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特別編2:神様はじめました
卓球と宴会
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初めはぎこちなく打ち合っていた2人だけど、身体能力の高い2人は飲み込みも早かった。
「なるほどな。木の板に柔らかい布を張り付けて勢いを殺し易くしているのか…」
「球は小さくて軽いんだねー。中身は空気ー?」
クロウさんとアリソンさんも興味深そうに見ている。
そういえばアスティアにはスポーツって無いよね。
「よし、大体コツが掴めたぞ。ダキア、勝負といこうか。私が勝ったら酒を奢ってもらおう」
「いいぜ。俺が勝ったらルーティアの奢りだな」
「いいだろう!」
ダキアさんがサーブを打って開始。
今さっき始めたばかりの人達の動きじゃないよ…。
「温泉卓球のレベルじゃないわね」
「オリンピックに出れそう」
リオさんとソラちゃんは驚いているのか呆れているのか、微妙な表情で2人のラリーを見ていた。
宿の人達も集まってきた。
それで大変な事に気づいてしまった。
そういえばルーティアさんは耳が出たままだし、リリエンタのみんなも、尻尾は隠れてるけどケモミミがそのままだ。
「リオさん……」
「確かにそれはマズいわね。幻覚魔法で人間の耳に変えておきましょう」
リオさんに相談したらその場で《イリュージョンディスガイズ》という魔法を掛けて耳を人間のものに偽装してくれた。
初めの方に来ていた従業員の人は少し不審に思ったかもしれないけど、見間違いだと思ってくれたみたい。
危ない危ない…こういうウッカリは気を付けないとね。
卓球の方は白熱した試合が続いているけど、ルーティアさんの方がリードしている。
「どうした?自慢の筋肉もこの卓球という競技には役にたたない様だな?」
「まだまだだ!」
ダキアさんは力任せにボールを打っている様に見えるけどしっかり相手コートに入れている辺りコントロールはしてるみたい。
対するルーティアさんは強弱を付けて際どいコースに打ち返す事でダキアさんを前後左右に揺さぶっていた。
長いラリーが続いては点が入りを繰り返していたけど、ルーティアさんの勝利で試合終了。
「私の勝ちだな!」
息を弾ませて言うルーティアさん。
「ちっ…仕方ねえ、負けは負けだ!」
ダキアさんは悔しそうだけど、2人とも満足そうだった。
「じゃあ、約束通りダキアの奢りだぞ」
「わーってるよ!」
「あの、ルーティアさん。言いにくい事なんですけど…」
「どうしたんだい?」
「日本では未成年者はお酒飲めないんですよ」
「私は子供じゃないぞ!」
「それを証明できるものがないと、どう見ても…」
外国からの旅行者ならパスポートを持っているのが当たり前だけど、ルーティアさん達は持っていない。
「つまり私はこちらの酒は飲めないという事か…?」
「はい…」
「そんな…」
余程楽しみにしていたんだろう、ルーティアさんは項垂れていた。
「決まり事なら仕方ねぇな。オレンジジュースでいいか?」
そう言いながら頭をポンポンするダキアさん。
「覚えてろよ…」
涙を浮かべながら呟くルーティアさん。
そんなに飲みたかったの…?
