創作BL(R18)短編集

さるやま

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平凡ビッチな先輩が、執着系後輩に縛られる話

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「はぁ、ひろ君⋯⋯可愛いね⋯⋯」

マッチングアプリで知り合った男に、キスを落とされる。

「くすぐったいって」

笑いながら、適当に避けて焦らしていると、不意に男が俺の腕を掴んで迫った。

「ここ、キスマークつけていい?」

肩口に顔を埋めて囁かれる言葉に、俺は眉をひそめた。

「嫌。言ったでしょ?俺、縛られるの嫌いだし⋯⋯」

俺は気持ちいいことは好きな快楽主義者だけど、恋人とかは別にいらない。1人に縛られるなんて馬鹿みたいに窮屈で息苦しい。あと、めんどくさい。

「そっか⋯⋯うん」

男の顔が暗くなったし、雰囲気が盛り下がってしまったのを感じた。あーあ、めんどくさ⋯⋯この人、体の相性は良かったし、今まで通り軽ーい関係でいられると思ってたのにな──どう別れを切り出そうか考えながら、重苦しい雰囲気を打破するため、男の唇に舌を割り入れる。ねっとりと舌で唾液を絡めとってから、よし、このくらいでもういいだろ、というタイミングでちゅっちゅっと、啄むようなキスをして男から離れる。

「それより⋯⋯早くしよ?」

下から男の顔を覗き込むと、その目が熱に浮かされているのが分かった。

「そうだね♡」

肩に乗せられる腕の力が強い。だる。ガチになってんじゃねぇよ⋯⋯内心舌打ちしながら、俺はしつこそーな男の首に腕を回し、「好き ♡」と囁いた。





次の日、朝起きて歯磨きをしていると、服の襟元からちらりと赤い痕が覗いているのを見つけ、愕然とした。思い当たる奴が1人しか居ない。


アイツ、だっっっっる~~~!


俺の怒りは、昼になっても治まらなかった。十中八九昨晩の男だろうと思って、アイツに「何これ?」って写真付きでLIMEしたら、言うに事欠いて「あ、残ってたの?嬉しい♡」とか返してきやがったのだ。マジで腹立つ。即ブロ即削除だわ!死ね!


講義中もずーっとイライラしていた俺は、偶然見つけた親友を捕まえ、ぐちぐち管を巻いていた。愚痴を聞いてもらう間にこいつが食べる飯は、ちゃんと俺の奢りだ。

「──ここ!ホラ!見て!!あいつ、キスマークつけんなって言ったのにつけやがったんだぜ?!」

しかもバッチリ見えるところに!

イライラしすぎて半泣きで泣きつく俺を、なずなは胸の中に抱き抱える。

「はいはい。かわいそうになー虫刺されとか言って絆創膏で隠しな、やるから。」

「うん⋯⋯貼るわ。ありがと」

絆創膏を貼り終えると、またなずなに抱きついた。背中さすられるの落ち着くー⋯⋯なずなに包容力がありすぎる⋯⋯ママかよ⋯⋯。

「先輩、何してるんですか」

そこに、サークルの後輩である涼見が通りがかった。俺たちの姿を認めたらしく、無表情のまま近づいてきた。

「俺、今傷心中で⋯⋯なずなに慰めてもらってる」

「⋯⋯俺も、慰めたいです。」

涼見と視線がかち合った。ふーん⋯⋯こいつ、俺に気があんの?あからさまで可愛い。押したらイケそうだし、ちょうど俺もイライラを発散したい気分だし⋯⋯よし、誘うか。

「ちひろ⋯⋯?お前、まさか──」
「場所移さない?⋯⋯涼見がちょっとそこで慰めてくれたら、俺、元気になるかも⋯⋯♡」
「はい、行きましょうか。」
「マジかよ⋯⋯」

ちょーっと涼見と近くのラブホに行って慰めてもらおうとしただけなのに、なずなに腕を掴まれる。揉めたとき空気悪くなるから、同じサークルの奴に手を出すなよ、ということか、何を考えているかとてもわかりやすくて良い⋯⋯確かに、同じサークルの後輩だと後腐れありそうで、面倒ではある。

