泉の精の物語〜創生のお婆ちゃん〜

足助右禄

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勇者

巨人の里

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フランシス達はトコヤミに送らせた。
これで巨人達の事を出来る時間は作れた。

だがその前に話しておかなければならない事がある。

「みんな、勝手に決めてしまってごめんなさい」

特にセロ、リン、ミラには申し訳ない事をしてしまった。

「気にしないでください。俺はこれで良かったと思ってます」
「そうだよ。私達だってメイちゃんがやられて怒ってるんだから」
「私も同じ気持ちです。ハルさん達がライアッド王国と敵対するのならお供します」

三人は冒険者でいられなくなっても私達の味方をしてくれると言ってくれた。

「みんな……ごめんなさい。私が迂闊な事をしたから」

芽依はフランシスの前に飛び出した事を失敗だったと後悔している。

「それは違うよ。メイさんはハルさんを守ろうとしたんだから間違った事はしていない」
「セロさんの言う通りです。本来なら一番頑丈な私が盾にならなくちゃいけなかったのに」

そう言うエレだが、あなたにも無茶をして欲しくないわ。

「芽依、あなたは私を庇ってくれたのだから誰も責めたりしないわ。それから、ありがとう。でもあまり無茶をしないでね」

俯いている芽依の頭を撫でる。

「うん……気を付けるよ」

芽依は元気がない。

「あなたのせいで戦争になるわけではないのよ。もしこれで本当にライアッドと戦う事になるとしたら、それは避けられない出来事だった筈だわ。だからもう気にしないで」
「うん……」

あの国王が見立て通りの賢明な男なら迂闊な決断はしないだろう。

あとは私達がフランシスを捕らえていると思い込んでいる冒険者達についてだ。ここを早く離れなければヨアンが連れて来てしまうだろう。

まずは巨人の領域に向かおうか。

「そういえばあなたの名前は?」
『おれはガンド、ザムドの子ガンドです』

私達のやり取りを静かに見ていたガンドは跪いて名乗った。

「ガンドね。あなた以外の巨人は何処かに集まっているの?」
『領域の端に身を寄せています』
「ではそこに連れて行ってもらえるかしら?」
『はい』

ガンドの案内で森の奥へと向かう事になった。冒険者達に追いつかれてもやっかいだ。私達はカクカミに乗せてもらい移動する事にする。

『俺が蹴散らしてきましょうか?』

メトが聞いてくる。

「いいえ、出来れば彼らとは戦いたくないの」

彼らは同じ冒険者。向こうがどう思おうが仲間なのだ。出来るだけ殺したくはない。
彼らを殺めてしまったらギルドに戻る事は出来なくなってしまう。
これ以上セロ達に迷惑は掛けられないし、何より芽依がそれを望んでいない。

今回は巨人を退かせる程の竜が相手になるのだからカクカミ、メト、颯太、カナエにはこのまま同行してもらう。

森の木々は半島に近付くにつれ高さを増し、森も深くなっていく。
半島の入り口は岩山で覆われており天然の要害となっていた。
半島は標高が高くなっていて切り立った崖になっているそうだ。

巨人の様な大型の生物か空を飛んで行かなければ半島に入るのは難しいだろう。

逆に言えば外に出る事も難しい土地でありガンドの言った盟約もある為、巨人達は住処を追われても領域内に留まる事しか出来ないでいる。

ガンドについて岩山を越えると、そこには険しい山と森林が広がっていた。
森の木々の高さはフランシスと戦った場所とは比べものにならないほど高く、三十メートルはあるのではないだろうか。
幹も凄まじく太い立派な木だ。

『もうすぐ仮の住まいです』

ガンドは前を歩きながら私達に告げてくる。

少しすると木々の間に大きな布が見えてくる。
テントだろうか。巨人の用のものなので、キャンプ等で使うテントというよりはサーカスのテントだ。これでも彼らにとっては小さなテントなのだろう。

『まずは父に会ってもらえますか?』
「ええ」

テントは全部で四つ、ガンドはその内の一番奥にある一際大きなテントへと私達を案内した。
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