何だか可哀想なのでアスティアに持って行こう。
他のみんなも卓球をやりたがっていたけどご飯の時間なので、後でやる事になった。
畳敷きの広間には御膳の上に料理が並んでいてみんな好きな所に座っていく。
飲み物をそれぞれで注文して行き渡ったところで乾杯をして食事が始まる。
ダキアさん達は日本酒を飲んでみたかったらしく、早速料理を食べながら一緒に飲んでいる。
ルーティアさんはそれを恨めしげに見ながらジュースをちびちびと飲んでいた。
「明日はリオさんの実家ですね」
「ええ」
リオさんは気乗りしない感じだ。
「ユキを後押しした以上リオも行かなきゃダメだよ?」
「わかってるわよ」
「何か心配な事があるんですか?」
どうしてもと言うなら無理強いしなくても良いと思う。
「私、親と喧嘩して家を出てるのよ。今更帰って、なんて言われるかと思ったら気が重くて」
「生きてるだけで嬉しいと思いますよ」
「ミナやユキの所はそうだったけど、ウチは違うと思うのよね」
「行ってみなくちゃ分からないよ」
ソラちゃんが後押ししてくれる。
「ええ。だから明日は行くわ」
「はい」
リオさんには弟がいるらしく、5年経っているなら大学受験のはずだと言っていた。
「邪魔しちゃ悪いから短時間で済ませようと思うのよ」
「それは別に良いと思いますけど、リオさんはそれで良いんですか?」
「きっと私の失敗のせいで弟には迷惑を掛けているはずだから」
リオさんには何やら思い当たる節があるみたい。
料理も美味しくいただく事ができたけど、ダキアさんとソラちゃんが「足りない」って言い出したので追加で何品か作ってもらった。
食べる専門のソラちゃんとお酒のツマミに料理を平らげていくダキアさん。
見てるだけでお腹いっぱいになりそうだよ。
「たっきゅーやりたいです」
「いいわよ。教えてあげる」
4姉妹がリオさんに話しかけている。
リオさんはリリエンタのみんなと卓球を教えにいくみたい。
「私もいくぞ!ここにいたら我慢できなくなりそうだ」
そう言って勢いよく立ち上がり、リオさん達について行くルーティアさん。
日本酒を初めて飲んだ人達は、思いの外お酒が強かったらしく、既にかなり酔っ払っていた。
アリソンさんの浴衣が…。
「アリソンさん、はだけてますよ」
近寄って行って浴衣を直してあげる。
「ミナちゃーん。こっちに連れて来てくれてありがとねー!」
抱きつかれてそのまま押し倒された。
「アリソンさん、危ないですよ…って、寝てる!?」
アリソンさんってお酒弱くなかったと思うんだけど…。
取り敢えずアリソンさんを除けて…って、外れない…。
私の事を抱き枕代わりに気持ち良さそうに寝ているアリソンさん。
…どうしよう。
「ソラちゃーん、たすけてー」
「ん、もう少し待ってて」
食べる事に夢中なソラちゃんは意外と薄情だった。
まあ、ちょっと苦しいだけで困る事はないからいいけどね。
「なるほどな。木の板に柔らかい布を張り付けて勢いを殺し易くしているのか…」
「球は小さくて軽いんだねー。中身は空気ー?」
クロウさんとアリソンさんも興味深そうに見ている。
そういえばアスティアにはスポーツって無いよね。
「よし、大体コツが掴めたぞ。ダキア、勝負といこうか。私が勝ったら酒を奢ってもらおう」
「いいぜ。俺が勝ったらルーティアの奢りだな」
「いいだろう!」
ダキアさんがサーブを打って開始。
今さっき始めたばかりの人達の動きじゃないよ…。
「温泉卓球のレベルじゃないわね」
「オリンピックに出れそう」
リオさんとソラちゃんは驚いているのか呆れているのか、微妙な表情で2人のラリーを見ていた。
宿の人達も集まってきた。
それで大変な事に気づいてしまった。
そういえばルーティアさんは耳が出たままだし、リリエンタのみんなも、尻尾は隠れてるけどケモミミがそのままだ。
「リオさん……」
「確かにそれはマズいわね。幻覚魔法で人間の耳に変えておきましょう」
リオさんに相談したらその場で《イリュージョンディスガイズ》という魔法を掛けて耳を人間のものに偽装してくれた。
初めの方に来ていた従業員の人は少し不審に思ったかもしれないけど、見間違いだと思ってくれたみたい。
危ない危ない…こういうウッカリは気を付けないとね。
卓球の方は白熱した試合が続いているけど、ルーティアさんの方がリードしている。
「どうした?自慢の筋肉もこの卓球という競技には役にたたない様だな?」
「まだまだだ!」
ダキアさんは力任せにボールを打っている様に見えるけどしっかり相手コートに入れている辺りコントロールはしてるみたい。
対するルーティアさんは強弱を付けて際どいコースに打ち返す事でダキアさんを前後左右に揺さぶっていた。
長いラリーが続いては点が入りを繰り返していたけど、ルーティアさんの勝利で試合終了。
「私の勝ちだな!」
息を弾ませて言うルーティアさん。
「ちっ…仕方ねえ、負けは負けだ!」
ダキアさんは悔しそうだけど、2人とも満足そうだった。
「じゃあ、約束通りダキアの奢りだぞ」
「わーってるよ!」
「あの、ルーティアさん。言いにくい事なんですけど…」
「どうしたんだい?」
「日本では未成年者はお酒飲めないんですよ」
「私は子供じゃないぞ!」
「それを証明できるものがないと、どう見ても…」
外国からの旅行者ならパスポートを持っているのが当たり前だけど、ルーティアさん達は持っていない。
「つまり私はこちらの酒は飲めないという事か…?」
「はい…」
「そんな…」
余程楽しみにしていたんだろう、ルーティアさんは項垂れていた。
「決まり事なら仕方ねぇな。オレンジジュースでいいか?」
そう言いながら頭をポンポンするダキアさん。
「覚えてろよ…」
涙を浮かべながら呟くルーティアさん。
そんなに飲みたかったの…?