「古賀先輩」

俺が快楽とその後の面倒さを天秤にかけていると、涼見が俺を制していたなずなの手を諌めるように掴んだ。すると、なずなは俺の腕にかける力を緩めた。急に拘束を緩めたなずなを不審に思っていると、涼見はくるっと振り返って「ちひろ先輩、とりあえずコンビニ寄っていきましょう、コンビニ」と俺の背中を押して急かした。

「そうだな♡」

俺は、涼見の腕に自分の腕を絡めると歩き出した。この時、既に俺の中の天秤はぽーんと飛んでいってしまっていた。所詮、俺は快楽主義者なのだ。


---------------------------------


「大丈夫⋯⋯じゃないよなぁ」
先程、腕を折られるのではないかというぐらいの力で自分の腕を掴んだ涼見の顔を思い出して震える。あれは、嫉妬と独占欲に塗れた男の顔だった。

「束縛系か⋯⋯ああいうの、ちひろが1番苦手な奴だろ⋯⋯」

掴まれた腕には、赤い手形がくっきりと残っていた。







ホテルの部屋に着くなり、涼見は俺にキスをかました。
急だな⋯⋯なんだ、初めてか?だったら申し訳ないな⋯⋯あからさまな誘いにホイホイ乗るから、勝手にこういうの慣れてるんだと思ってた。

「おい、そんなにがっつくなよ」

落ち着けるように、舌を絡ませ、撫でてやる。

「~~~っ!」

けれども、涼見は落ち着くどころかその動きは激しさを増し、2人の唾液が混ざりあって、口を離す度、いやらしい音を立てる。
頭を抱え、貪るようにキスをされるので、混ざった唾液が俺の喉に強制的に流し込まれていく。

「ん、ん゛~~~っ、んやっ、んむっ」

「ん、ちひろ先輩可愛い」

「涼見、1回待っぇ」

1度唇を離して涼見を止めようとすると、涼見はキスを辞めることを何かの合図ととったのか、俺を抱き抱えてベッドの上に運んだ。そして、そのままぽすんと落とされる。

前髪の中から覗く目と、目があった。──長めの髪に隠れてあんま見えなかったけど、よく見たら整った顔してるな⋯⋯綺麗系っていうか、美人っていうか⋯⋯見つめあったまま、数秒硬直した後、その顔が赤く緩んだ。

「可愛い⋯⋯♡」

あまりにも甘い声で、溶けるような熱視線を送りながら囁くので、少し居心地の悪さを感じる。しかし、奴はそんなこと意に介さず俺の頭にいくらかキスを落とす。
されるがままにキスを受け入れていた時、涼見の股間にテントが張っているのを見つけた。苦しそうだ。

「それ、舐めようか?」
「えっ?!」

あ、こういうの言わないほうがウブさをアピールできるんだっけ⋯⋯
まぁ、いいや。俺ウブじゃないし、涼見も心做しか嬉しそうだし。まぁ、俺も今日は早く入れてもらいたい気分だし⋯⋯♡
チャックを開け、パンツを下ろすと、緩やかに勃起した涼見のちんこが姿を表した。
わ、でっか⋯⋯
顔で感じる熱気と、オスの匂いに思わず発情しかけ、これで突かれることを想像して、腹が疼く。ダメだ。理性を失う前に、ちゃんと俺がリードしないと⋯⋯♡
とりあえず咥えて、いつものように舐める。涼見の反応を見ながら、反応が良かったところに舌を這わせたり、弄ってみたりする。
あ~早くケツに入れられたい♡このデカちんぽでぐちゃぐちゃに掻き回されたい♡♡

「きもちい?」
「っ、はい。とっても♡」

こちらの我慢も限界に達してきたので、後ろを解しにかかる。昨日もやってたので、おざなりにやってもある程度解れた。

口の中に柔く含み、舌で撫でる。そして気まぐれに唇で食むようににして、刺激を与えてやる。すると、熱が膨張してきたのを感じた。

「──っ!」

口の中に青苦い味が散った。
唾液ごと飲み込むと、ニヤリと笑い、既に準備が整った尻を凉見に向けた。

「⋯⋯後ろ、さっき我慢出来なくて、ちょっと弄っちゃった♡ね、早く入れて?」
「──っ、先輩っ!」

凉見が俺に覆い被さる。余裕なくて可愛い♡⋯⋯まぁ、俺も余裕ないんだけど。
俺は、そのまま柔らかいベッドに沈んだ。





「あ゛んっ♡そこぉ、あ゛ぁっ♡」

どれだけ時間が経っただろう。俺は、ぐしゃぐしゃに形崩れしたシーツの上で、獣のような声を出すことしか出来なくなっていた。
性器がぶるりと震え、また力なく精を吐き出す。

