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セ○クスしないと出られない部屋にノンケ球児2人詰め込んでみました〜3日目〜
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目を覚ました瞬間、まず思ったのは、「ああ、またか」だった。
下半身がスースーする。
ちんこがむき出しになってるのがわかる。
手を伸ばして確認するまでもなく、今日もパンツはない。
だけど、それ以上に気持ち悪いのが、昨日同様、脱いでベッドの脇に放っておいたはずのスパイク、ソックス、アンダーシャツが、完璧に装着されてるってことだった。
「……マジで、どうなってんだよ……」
小さくつぶやいて、シーツをめくる。
ちんこ丸出しで、アンダーはびっしょりと肌に貼りついてて、ソックスの中には昨日の汗が乾いておらず、むわっと蒸れてる。
「ぅ~わ、キッモ……!」
康平の声が、ベッドの向こうから聞こえてきた。
「やっぱ今日もか……スパイク履かされて、パンツだけなし。誰の趣味やねん、マジで」
「康平、なんか、紙ある……」
ベッドの中央に、一枚の紙が置いてあった。
A4サイズ、白紙に黒文字で、機械的に印刷された文字列。
『この部屋から出る方法はただひとつ。セックスを完了させること。』
初日、壁に貼られてたのと──全く同じ文面。
今度は、堂々とベッドの上。目覚めた瞬間に見える場所に、はっきり置かれていた。
そして、ベッドの上には、昨日まで棚にあったものがあった。
そう、オレンジキャップのローション。
無言のまま、俺と康平はその二つを交互に見た。
「……やっぱ、"ケツ"に“突っ込む”って意味だよな……“セックス”って……」
「まぁ……そやろな。挿れる、ってことやろな」
「はぁ……俺のチンコを……康平のケツに……ありえねぇ……」
「はぁ!?アホ!なんでそうなんねん!?」
康平が飛び跳ねるようにしてベッドから立ち上がった。
「いやいやいや、俺、無理やで!? 入れられるとか、ほんまに無理!」
「俺だって無理だかんな! 童貞なんだぞ、俺!童貞捨てる前に入れられろってか!?」
「じゃあ聞くけどな、勇人……お前、男で童貞捨ててええんか!? 人生それでええんか!?」
「いやでもっ……ケツに挿れられるよりは絶対マシ……」
「俺もやわ!! お前みたいな巨根にケツぶち抜かれたら、俺、マジで死ぬからな!? 笑いごとちゃうぞ!マジでな、ほんまに死ぬからな!」
「ローションあるし、なんとかなるだろ!? これ使えばいいって、お前が言ってたじゃん!」
「いやいやいやいや!! ローションって、魔法ちゃうねん!! 滑りゃええって問題ちゃう!!」
康平はローションをベッドに放り投げた。
とろりとした中身が、ボトルの中で鈍く波打つ。
「俺は、女には散々挿れてきたんや! 慣れとるから、こっちに任せろ!」
「……はぁ!?無理無理無理! こっちは挿れられ慣れてねーから!」
「だから、優しくしたるって。挿れる。俺が、お前のケツに──」
「絶対イヤだ!!お前がケツだせ!」
「無理無理!ケツ裂けてまうやろ!」
声が重なって、ぶつかって、二人して立ったまま睨み合う。
どっちも譲らない。
どっちも、引く気はゼロ。
しばらく、無言のにらみ合い。
息だけが、荒くなっていく。
だけど不意に、ふたりとも、黙り込んだ。
なんか、疲れた。
怒鳴って、主張して、拒絶して、感情をぶつけ合って、
その末に待ってるのが“セックスしないと出られない”っていう、このバカみたいな現実。
その紙が、ベッドの上に、ただ静かに横たわってる。
「……マジで、どうすんだよ、これ……」
俺がボソッと呟くと、康平も同じように、ふぅ、と長いため息を吐いた。
何も決まらなかった。
誰も折れなかった。
でも、時間だけは、また進んでいく。
ベッドの上に置かれた紙のことは、もう見たくなかった。
でも視界から外しても、内容は頭から離れてくれなかった。