何だか可哀想なのでアスティアに持って行こう。
他のみんなも卓球をやりたがっていたけどご飯の時間なので、後でやる事になった。
畳敷きの広間には御膳の上に料理が並んでいてみんな好きな所に座っていく。
飲み物をそれぞれで注文して行き渡ったところで乾杯をして食事が始まる。
ダキアさん達は日本酒を飲んでみたかったらしく、早速料理を食べながら一緒に飲んでいる。
ルーティアさんはそれを恨めしげに見ながらジュースをちびちびと飲んでいた。
「明日はリオさんの実家ですね」
「ええ」
リオさんは気乗りしない感じだ。
「ユキを後押しした以上リオも行かなきゃダメだよ?」
「わかってるわよ」
「何か心配な事があるんですか?」
どうしてもと言うなら無理強いしなくても良いと思う。
「私、親と喧嘩して家を出てるのよ。今更帰って、なんて言われるかと思ったら気が重くて」
「生きてるだけで嬉しいと思いますよ」
「ミナやユキの所はそうだったけど、ウチは違うと思うのよね」
「行ってみなくちゃ分からないよ」
ソラちゃんが後押ししてくれる。
「ええ。だから明日は行くわ」
「はい」
リオさんには弟がいるらしく、5年経っているなら大学受験のはずだと言っていた。
「邪魔しちゃ悪いから短時間で済ませようと思うのよ」
「それは別に良いと思いますけど、リオさんはそれで良いんですか?」
「きっと私の失敗のせいで弟には迷惑を掛けているはずだから」
リオさんには何やら思い当たる節があるみたい。
料理も美味しくいただく事ができたけど、ダキアさんとソラちゃんが「足りない」って言い出したので追加で何品か作ってもらった。
食べる専門のソラちゃんとお酒のツマミに料理を平らげていくダキアさん。
見てるだけでお腹いっぱいになりそうだよ。
「たっきゅーやりたいです」
「いいわよ。教えてあげる」
4姉妹がリオさんに話しかけている。
リオさんはリリエンタのみんなと卓球を教えにいくみたい。
「私もいくぞ!ここにいたら我慢できなくなりそうだ」
そう言って勢いよく立ち上がり、リオさん達について行くルーティアさん。
日本酒を初めて飲んだ人達は、思いの外お酒が強かったらしく、既にかなり酔っ払っていた。
アリソンさんの浴衣が…。
「アリソンさん、はだけてますよ」
近寄って行って浴衣を直してあげる。
「ミナちゃーん。こっちに連れて来てくれてありがとねー!」
抱きつかれてそのまま押し倒された。
「アリソンさん、危ないですよ…って、寝てる!?」
アリソンさんってお酒弱くなかったと思うんだけど…。
取り敢えずアリソンさんを除けて…って、外れない…。
私の事を抱き枕代わりに気持ち良さそうに寝ているアリソンさん。
…どうしよう。
「ソラちゃーん、たすけてー」
「ん、もう少し待ってて」
食べる事に夢中なソラちゃんは意外と薄情だった。
まあ、ちょっと苦しいだけで困る事はないからいいけどね。
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