何回イったっけ⋯⋯?霞む頭でぼうっと考える。何回も果てる俺に対して、涼見は全然バテない。こちらはイったばかりだというのに、腹の奥を、確かな質量をもった怒張が突き上げる。

「──ッお゛」

その衝撃で、肺に溜まった空気が、強制的に吐き出された。与えられる快感が強すぎて息も上手く吸えない。俺に出来るのは、目の前の涼見に媚びて縋って、少しでも衝撃を逃がそうと足掻くことだけだった。涼見の細くて筋肉質な背中に手を回すと、それに応えるように、律動が早くなった。

「先輩、可愛い♡あは、先輩⋯⋯♡」

慰めのようにキスをされる。ただでさえ上手く息が吸えないのに、口が塞がれて苦しい。でも、頭がふわふわして気持ちいい。ダメだこれ、バカになる⋯⋯♡

「激し⋯⋯♡ぃお゛ッ、んっ」

首の辺りに吐息を感じながら果てた。視界の端で艶やかな黒髪が、肌をくすぐる。

するりと、首元に手が伸ばされたかと思えば、涼見の動きが急に止まった。何かが、剥がされた感触がした。

「⋯⋯は?⋯⋯なんですか、これ?」

動かされる指先は俺の首筋をなぞっており、心做しか、放たれた声が冷たい。その声音に何故か、腹の奥がざわりとした。急に涼見の態度が変わった理由も、今の違和感の正体も、回らない頭ではなにも考えられない。

「⋯⋯?んぇ?なにが?」

涼見はぼんやりとした俺を見て、笑った。何かを察して諦めたような、失望したような、乾いた笑いだった。

「⋯⋯はは、あー⋯⋯俺らってセフレなんですか?」

今更?なんだろう。俺、なんかした?長い前髪がかかって、涼見の顔も見えないから、全くその真意が掴めない。

「⋯⋯?うん」

前髪の奥で、涼見の顔が無感動に歪んだ。

「そっか」

体がひっくり返された。何をされるのかわからない。雰囲気は重苦しく、俺を締めあげようとしているようだった。不穏な空気から逃げようと身をよじると、涼見に強い力で押さえつけられた。見上げると、奴は綺麗な顔で笑っていた。じっとりとした汗で背中が湿る。

「⋯⋯じゃあ、今から恋人になれるように、頑張りますね。」

何言ってるんだ、俺は恋人なんか作らない。とりあえずその手を離せ。

言いたいことは沢山あったが、1つも言葉が出せなかった。
代わりに、乾いた息だけが吐き出された。







部屋には噎せるような熱気が充満していた。しかし、それすらぬるく感じるほど俺の体は熱く、ベッドの上にだれていた。

数本の指が腹の中でバラバラと動かされ、腸壁を押し広げる。その度に俺は、尻を突き出して、無様に快感を強請る。

「い゛っ♡いやっ、あぅ⋯⋯」
「先輩可愛い♡ふふ、挿入れて欲しい?」
「いっ、いれて、いれてほしい⋯⋯」

絶妙な物足りなさに、尻の中が切なく疼く。食いしばった口の端から、唾液が垂れる。イきたいのにイけない。もっと強く、乱暴にぐちゃぐちゃになりたい。涼見のちんこに思いっきり潰してほしい。もっと、もっと⋯⋯

「ふふ、じゃあ恋人になってくれますか?」

前立腺を指が掠った。

「ん゛っ」

涼見は俺の声を聞き漏らさなかった。腫れ上がった腹の中のしこりを指の腹で押しつぶされ、執拗にこねくり回されたかと思えば、尋問でもされるかのように、トントンと叩かれる。

