お前のこと、猫ちゃんて呼んだろか!!

ぽんぽこ狸

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猫ちゃん その3

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 ……本当にルカだったんだ。と、私は妙な感想を抱いた。
 
 だって、なんかこう、獣化した彼の姿って、まったく威圧感がなくて、むしろ見ているだけでリラックスというか、あ、あれ、今更言い過ぎたような気がする。なんか恥ずかしい。
 
「君は、しつこい」
 
 予想だにしない弱々しい声だった。
 
「ごめんね」
 
 何となく、謝った。すると、彼は私の首筋に触れて、いつものように熱を測る。
 不服そうなその瞳は、綺麗な黄金で、さっきまでいた猫ちゃんと全く同じだった。
 
 澄み渡った色で、少し涙が滲んでいるように見える。綺麗だ。
 
「怖いって、思ってよ」
「……」
「少しぐらいは怯えなよ。俺、酷い事したでしょ。でも、それを悪かったと思えない」
「うん」
「また、君が嘘ついたって思ったら同じこと言うし、やるし、傷つけるよ」
「いいよ」
 
 私だって、やられたら、同じことをやり返すのでので構わない。どんなことがあっても、ルカは暴力だけはしないから、私にだって、勝算はあるのだ。
 
 それにもう、嘘なんてつきようがないだろう。私の側近は、皆、ルカと繋がりがあるし、夫婦になったら毎晩ご飯も一緒に食べるし、なんでも話をする。
 だから、良い。
 
「それはバレないように、嘘をつくって事……?それなら、嘘が付けないように、君に沢山監視をつけるけど」
「今だってついてるようなものでしょ」
 
 リノとマティは、ルカに事細かに私の事を報告しているはずだから、増やしたところで、費用がかさむだけだと思う。
 
「そう……だけど。俺、そもそも人間嫌いだし、信用出来ないから」
「うん、でも、私はルカがどんなでも、ルカに守って貰わないと、すぐ死んじゃうって、それだけ」
「……俺以外に守ってもらってよ」
「いや」
「なんでよ」
「そう決めないと、ルカは私のそばに居てくれないでしょ」
 
 妙な押し問答に、少し笑ってルカの頬に手を添える。
 
「家族がいないと、私の事を私が大切に出来ないからって、言ってくれたのはルカでしょう。私がそういうタチだって知ってるじゃん、ルカは」
「……でも、君が嘘つきだから嫌になったんだけど」
「家族になって、お願い」
「俺は───
 
 チュッとリップ音がなった。
 
 いつまでたっても、決着がつかなそうだったので、口を塞いだだけだ。
 あっと、思う。
 
 ルカの唇は、しっとりぷにぷにだったのだけど、猫ちゃんの時の肉球に近いものを感じた。
 頬に添えた手を彼の唇に持って行って、フニフニと触れると、似たような食感だ。
 
「えへへ、同じた」
 
 家族になる事は決定事項。誤解されるような行動は、今後一切取らないので問題もない。
 
 私の奇行に、ルカは目を見開いて、首を傾げる。それから、頬を赤く染めて、口を引き結んだ。
 
「ルカ、これからよろしくね」
 
 私が笑うと、ルカは俯いて、喋るなとばかりに私の口を手で覆った。
 
 
 
 
 


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