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ルカの部屋 その1
しおりを挟む「無理はするなよ」
「……大丈夫。ありがとう」
ルカの部屋の前に着いたようで、下ろされる。そのままクルスは、自室に戻るのだと思っていたが、ルカの部屋をノックする。
「俺だ、開けてくれ」
すると中から、見覚えのある、付き人が出てきて、直ぐに取り次いで、ルカが顔を出す。ラフな格好だ、肌触りが良さそうなシャツに、ガウンを羽織っている。
「急にすまないな、唐突で悪いがロイネの足を怪我してな。治してやってくれるか?それから、父上がお前も課題を出せと催促していた」
「あぁ、明日にでも伺うようにするよ。それで?人間の足を治せって……それはエグバート様からの命令かな」
「違うな、俺がお前に頼んでいるんだ」
クルスは高圧的という言葉が似合うような態度で、腕を組み、ルカの反応を待つ。
今、気がついたが、ルカはお義父さまを父と呼ばないのか。
背後に控えていた、付き人が、クルスを睨んだ。確かに同じ王子なのに、主が命令口調で接されていたら、当たり前の反応だと思う。
今にも噛みつきそうな付き人をルカは、手で制して、ニコッと笑う。
「わかったよ。程度にもよるけど、すぐにやろうか、おいで人間」
クルスの半歩後ろにいる私に、ルカは目線を合わせた。それから振り返って、部屋の中に戻っていく。私もそれに従ってルカの部屋に入る。
「ロイネ」
背後からクルスが私に声をかけた。振り返ると、なんとも言えない、心配そうな表情をしていた。わざわざ、クルスからお願いしてくれたのは、気遣いだろう。
それほど心配しなくても大丈夫だ、私が自分からルカに声をかけると決めたのだ、覚悟と言うと大層な表現になってしまうが、一応、覚悟は決めてある。
軽く手を振って、ルカの背中を追う。パタンと扉の閉まる音が聞こえた。
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