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第一章後編 ハイリヒ王国復興編
開発と発展と商売と④
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楽しい朝食を取った後、司令部に行く。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
おはようございます、なぎさ様。
(なぎさ)おはよう。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
今日から開拓開始開始ですね。まず何から始めましょうか?
(なぎさ)まずは調査をしよう。データに間違いや誤差が無いか、確認してから具体的な計画に入ろうと思う。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
はい、分かりました。
(なぎさ)では行こうか。
早速調査隊が組まれる。
なぎさ特製の地図を持ち、出発しようとする。
(なぎさ)ちょっと待った。皆んなに言っとくことがあった。
ここはフェアベルゲン自治区と接している。
フェアベルゲンはどういうところか分かってますね。
(騎士:男①)はい!獣人の支配地区です。
(なぎさ)ということは?
(騎士:男①)・・・ということは??
(騎士:女①)こちらに居られる、なぎさ様の奥方様、シア様の生まれ故郷であります!
その場に緊張が走る。特に陰口や差別的発言をした身に覚えがある者は、血の気が引いた。震えが止まらない。
(なぎさ)そういう事か(ため息)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
も、申し訳ございません!おい!
(なぎさ)もういい、わかった。
さらに緊張が走った。いや、緊張どころか、空気が凍りついた。息が苦しい……
これはマズい、やってしまった。確認が甘かった。
まさか自分の手の者に、そんなバカが居るとは……
人選を間違えた。女王派でありながら、最重要国策でもあったのに……
自分達は女王様の絶大なる信頼を得ており、その信頼を元に託された使命であったのに……
何故だ、意識改革を指示し、これからの女王派としてのあり方を徹底教育するよう厳命したのに……
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ま、待ってください。
(なぎさ)よくわかったよ(ため息)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
待ってください。私の教育不足であります。
全ての責任は私にあります。
どうか、どうか、私の命を差し出しますので、お許しください、お願いいたします!
もはやここは処刑場!死ぬ、皆んな死ぬ。
誰だ、どのバカだ、あれほど失礼の無い様に気をつけろと厳命されていたのに……
これから我が国は、フェアベルゲンとの関係を重視し、対等な関係を築くと言われていたのに……
しかも、フェアベルゲンといえば、なぎさ様の奥方様、シア様の故郷ではないか。
(騎士:男①)あっ、あっ、あっ、あっ(恐怖)
(騎士:女②)バカ野郎!!貴様、何を考えている!!!(大激怒)
殴り飛ばされて失神する騎士:男①
スゲー!あの女騎士、フルメイルの男騎士ひとり、片腕で吹っ飛ばした。
ホントに飛んだ。そりゃ失神するわ、死んでないか?アイツ。
(騎士:女② カイル・ハイランド)
なぎさ様!シア様!レム様!我が隊の者が不敬を働き、誠に申し訳ございません。
この度の開拓部隊大隊長カイル・ハイランドが、この命を持ってお詫びいたします!
どうかお許しくださいますよう、よろしくお願いいたします!(決死)
(シア)皆さん、もういいです。落ち着いてください。
色々な歴史がありました。目を背けたくなるような出来事もありました。
でも、それは過去の事です。
なかなかすぐに切り替えろと言われても、今まで育った環境がありますから無理な事です。
私たちはそんな過去を捨てて、各々が新しい未来へと向かおうとしているのです。
これから徐々に分かり合えたり、笑い合えたらいいと思っています。
だから、気を楽にしてください。
(なぎさ)無理にとは言わない。相容れないなら、"反発"ではなく"不干渉"をしてくれ。
これ以上、シアを悲しませないでくれ。
穀倉地帯には、私の専属、
猫獣人のユナ・パトリエット
豹獣人のシズク・アストラ
狐獣人のアナ・スタシア
熊獣人のナジヌ・タニア
蛇獣人のクレ・オスマヤヒとマラ・オスマヤヒ
犬獣人のタニラ・ストラス
が居る、何か困ったことがあれば、彼女らを頼ってもいい。
しかし!何かやらかしてくれたら、分かってますね。
私の家族に手を出して、"ハイすみません"で済むとは思ってはないですよね。
(シア)フェアベルゲンは私の生まれ故郷ですけど。
(レム)なぎささんの第二の故郷でもある事を忘れないでくださいね。
(部隊一同)はっ!申し訳ございませんでした!!
生きてる、生きてるよ、生きてるっていいなぁ……
この時ほど、生きてることに感謝したことは無かった。
確実に死んだと覚悟していたが、その寛大な御心に感謝し祈りを捧げた。
それからが早かった。
部隊を上げて、バカを弾き出した。
伝令を飛ばし、バカの代わりにまともなヤツを補充しろ、バカは送り返す、処遇は任せる。
と、こともあろうにアイルトン子爵本家に早馬を走らせた。
いや、時間無いからゲートを使わしたけど。伝令用に設置したゲートを。
馬ごと突っ込んで王宮を飛び出して行くのを見て、何があったと大騒ぎになっていたことを、なぎさは知らない。
伝令書を受け取ったアイルトン子爵は真っ青になり、放心した。
夫人は卒倒して寝込んだ。
長女のカリナは騎士団団長室に乗り込み、騎士団長を半殺しにした。
慌てて駆けつけた副団長に止められたが、持っていた伝令書を団長の顔に叩きつけた。
急いで中身を確認する団長と副団長。
団長は血の気が引き、騎士団の粛正を命令した。
副団長はブチ切れ、団員を緊急招集し、内容を伝え、団長の命令を発表した。
団員の中には理解が追いつかない者も居て、ようやく全員が理解出来た時、どん引きした。
国策を蔑ろにし、派閥の方針に逆らったどころか、こともあろうに王配の奥方様の故郷に対し、
暴言を吐くどころか差別的発言までした。
しかも女王様肝入りの、最重要政策に絶大な信頼を得て、最も重要な場所を任されているにもかかわらず……
もう取り返しがつかない、どうにもならない。
家の取り潰しは免れない。永久に国外追放で済めばいい方だ、どこまで処刑対象になるか分からない。
特に上位職は処刑待った無し。家を思えば、今ここで自決した方が家だけは温情をかけてもらえるかもしれない。
一斉に自室に駆け込み、遺書と家へのお詫びとその経緯をしたためた書状を我れ先にと副団長に提出し、自室で謹慎する。
全員の書状がある事を確認した副団長は団長室に駆け込み、漏れがないか団長と再確認した後、
伝令部隊を各家へ向かわせた。
それを受け取った家の者は、この世の終わりの様な顔で、当主に渡した。
それを受け取った当主はキレる余裕もなくぶっ倒れ、
夫人は失神し、家の中は大混乱に陥った。
当然、王宮にも報告がいく。
(レム)あのう、なぎさ。これ、早急にフォローした方がいいと思う(汗)
(シア)此処でさえこんな状況だから、王都の方は凄い事になっているような……
(リリー)ねぇなぎさ、何があったの?王都も王宮も大混乱しているけど??
(シア)あちゃー、やっぱり……
(なぎさ)そんなに凄い事になってるん?
(リリー)うん。リリアナも宰相も、筆頭魔導士、財務大臣、リトナ以下メイド達まで血相を変えているし。
緊急会議まで開催されてるよ?もはや地獄絵図みたい。
(なぎさ)えっ?……。
(シア)これヤバいですよ。早急に手を打たないとです。
(レム)なんかここまでくると、違う意味で取り返しのつかないことになりそうな……
(なぎさ)面白そう(引き攣り)
(シア)わーい、素晴らしく鬼畜♡って言ってる場合じゃないですよ(どん引き)
(レム)そんななぎさに惚れちゃった♡なんて場合じゃないですって!!
(なぎさ)ひ、人手、足りないよね(滝汗)
(リリー)ユエさんに緊急要請出します。
急いでユエに連絡をしに行くリリー。
話を聞いたユエはため息をつく。
(ユエ)仕方ないから、王宮は私がなんとかする。
なぎさとシア、レムにはセリナを連れて、アイルトン子爵家に向かわせて。
あと、現場は……
(リリー)リムルとライムに対応してもらうよ。
(ユエ)それと雫も加えて。
(リリー)わかった。
早急にリリーが対応する。
(リムル)あちゃー、マジですかぁ……血の雨降る前に対応しなきゃ。
(ライム)それはいけません。死人が出ます。
(雫・ヤマト)なんとまぁ……呆れたわ。
急いでなぎさ達のもとへ駆けつける。
(雫・ヤマト)なぎさ、此処は任せて早く行ってくれ。
(リムル)血の雨降る前に止めないと。
(ライム)何人死人が出るか分かりません。この件は時間との戦いになります。
(なぎさ)分かった、あとは頼む。シア、セリナを連れて来て。
(シア)カイルさんは?
(なぎさ)彼女まで抜けたら、収集がつくかわからん。ある程度落ち着いたら、連れてきて。
(雫・ヤマト)カイルとは?
(レム)この開拓部隊の大隊長です。セリナの次に危険です。自決する確率大です。
(雫・ヤマト)そうなるわなぁ……分かった、任せてくれ。
速攻でシアがセリナを連れてくる。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
な、なぎさ様(真っ青)
(なぎさ)今はいい。後で幾らでも聞くから、早急に王都に戻り、アイルトン子爵家に向かう。
伝令を送った先は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
はひっ!アイルトン子爵本家です。
(なぎさ)ほ、本家?!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
私はまだ爵位を持って間がないので、本家に居ます。
(レム)あちゃー(冷汗)
(シア)急ぎます!このままでは手遅れになります!(大焦)
(なぎさ)だな、急ぐぞ!
何か言いかけたセリナをレムが担いでゲートを通過する。
馬車は待てない。というか、それどころの騒ぎではない状態。
(なぎさ)仕方ない、魔動車で行く。セリナ、場所は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
えっ?えっ?えっ?えっ?
(レム)いいから早く教えて!間に合わなかったらどうすんだ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!
(なぎさ)5つ先までどんどん教えて。右、左、通過。後、曲がった先が今より細いのなら、細いと言って、分かったか?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!
(なぎさ)シア!
(シア)任せなさいです!
物凄いスキール音を残してフル加速する。
(シア)セリナ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!み、右、通過、左、右、通過です、うっ!
(レム)私が支える、急いで!
(なぎさ)了解!
(シア)なぎささん、いきます!右、通過、左、右、通過!
(レム)この先!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ほ、細いですぅぅぅっ(半泣)
(シア)先、細い!
出来るだけ巻き込まないように、サイレンを鳴らしてぶっ飛ばす。
(なぎさ)エンジェ、聞こえる?どうしても怪我人が出ると思う。フォローお願い!
(エンジェ)だと思って駆けつけた。1分以上後ろを追走してるから、怪我人は任せて。
セリナは何がなんだかわからない。でも必死に道順を叫ぶ。
見たことのない馬車?みたいな乗り物に乗せられて、考えられない速さで走り抜ける。
気を失わないのは、流石、責任を感じ過ぎている貴族の娘だからか。
丸い輪のような物をクルクル回して、絶対曲がれないと思う速さで曲がっていくことに理解が追いつかない。
しかも右と言ったところを曲がっている途中で丸い輪が逆方向に回り出す。
左と言ったところを右に回したかと思ったら左に回し直して、また右に回す。
何が起こってるの?どうなってるの?なんで曲がれるの?
(レム)セリナ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
はひ!ごめんなさい(泣)その先左、右側です。
(シア)左、右側に点。
(レム)特徴は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
3軒目、ごめんなさい、今のです。
(シア)3軒目、今通過、赤い門!
(なぎさ)了解!
今度はいきなり回転して向きが逆になった。吐く、吐きそう……
そりゃ2回転半ドーナツターン決めたもんなぁ。
(なぎさ)突っ込むぞ、ごめん!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!!(流涙)
門をぶち破り、玄関前に横滑りで停車する。
急いで魔動車から降りる。
(シア)皆んな!大丈夫ですか!!
(レム)セリナ!早くなんか言って!!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
お、お父さん!お母さん!生きてて!お願い、出てきてぇ~!!!
セリナの叫びに周りが気づき、当主や騎士団長、執事長を呼びに行く。
騒ぎがデカかったから、他の皆んなも駆けつけた。
(アイルトン子爵)
セ、セリナ、生きていたのか!!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
お母さんやお姉ちゃんは??
皆んな飛び出してきた。
(騎士団長)貴さ、いや、貴方がたは??
