳ございませんでした!」
深々と礼をするルイス

「こちらこそ 練習を中断させてしまい申し訳ございません」
私こそ 自分の都合でやっているだけなのに これでは これから先も行くところで
迷惑をかけるのでは ないかしら……

「ソフィア様?」

「あ カーラ何でもないの
ルイス様 この間の手のお怪我は
いかがですか?」

「はい 痛みもありませんから
また 新しく作ってしまわないよう
がんばります!」

「そうですか 
どうぞ 練習に戻られてください
椅子をありがとうございます」

「それでは 失礼致します!」
ペコリと頭を下げて駆け出していく
ルイス


「私が来るだけで 皆さんの手が止まってしまうわね」

「ソフィア様 そこは 仕方ありませんわ」

「でも 私の我儘では…」

「確かに 最初は皆びっくりすると思いますわ でも最初だけですよ」

「そうかしら…」

「そうですとも 
ソフィア様はお姫様ですから
気にしなくても良いのです
そのお心遣いを 思いやりでしょうか
お忘れにならないように そう願うだけですわ」

「うん 勉強なのだから
お祖父様も 分かってらっしゃるのですもの」

「そうでございますよ!
頑張ってくださいませ!」


そんな話をしながら
色々と思ったことを書いていく

「カーラ あそこなのだけど……」
と 気になったところを指差す

物置なのか ボロボロの建物

「物置でございますかね?」

「あまりにもボロボロね…」

「そうでございますね…」

「それに ここは雨が降ったら
練習はお休みなのかしら?」

「なぜでございます?」

「屋根のあるところが どこにもないわ」

「そう言われれば…ございませんね」

「雨が降ったら何も出来ないのかしら?」

「と 申されますと?」

「ルイス様は練習練習っぽかったわ
それなのに雨が降ったら出来なさそうだし 剣や鎧のお手入れにしても 場所がなさそうですし お部屋で剣を振ってのお手入れなんて危なさそうだし……」

「一度 お祖父様にご報告の時に
こうだったら良いと思います
と 申し上げたら如何でしょうか?」

「そうね!それがいいわ」

「では 気になる点を簡単に書かれると
宜しいですね」

「そうするわ
ちょっと待っててね
それを書いてしまったら 次に行きましょう」

「畏まりました」

それから 現在の様子 騎士たちの練習の様子 こうなったら良いのにという点を
丿ートに書いていく

「済んだわ カーラ 次に行きましょう!」

「はい」

ノートとペンをポシェットになおすことなく 椅子から立ち上がる

「あ!」

「どうなさいました?」

「持ってきていただいた この椅子は…」

「まぁ そうでございますね……」

二人で考えていると

一人走ってこられている……


「ソフィア様 そのままで
私が持っていきますので!」

ルイスが 叫んでいるようだ 
 
「ルイス様がそのままでと… 言われてますね」  

「そうでございますね
では お言葉に甘えて そのままで
置かせていただきましょう」 

    
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