「セックスしないと、この部屋から出られない」
誰が書いたんだよ。
なんのために。
そもそも、何の意味があるんだよ。
……考えても、答えなんて出るわけなかった。
また、棚の方へ行って、菓子パンを取る。
今日はチョコチップ入りのスティックパン。正直、もう飽きた。
でも、腹が減ってるのはどうにもならない。口に突っ込む。
甘ったるさと、唾液の少なさで、パサついたまま胃に落ちていく。
康平も、ミルク蒸しパンをもそもそ食べていた。
なんとなく、それぞれ別の方向を向いて、無言で食った。
それから、ふたりでまた部屋を歩きまわる。
スパイクの底が、床にぺたぺたと鳴る。
壁に手を当てて押してみたり、天井を見上げてジャンプしてみたり、ベッドの裏を覗いてみたり。
……でも、何もなかった。
昨日と同じ。
それ以上に、“なさすぎる”。
何の反応もない壁。
何の音もしない天井。
そして、俺たちを試すように置かれたローションのボトル。
何も変わらない時間。
でも、確実に“何か”を求めてるような、この空間。
そんなときだった。
「……なぁ」
康平がぽつりと言った。
「俺、シコってくるから、こっち見んなよ」
「……は?」
「だから、シコる。オナニーや。出すねん、精子。限界や。もう3日も抜いてへん。そら溜まるやろ、フツー」
「いや、いやいやいやいや。は?」
「この部屋しかないんやから、できるだけ端っこ寄ってやる。見んといてや」
「ちょ、マジで意味わかんねぇって!」
俺が止める間もなく、康平はひらりと身を翻して、壁際へと歩いていった。10メートルぐらい先、部屋の端。
そして、壁に背中を向けて、スポッと座り込む。
背中がちょっと丸まって、小さくなった。
……野郎のオナニーなんか、見たって仕方ない。
俺はベッドに腰を下ろして、壁のほうを見た。
何もない、真っ白な壁。
それ以外の情報はない。
でも、音だけは、聞こえてくる。
スパイクを脱いだあと、康平の足音はほとんどなかったのに、
今は、何もしてないはずなのに、その向こうから
「……はぁ……っ、はぁ……」
康平の、荒い息が聞こえる。
その後に、くちゅ、くちゅ、くちゅ……水を揉むような、生々しい音が響いた。
「っ、あ……っ、は……」
小さいけど、はっきりとした声だった。
声を押し殺してるのが逆にリアルで、どういうふうに手が動いてるか、想像してしまう。
なんだこれ。
なんだこれ、マジで、なんなんだよ。
意味が、わからない。
──なのに。
……むくり。
俺の股間が、反応した。
ちんこが、ぴくんと脈打つのが、分かる。
どうして、こんな音に……こんな状況で……。
拳をギュッと握りしめる。
でも、音は続いていた。
「……っ、ん、ん……はぁ……ぁ……っ」
男の声。
間違いなく、康平の声。
今、ここで──壁際で──こいつが抜いてる、その音。
「っ、ん……くぅ……はっ……んぁ……っ」
ひく、ひく、っと喉を震わせてるみたいな、情けない声。
部活のときの康平じゃ考えられない、まるで別人みたいな。
それが、くちゅくちゅとチンコをさする音といっしょに、部屋の真ん中を這うように響いてくる。
頭では否定してるのに、体は勝手に反応していた。
むずむずして、下腹が熱い。
視線は壁に向けてるのに、脳内では想像がどんどん勝手に再生されていく。
「っ……くそ……」
俺は背を向けた。
ベッドの端、できるだけ壁際。
視界に康平を入れないように、うつ伏せ気味で、ゆっくりと手を伸ばす。
そして──
くち……っ、にち……っ、ぬちゅ……っ
指先が、熱を帯びた俺のチンコに触れた瞬間、ビクッと跳ねて、自己主張してきた。
「……はぁっ……」
くそ、なんで、なんで俺もムラムラしてんだよ。
こんな状況で。なんで。
でも、止まらない。
手が勝手に動く。
ぬちゅ、くちゅ、ちゅっ……ぐちゅ……っ
やたら敏感だった。気持ちよかった。
3日ぶりの刺激は、すぐに全身を熱くして、腰の奥からゾワゾワしたもんがこみ上げてくる。
「はぁ……っ、んっ、く……ぁ……っ」
あれ?