(シア)私はシア、そして、なぎささんとレムさんです。
(アイルトン子爵)し、シア様!!
(騎士団長)な、なぎさ様!!
(騎士団副団長)れ、レム様!!
(騎士団長)お前ら!早く武器を下せ!!跪け!!!
(騎士副団長)早くしろ!!!!
(騎士団員)は、はっ!
その場に居る全員が、一斉に跪いた。
(アイルトン子爵)
この度の非礼、なんとお詫びすれば良いか分かりません。
私の命と引き換えに、どうか、どうか、この者たちだけはお許しいただきたく、お願いいたします。
(アイルトン子爵家長女 カリナ)
私どもの命で、どうかお許しください。もちろん、家は取り潰します。
しかし、この家に支えている者達は、どうか、お助けください。お願いいたします。
(シア)勘違いしないでください。何もそんな事は望んでいません。顔を上げてください。
(レム)なんとなく、こんな事になっているんじゃないかと心配したから駆けつけたんです。
(なぎさ)急いだから、門のことは謝る、後で直すから。
(アイルトン子爵)
へっ?
(騎士団長)・・・。
(騎士団副団長)・・・ど、どういう、いえ、どうして……
(シア)今まで色々ありました。目を覆いたくなるような事もありました。
でも、それは過去のことです。
これから新しい未来に向かって歩もうとしているじゃないですか。
今すぐと言っても無理だと思います。
今までの教育や環境がありますから。
でも、いつか、分かり合えたり、笑い合えたらいいと思っています。
だから、こんな事で命を捨てるなんて言わないでください。
(なぎさ)相容れないなら、それでもいいが、それなら"不干渉"にしてくれ。
無理に受け入れろとは言わない。
邪魔や蔑ろにしなければいい。
相容れられる者達とだけ付き合えばいいだけだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
これ以上、シアを悲しませないでくれ。
か、神だ、神様がご降臨された。
誰かがつぶやいた。
皆から見た光景は、荘厳かつ神聖、まるで3体の神が降臨されたようであった。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
し、シア様、なぎさ様、レム様(感泣)
(アイルトン子爵)
も、もったいないお言葉、なんとお礼を言えば良いか(感涙)
(アイルトン子爵家長女 カリナ)
身に余る光栄にございます(流涙)
(なぎさ)じゃあ、門とかを直しますね。
【リビルド】
ぐちゃぐちゃになっていた、門や噴水、花壇とかが一瞬にして元通りになった。
(一同)おおおぉぉぉっ!!
響めきが起こる。
そりゃそうだ、こんな魔法、見たことも聞いたこともない。
まるで夢を見ているようだ。
(なぎさ)他に止める事があるなら言ってくれ、手遅れになってからでは遅い!
(騎士団長)えっ?あっ!はっ!
伝令!早くこのお言葉を各家に伝えろ!!
急げ!!
(騎士副団長)当主も此処へ集合するように伝えろ!緊急招集だ!!
(伝令部隊)はっ!
伝令部隊が一斉に散る。
しばらくして、当主と言われたはずなんだが……
どうも家の者全員が駆けつけてきた。
(なぎさ)これ、どうするよ……
(シア)なんかめちゃくちゃ集まってきてますよね……
(レム)当主って言ってたよね?どう見ても家の人、全員来てない?
(なぎさ)セリナ様、場所を変えた方が良くないですか?
(シア)もっと広い場所がいいかと……
(レム)もう入りきらないほど集まってきてるので、これ以上は危険だと思いますけど……
(なぎさ)??セリナ様??
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
セリナ様??えっ?あっ、私だ!様付けはやめてください。どうかセリナとお呼びください。
(なぎさ)いやいや、子爵家の御息女じゃないですか(汗)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
私たちなど、なぎさ様方からすれば、路傍の石です。その辺のゴミです。
(シア)ご、ゴミ?!
(なぎさ)いやそれは、どうかと思うぞ?
(レム)・・・・。
(アイルトン子爵)
いえ!私どもなど、虫ケラ以下です。
跪き、胸に手を当て、言い放つアイルトン子爵。
(なぎさ)子爵様!アンタもかい!
(レム)なぎささぁ~ん、騎士団宿舎の近くに鍛錬場があるから、そこに移動してもらおう。
(なぎさ)分かった、セリナ様、騎士団の鍛錬場に誘導、お願いします。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
様付けなど恐れ多い。分かりました。
皆さん!鍛錬場の方へ移動してください。
セリナ達の誘導で、鍛錬場に移動する。
(なぎさ)で?
(シア)えっ?
(レム)で??
(なぎさ)いや、それでどうするんかな?と。
(レム)あっ!
(シア)そう言われると……どうするんです??
(なぎさ)いや、だからぁ~、どうすんの?
(レム)ですよねぇ~……。
全員居るか、確認していた。
(アイルトン子爵)
鎮まれ!誰一人欠ける事なく、全員揃っているな。
(執事長)全員揃っております。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
では、今から、シア様、なぎさ様、レム様から、ご神託をいただきます。
皆さん、心して聞いてください!
(シア&なぎさ&レム)
はあぁ?
(なぎさ)ご、ご神託???
(レム)どういう事?
(シア)なぎささん(涙目)
(なぎさ)あっ!居た!姫巫女様!(ニヤリ)
(シア)ちょっと、ちょっと待って!嘘でしょ?って、誰が姫巫女様ですか!
(なぎさ)一発決めて来てください、姫巫女様(笑顔)
(シア)ぬわぁぁぁっ!その笑顔、ムカつくわぁ!!!
(レム)お呼びですよ、姫巫女様(笑顔)
(シア)なっ!レムまで……酷い!酷くない??
(なぎさ)そんなことは無いよ?
(レム)だって、ねぇ~。
(なぎさ&レム)姫巫女様!!(笑顔)
(シア)の"おぉぉぉっ!!覚えとけ!です!!
(なぎさ&レム)忘れた(笑顔)
(シア)ぐぎゃあ"あ"ぁぁぁっ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
シア様、お願いいたします。
目の前で跪き、頭を垂れて傅くセリナ。
(シア)えっ?えっ?あの……
(なぎさ)シア。
(シア)うーん、分かったですよ、喋ればいいんでしょ、喋れば!!(ヤケクソ)
(なぎさ)ヒューヒュー♡がんばれぇ~(笑顔)
(シア)ホントその笑顔、ムカつくわぁ!
(レム)頑張って、シアさん(笑顔)
(シア)レムさんまで……(涙目)
シアが真ん中に行く、皆んなの視線が集まる。
(シア)皆さん、お集まりいただき、ありがとうございます。
心配して駆けつけましたが、なんとか大丈夫みたいなので、ホッとしました。
今まで色々な事がありました。目を覆いたくなることや、忘れる事など出来ない事もありました。
でもそれは過去の事です。これから私たちは新しい未来に向かって歩んで行こうとしています。
今すぐ変わることは無理だと思います。今までの環境や教育がありますから。
でも、いつか、お互いが分かり合える、笑い合える時がきたらと願っています。
(なぎさ)相容れないなら、それでもいい。
それなら"不干渉"に徹してくれ。
邪魔や妨害、蔑み、差別、偏見等をしなければいい。
相容れられる者達とだけ、付き合えばいいだけのことだ。
これ以上、シアを悲しませないでくれ。
(レム)フェアベルゲンはシアさんの生まれ故郷ですけど、なぎささんの第二の故郷でもあります。
なので、私たち妻達の大切な故郷でもあります。
関わりたくない人達は、関わらないでください。
私たちもその方々とは、関わる気は更々ありませんから。
静まり返る鍛錬場。
ホントだ……ホントだったんだ。
しかし、これはしっかり考えなければいけない。
単に"派閥の方針だから"というわけではない。
そんなものはどうでもいい。個人の問題だ。
派閥の中だからといって安心は出来ない。
対応を間違えたら、"派閥だから"と助けてくれるわけではない。
"関わりたくないなら関わるな、こっちも関わる気は全くない"
これは敵対するとかしないという事ではない、
"眼中に無い"という事、あの方々からすれば"存在すらどうでもいい"ということ。
噂通りだ、"味方には極甘だが、敵には容姿が無い"
まるで、"自分達には存在価値も無い、その辺のゴミ"と言わんばかりに。
という事は、"いざという時は保護対象に入らない、守るべき相手ではない"という事。
"どうなろうと知った事ではない"ではない、"はなから関心が無い"だ。
となると、あれだけの戦争なのに最前線に立ち、この国を守りきった大英雄達の助力は得られない。
グール100万体が襲ったフェアベルゲンをたった4人で無傷どころか死傷者すら出さずに守りきった桁外れの戦力、
その時の功労者、いや、最大の戦力となったのはなぎさ様、しかも自らの命すら顧みない戦い方で守りきるほどの仲間思い。
その方の視界から消える。そんな大損失、いや恐怖は無い。
露骨なすり寄りは忌み嫌う、まして買収などあり得ない、そんな事を考える奴は頭がおかしい、狂っているとしか考えれない。
それは、自称"中立派"のユルイ辺境伯、マケナ伯爵の大失態を見ればわかる。
社交界の情報は早い。"あの二人は終わった"との噂まで流れている。"もはや中立派の未来は無い"とまで。
二人は自派閥の者に暗殺されたとまで囁かれる始末。
(アイルトン子爵)
なぎさ様、シア様、レム様
我々女王派は、いえ、私どもアイルトン子爵家は、なぎさ様方を崇拝しております。
それは紛れもない事実であります。
私の息子達は近衛騎士団に所属しております。
王都攻防戦の際、なぎさ様の用意していただいた武器により武勲を立てる事が出来ただけでなく、
瀕死の重傷を負い、利き手を欠損したにもかかわらず、無事生還したどころか、
何事も無かったかのように五体満足で帰還出来たことに対するご恩は子々孫々、忘れる事はございません。
(アイルトン子爵家長女 カリナ)
私たちが最初に聞かされたのは、兄は利き手を、弟は左眼と左足を失い、
二人共、いつ息を引き取っても不思議ではない傷を負っているので、お覚悟を。
というものでした。
その二人が出撃時と変わりない、傷一つ無い状態で帰って参りました。
それもこれも、残存戦力として残してくださった奥方様方の、特にエンジェ様のお陰であります。
このご恩を忘れることなど出来るはずもございません。
それを聞いた他家の者は固まった。
そうだ、そうだった。
先の戦争で、生還した者は皆、無傷だった。
家の者の速報では、悲惨な報告も多かった。
しかし、"即死した"という者以外は、皆無傷で生還した。
それは何故か?なぎさ様の奥方様方のお陰だった。
その奥方様方の故郷を軽蔑するだけでなく、差別的発言までやったバカが居る。
まさか我が家の息子、娘ではないよな?
そんな事、許されるはずが無い、許すわけにはいかない。
ひとりの老紳士が歩み出る。
(ベルガー伯爵家当主 アラン)
なぎさ様、シア様、レム様。
お初にお目にかかります。
私、女王派・アイルトン子爵派閥の世話役をしております、アラン・ベルガーと申します。
この度の派閥の者達の数々のご無礼、心よりお詫び申し上げます。
しかし、我々の大半の者は、なぎさ様方には返しきれないご恩がある事を忘れてはおりません。
事実、私の息子達も皆無傷で生還いたしました。
このご恩は子々孫々、忘れる事はございません。
その事は、何卒、何卒、ご理解していただけますよう、切に願うばかりでございます。
無礼者に関しましては、早急に謹慎させ、再教育をすることをお約束いたします。
(シア)アラン様、私は怒っては無いです。たしかに悲しくはありましたが、今はまだ仕方ない事だと思っています。
先程もいいましたが、今すぐは無理だと思ってますし、この先の未来が、お互い笑い合える関係になればと思っています。
ただ無理に押し付ける必要はないです、
分かり合える者達と明るい未来を迎えることが出来たら幸せだと考えていますから。
(ベルガー伯爵家当主 アラン)
はっ、ははあぁ、お心遣いありがたき幸せにございます。
そのお心遣いに感謝し、必ずご期待に応える事をお約束いたします。
そう言うと、深々と頭を下げ、跪いた。
他の者もそれに続くように跪き、頭を垂れた
まさに神降臨、荘厳な光景である。
(シア)皆さん、頭を上げてください。これから開拓が始まります。国を挙げての一大事業です。
成功させる為にも皆さんの協力が不可欠です。よろしくお願いします。
シアが頭を下げる。
(一同)御心のままに。
信者爆誕の瞬間である。
ベルガー伯爵、アイルトン子爵家一同など、使徒爆誕である。
まあ、そうなるわな。
がんばれシア、がんばれ姫巫女様(笑)
(なぎさ)良かったなぁ、姫巫女様(笑顔)
(レム)良かったね、姫巫女様(笑顔)
(シア)そうです……って、誰が姫巫女様ですか!
