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休戦は突然に
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1章
長い長い戦いが終わった。
ララン地方の帰属を巡る、アレグリア帝国とルルタ帝国の長きにわたる戦いは結局休戦という中途半端な幕切れを迎えた。
長きにわたった戦争は、多くの英雄を生んだ。
アレグリア帝国では、サリエー将軍率いる黒色騎士団がその勇猛果敢な攻めで、ルルタ帝国の兵士を震え上がらせた。
一方、ルルタ帝国ではルミナリア将軍率いる白色剣士団が多くのアレグリア兵を血祭りにあげた。
なかでも、戦場を駆け抜ける戦姫として、黒色騎士団のシュリエル団長が、アレグリアでは士気高揚の女神として、ルルタ帝国では死体を引き回す冷徹な魔女として、崇められ、畏怖の象徴となった。
2章
シュリエルは血みどろになった甲冑を地面にかなぐり捨てた。
伝令が休戦を伝えるために、馬で駆け回っていた。いつから戦いはじめたのか、その記憶すらおぼろげだ。死んだ仲間、殺した敵は数知れず。
結局は、両帝国の王同士が戦いが長引くことで引き起こされる物価の高騰や、息子・娘が兵士に取られることに我慢ならなくなった民衆の怒りを恐れて、自らの権力基盤が揺らぐ前に手を打っただけのことだった。
ララン地方は、たしかに魅力的な資源に溢れている。しかし、この戦争で死んだ仲間こそ、帝国発展の第一の資源として、重宝されるべきであったのだ。
シュリエルは、休戦の鐘の音が響きわたるなか、仲間と敵の屍の血をたらふく吸った荒野の土の上にへたりこんだ。
長く美しい銀髪が土に汚れるのも気にせず、刃の欠けた剣でかろうじて身を支える。
何人も殺したこの剣。それも無駄なことだったのだ。途方もない絶望感にシュリエルはただただ虚ろな目を太陽が沈み行く地平線に向けることしかできなかった。
長い長い戦いが終わった。
ララン地方の帰属を巡る、アレグリア帝国とルルタ帝国の長きにわたる戦いは結局休戦という中途半端な幕切れを迎えた。
長きにわたった戦争は、多くの英雄を生んだ。
アレグリア帝国では、サリエー将軍率いる黒色騎士団がその勇猛果敢な攻めで、ルルタ帝国の兵士を震え上がらせた。
一方、ルルタ帝国ではルミナリア将軍率いる白色剣士団が多くのアレグリア兵を血祭りにあげた。
なかでも、戦場を駆け抜ける戦姫として、黒色騎士団のシュリエル団長が、アレグリアでは士気高揚の女神として、ルルタ帝国では死体を引き回す冷徹な魔女として、崇められ、畏怖の象徴となった。
2章
シュリエルは血みどろになった甲冑を地面にかなぐり捨てた。
伝令が休戦を伝えるために、馬で駆け回っていた。いつから戦いはじめたのか、その記憶すらおぼろげだ。死んだ仲間、殺した敵は数知れず。
結局は、両帝国の王同士が戦いが長引くことで引き起こされる物価の高騰や、息子・娘が兵士に取られることに我慢ならなくなった民衆の怒りを恐れて、自らの権力基盤が揺らぐ前に手を打っただけのことだった。
ララン地方は、たしかに魅力的な資源に溢れている。しかし、この戦争で死んだ仲間こそ、帝国発展の第一の資源として、重宝されるべきであったのだ。
シュリエルは、休戦の鐘の音が響きわたるなか、仲間と敵の屍の血をたらふく吸った荒野の土の上にへたりこんだ。
長く美しい銀髪が土に汚れるのも気にせず、刃の欠けた剣でかろうじて身を支える。
何人も殺したこの剣。それも無駄なことだったのだ。途方もない絶望感にシュリエルはただただ虚ろな目を太陽が沈み行く地平線に向けることしかできなかった。
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