「どうします?」
「あ゛ッ♡どぅっ⋯⋯っ♡、てぇ?」

頭の中がバチバチと甘く弾ける。頭の中は断続的に与えられる快感でいっぱいで、何も考えられない

「恋人になったら、ここ、いーっぱい突いて沢山イかせてあげますよ。イきたいですか?先輩?」

すりすりと腹の上を撫でられる。まるで、ここまで犯し尽くすといわれてるみたいで、その感触だけで中が収縮するのがわかった。

挿入れてほしい。抱き潰されてイきたい。涼見と恋人になったら、挿入れてもらえる、沢山イける、気持ちいいことでいっぱいに⋯⋯
脳に渦巻いた欲望が、口の先から言葉を紡ぐ。

「ぉれ、もっ、イきたい⋯⋯涼見の⋯⋯こ、こいびとになるっ、なるから⋯⋯お願いします。いれて下さい⋯⋯」

「わかりました。ちゃーんと言いましたからね?今更、嘘だなんて許さないから。甘くて激しい恋人セックスしましょうね♡」


尻が無造作に掴まれた。腹の中に触れる空気が冷たい。尻の穴は今から犯されることに対する期待感で、強請るように震えた。

「⋯⋯先輩って、ほんとクソビッチですね」

呆れたようなため息のあと、熱を持った性器があてられたかと思うと、一度に奥まで突き上げられた。

「いぎッ?!」

暴力的な刺激に、生温い快楽に漬かっていた身体が跳ねた。弓なりに腰を反らせ、快感を逃がそうとすると、体を押さえつけられた。逃げ場のない強い衝撃が、俺を殴る。

「ほら、中もぐちゃぐちゃに俺を受け入れてるし、なんなら、嬉しそうによがってる。」

「や、づよいぃ⋯⋯♡止めて⋯⋯あ゛ッ♡お゛ッ、お゛~~~ッ?」

シーツが、吐き出した唾液で汚れている。長いストロークで引き抜かれると、張り出したカリが、気持ちいいところ擦って、頭、おかしくなる⋯⋯♡

「ふふ♡ちひろ先輩っ、気持ちいい?」

ごつごつと貪るように奥を掘られる。
ただの物みたいに、無遠慮に犯されてる⋯⋯こんなの、痛いだけで気持ちよくないはず⋯⋯はずなのに、腹の中が痙攣を繰り返して止まない。快楽を逃がすためだけの、汚い声しか出せない。靄がかかったみたいに、頭が回らない。何も、考えられない。黙っていると、答えを急かすように奥の膜がノックされた。

「お゛ッ?!──いぎッ♡き、気持ちい、きもちいから──んぐッ♡や、やめて、それ」

少し、突かれるだけで身体が跳ねる。まだ、知らない。その中に割り入られたら、どうなるかわからない。怖い。

「可愛い♡必死に抵抗してる⋯⋯♡ねぇ、ここ、誰も入ったことないですよね?俺が初めて?」 

「──そ、だからっ⋯⋯やめてっ、ん゛ぉっ♡やだ、やだぁ♡」

柔く突かれる度、少しずつ肉の壁が涼見を受け入れるように開いていく。つぷ、と音を立てて、腹の奥が暴かれる感覚がした。

「──はッ」

空の息だけが吐き出された。腹の奥にみちみちと詰まった圧迫感が苦しい。奥の部屋でちんこを出し入れされると、脳が焼ききれてしまいそうな程強い快感に襲われる。頭の中がバチバチして、涼見の声も遠くで聞こえる。

「先輩、可愛い♡トんでるの?ふふ、ほんと可愛い⋯⋯♡先輩は俺のものだから。ね?ずっと一緒だよ?」

頭が回らないから、俺はその言葉を享受することしかできない。体のどこにも力が入らないので、ただ、涼見の目をぼーっと見つめる。ふいに、涼見の顔が寄せられたかと思うと、首元に鋭い痛みが走った。顔をあげる。
「──っ」
涼見の艶やかな黒い瞳は、俺だけをじっと見つめていた。

──もう、逃げられないんだ。
首元の赤い痕が、鈍く傷んだ。





END
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