(なぎさ)いや、だってねぇ~。
(レム)そうですよ?言われてますよね?フェアベルゲンで。
(なぎさ&レム)姫巫女様(笑顔)
(シア)その笑顔、ムカつくわぁ~。しかもめちゃくちゃいい笑顔!(笑)
落ち着いたみたいなので、開拓地に戻ることにした。
王宮でユエと合流する。
(なぎさ)どう?ユエ。
(ユエ)予想通りよ。リリアナはブチ切れてたし、シューマンは挙兵の準備を終えてた。
お家取り潰しは当然として、処刑者リストまで作成中だった。
(シア)でしょうねぇ~(ため息)
(ユエ)まぁ全部止めたし、治まったよ。ただねぇ~……
(レム)現場はそうはいかないですよねぇ~……(遠い目)
(なぎさ)"バカは送り返す、まともなヤツを補充しろ"って命令出してたしなぁ……(遠い目)
(シア)弾き出されて送り返される人って、やらかした人ですもんねぇ~(遠い目)
(なぎさ)まぁ、姫巫女様の御神託があるから(笑顔)
(レム)大丈夫でしょう。ねっ、姫巫女様(笑顔)
(シア)ぬわぁぁぁぁっ!
(ユエ)なら大丈夫ね、姫巫女様(笑顔)
(シア)その笑顔、めっちゃムカつくわぁぁぁぁっ!!(涙目)
エンジェが合流した。
(なぎさ)ありがとう、エンジェ。どんな感じだった?
(エンジェ)まぁ、大したことはなかったよ。
大きな怪我が無かったのは流石だな。
腰抜かしたり、それによる骨折程度だから、魂魄魔法で落ち着かせて、手当てしといた。
擦り傷、打撲なんて怪我に入らん、まとめて治したよ。
しかし、あれだけかっ飛ばして、死人を出さなかったのはよくやった。
(なぎさ)お褒めに与り光栄です(微笑)
(ユエ)では戻りましょう。
(なぎさ)だね。
(レム)戻りますよ、セリナ様。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はいっ!
戻ってみると、こちらもひと段落ついていた。
(なぎさ)雫、なんとかなった?
(雫・ヤマト)おっ、おかえり。
まぁ、見ての通りだ。
まぁ、治まったといえば、治まっているのだが、簀巻きにされ、猿轡をされたカイルが転がっていた。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
ふむむっ、ふむ、ふぐむ、ふぐぐぐむむっ!
(なぎさ)これ、解放して大丈夫か?
(雫・ヤマト)そうなんだよなぁ……(ため息)
(シア)セリナ様、説得してもらえます?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はいっ!分かりました。
セリナはカイルに近づき、話しかける。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
カイル、いいですか、今から貴方を解放します。
ただし、勝手な真似は許しませんからね。分かりましたか?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
ふぐぐ、ふむふむ。
コクコク頷くカイルの猿轡を外し、簀巻きからも解放する。
素早くセリナの足元に跪き、頭を垂れる。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
セリナ様、この度の大失態、如何様な処分も受ける覚悟にございます。
願わくば、今、この場で自害することをお許しくだされば、本望にございます。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
分かりました。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
では!(嬉目)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
自害することは許しません。そのような事はシア様の御意志に逆らうことになります。
貴方の覚悟は分かりました。それならば、この一大事業を成功させなさい。
誠心誠意、命を賭けて、成功に導きなさい。
それが貴方の、いえ、私達の出来る、最大の贖罪です。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
はっ、ははぁぁぁっ!この命に賭けて、また、我が家名に賭けて、必ず成功させてみせます!
そして、シアの元に歩み寄り、跪く。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
シア様、我が命、あなた方に捧げます。
あなた方の手となり足となり、必ずこの事業を成功に導くことを誓います。
絶対に後悔はさせません、なんなりとお申しつけください。
そう言うと、シアの足の甲にキスをした。
おいおい、大丈夫か?
(なぎさ)良かったな、シア(笑顔)
(シア)なっ!誰が姫巫女……えっ?あ、はい(冷汗)
(レム)姫巫女様の自覚、あったんだ(ニヤリ)
(なぎさ)なぁ~んだ、そうだったんだぁ~(ニヤリ)
(なぎさ&レム)姫巫女様!(笑顔)
(シア)ぬぉぉぉっ!!!
(雫・ヤマト)じゃあ、私は戻るな。姫巫女様(ニヤリ)
(シア)ぐわぁぁぁっ!!
のたうち回るシアを横目に、今後の予定を確認する。
まずは調査。データに狂いは無いか?実際の広さはどのくらいなのか?念入りな調査を行う。
イメージを共有することで、今後の開発計画もスムーズにいく。
しかし、広大な担当地域の為、調査だけでも1ヶ月かかった。
他の直轄地もそれぐらいはかかり、
旧サンタナ帝国や旧エレノア共和国などそれ以上に広かった為、2ヶ月もかかった。
(なぎさ)さてと、これからが本番ですね。
(シア)どんな風にやります?
(レム)どちらかというと、農耕や酪農に適した土地が多かったですね。
(なぎさ)記録によると、酪農地帯として使われてたからね。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
酪農地帯を農耕地帯に変えることは可能でしょうか?
(調査責任者)可能ですが、少々土壌の改良が必要です。
しかし、さほど難しくはありません。
(なぎさ)新国境になる場所を農耕地帯にして、その内側を酪農地帯にすれば?
酪農と農耕、両方出来れば良くない?
(調査責任者)それは妙案です。かなり広大な土地だけに、両方しても問題は無いかと。
(なぎさ)後は土壌の改良ねぇ~。何か良い案でもあります?
(調査責任者)ここは定番で良いかと。2~3年すれば、軌道に乗ると踏んでいます。
(なぎさ)どの辺りまで開拓する予定ですか?あまり国境ギリギリまではしない方が良いと思いますが……
(調査責任者)はい、国境ギリギリまではやりません。あまりギリギリまですると火種になりかねませんし、
お互いの土壌に影響が出てもいけませんから。
(なぎさ)安心した。
(シア)例の生産性向上計画はどうするんです?
(なぎさ)それなんだけど、ハイリヒの農業はどんな感じ?例えば肥料とか?
(開拓責任者)肥料?ですか?
(なぎさ)あぁ、土に栄養を与えるものなんだけど。
(開拓責任者)そんな物があるのですか?
種子を蒔き、育て、収穫する。確かにその時にカスが出ますから、それを放置してはいますが……
(なぎさ)なるほど、同じ場所で1年で2回、同じものを作ったり、違う作物を作ったりは?
(開拓責任者)はあ?同じ場所で、1年に2回も作物が作れるのですか?
(なぎさ)じゃあ最後に、4ヶ所ある畑の3ヶ所を使い、1ヶ所は空けておく。空ける場所は順番に交代させていくとかは?
(開拓責任者)なぜ、畑があるのに、わざわざ空けておくのですか?作物を作った方が生産量も増えますし。
(なぎさ)なるほど、では、畑を覆うようにカバーか何かで囲ったりする事も……
(開拓責任者)そんな王宮の室内鑑賞室では無いのですから、畑ごときにはとてもとても。
(なぎさ)であるなら、可能性はある。それをこれから試してみよう。
その為には、フェアベルゲンとの話し合いが必要だな。
場合によっては、国境線の土壌に結界を張り、フェアベルゲンの土壌に影響を出さないようにする。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
・・・そんな事が出来るんですね……(遠い目)
(なぎさ)では、まず、肥料について説明します。
なぎさは大体の説明をする。
(開拓責任者)そ、そんな物があるのですか!
(なぎさ)あぁ、目的は土に栄養を与えて作物に吸収させる。
それで作物の育ちを良くするんだ。
(開拓責任者)という事は、不毛地帯も耕作地に出来ると!
(なぎさ)いや、それは分からん。土壌の状態による。でも、試してみる価値はあると思う。
まぁ、土の要らない農業も出来るけどね。
(開拓責任者) はあぁ?土壌の要らない??どうやって種子を埋めるんですか??
(なぎさ)まぁ、それは追々に。あれはコストとの戦いになるから、見極めが必要になる。
闇雲にやれば、大赤字や。上手くいけば、ブランド化して差別化できるが。
(開拓責任者)それでは。
(なぎさ)試験的運用が不可欠!付加価値が付けれるような出来になれば良いけどね。
(開拓責任者)そうですね。そんな夢のような農業が出来れば、いや、試験的運用自体が楽しみです!
(なぎさ)話を戻して、肥料なんだけど。
手頃なところから、いくと、落ち葉関係。
(開拓責任者)落ち葉?ですか?
(なぎさ)そう、落ち葉。腐葉土と言って、字のごとく、葉を腐らす。所謂、発酵ってやつなんだけど、これでも肥料になる。
作り方は比較的簡単やよ。
作物を刈り取った後に残るのとか、雑草も使える。
それを土と混ぜる。種子を植える前に敷き詰めて、その上に土をかけてからって良く言うよ。
土を育てるって意味だと混ぜても大丈夫やけど、腐葉土を混ぜた土の上にってやってみて。
(開拓責任者)はい!という事は、豊かな森があれば大量に手に入れることが出来ますね(輝く目)
(なぎさ)フェアベルゲンに手を出したら、消すよ?国ごと(射殺す目)
(開拓責任者)は、はひ!け、決してそんな事はいたしません!(裏声)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
あ、あり得ません!我が家がどんな手を使ってでも阻止してみせます!
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
我が命尽きるまで、敵を叩き斬ります。いざとなれば同士討ちも覚悟しております!
(なぎさ)なら、良い。
(レム)今、なぎささん、キレたね(小声)
(シア)ですです(嬉)
(なぎさ)で、ここからが応用編みたいな感じなんやけど、
その肥料を色々な物を使ってみる。動物の糞を発酵させた物、野菜、果物、魚、肉、貝殻、残飯、生ゴミ、などなど。
人糞はやめた方がいい、それで身体の中に寄生虫飼う事になった歴史があるから。
(開拓責任者)き、寄生虫!身体の中に?(どん引き)
(なぎさ)しかし、食事制限無しで痩せると聞くけど。その虫が栄養分を吸収するから、
で、育つと数メートルほどに育ったたりするとか、取り出すの大変だね(ニヤリ)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ひっ!そんなに(怖)
(なぎさ)まぁ、そこまで育つ前に取り出せば良いだけだけどね。
やりたい人はどうぞ、薬で殺してトイレするみたいにしたら、お尻から取り出せる。
ただ、万人向けは無理だから、個人的にね(ニヤリ)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
食事制限無しで適当なタイミングで薬で殺して取り出せば良い。
それで痩せられるという事は、体型維持も可能?
食べたいだけ食べたのに?
(なぎさ)あくまで聞いた話やけど。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
どうやって入れるんです?
(なぎさ)飲み込む。薬飲むみたいに。この世界には"カプセル"ってのは無いの?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
粉薬とそれを固めた丸薬はありますけど、"カプセル"というのは、初めて聞きました。
あと水薬もあります。
(なぎさ)粉薬が飲みにくい場合は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
水に溶かして水薬にするのが一般的です。
ただ、魔法の紙と言われる溶ける紙がありますが、
非常に高価なのでそう毎回使える物では無いのですね。
(なぎさ)それを使えば出来るかも。生きたまま体内に入れないと意味がないんで。所謂、丸呑みです。
小さいうちに体内に入れて、適当に育つと薬で出す。の繰り返しかな。
取り出すタイミングは人それぞれだと思うから、何回かやってみたら、出した時の大きさで分かると思う。
育て過ぎて、身体ん中食い破られないようにね。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
痩せて、体型維持が簡単で、食べ放題……良いかも(輝く目)
(なぎさ)食べ放題にも限度があるぞー。自分とその虫の採れる栄養量を上回れば太る。
常にそれ以下でないと。あまり下回り過ぎるとガリガリになって不細工だよ。
あくまでも聞いた話だからね。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
何かあれば、駆けつけてくれます?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
お嬢様!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
だってだって、社交シーズンが近づくと、ドレスがどうの、去年よりどうだとか五月蝿いし、
パーティーの料理なんて見栄の張り合いだから、超一流品よ?名品、珍品てんこ盛りよ!