今の、俺の声か? 康平の声か?
わからない。
もう、部屋中に、ふたつの吐息が重なって渦巻いてる。
くちゅ……ぬちゅ……ぬりゅ……ぬちっ……ぐちゅ、ぐちゅ……!
粘っこい音が、皮膚と指の間で鳴ってる。
それが気持ち悪いのに、気持ちいい。
ぬるぬるして、ぬちょぬちょで、ぐじゅぐじゅで、もう、頭がどうにかなりそうだった。
「……あっ、くっ、や……っ、んっ……はっ……はぁ……っ、くぅ……っ!」
喘ぎ声が、反響して戻ってくる。
康平の吐息と混ざって、どっちがどっちかわからない。
ただ、射精までのカウントダウンが、どんどん早くなっていく。
ぬちゅっ、ぬりゅっ、くちゅくちゅっ……!
「っ、んあっ……やっ、やば、……あっ、イク……っ!」
その瞬間。
どくん……!
体の奥から、熱がせり上がってきて、腰が跳ねて、白濁が、ぴゅっ、ぴゅっ、と床に散った。
「……っはぁ……ぁ……はっ……!」
呼吸が荒い。
心臓が暴れてる。
そして、手のひらが──べったべた。
「……っ、うわ、……マジか……」
しばらく放心したあと、慌てて周りを見回す。
……当然、ない。ティッシュも、ハンカチも。
「っ……くそ……じゃあ……」
仕方なく、アンダーシャツを脱ぐ。
もう、どうせ汗まみれだったし、匂いもひどかった。
それで……一滴ずつ、
俺の手と、ちんこと、ベッドに飛んだやつを、ぬぐっていく。
ぬちょ……ぺた……くちゅ……ぬり……
「……はぁ……はぁ……」
拭きながら、
罪悪感でもない、後悔でもない、何とも言えない気分が、胸の奥にじわじわ滲んできた。
そんな俺の耳に、ぺた……ぺた……と、床を踏む音が届いた。
振り返ると、康平が立っていた。
スパイクを脱いで裸足になった足。
そこから伸びたすらっとした脚。
長身の彼の、陰影の落ちたちんこ。
そして、その右手には、糸を引いた白濁が、べっとりと絡んでいた。
「……なぁ」
康平が、いつもより少し声を落として言った。
「お前、どうやって拭い……ああ、アンシャツ使ったんか」
俺が使い終わって丸めたアンダーシャツに目をやって、康平も一言呟いたあと、自分のアンダーシャツを脱いだ。
その布で、手のひらをぬぐう。
ぬちゅ……と音がして、粘ついた精液が繊維に吸い込まれていく。
続いて、下腹、股のつけ根、陰毛に引っかかった白濁。
ちんこにも一瞬触れながら、淡々と拭っていく姿を、俺はなぜか──じっと、目を逸らせずに見つめてしまっていた。
動作が終わると、康平はため息をひとつついて、ボトルの水を少し飲んだ。
「……今日はもう、寝てまう?」
「……そだな」
自然な流れで、素っ裸になり、ふたりともベッドに向かった。
昨日と同じ。
いや──昨日よりも、もっと“何か”がこびりついてる気がした。
部屋の空気に、うっすらと精液の香りが漂っている。
乾ききっていない粘りの気配。
顔をしかめながら、それでも素っ裸でベッドに潜り込む。
もう羞恥心とか、あんまりよく分かんなくなってきた。
康平が枕を抱きしめながら、ぽつりと言った。
「……ほんま、どないしよか」
「……いや、それな」
「ってかさ、お前もシコりだすとは思わんかったわ」
「……俺だって、溜まってたんだよ」
「ははっ、まぁ、3日抜いてないって条件は一緒やしな」
条件は、一緒。そう、言葉では、そうだった。
でも、それは、本当に“同じ”なんだろうか?
