琥珀色の花嫁

藤谷 郁

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残酷な報告

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「ねえ、ミア。僕人間になったよ。ていうか、元に戻ったんだ」
 ルズは頬を上気させて、嬉しそうに笑う。
「うん。ラルフ様の従兄弟で、信頼の置ける小姓だったと聞いたわ」
 ミアが微笑みを返すと、ルズは彼女の手をとり、ぎゅっと握った。その力が思いのほか強いことにミアはドキッとする。手のひらも大きく、頼もしく思えた。

「でも、本当に不思議だ。ねえラルフ、一体なにがどうしちゃったのさ。僕らが二日ばかり出かけてる間に、こんなに変わるなんて。魔法でも使ったの?」
「ルズ、魔法が解けたんだ」
 ラルフは興奮気味に訊ねるルズと、その隣に座るミアを見やった。そして、二人が手を取り合っているのに気が付くと笑みを広げ、
「お前達、なかなかお似合いだな」
 そんな感想を漏らした。

「えっ? ああっ、ごめん!」
 ルズは急に恥ずかしくなったのか、ミアの手をぱっと離した。面白いくらい真っ赤になっている。
「な、何を言ってるんだよ。ミアはラルフの奥さんでしょ」
 ムキになるルズの横で、ミアが困惑するのをサキが気付く。どこか不安そうに、夫であるラルフを見返している。
 ラルフはルズの言葉に何も応えず、窓の外を向いてしまった。その横顔は冷たく、近寄りがたい空気を醸している。

(やはりラルフ様は、人を人とも思わぬ酷薄な男なのだろうか。変わったと感じたのは、私の勘違いだったのか)

 サキは考えた。今、ラルフは魔法が解けたと言った。彼の身に何かあったのは間違いないが……それは一体?

「とにかく、どういうことか教えてよ。なぜ魔法が解けたのか。僕らに魔法……呪いをかけたのは、あの人なんでしょう?」
 ルズはふいに真顔になった。1000年前の恐怖をありありと思い出したようで、再びミアの手を取ると、すがるように握りしめた。
 ミアは首を垂れ、黙っている。ラルフはそんな彼女をちらりと見て、すぐ窓に顔を戻した。
「最初から、分かるように話す。サキもよく聞いてくれ」
 サキは「はい」と返事をし、聞く体勢を取った。


 ミアが2杯目の紅茶を運んできた頃、ラルフの話は終わった。

 サキは正直なところ、魔法というものは科学を基礎とした手品だと考えていたが、こうなったらあらためざるを得ない。初代ゴアドア王が全能の神のように思えた。
 人間を超越している。
 また、ゴアについての話も衝撃的だった。ミアの胸にある、黒と青の化石。この二つの他に、ゴアは世界のどこにも存在しないと分かった。
 これら希少の石には、魔法がかけられているという。プラド―家に伝わる伝承のとおり、どんな望みも叶うという、そら恐ろしい魔法だ。

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