それを眺めてるだけで、ほとんど食べれないなんて、地獄ですよ!拷問ですよ!!
『私、食べても太らない体質ですの』とかほざいて、バクバク食ってる娘なんて死ねばいいのに。
しかもそんな奴に限って、女捨てたか、ほんとに太ってなかったりするじゃない(半泣)
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
お嬢様……。
(なぎさ)じゃあ、女捨てれば心置きなく食べれるやん(微笑み)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
そんな事したら、お父様に殺されます(泣)
(なぎさ)じゃあ、なぁ……レム?(ニヤリ)
(レム)なぎささん、そうきましたか、悪い顔してますよぉ~(ニヤリ)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
えっ?何です?何かあるんです?レム様、教えてください!(訴える目)
(レム)えーっと、私、スポーツジム、始めたんです。
子供向けからストレッチや運動不足解消、ダイエットからバキバキに鍛え上げるメニューまでありまして。
そういう事なら、身体の代謝機能を上げるといいと思いますから、
ストレッチと軽い運動、ちょっとキツくても良いならスタイル形成をすればいいかな?と。
食事療法もすればかなり効果的ですが。
食事メニューはシアさんが開発してくれてますから、味、バランスは保障出来ますね。
(シア)でも、食事メニューまですると、凄く高くつくよ?専用メニューだから、材料も味付けも変えられないですし。
あと、料理人がその通り作れるかにもかかってきます。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
その料理は教えてもらえるのですか?
(シア)料理人を連れてきてくれたら可能ですが、全く同じに出来るかは、その料理人の腕にかかってます。
でも、それなら本末転倒ですよ?好きなの食べれないじゃないですか。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ジムで運動して、食事メニュー取り入れて、社交シーズンだけ食べまくって、
その後、またジムでってのでは無理ですか?
(レム)可能ですが、結構キツいですよ?その分を落とさないといけないので。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
大丈夫です、頑張ります!
(シア)なら、ねぇ~。
(レム)やるとするなら、社交シーズンが終わると食事療法とダイエット、スタイル形成をやり、
落ち着いたところで食事療法をやめて、トレーニングに専念してもらう。
社交シーズン前に食事療法を復活させ、徹底的に作り上げる。かな?
細マッチョな感じで引き締めたら、身体のラインも綺麗に出るし、ちょっとした護身術を身につけるか、
既に習得してるなら、そのレベルも上げられる。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
それ!それ最高です!レム神様!!(輝く目)
(レム)か、神?!あ、でも、教えるのは獣人ですけど、大丈夫です?
人族も居るには居るんですが……基本スペックが違うので、高度な事になればなるほど、インストラクターは獣人ですが。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ちなみに、その獣人というのは?
(レム)全員女性です。基本的な筋肉の付き方が違いますから。それに、女性の方が安心でしょ?
基本、ウチでは女性しか雇いません。子供とかも対象なので。
バキバキに鍛え上げるにしても、やはり獣人のパワーが圧倒しますから、上を目指すならそうなりますね。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
わ、私も今以上になれますか?(希望の眼差し)
(レム)うーん、どうですかね?ちょっと触っても?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
はい!喜んで!!
定番の居酒屋返事が返ってくる。
カイルの身体をチェックするレム。
(レム)そうですねぇ~。かなり出来上がってますね。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
では……。
(レム)改良の余地はありますが、それにはまず、今の状態をぶっ壊す必要があります。筋肉に癖が付いてますから。
そして、無駄を省きながら鍛え直すという事になりますか。
食事療法は職業を考えるとしない方がいいですから、かなりハードなトレーニングになりますけど、大丈夫です?
完全なる肉体改造です。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
に、肉体改造!(光悦)
は、はい!喜んで!!(嬉)
(レム)どちらにせよ、成功するかは自分次第になりますから、頑張って続けてもらえたらと思いますが……
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
どこまでもついて行きます!師匠!!(輝く目)
(レム)し、師匠?!
(シア)カイルってM?
(なぎさ)多分な(半笑)
(シア)ですよねぇ~。肉体改造って言葉に光悦の表情浮かべてたもんね(笑)
(なぎさ)で、何の話、してたっけ??
(開拓責任者)肥料の事です、なぎさ様。
(なぎさ)あ、そうそう、肥料ね。
で、肥料にするには、やはり臭いの問題があるから気をつけて。
発酵って、要は腐らずんだからね。
で、色々試していると、違いがわかる。
これだと育ちがいいとか、味が変わった、香りが変わったとかね。
そうなると、それに絞ってやればいい。
果物が甘くなったとか、食べた時の香りが良くなったとか、大きくなったとか。
すると、肥料を使っても工夫してない普通のは、一般向けに、
工夫したのはブランド化して付加価値をつけるとか。やり甲斐はあると思うよ。
その為にも"土"を育てないと。
単なる増産は腐葉土投入だけでも効果は期待できる。改良となると時間がかかるけどね。
とりあえず、腐葉土の作り方はコレ。魔法も使って時短でいこう。
(開拓責任者)分かりました。
次に、年2回というのは?
(なぎさ)あぁ、それは"二期作"と"二毛作"って言うんだけど。
同じ場所で同じ作物を2回作るのが"二期作"
同じ場所で違う作物を作るのが"二毛作"
ただ、これ、気候条件がねぇ~……
(開拓責任者)かなりシビアだと。
(なぎさ)そう、二期作なんて、同じ作物だから、もう一回作れる条件が整うのか?と。
(開拓責任者)厳しい条件ですな、かなり場所が限られます、というか、見つかるかどうか……
(なぎさ)だよねぇ~。二毛作なら、暑い季節に育つ作物の後に寒い季節に育つ作物を作れば良いんだけど。
(開拓責任者)それなら。
(なぎさ)そこで問題になるのが土。土の中の養分によって、作物は育って出来る。
(開拓責任者)そうですが?
(なぎさ)その土に、その作物が育つのに必要な養分が残って無ければ?
(開拓責任者)あっ!
(なぎさ)だから、組み合わせが大事になってくる。
作物によって、必要な養分は微妙に違う。
それを上手く組み合わせて作ることが必要。
組み合わせ表、作っておいたから、参考にしてみて。
専門家じゃないから、間違ってる可能性大。
そこは貴方の腕の見せどころ。ねっ、開拓責任者さん(微笑み)
(開拓責任者)はいっ!お任せください!必ずご期待に応えてみせます!
(なぎさ)で、畑に植えない時期を作るってのは、休作?とか言ったっけ、まぁ、そうしよう。
これは、同じように耕して、肥料も入れるけど、今回は使わない。という方法。
いわば土を休めて、次回作るまでに栄養を蓄えてもらおうという事なんよ。
作り続ければ、養分はどんどん無くなっていく。次回までに回復する肥沃な土壌なら問題ないが、
そうでなければ、出来も悪くなり、仕舞いには……
(開拓責任者)作れなくなる。なるほど、その為の休作ですね。
(なぎさ)これを使えば、農作地帯も思ったより広くとれるかも。しかし、効率は落ちるから、その辺のバランスは必要。
(開拓責任者)ですね、幾ら出来ても高値になれば意味がないですからね。
では、鑑賞室の様な畑とは?
(なぎさ)それはハウスと言って、土の養分さえ切らさなければ、年中同じ作物が作れる方法。
知っての通り、あまり気候の影響を受けない。
ここなら、火魔法、風魔法、水魔法を組み合わせれば出来る。
ただし、ハウスが壊れないようにする必要があるけどね。
(開拓責任者)なるほど!そうすれば、温度も湿度も自由自在。水やりまで水魔法で出来てしまう。
(なぎさ)ただ、コストが問題やね。ハウスを作るコストが。
それと、作り続けるんだから、こまめな肥料の追加、受粉の管理やね。
完全に囲む分、管理しやすいかもやけど、受粉は人手でやる必要があるやろね。
都合よく、その時だけ虫投入ってわけにもいかないだろうし。
(開拓責任者)開けてしまうと意味ないですからねぇ~。
(なぎさ)労力は人数で解決するが、人件費がかかる分、値段は上がる。しかし、年中手に入るメリットもある。
ハウス物、天然物と分けて売られてたけどな。
(開拓責任者)それなら、価格の違いもアリですね。季節でないのに手に入るという付加価値がありますし。
(なぎさ)まぁ、ハウスで作れるもの、作れない物があったから、アレだったけど、この世界では分かんない。
そこは……
(開拓責任者)お任せください。
という事は、年中安定供給したい物はハウスメインで、季節物で楽しめるなら自然で、と使い分けると良いですね。
(なぎさ)後、ハウスだと、"ワザと太陽に当てない"という作り方もある。
太陽に当たるから色が付く、じゃあ、当てなけれは色はつかない、なんて面白い考えで作るのもあったなぁ。
日が当たるから、固くなる。当てないでも出来るなら、やってみるか?みたいな(笑)
ハウスも地上とは限らない。地下もある。
環境を整えると、土の下でしか出来なかった物を量産出来たりする。
(開拓責任者)おぉぉぉっ!!それは凄い!確かに条件さえ合わせられれば出来ますね。魔法万歳な気になってきました(笑)
(なぎさ)便利っすよねぇ~、魔法(笑)
(開拓責任者)ホントそうですよ、魔法(笑)
で、土を使わない方法とは?
(なぎさ)今まで、土、土、って言ってきたけど、極論、養分さえあれば作物は出来る。土はいらん(爆)
(開拓責任者)ぶっ!ホントですか?あっ!そうか……
(なぎさ)やり方は、水に必要な養分を混ぜて流す、流す事によって、漬けるのではないから?
(開拓責任者)水害のような事にはならない。
(なぎさ)普通に棚を作って、作物の根をその水の中に入れ、その水を流しながら、クルクル回す。
太陽の下で育てれば、太陽の問題も解決出来る。
しかし、土の抵抗が無い分、質に影響が出るから。そこは要研究。
重力魔法が使えたら、適度な圧力をかけられるんだけどなぁ、それに代わる魔法ってある?
(開拓責任者)私は専門ではありませんが……
例えば捕縛に使う魔法はどうでしょう?
魔力調整で締め付け具合を調整出来ると言いますから、それを応用するとか。
(なぎさ)良いねぇ~それ!
(開拓責任者)では早速、魔導士と研究してみます!
(なぎさ)とりあえず、こんなもんかな?
他にも出てきたら、その時は一緒に考えよう。
(一同)はいっ!
(なぎさ)では、早速、フェアベルゲン……
(シア)一休みしてからね(冷たい目)
(なぎさ)ハイ(怖)
(レム)では撤収ですね、な・ぎ・さ・さん(ニヤリ)
(なぎさ)そうだ……うわっ!!
(レム)目を離すと休まないから、連行です(笑)
そう言うと、レムがお姫様抱っこして運んで行った。
(一同)・・・・。
(開拓責任者)恐ろしいほどの叡智の持ち主なのですが……
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
奥方様には頭が上がらない……
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
ですね……
開拓責任者は早速魔導士達と話し合う。
魔導士達も、そんな使い方があったのか?いや、それは理にかなっている。
これは凄い事になるぞ。
まさか魔法を農業に活かすなんて、考えもしなかった。
と、感心した。
そして、なぎさ様は凄い、いや、もはや神!と、魔導士達の中で再認識されるのに、時間はかからなかった。
(なぎさ)さてと、休んだことだし、そろそろフェアベルゲンに行ってくる。
(シア)私も行きます。
(レム)私も。
3人で司令部に行く。
(なぎさ)では、フェアベルゲンに行ってきます。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
わ、私も同行させてもらえないでしょうか?
(シア)いいけど、なんで?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
フェアベルゲンというところを見てみたいのです。
なぎさ様や奥方様達の故郷を。
獣人の方々にも直接お会いしてみたいですし。
(なぎさ)どうする?シア。
(シア)うーん、そうですねぇ~……
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
お願いします。絶対ご迷惑はおかけしませんから。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
私も同行させていただきたいです。セリナ様の護衛として。
必要無いのは分かってますが。
(なぎさ)いや、必要無いなら来なくていいでしょ。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
私も見てみたいのです!フェアベルゲン!!