康平は、自分の欲に正直だった。
さらっと「シコる」って言って、何の迷いもなく抜いた。
俺は、少し違う。
康平の声を聞いて、音を聞いて、気づけば勝手に手が動いてた。
なんだか、「やらされた」ような気分になってた。
同じようで、少し違う。
でも、その「違い」が、なんなのかは……今の俺には、うまく言葉にできなかった。
ベッドの上で、目を閉じる。
真っ白な天井の残像が、瞼の裏にじわっと滲んで、どこか、遠くから聞こえる康平の寝息が、さっきの喘ぎ声と、ゆっくりと、混ざっていった。
下半身がスースーする。
ちんこがむき出しになってるのがわかる。
手を伸ばして確認するまでもなく、今日もパンツはない。
だけど、それ以上に気持ち悪いのが、昨日同様、脱いでベッドの脇に放っておいたはずのスパイク、ソックス、アンダーシャツが、完璧に装着されてるってことだった。
「……マジで、どうなってんだよ……」
小さくつぶやいて、シーツをめくる。
ちんこ丸出しで、アンダーはびっしょりと肌に貼りついてて、ソックスの中には昨日の汗が乾いておらず、むわっと蒸れてる。
「ぅ~わ、キッモ……!」
康平の声が、ベッドの向こうから聞こえてきた。
「やっぱ今日もか……スパイク履かされて、パンツだけなし。誰の趣味やねん、マジで」
「康平、なんか、紙ある……」
ベッドの中央に、一枚の紙が置いてあった。
A4サイズ、白紙に黒文字で、機械的に印刷された文字列。
『この部屋から出る方法はただひとつ。セックスを完了させること。』
初日、壁に貼られてたのと──全く同じ文面。
今度は、堂々とベッドの上。目覚めた瞬間に見える場所に、はっきり置かれていた。
そして、ベッドの上には、昨日まで棚にあったものがあった。
そう、オレンジキャップのローション。
無言のまま、俺と康平はその二つを交互に見た。
「……やっぱ、"ケツ"に“突っ込む”って意味だよな……“セックス”って……」
「まぁ……そやろな。挿れる、ってことやろな」
「はぁ……俺のチンコを……康平のケツに……ありえねぇ……」
「はぁ!?アホ!なんでそうなんねん!?」
康平が飛び跳ねるようにしてベッドから立ち上がった。
「いやいやいや、俺、無理やで!? 入れられるとか、ほんまに無理!」
「俺だって無理だかんな! 童貞なんだぞ、俺!童貞捨てる前に入れられろってか!?」
「じゃあ聞くけどな、勇人……お前、男で童貞捨ててええんか!? 人生それでええんか!?」
「いやでもっ……ケツに挿れられるよりは絶対マシ……」
「俺もやわ!! お前みたいな巨根にケツぶち抜かれたら、俺、マジで死ぬからな!? 笑いごとちゃうぞ!マジでな、ほんまに死ぬからな!」
「ローションあるし、なんとかなるだろ!? これ使えばいいって、お前が言ってたじゃん!」
「いやいやいやいや!! ローションって、魔法ちゃうねん!! 滑りゃええって問題ちゃう!!」
康平はローションをベッドに放り投げた。
とろりとした中身が、ボトルの中で鈍く波打つ。
「俺は、女には散々挿れてきたんや! 慣れとるから、こっちに任せろ!」
「……はぁ!?無理無理無理! こっちは挿れられ慣れてねーから!」
「だから、優しくしたるって。挿れる。俺が、お前のケツに──」
「絶対イヤだ!!お前がケツだせ!」
「無理無理!ケツ裂けてまうやろ!」
