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主張 5
しおりを挟む考えつつ、私が扉の方を見やると、ドアが急に吹っ飛んだ。
驚きに目を見開いている、側近達とそれから、エクトルがドアだった場所からこちらを見ており、目が合った。
先程まで扉だった板が、私の部屋の対面側の壁にビタンと張り付いている。
「は……え?」
驚きのあまり、尻もちをついてしまった。私と向かい合っていたはずのギルバートが居ない。手に持っていたマジックアイテムを床に置いて、立ち上がる。
ギルバートは少し離れた場所で、仰向けに倒されていた。上には、なにかが乗っている。
ここに居るはずのないものだ。ものと言うか、誰かのペットだろうか、猫さんだ。
金色の猫さんが、ギルバートの腹の上に乗っている。
獣人では無いだろう、だってサイズが小さい、一般的な、大型長毛種の猫のサイズだ。
猫はしっぽをパタパタと忙しなく動かしている。
品種だとかは詳しくないが、毛並みが、柔らかでとっても触り心地が良さそうだ。もふもふしたい。
猫は、おもむろにギルバートに鼻を近付け、スンスンと匂いをかぐ、それから、ゆるりと首を傾げるような仕草をした。
「ルカ、彼は姫様と無事、話終えて、帰るところです!危害を加えてはなりません!」
マティが、部屋の中へとかけてきて、開口一番そう言った。
私は思わず、猫を凝視すると、しっぽの先が少しだけ茶色い。
あれが、ルカ?
いやだって、あれは完全に猫ちゃんだろ!獣人はみんな、獣の姿の時は、私の胸ぐらいのサイズがあるのにどうして、ルカだけ、あんなに小さいのだ。
「え、えぇ、ルカ……?」
私が、呼びかけると、ふいっと顔を背けて彼はギルバートの上から降り、トコトコと何食わぬ顔で部屋の中央まで移動する。
それから、しばらく私の事を見て、側近たちを見て、ギルバートを見る。
ギルバートと二人で部屋に入る直前に、ルカに連絡をという話をしていたので、誰かが呼んでくれたんだろうか。
現在は、話も終わって、穏便に済ませられたところだったのだけど……ルカが話を聞いて助けに来てくれたというだけでも、こんな状況にそぐわないけれどすごく嬉しい。
しかし、なんで彼だけこんなにチャーミングな獣の姿をしているのだろう。これなら膝に乗せて、撫で回すことも抱きしめることも可能ではないか。
素敵すぎる。
「ルカ、来てくれたんだ」
私が一歩近づきながらそういうと、彼は、なんの予備動作も無しに、脱兎の如く駆け出した。……猫なのに。
側近達の足の隙間を抜けて、あっという間にいなくなってしまう。
「ギルバート!私用事が出来ましたから、あとは自力で帰ってください!」
「え、えぇ、はい。承知致しました」
上半身だけ起こして、未だ混乱している彼に、私は駆け出しながら声をかけた。
今、追いかけなければならない、明日や明後日ではダメなんだ。
私はあかりがない事も忘れて、暗い廊下を駆け出した。
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