(シア)分かりました。ただし、トラブルは無しです。いいですか?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
はっ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
おはようございます、なぎさ様。
(なぎさ)おはよう。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
今日から開拓開始開始ですね。まず何から始めましょうか?
(なぎさ)まずは調査をしよう。データに間違いや誤差が無いか、確認してから具体的な計画に入ろうと思う。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
はい、分かりました。
(なぎさ)では行こうか。
早速調査隊が組まれる。
なぎさ特製の地図を持ち、出発しようとする。
(なぎさ)ちょっと待った。皆んなに言っとくことがあった。
ここはフェアベルゲン自治区と接している。
フェアベルゲンはどういうところか分かってますね。
(騎士:男①)はい!獣人の支配地区です。
(なぎさ)ということは?
(騎士:男①)・・・ということは??
(騎士:女①)こちらに居られる、なぎさ様の奥方様、シア様の生まれ故郷であります!
その場に緊張が走る。特に陰口や差別的発言をした身に覚えがある者は、血の気が引いた。震えが止まらない。
(なぎさ)そういう事か(ため息)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
も、申し訳ございません!おい!
(なぎさ)もういい、わかった。
さらに緊張が走った。いや、緊張どころか、空気が凍りついた。息が苦しい……
これはマズい、やってしまった。確認が甘かった。
まさか自分の手の者に、そんなバカが居るとは……
人選を間違えた。女王派でありながら、最重要国策でもあったのに……
自分達は女王様の絶大なる信頼を得ており、その信頼を元に託された使命であったのに……
何故だ、意識改革を指示し、これからの女王派としてのあり方を徹底教育するよう厳命したのに……
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ま、待ってください。
(なぎさ)よくわかったよ(ため息)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
待ってください。私の教育不足であります。
全ての責任は私にあります。
どうか、どうか、私の命を差し出しますので、お許しください、お願いいたします!
もはやここは処刑場!死ぬ、皆んな死ぬ。
誰だ、どのバカだ、あれほど失礼の無い様に気をつけろと厳命されていたのに……
これから我が国は、フェアベルゲンとの関係を重視し、対等な関係を築くと言われていたのに……
しかも、フェアベルゲンといえば、なぎさ様の奥方様、シア様の故郷ではないか。
(騎士:男①)あっ、あっ、あっ、あっ(恐怖)
(騎士:女②)バカ野郎!!貴様、何を考えている!!!(大激怒)
殴り飛ばされて失神する騎士:男①
スゲー!あの女騎士、フルメイルの男騎士ひとり、片腕で吹っ飛ばした。
ホントに飛んだ。そりゃ失神するわ、死んでないか?アイツ。
(騎士:女② カイル・ハイランド)
なぎさ様!シア様!レム様!我が隊の者が不敬を働き、誠に申し訳ございません。
この度の開拓部隊大隊長カイル・ハイランドが、この命を持ってお詫びいたします!
どうかお許しくださいますよう、よろしくお願いいたします!(決死)
(シア)皆さん、もういいです。落ち着いてください。
色々な歴史がありました。目を背けたくなるような出来事もありました。
でも、それは過去の事です。
なかなかすぐに切り替えろと言われても、今まで育った環境がありますから無理な事です。
私たちはそんな過去を捨てて、各々が新しい未来へと向かおうとしているのです。
これから徐々に分かり合えたり、笑い合えたらいいと思っています。
だから、気を楽にしてください。
(なぎさ)無理にとは言わない。相容れないなら、"反発"ではなく"不干渉"をしてくれ。
これ以上、シアを悲しませないでくれ。
穀倉地帯には、私の専属、
猫獣人のユナ・パトリエット
豹獣人のシズク・アストラ
狐獣人のアナ・スタシア
熊獣人のナジヌ・タニア
蛇獣人のクレ・オスマヤヒとマラ・オスマヤヒ
犬獣人のタニラ・ストラス
が居る、何か困ったことがあれば、彼女らを頼ってもいい。
しかし!何かやらかしてくれたら、分かってますね。
私の家族に手を出して、"ハイすみません"で済むとは思ってはないですよね。
(シア)フェアベルゲンは私の生まれ故郷ですけど。
(レム)なぎささんの第二の故郷でもある事を忘れないでくださいね。
(部隊一同)はっ!申し訳ございませんでした!!
生きてる、生きてるよ、生きてるっていいなぁ……
この時ほど、生きてることに感謝したことは無かった。
確実に死んだと覚悟していたが、その寛大な御心に感謝し祈りを捧げた。
それからが早かった。
部隊を上げて、バカを弾き出した。
伝令を飛ばし、バカの代わりにまともなヤツを補充しろ、バカは送り返す、処遇は任せる。
と、こともあろうにアイルトン子爵本家に早馬を走らせた。
いや、時間無いからゲートを使わしたけど。伝令用に設置したゲートを。
馬ごと突っ込んで王宮を飛び出して行くのを見て、何があったと大騒ぎになっていたことを、なぎさは知らない。
伝令書を受け取ったアイルトン子爵は真っ青になり、放心した。
夫人は卒倒して寝込んだ。
長女のカリナは騎士団団長室に乗り込み、騎士団長を半殺しにした。
慌てて駆けつけた副団長に止められたが、持っていた伝令書を団長の顔に叩きつけた。
急いで中身を確認する団長と副団長。
団長は血の気が引き、騎士団の粛正を命令した。
副団長はブチ切れ、団員を緊急招集し、内容を伝え、団長の命令を発表した。
団員の中には理解が追いつかない者も居て、ようやく全員が理解出来た時、どん引きした。
国策を蔑ろにし、派閥の方針に逆らったどころか、こともあろうに王配の奥方様の故郷に対し、
暴言を吐くどころか差別的発言までした。
しかも女王様肝入りの、最重要政策に絶大な信頼を得て、最も重要な場所を任されているにもかかわらず……
もう取り返しがつかない、どうにもならない。
家の取り潰しは免れない。永久に国外追放で済めばいい方だ、どこまで処刑対象になるか分からない。
特に上位職は処刑待った無し。家を思えば、今ここで自決した方が家だけは温情をかけてもらえるかもしれない。
一斉に自室に駆け込み、遺書と家へのお詫びとその経緯をしたためた書状を我れ先にと副団長に提出し、自室で謹慎する。
全員の書状がある事を確認した副団長は団長室に駆け込み、漏れがないか団長と再確認した後、
伝令部隊を各家へ向かわせた。
それを受け取った家の者は、この世の終わりの様な顔で、当主に渡した。
それを受け取った当主はキレる余裕もなくぶっ倒れ、
夫人は失神し、家の中は大混乱に陥った。
当然、王宮にも報告がいく。
(レム)あのう、なぎさ。これ、早急にフォローした方がいいと思う(汗)
(シア)此処でさえこんな状況だから、王都の方は凄い事になっているような……
(リリー)ねぇなぎさ、何があったの?王都も王宮も大混乱しているけど??
(シア)あちゃー、やっぱり……
(なぎさ)そんなに凄い事になってるん?
(リリー)うん。リリアナも宰相も、筆頭魔導士、財務大臣、リトナ以下メイド達まで血相を変えているし。
緊急会議まで開催されてるよ?もはや地獄絵図みたい。
(なぎさ)えっ?……。
(シア)これヤバいですよ。早急に手を打たないとです。
(レム)なんかここまでくると、違う意味で取り返しのつかないことになりそうな……
(なぎさ)面白そう(引き攣り)
(シア)わーい、素晴らしく鬼畜♡って言ってる場合じゃないですよ(どん引き)
(レム)そんななぎさに惚れちゃった♡なんて場合じゃないですって!!
(なぎさ)ひ、人手、足りないよね(滝汗)
(リリー)ユエさんに緊急要請出します。
急いでユエに連絡をしに行くリリー。
話を聞いたユエはため息をつく。
(ユエ)仕方ないから、王宮は私がなんとかする。
なぎさとシア、レムにはセリナを連れて、アイルトン子爵家に向かわせて。
あと、現場は……
(リリー)リムルとライムに対応してもらうよ。
(ユエ)それと雫も加えて。
(リリー)わかった。
早急にリリーが対応する。
(リムル)あちゃー、マジですかぁ……血の雨降る前に対応しなきゃ。
(ライム)それはいけません。死人が出ます。
(雫・ヤマト)なんとまぁ……呆れたわ。
急いでなぎさ達のもとへ駆けつける。
(雫・ヤマト)なぎさ、此処は任せて早く行ってくれ。
(リムル)血の雨降る前に止めないと。
(ライム)何人死人が出るか分かりません。この件は時間との戦いになります。
(なぎさ)分かった、あとは頼む。シア、セリナを連れて来て。
(シア)カイルさんは?
(なぎさ)彼女まで抜けたら、収集がつくかわからん。ある程度落ち着いたら、連れてきて。
(雫・ヤマト)カイルとは?
(レム)この開拓部隊の大隊長です。セリナの次に危険です。自決する確率大です。
(雫・ヤマト)そうなるわなぁ……分かった、任せてくれ。
速攻でシアがセリナを連れてくる。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
な、なぎさ様(真っ青)
(なぎさ)今はいい。後で幾らでも聞くから、早急に王都に戻り、アイルトン子爵家に向かう。
伝令を送った先は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
はひっ!アイルトン子爵本家です。
(なぎさ)ほ、本家?!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
私はまだ爵位を持って間がないので、本家に居ます。
(レム)あちゃー(冷汗)
(シア)急ぎます!このままでは手遅れになります!(大焦)
(なぎさ)だな、急ぐぞ!
何か言いかけたセリナをレムが担いでゲートを通過する。
馬車は待てない。というか、それどころの騒ぎではない状態。
(なぎさ)仕方ない、魔動車で行く。セリナ、場所は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
えっ?えっ?えっ?えっ?
(レム)いいから早く教えて!間に合わなかったらどうすんだ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!
(なぎさ)5つ先までどんどん教えて。右、左、通過。後、曲がった先が今より細いのなら、細いと言って、分かったか?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!
(なぎさ)シア!
(シア)任せなさいです!
物凄いスキール音を残してフル加速する。
(シア)セリナ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!み、右、通過、左、右、通過です、うっ!
(レム)私が支える、急いで!
(なぎさ)了解!
(シア)なぎささん、いきます!右、通過、左、右、通過!
(レム)この先!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ほ、細いですぅぅぅっ(半泣)
(シア)先、細い!
出来るだけ巻き込まないように、サイレンを鳴らしてぶっ飛ばす。
(なぎさ)エンジェ、聞こえる?どうしても怪我人が出ると思う。フォローお願い!
(エンジェ)だと思って駆けつけた。1分以上後ろを追走してるから、怪我人は任せて。
セリナは何がなんだかわからない。でも必死に道順を叫ぶ。
見たことのない馬車?みたいな乗り物に乗せられて、考えられない速さで走り抜ける。
気を失わないのは、流石、責任を感じ過ぎている貴族の娘だからか。
丸い輪のような物をクルクル回して、絶対曲がれないと思う速さで曲がっていくことに理解が追いつかない。
しかも右と言ったところを曲がっている途中で丸い輪が逆方向に回り出す。
左と言ったところを右に回したかと思ったら左に回し直して、また右に回す。
何が起こってるの?どうなってるの?なんで曲がれるの?
(レム)セリナ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
はひ!ごめんなさい(泣)その先左、右側です。
(シア)左、右側に点。
(レム)特徴は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
3軒目、ごめんなさい、今のです。
(シア)3軒目、今通過、赤い門!
(なぎさ)了解!
今度はいきなり回転して向きが逆になった。吐く、吐きそう……
そりゃ2回転半ドーナツターン決めたもんなぁ。
(なぎさ)突っ込むぞ、ごめん!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はひ!!(流涙)
門をぶち破り、玄関前に横滑りで停車する。
急いで魔動車から降りる。
(シア)皆んな!大丈夫ですか!!
(レム)セリナ!早くなんか言って!!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
お、お父さん!お母さん!生きてて!お願い、出てきてぇ~!!!
セリナの叫びに周りが気づき、当主や騎士団長、執事長を呼びに行く。
騒ぎがデカかったから、他の皆んなも駆けつけた。
(アイルトン子爵)
セ、セリナ、生きていたのか!!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
お母さんやお姉ちゃんは??
皆んな飛び出してきた。
(騎士団長)貴さ、いや、貴方がたは??
(シア)私はシア、そして、なぎささんとレムさんです。
(アイルトン子爵)し、シア様!!