声が重なって、ぶつかって、二人して立ったまま睨み合う。
どっちも譲らない。
どっちも、引く気はゼロ。
しばらく、無言のにらみ合い。
息だけが、荒くなっていく。
だけど不意に、ふたりとも、黙り込んだ。
なんか、疲れた。
怒鳴って、主張して、拒絶して、感情をぶつけ合って、
その末に待ってるのが“セックスしないと出られない”っていう、このバカみたいな現実。
その紙が、ベッドの上に、ただ静かに横たわってる。
「……マジで、どうすんだよ、これ……」
俺がボソッと呟くと、康平も同じように、ふぅ、と長いため息を吐いた。
何も決まらなかった。
誰も折れなかった。
でも、時間だけは、また進んでいく。
ベッドの上に置かれた紙のことは、もう見たくなかった。
でも視界から外しても、内容は頭から離れてくれなかった。
「セックスしないと、この部屋から出られない」
誰が書いたんだよ。
なんのために。
そもそも、何の意味があるんだよ。
……考えても、答えなんて出るわけなかった。
また、棚の方へ行って、菓子パンを取る。
今日はチョコチップ入りのスティックパン。正直、もう飽きた。
でも、腹が減ってるのはどうにもならない。口に突っ込む。
甘ったるさと、唾液の少なさで、パサついたまま胃に落ちていく。
康平も、ミルク蒸しパンをもそもそ食べていた。
なんとなく、それぞれ別の方向を向いて、無言で食った。
それから、ふたりでまた部屋を歩きまわる。
スパイクの底が、床にぺたぺたと鳴る。
壁に手を当てて押してみたり、天井を見上げてジャンプしてみたり、ベッドの裏を覗いてみたり。
……でも、何もなかった。
昨日と同じ。
それ以上に、“なさすぎる”。
何の反応もない壁。
何の音もしない天井。
そして、俺たちを試すように置かれたローションのボトル。
何も変わらない時間。
でも、確実に“何か”を求めてるような、この空間。
そんなときだった。
「……なぁ」
康平がぽつりと言った。
「俺、シコってくるから、こっち見んなよ」
「……は?」
「だから、シコる。オナニーや。出すねん、精子。限界や。もう3日も抜いてへん。そら溜まるやろ、フツー」
「いや、いやいやいやいや。は?」
「この部屋しかないんやから、できるだけ端っこ寄ってやる。見んといてや」
「ちょ、マジで意味わかんねぇって!」
俺が止める間もなく、康平はひらりと身を翻して、壁際へと歩いていった。10メートルぐらい先、部屋の端。
そして、壁に背中を向けて、スポッと座り込む。
背中がちょっと丸まって、小さくなった。
……野郎のオナニーなんか、見たって仕方ない。
俺はベッドに腰を下ろして、壁のほうを見た。
何もない、真っ白な壁。
それ以外の情報はない。
でも、音だけは、聞こえてくる。
スパイクを脱いだあと、康平の足音はほとんどなかったのに、
今は、何もしてないはずなのに、その向こうから
「……はぁ……っ、はぁ……」
康平の、荒い息が聞こえる。
その後に、くちゅ、くちゅ、くちゅ……水を揉むような、生々しい音が響いた。
「っ、あ……っ、は……」
小さいけど、はっきりとした声だった。
声を押し殺してるのが逆にリアルで、どういうふうに手が動いてるか、想像してしまう。
なんだこれ。
なんだこれ、マジで、なんなんだよ。
意味が、わからない。
──なのに。
