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主張 その2
しおりを挟むでも、国王であるお義父さまに、宣戦布告と取れるような発言をしたら、お義父さまが不問としても、緊急の呼び出しをお義父さまの側近や、沢山の人に知られる。大事になっていないとは言えないだろう。
お義母さまであっても話は同じだ。
なんか無いだろうか、話が出来て、私に危険がなくて大事にならない方法。魔法や剣で攻撃されても、私が防御の魔法ぐらい使えれば、問題ないはずだ。
でも、使えないのだから仕方ないだろう。
リノやマティは?
「扉の外から、私に防御の魔法かけられる人、いないかな」
「遠隔、もしくは付与という事ですか」
「うん。クルスのマジックアイテムがあるから、それほど強くなくても良い」
ギルバートは、こちらの動向を伺っているのみで、動きはない。
なんというか不気味だ。
「……」
そりゃそんな都合よく行かないだろう。マティは沈黙して、アンジュもリノも答えない。
自分の防御だけならまだしも、他人を守るとなると話は別だ、それに獣人は、みんな一人一人がちゃんと戦闘能力を備えている、そんな魔法を使う人の方が稀だろう。
「……ルカ」
「う、うーん」
リノがぽつりと答える、納得だ、だから間が空いたのだろう。
孤児院で、ルカは寝室には防御の魔法を張ってあると言っていたし、過去を聞いた、今であれば、人間を守るために、習得していてもおかしくないと考えつく。
ただ、ただなぁ、このタイミングで、ルカか!
運命の神様が居るとしたら、恨んでやりたいところだが、そんなことを言ってられない。
「ルカに連絡を───
私が言いかけると、ごとりと音がして、瞬時にギルバートの方を見やる。
「姫殿下に危害を及ぼす可能性をお考えでしたら、御安心を」
それから、またごとっと床に何かを落とすような音が聞こえる。
……武器を落としてる?剣を捨てて、それからナイフや、とにかく装備を床に外して落としていく。
丸腰になるつもりか。
「時間がありません。巡回の警備にでも、見つかってしまえば、私はマナンルークに帰ることが出来ないでしょう、悠長に作戦をねる暇など無いのですよ姫殿下」
「っ……」
ルカが到着するまで、待ってくれそうに無い。
覚悟が必要かもしれない。ここまでの強硬策に出た、ギルバートを殺す覚悟だ。
クルスから貰った、マジックアイテムを腕から外す。私は側近達にだけ聞こえるように、声を小さくして言う。
「躊躇はしません。……話をしてきます」
「……お使いになるのですね」
「わかったにゃ」
このマジックアイテムの事は、既にみんなに共有してある。発動の条件も、投擲するのみだ。ギルバートがどんな隠し球を持っていようと、身につけているアイテムで、即死は無い、これを投擲すれば、ギルバートを確実に殺すことができる。
けれども、殺さないということはできない。
だから使いたくなかった。
「わかりました、応じましょう。部屋に入ってください」
私が声をかけると、ギルバートは扉を開けて、入っていく。
「……行ってくる」
マティの手を離して私も、ギルバートに続いて部屋に入る。
いつでも、投げられるように、アイテムを強く握りしめた。
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