(騎士団長)な、なぎさ様!!
(騎士団副団長)れ、レム様!!
(騎士団長)お前ら!早く武器を下せ!!跪け!!!
(騎士副団長)早くしろ!!!!
(騎士団員)は、はっ!
その場に居る全員が、一斉に跪いた。
(アイルトン子爵)
この度の非礼、なんとお詫びすれば良いか分かりません。
私の命と引き換えに、どうか、どうか、この者たちだけはお許しいただきたく、お願いいたします。
(アイルトン子爵家長女 カリナ)
私どもの命で、どうかお許しください。もちろん、家は取り潰します。
しかし、この家に支えている者達は、どうか、お助けください。お願いいたします。
(シア)勘違いしないでください。何もそんな事は望んでいません。顔を上げてください。
(レム)なんとなく、こんな事になっているんじゃないかと心配したから駆けつけたんです。
(なぎさ)急いだから、門のことは謝る、後で直すから。
(アイルトン子爵)
へっ?
(騎士団長)・・・。
(騎士団副団長)・・・ど、どういう、いえ、どうして……
(シア)今まで色々ありました。目を覆いたくなるような事もありました。
でも、それは過去のことです。
これから新しい未来に向かって歩もうとしているじゃないですか。
今すぐと言っても無理だと思います。
今までの教育や環境がありますから。
でも、いつか、分かり合えたり、笑い合えたらいいと思っています。
だから、こんな事で命を捨てるなんて言わないでください。
(なぎさ)相容れないなら、それでもいいが、それなら"不干渉"にしてくれ。
無理に受け入れろとは言わない。
邪魔や蔑ろにしなければいい。
相容れられる者達とだけ付き合えばいいだけだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
これ以上、シアを悲しませないでくれ。
か、神だ、神様がご降臨された。
誰かがつぶやいた。
皆から見た光景は、荘厳かつ神聖、まるで3体の神が降臨されたようであった。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
し、シア様、なぎさ様、レム様(感泣)
(アイルトン子爵)
も、もったいないお言葉、なんとお礼を言えば良いか(感涙)
(アイルトン子爵家長女 カリナ)
身に余る光栄にございます(流涙)
(なぎさ)じゃあ、門とかを直しますね。
【リビルド】
ぐちゃぐちゃになっていた、門や噴水、花壇とかが一瞬にして元通りになった。
(一同)おおおぉぉぉっ!!
響めきが起こる。
そりゃそうだ、こんな魔法、見たことも聞いたこともない。
まるで夢を見ているようだ。
(なぎさ)他に止める事があるなら言ってくれ、手遅れになってからでは遅い!
(騎士団長)えっ?あっ!はっ!
伝令!早くこのお言葉を各家に伝えろ!!
急げ!!
(騎士副団長)当主も此処へ集合するように伝えろ!緊急招集だ!!
(伝令部隊)はっ!
伝令部隊が一斉に散る。
しばらくして、当主と言われたはずなんだが……
どうも家の者全員が駆けつけてきた。
(なぎさ)これ、どうするよ……
(シア)なんかめちゃくちゃ集まってきてますよね……
(レム)当主って言ってたよね?どう見ても家の人、全員来てない?
(なぎさ)セリナ様、場所を変えた方が良くないですか?
(シア)もっと広い場所がいいかと……
(レム)もう入りきらないほど集まってきてるので、これ以上は危険だと思いますけど……
(なぎさ)??セリナ様??
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
セリナ様??えっ?あっ、私だ!様付けはやめてください。どうかセリナとお呼びください。
(なぎさ)いやいや、子爵家の御息女じゃないですか(汗)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
私たちなど、なぎさ様方からすれば、路傍の石です。その辺のゴミです。
(シア)ご、ゴミ?!
(なぎさ)いやそれは、どうかと思うぞ?
(レム)・・・・。
(アイルトン子爵)
いえ!私どもなど、虫ケラ以下です。
跪き、胸に手を当て、言い放つアイルトン子爵。
(なぎさ)子爵様!アンタもかい!
(レム)なぎささぁ~ん、騎士団宿舎の近くに鍛錬場があるから、そこに移動してもらおう。
(なぎさ)分かった、セリナ様、騎士団の鍛錬場に誘導、お願いします。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
様付けなど恐れ多い。分かりました。
皆さん!鍛錬場の方へ移動してください。
セリナ達の誘導で、鍛錬場に移動する。
(なぎさ)で?
(シア)えっ?
(レム)で??
(なぎさ)いや、それでどうするんかな?と。
(レム)あっ!
(シア)そう言われると……どうするんです??
(なぎさ)いや、だからぁ~、どうすんの?
(レム)ですよねぇ~……。
全員居るか、確認していた。
(アイルトン子爵)
鎮まれ!誰一人欠ける事なく、全員揃っているな。
(執事長)全員揃っております。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
では、今から、シア様、なぎさ様、レム様から、ご神託をいただきます。
皆さん、心して聞いてください!
(シア&なぎさ&レム)
はあぁ?
(なぎさ)ご、ご神託???
(レム)どういう事?
(シア)なぎささん(涙目)
(なぎさ)あっ!居た!姫巫女様!(ニヤリ)
(シア)ちょっと、ちょっと待って!嘘でしょ?って、誰が姫巫女様ですか!
(なぎさ)一発決めて来てください、姫巫女様(笑顔)
(シア)ぬわぁぁぁっ!その笑顔、ムカつくわぁ!!!
(レム)お呼びですよ、姫巫女様(笑顔)
(シア)なっ!レムまで……酷い!酷くない??
(なぎさ)そんなことは無いよ?
(レム)だって、ねぇ~。
(なぎさ&レム)姫巫女様!!(笑顔)
(シア)の"おぉぉぉっ!!覚えとけ!です!!
(なぎさ&レム)忘れた(笑顔)
(シア)ぐぎゃあ"あ"ぁぁぁっ!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
シア様、お願いいたします。
目の前で跪き、頭を垂れて傅くセリナ。
(シア)えっ?えっ?あの……
(なぎさ)シア。
(シア)うーん、分かったですよ、喋ればいいんでしょ、喋れば!!(ヤケクソ)
(なぎさ)ヒューヒュー♡がんばれぇ~(笑顔)
(シア)ホントその笑顔、ムカつくわぁ!
(レム)頑張って、シアさん(笑顔)
(シア)レムさんまで……(涙目)
シアが真ん中に行く、皆んなの視線が集まる。
(シア)皆さん、お集まりいただき、ありがとうございます。
心配して駆けつけましたが、なんとか大丈夫みたいなので、ホッとしました。
今まで色々な事がありました。目を覆いたくなることや、忘れる事など出来ない事もありました。
でもそれは過去の事です。これから私たちは新しい未来に向かって歩んで行こうとしています。
今すぐ変わることは無理だと思います。今までの環境や教育がありますから。
でも、いつか、お互いが分かり合える、笑い合える時がきたらと願っています。
(なぎさ)相容れないなら、それでもいい。
それなら"不干渉"に徹してくれ。
邪魔や妨害、蔑み、差別、偏見等をしなければいい。
相容れられる者達とだけ、付き合えばいいだけのことだ。
これ以上、シアを悲しませないでくれ。
(レム)フェアベルゲンはシアさんの生まれ故郷ですけど、なぎささんの第二の故郷でもあります。
なので、私たち妻達の大切な故郷でもあります。
関わりたくない人達は、関わらないでください。
私たちもその方々とは、関わる気は更々ありませんから。
静まり返る鍛錬場。
ホントだ……ホントだったんだ。
しかし、これはしっかり考えなければいけない。
単に"派閥の方針だから"というわけではない。
そんなものはどうでもいい。個人の問題だ。
派閥の中だからといって安心は出来ない。
対応を間違えたら、"派閥だから"と助けてくれるわけではない。
"関わりたくないなら関わるな、こっちも関わる気は全くない"
これは敵対するとかしないという事ではない、
"眼中に無い"という事、あの方々からすれば"存在すらどうでもいい"ということ。
噂通りだ、"味方には極甘だが、敵には容姿が無い"
まるで、"自分達には存在価値も無い、その辺のゴミ"と言わんばかりに。
という事は、"いざという時は保護対象に入らない、守るべき相手ではない"という事。
"どうなろうと知った事ではない"ではない、"はなから関心が無い"だ。
となると、あれだけの戦争なのに最前線に立ち、この国を守りきった大英雄達の助力は得られない。
グール100万体が襲ったフェアベルゲンをたった4人で無傷どころか死傷者すら出さずに守りきった桁外れの戦力、
その時の功労者、いや、最大の戦力となったのはなぎさ様、しかも自らの命すら顧みない戦い方で守りきるほどの仲間思い。
その方の視界から消える。そんな大損失、いや恐怖は無い。
露骨なすり寄りは忌み嫌う、まして買収などあり得ない、そんな事を考える奴は頭がおかしい、狂っているとしか考えれない。
それは、自称"中立派"のユルイ辺境伯、マケナ伯爵の大失態を見ればわかる。
社交界の情報は早い。"あの二人は終わった"との噂まで流れている。"もはや中立派の未来は無い"とまで。
二人は自派閥の者に暗殺されたとまで囁かれる始末。
(アイルトン子爵)
なぎさ様、シア様、レム様
我々女王派は、いえ、私どもアイルトン子爵家は、なぎさ様方を崇拝しております。
それは紛れもない事実であります。
私の息子達は近衛騎士団に所属しております。
王都攻防戦の際、なぎさ様の用意していただいた武器により武勲を立てる事が出来ただけでなく、
瀕死の重傷を負い、利き手を欠損したにもかかわらず、無事生還したどころか、
何事も無かったかのように五体満足で帰還出来たことに対するご恩は子々孫々、忘れる事はございません。
(アイルトン子爵家長女 カリナ)
私たちが最初に聞かされたのは、兄は利き手を、弟は左眼と左足を失い、
二人共、いつ息を引き取っても不思議ではない傷を負っているので、お覚悟を。
というものでした。
その二人が出撃時と変わりない、傷一つ無い状態で帰って参りました。
それもこれも、残存戦力として残してくださった奥方様方の、特にエンジェ様のお陰であります。
このご恩を忘れることなど出来るはずもございません。
それを聞いた他家の者は固まった。
そうだ、そうだった。
先の戦争で、生還した者は皆、無傷だった。
家の者の速報では、悲惨な報告も多かった。
しかし、"即死した"という者以外は、皆無傷で生還した。
それは何故か?なぎさ様の奥方様方のお陰だった。
その奥方様方の故郷を軽蔑するだけでなく、差別的発言までやったバカが居る。
まさか我が家の息子、娘ではないよな?
そんな事、許されるはずが無い、許すわけにはいかない。
ひとりの老紳士が歩み出る。
(ベルガー伯爵家当主 アラン)
なぎさ様、シア様、レム様。
お初にお目にかかります。
私、女王派・アイルトン子爵派閥の世話役をしております、アラン・ベルガーと申します。
この度の派閥の者達の数々のご無礼、心よりお詫び申し上げます。
しかし、我々の大半の者は、なぎさ様方には返しきれないご恩がある事を忘れてはおりません。
事実、私の息子達も皆無傷で生還いたしました。
このご恩は子々孫々、忘れる事はございません。
その事は、何卒、何卒、ご理解していただけますよう、切に願うばかりでございます。
無礼者に関しましては、早急に謹慎させ、再教育をすることをお約束いたします。
(シア)アラン様、私は怒っては無いです。たしかに悲しくはありましたが、今はまだ仕方ない事だと思っています。
先程もいいましたが、今すぐは無理だと思ってますし、この先の未来が、お互い笑い合える関係になればと思っています。
ただ無理に押し付ける必要はないです、
分かり合える者達と明るい未来を迎えることが出来たら幸せだと考えていますから。
(ベルガー伯爵家当主 アラン)
はっ、ははあぁ、お心遣いありがたき幸せにございます。
そのお心遣いに感謝し、必ずご期待に応える事をお約束いたします。
そう言うと、深々と頭を下げ、跪いた。
他の者もそれに続くように跪き、頭を垂れた
まさに神降臨、荘厳な光景である。
(シア)皆さん、頭を上げてください。これから開拓が始まります。国を挙げての一大事業です。
成功させる為にも皆さんの協力が不可欠です。よろしくお願いします。
シアが頭を下げる。
(一同)御心のままに。
信者爆誕の瞬間である。
ベルガー伯爵、アイルトン子爵家一同など、使徒爆誕である。
まあ、そうなるわな。
がんばれシア、がんばれ姫巫女様(笑)
(なぎさ)良かったなぁ、姫巫女様(笑顔)
(レム)良かったね、姫巫女様(笑顔)
(シア)そうです……って、誰が姫巫女様ですか!
(なぎさ)いや、だってねぇ~。
(レム)そうですよ?言われてますよね?フェアベルゲンで。
(なぎさ&レム)姫巫女様(笑顔)
(シア)その笑顔、ムカつくわぁ~。しかもめちゃくちゃいい笑顔!(笑)
落ち着いたみたいなので、開拓地に戻ることにした。
王宮でユエと合流する。
(なぎさ)どう?ユエ。
(ユエ)予想通りよ。リリアナはブチ切れてたし、シューマンは挙兵の準備を終えてた。
お家取り潰しは当然として、処刑者リストまで作成中だった。
(シア)でしょうねぇ~(ため息)
(ユエ)まぁ全部止めたし、治まったよ。ただねぇ~……
(レム)現場はそうはいかないですよねぇ~……(遠い目)
(なぎさ)"バカは送り返す、まともなヤツを補充しろ"って命令出してたしなぁ……(遠い目)
(シア)弾き出されて送り返される人って、やらかした人ですもんねぇ~(遠い目)
(なぎさ)まぁ、姫巫女様の御神託があるから(笑顔)
(レム)大丈夫でしょう。ねっ、姫巫女様(笑顔)
(シア)ぬわぁぁぁぁっ!
(ユエ)なら大丈夫ね、姫巫女様(笑顔)
(シア)その笑顔、めっちゃムカつくわぁぁぁぁっ!!(涙目)
エンジェが合流した。
(なぎさ)ありがとう、エンジェ。どんな感じだった?
(エンジェ)まぁ、大したことはなかったよ。
大きな怪我が無かったのは流石だな。
腰抜かしたり、それによる骨折程度だから、魂魄魔法で落ち着かせて、手当てしといた。
擦り傷、打撲なんて怪我に入らん、まとめて治したよ。
しかし、あれだけかっ飛ばして、死人を出さなかったのはよくやった。
(なぎさ)お褒めに与り光栄です(微笑)
(ユエ)では戻りましょう。
(なぎさ)だね。
(レム)戻りますよ、セリナ様。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はいっ!
戻ってみると、こちらもひと段落ついていた。
(なぎさ)雫、なんとかなった?
(雫・ヤマト)おっ、おかえり。
まぁ、見ての通りだ。
まぁ、治まったといえば、治まっているのだが、簀巻きにされ、猿轡をされたカイルが転がっていた。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
ふむむっ、ふむ、ふぐむ、ふぐぐぐむむっ!
(なぎさ)これ、解放して大丈夫か?
(雫・ヤマト)そうなんだよなぁ……(ため息)
(シア)セリナ様、説得してもらえます?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
は、はいっ!分かりました。
セリナはカイルに近づき、話しかける。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
カイル、いいですか、今から貴方を解放します。
ただし、勝手な真似は許しませんからね。分かりましたか?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
ふぐぐ、ふむふむ。
コクコク頷くカイルの猿轡を外し、簀巻きからも解放する。
素早くセリナの足元に跪き、頭を垂れる。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
セリナ様、この度の大失態、如何様な処分も受ける覚悟にございます。
願わくば、今、この場で自害することをお許しくだされば、本望にございます。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
分かりました。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
では!(嬉目)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
自害することは許しません。そのような事はシア様の御意志に逆らうことになります。
貴方の覚悟は分かりました。それならば、この一大事業を成功させなさい。
誠心誠意、命を賭けて、成功に導きなさい。
それが貴方の、いえ、私達の出来る、最大の贖罪です。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
はっ、ははぁぁぁっ!この命に賭けて、また、我が家名に賭けて、必ず成功させてみせます!
そして、シアの元に歩み寄り、跪く。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
シア様、我が命、あなた方に捧げます。
あなた方の手となり足となり、必ずこの事業を成功に導くことを誓います。
絶対に後悔はさせません、なんなりとお申しつけください。
そう言うと、シアの足の甲にキスをした。
おいおい、大丈夫か?
(なぎさ)良かったな、シア(笑顔)
(シア)なっ!誰が姫巫女……えっ?あ、はい(冷汗)
(レム)姫巫女様の自覚、あったんだ(ニヤリ)
(なぎさ)なぁ~んだ、そうだったんだぁ~(ニヤリ)
(なぎさ&レム)姫巫女様!(笑顔)
(シア)ぬぉぉぉっ!!!
(雫・ヤマト)じゃあ、私は戻るな。姫巫女様(ニヤリ)
(シア)ぐわぁぁぁっ!!
のたうち回るシアを横目に、今後の予定を確認する。
まずは調査。データに狂いは無いか?実際の広さはどのくらいなのか?念入りな調査を行う。
イメージを共有することで、今後の開発計画もスムーズにいく。
しかし、広大な担当地域の為、調査だけでも1ヶ月かかった。
他の直轄地もそれぐらいはかかり、
旧サンタナ帝国や旧エレノア共和国などそれ以上に広かった為、2ヶ月もかかった。
(なぎさ)さてと、これからが本番ですね。
(シア)どんな風にやります?
(レム)どちらかというと、農耕や酪農に適した土地が多かったですね。
(なぎさ)記録によると、酪農地帯として使われてたからね。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
酪農地帯を農耕地帯に変えることは可能でしょうか?
(調査責任者)可能ですが、少々土壌の改良が必要です。
しかし、さほど難しくはありません。
(なぎさ)新国境になる場所を農耕地帯にして、その内側を酪農地帯にすれば?
酪農と農耕、両方出来れば良くない?
(調査責任者)それは妙案です。かなり広大な土地だけに、両方しても問題は無いかと。
(なぎさ)後は土壌の改良ねぇ~。何か良い案でもあります?
(調査責任者)ここは定番で良いかと。2~3年すれば、軌道に乗ると踏んでいます。
(なぎさ)どの辺りまで開拓する予定ですか?あまり国境ギリギリまではしない方が良いと思いますが……
(調査責任者)はい、国境ギリギリまではやりません。あまりギリギリまですると火種になりかねませんし、
お互いの土壌に影響が出てもいけませんから。
(なぎさ)安心した。
(シア)例の生産性向上計画はどうするんです?
(なぎさ)それなんだけど、ハイリヒの農業はどんな感じ?例えば肥料とか?
(開拓責任者)肥料?ですか?
(なぎさ)あぁ、土に栄養を与えるものなんだけど。
(開拓責任者)そんな物があるのですか?
種子を蒔き、育て、収穫する。確かにその時にカスが出ますから、それを放置してはいますが……
(なぎさ)なるほど、同じ場所で1年で2回、同じものを作ったり、違う作物を作ったりは?
(開拓責任者)はあ?同じ場所で、1年に2回も作物が作れるのですか?
(なぎさ)じゃあ最後に、4ヶ所ある畑の3ヶ所を使い、1ヶ所は空けておく。空ける場所は順番に交代させていくとかは?
(開拓責任者)なぜ、畑があるのに、わざわざ空けておくのですか?作物を作った方が生産量も増えますし。
(なぎさ)なるほど、では、畑を覆うようにカバーか何かで囲ったりする事も……
(開拓責任者)そんな王宮の室内鑑賞室では無いのですから、畑ごときにはとてもとても。
(なぎさ)であるなら、可能性はある。それをこれから試してみよう。
その為には、フェアベルゲンとの話し合いが必要だな。
場合によっては、国境線の土壌に結界を張り、フェアベルゲンの土壌に影響を出さないようにする。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
・・・そんな事が出来るんですね……(遠い目)
(なぎさ)では、まず、肥料について説明します。
なぎさは大体の説明をする。
(開拓責任者)そ、そんな物があるのですか!
(なぎさ)あぁ、目的は土に栄養を与えて作物に吸収させる。
それで作物の育ちを良くするんだ。
(開拓責任者)という事は、不毛地帯も耕作地に出来ると!
(なぎさ)いや、それは分からん。土壌の状態による。でも、試してみる価値はあると思う。
まぁ、土の要らない農業も出来るけどね。
(開拓責任者) はあぁ?土壌の要らない??どうやって種子を埋めるんですか??
(なぎさ)まぁ、それは追々に。あれはコストとの戦いになるから、見極めが必要になる。
闇雲にやれば、大赤字や。上手くいけば、ブランド化して差別化できるが。
(開拓責任者)それでは。
(なぎさ)試験的運用が不可欠!付加価値が付けれるような出来になれば良いけどね。
(開拓責任者)そうですね。そんな夢のような農業が出来れば、いや、試験的運用自体が楽しみです!
(なぎさ)話を戻して、肥料なんだけど。
手頃なところから、いくと、落ち葉関係。
(開拓責任者)落ち葉?ですか?
(なぎさ)そう、落ち葉。腐葉土と言って、字のごとく、葉を腐らす。所謂、発酵ってやつなんだけど、これでも肥料になる。
作り方は比較的簡単やよ。
作物を刈り取った後に残るのとか、雑草も使える。
それを土と混ぜる。種子を植える前に敷き詰めて、その上に土をかけてからって良く言うよ。
土を育てるって意味だと混ぜても大丈夫やけど、腐葉土を混ぜた土の上にってやってみて。
(開拓責任者)はい!という事は、豊かな森があれば大量に手に入れることが出来ますね(輝く目)
(なぎさ)フェアベルゲンに手を出したら、消すよ?国ごと(射殺す目)
(開拓責任者)は、はひ!け、決してそんな事はいたしません!(裏声)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
あ、あり得ません!我が家がどんな手を使ってでも阻止してみせます!
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
我が命尽きるまで、敵を叩き斬ります。いざとなれば同士討ちも覚悟しております!
(なぎさ)なら、良い。
(レム)今、なぎささん、キレたね(小声)
(シア)ですです(嬉)
(なぎさ)で、ここからが応用編みたいな感じなんやけど、
その肥料を色々な物を使ってみる。動物の糞を発酵させた物、野菜、果物、魚、肉、貝殻、残飯、生ゴミ、などなど。
人糞はやめた方がいい、それで身体の中に寄生虫飼う事になった歴史があるから。
(開拓責任者)き、寄生虫!身体の中に?(どん引き)
(なぎさ)しかし、食事制限無しで痩せると聞くけど。その虫が栄養分を吸収するから、
で、育つと数メートルほどに育ったたりするとか、取り出すの大変だね(ニヤリ)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ひっ!そんなに(怖)
(なぎさ)まぁ、そこまで育つ前に取り出せば良いだけだけどね。
やりたい人はどうぞ、薬で殺してトイレするみたいにしたら、お尻から取り出せる。
ただ、万人向けは無理だから、個人的にね(ニヤリ)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
食事制限無しで適当なタイミングで薬で殺して取り出せば良い。
それで痩せられるという事は、体型維持も可能?
食べたいだけ食べたのに?
(なぎさ)あくまで聞いた話やけど。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
どうやって入れるんです?
(なぎさ)飲み込む。薬飲むみたいに。この世界には"カプセル"ってのは無いの?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
粉薬とそれを固めた丸薬はありますけど、"カプセル"というのは、初めて聞きました。
あと水薬もあります。
(なぎさ)粉薬が飲みにくい場合は?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
水に溶かして水薬にするのが一般的です。
ただ、魔法の紙と言われる溶ける紙がありますが、
非常に高価なのでそう毎回使える物では無いのですね。
(なぎさ)それを使えば出来るかも。生きたまま体内に入れないと意味がないんで。所謂、丸呑みです。
小さいうちに体内に入れて、適当に育つと薬で出す。の繰り返しかな。
取り出すタイミングは人それぞれだと思うから、何回かやってみたら、出した時の大きさで分かると思う。
育て過ぎて、身体ん中食い破られないようにね。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
痩せて、体型維持が簡単で、食べ放題……良いかも(輝く目)
(なぎさ)食べ放題にも限度があるぞー。自分とその虫の採れる栄養量を上回れば太る。
常にそれ以下でないと。あまり下回り過ぎるとガリガリになって不細工だよ。
あくまでも聞いた話だからね。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
何かあれば、駆けつけてくれます?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
お嬢様!
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
だってだって、社交シーズンが近づくと、ドレスがどうの、去年よりどうだとか五月蝿いし、
パーティーの料理なんて見栄の張り合いだから、超一流品よ?名品、珍品てんこ盛りよ!
それを眺めてるだけで、ほとんど食べれないなんて、地獄ですよ!拷問ですよ!!
『私、食べても太らない体質ですの』とかほざいて、バクバク食ってる娘なんて死ねばいいのに。
しかもそんな奴に限って、女捨てたか、ほんとに太ってなかったりするじゃない(半泣)
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
お嬢様……。
(なぎさ)じゃあ、女捨てれば心置きなく食べれるやん(微笑み)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
そんな事したら、お父様に殺されます(泣)
(なぎさ)じゃあ、なぁ……レム?(ニヤリ)
(レム)なぎささん、そうきましたか、悪い顔してますよぉ~(ニヤリ)
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
えっ?何です?何かあるんです?レム様、教えてください!(訴える目)
(レム)えーっと、私、スポーツジム、始めたんです。
子供向けからストレッチや運動不足解消、ダイエットからバキバキに鍛え上げるメニューまでありまして。
そういう事なら、身体の代謝機能を上げるといいと思いますから、
ストレッチと軽い運動、ちょっとキツくても良いならスタイル形成をすればいいかな?と。
食事療法もすればかなり効果的ですが。
食事メニューはシアさんが開発してくれてますから、味、バランスは保障出来ますね。
(シア)でも、食事メニューまですると、凄く高くつくよ?専用メニューだから、材料も味付けも変えられないですし。
あと、料理人がその通り作れるかにもかかってきます。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
その料理は教えてもらえるのですか?
(シア)料理人を連れてきてくれたら可能ですが、全く同じに出来るかは、その料理人の腕にかかってます。
でも、それなら本末転倒ですよ?好きなの食べれないじゃないですか。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ジムで運動して、食事メニュー取り入れて、社交シーズンだけ食べまくって、
その後、またジムでってのでは無理ですか?
(レム)可能ですが、結構キツいですよ?その分を落とさないといけないので。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
大丈夫です、頑張ります!
(シア)なら、ねぇ~。
(レム)やるとするなら、社交シーズンが終わると食事療法とダイエット、スタイル形成をやり、
落ち着いたところで食事療法をやめて、トレーニングに専念してもらう。
社交シーズン前に食事療法を復活させ、徹底的に作り上げる。かな?
細マッチョな感じで引き締めたら、身体のラインも綺麗に出るし、ちょっとした護身術を身につけるか、
既に習得してるなら、そのレベルも上げられる。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
それ!それ最高です!レム神様!!(輝く目)
(レム)か、神?!あ、でも、教えるのは獣人ですけど、大丈夫です?
人族も居るには居るんですが……基本スペックが違うので、高度な事になればなるほど、インストラクターは獣人ですが。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
ちなみに、その獣人というのは?
(レム)全員女性です。基本的な筋肉の付き方が違いますから。それに、女性の方が安心でしょ?
基本、ウチでは女性しか雇いません。子供とかも対象なので。
バキバキに鍛え上げるにしても、やはり獣人のパワーが圧倒しますから、上を目指すならそうなりますね。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
わ、私も今以上になれますか?(希望の眼差し)
(レム)うーん、どうですかね?ちょっと触っても?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
はい!喜んで!!
定番の居酒屋返事が返ってくる。
カイルの身体をチェックするレム。
(レム)そうですねぇ~。かなり出来上がってますね。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
では……。
(レム)改良の余地はありますが、それにはまず、今の状態をぶっ壊す必要があります。筋肉に癖が付いてますから。
そして、無駄を省きながら鍛え直すという事になりますか。
食事療法は職業を考えるとしない方がいいですから、かなりハードなトレーニングになりますけど、大丈夫です?
完全なる肉体改造です。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
に、肉体改造!(光悦)
は、はい!喜んで!!(嬉)
(レム)どちらにせよ、成功するかは自分次第になりますから、頑張って続けてもらえたらと思いますが……
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
どこまでもついて行きます!師匠!!(輝く目)
(レム)し、師匠?!
(シア)カイルってM?
(なぎさ)多分な(半笑)
(シア)ですよねぇ~。肉体改造って言葉に光悦の表情浮かべてたもんね(笑)
(なぎさ)で、何の話、してたっけ??
(開拓責任者)肥料の事です、なぎさ様。
(なぎさ)あ、そうそう、肥料ね。
で、肥料にするには、やはり臭いの問題があるから気をつけて。
発酵って、要は腐らずんだからね。
で、色々試していると、違いがわかる。
これだと育ちがいいとか、味が変わった、香りが変わったとかね。
そうなると、それに絞ってやればいい。
果物が甘くなったとか、食べた時の香りが良くなったとか、大きくなったとか。
すると、肥料を使っても工夫してない普通のは、一般向けに、
工夫したのはブランド化して付加価値をつけるとか。やり甲斐はあると思うよ。
その為にも"土"を育てないと。
単なる増産は腐葉土投入だけでも効果は期待できる。改良となると時間がかかるけどね。
とりあえず、腐葉土の作り方はコレ。魔法も使って時短でいこう。
(開拓責任者)分かりました。
次に、年2回というのは?
(なぎさ)あぁ、それは"二期作"と"二毛作"って言うんだけど。
同じ場所で同じ作物を2回作るのが"二期作"
同じ場所で違う作物を作るのが"二毛作"
ただ、これ、気候条件がねぇ~……
(開拓責任者)かなりシビアだと。
(なぎさ)そう、二期作なんて、同じ作物だから、もう一回作れる条件が整うのか?と。
(開拓責任者)厳しい条件ですな、かなり場所が限られます、というか、見つかるかどうか……
(なぎさ)だよねぇ~。二毛作なら、暑い季節に育つ作物の後に寒い季節に育つ作物を作れば良いんだけど。
(開拓責任者)それなら。
(なぎさ)そこで問題になるのが土。土の中の養分によって、作物は育って出来る。
(開拓責任者)そうですが?
(なぎさ)その土に、その作物が育つのに必要な養分が残って無ければ?
(開拓責任者)あっ!
(なぎさ)だから、組み合わせが大事になってくる。
作物によって、必要な養分は微妙に違う。
それを上手く組み合わせて作ることが必要。
組み合わせ表、作っておいたから、参考にしてみて。
専門家じゃないから、間違ってる可能性大。
そこは貴方の腕の見せどころ。ねっ、開拓責任者さん(微笑み)
(開拓責任者)はいっ!お任せください!必ずご期待に応えてみせます!
(なぎさ)で、畑に植えない時期を作るってのは、休作?とか言ったっけ、まぁ、そうしよう。
これは、同じように耕して、肥料も入れるけど、今回は使わない。という方法。
いわば土を休めて、次回作るまでに栄養を蓄えてもらおうという事なんよ。
作り続ければ、養分はどんどん無くなっていく。次回までに回復する肥沃な土壌なら問題ないが、
そうでなければ、出来も悪くなり、仕舞いには……
(開拓責任者)作れなくなる。なるほど、その為の休作ですね。
(なぎさ)これを使えば、農作地帯も思ったより広くとれるかも。しかし、効率は落ちるから、その辺のバランスは必要。
(開拓責任者)ですね、幾ら出来ても高値になれば意味がないですからね。
では、鑑賞室の様な畑とは?
(なぎさ)それはハウスと言って、土の養分さえ切らさなければ、年中同じ作物が作れる方法。
知っての通り、あまり気候の影響を受けない。
ここなら、火魔法、風魔法、水魔法を組み合わせれば出来る。
ただし、ハウスが壊れないようにする必要があるけどね。
(開拓責任者)なるほど!そうすれば、温度も湿度も自由自在。水やりまで水魔法で出来てしまう。
(なぎさ)ただ、コストが問題やね。ハウスを作るコストが。
それと、作り続けるんだから、こまめな肥料の追加、受粉の管理やね。
完全に囲む分、管理しやすいかもやけど、受粉は人手でやる必要があるやろね。
都合よく、その時だけ虫投入ってわけにもいかないだろうし。
(開拓責任者)開けてしまうと意味ないですからねぇ~。
(なぎさ)労力は人数で解決するが、人件費がかかる分、値段は上がる。しかし、年中手に入るメリットもある。
ハウス物、天然物と分けて売られてたけどな。
(開拓責任者)それなら、価格の違いもアリですね。季節でないのに手に入るという付加価値がありますし。
(なぎさ)まぁ、ハウスで作れるもの、作れない物があったから、アレだったけど、この世界では分かんない。
そこは……
(開拓責任者)お任せください。
という事は、年中安定供給したい物はハウスメインで、季節物で楽しめるなら自然で、と使い分けると良いですね。
(なぎさ)後、ハウスだと、"ワザと太陽に当てない"という作り方もある。
太陽に当たるから色が付く、じゃあ、当てなけれは色はつかない、なんて面白い考えで作るのもあったなぁ。
日が当たるから、固くなる。当てないでも出来るなら、やってみるか?みたいな(笑)
ハウスも地上とは限らない。地下もある。
環境を整えると、土の下でしか出来なかった物を量産出来たりする。
(開拓責任者)おぉぉぉっ!!それは凄い!確かに条件さえ合わせられれば出来ますね。魔法万歳な気になってきました(笑)
(なぎさ)便利っすよねぇ~、魔法(笑)
(開拓責任者)ホントそうですよ、魔法(笑)
で、土を使わない方法とは?
(なぎさ)今まで、土、土、って言ってきたけど、極論、養分さえあれば作物は出来る。土はいらん(爆)
(開拓責任者)ぶっ!ホントですか?あっ!そうか……
(なぎさ)やり方は、水に必要な養分を混ぜて流す、流す事によって、漬けるのではないから?
(開拓責任者)水害のような事にはならない。
(なぎさ)普通に棚を作って、作物の根をその水の中に入れ、その水を流しながら、クルクル回す。
太陽の下で育てれば、太陽の問題も解決出来る。
しかし、土の抵抗が無い分、質に影響が出るから。そこは要研究。
重力魔法が使えたら、適度な圧力をかけられるんだけどなぁ、それに代わる魔法ってある?
(開拓責任者)私は専門ではありませんが……
例えば捕縛に使う魔法はどうでしょう?
魔力調整で締め付け具合を調整出来ると言いますから、それを応用するとか。
(なぎさ)良いねぇ~それ!
(開拓責任者)では早速、魔導士と研究してみます!
(なぎさ)とりあえず、こんなもんかな?
他にも出てきたら、その時は一緒に考えよう。
(一同)はいっ!
(なぎさ)では、早速、フェアベルゲン……
(シア)一休みしてからね(冷たい目)
(なぎさ)ハイ(怖)
(レム)では撤収ですね、な・ぎ・さ・さん(ニヤリ)
(なぎさ)そうだ……うわっ!!
(レム)目を離すと休まないから、連行です(笑)
そう言うと、レムがお姫様抱っこして運んで行った。
(一同)・・・・。
(開拓責任者)恐ろしいほどの叡智の持ち主なのですが……
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
奥方様には頭が上がらない……
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
ですね……
開拓責任者は早速魔導士達と話し合う。
魔導士達も、そんな使い方があったのか?いや、それは理にかなっている。
これは凄い事になるぞ。
まさか魔法を農業に活かすなんて、考えもしなかった。
と、感心した。
そして、なぎさ様は凄い、いや、もはや神!と、魔導士達の中で再認識されるのに、時間はかからなかった。
(なぎさ)さてと、休んだことだし、そろそろフェアベルゲンに行ってくる。
(シア)私も行きます。
(レム)私も。
3人で司令部に行く。
(なぎさ)では、フェアベルゲンに行ってきます。
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
わ、私も同行させてもらえないでしょうか?
(シア)いいけど、なんで?
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
フェアベルゲンというところを見てみたいのです。
なぎさ様や奥方様達の故郷を。
獣人の方々にも直接お会いしてみたいですし。
(なぎさ)どうする?シア。
(シア)うーん、そうですねぇ~……
(アイルトン子爵家次女 セリナ)
お願いします。絶対ご迷惑はおかけしませんから。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
私も同行させていただきたいです。セリナ様の護衛として。
必要無いのは分かってますが。
(なぎさ)いや、必要無いなら来なくていいでしょ。
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
私も見てみたいのです!フェアベルゲン!!
(シア)分かりました。ただし、トラブルは無しです。いいですか?
(セリナ開拓部隊大隊長 カイル)
はっ!
0
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