……むくり。
俺の股間が、反応した。
ちんこが、ぴくんと脈打つのが、分かる。
どうして、こんな音に……こんな状況で……。
拳をギュッと握りしめる。
でも、音は続いていた。
「……っ、ん、ん……はぁ……ぁ……っ」
男の声。
間違いなく、康平の声。
今、ここで──壁際で──こいつが抜いてる、その音。
「っ、ん……くぅ……はっ……んぁ……っ」
ひく、ひく、っと喉を震わせてるみたいな、情けない声。
部活のときの康平じゃ考えられない、まるで別人みたいな。
それが、くちゅくちゅとチンコをさする音といっしょに、部屋の真ん中を這うように響いてくる。
頭では否定してるのに、体は勝手に反応していた。
むずむずして、下腹が熱い。
視線は壁に向けてるのに、脳内では想像がどんどん勝手に再生されていく。
「っ……くそ……」
俺は背を向けた。
ベッドの端、できるだけ壁際。
視界に康平を入れないように、うつ伏せ気味で、ゆっくりと手を伸ばす。
そして──
くち……っ、にち……っ、ぬちゅ……っ
指先が、熱を帯びた俺のチンコに触れた瞬間、ビクッと跳ねて、自己主張してきた。
「……はぁっ……」
くそ、なんで、なんで俺もムラムラしてんだよ。
こんな状況で。なんで。
でも、止まらない。
手が勝手に動く。
ぬちゅ、くちゅ、ちゅっ……ぐちゅ……っ
やたら敏感だった。気持ちよかった。
3日ぶりの刺激は、すぐに全身を熱くして、腰の奥からゾワゾワしたもんがこみ上げてくる。
「はぁ……っ、んっ、く……ぁ……っ」
あれ?
今の、俺の声か? 康平の声か?
わからない。
もう、部屋中に、ふたつの吐息が重なって渦巻いてる。
くちゅ……ぬちゅ……ぬりゅ……ぬちっ……ぐちゅ、ぐちゅ……!
粘っこい音が、皮膚と指の間で鳴ってる。
それが気持ち悪いのに、気持ちいい。
ぬるぬるして、ぬちょぬちょで、ぐじゅぐじゅで、もう、頭がどうにかなりそうだった。
「……あっ、くっ、や……っ、んっ……はっ……はぁ……っ、くぅ……っ!」
喘ぎ声が、反響して戻ってくる。
康平の吐息と混ざって、どっちがどっちかわからない。
ただ、射精までのカウントダウンが、どんどん早くなっていく。
ぬちゅっ、ぬりゅっ、くちゅくちゅっ……!
「っ、んあっ……やっ、やば、……あっ、イク……っ!」
その瞬間。
どくん……!
体の奥から、熱がせり上がってきて、腰が跳ねて、白濁が、ぴゅっ、ぴゅっ、と床に散った。
「……っはぁ……ぁ……はっ……!」
呼吸が荒い。
心臓が暴れてる。
そして、手のひらが──べったべた。
「……っ、うわ、……マジか……」
しばらく放心したあと、慌てて周りを見回す。
……当然、ない。ティッシュも、ハンカチも。
「っ……くそ……じゃあ……」
仕方なく、アンダーシャツを脱ぐ。
もう、どうせ汗まみれだったし、匂いもひどかった。
それで……一滴ずつ、
俺の手と、ちんこと、ベッドに飛んだやつを、ぬぐっていく。
ぬちょ……ぺた……くちゅ……ぬり……
「……はぁ……はぁ……」
拭きながら、
罪悪感でもない、後悔でもない、何とも言えない気分が、胸の奥にじわじわ滲んできた。
そんな俺の耳に、ぺた……ぺた……と、床を踏む音が届いた。
振り返ると、康平が立っていた。
スパイクを脱いで裸足になった足。
そこから伸びたすらっとした脚。
長身の彼の、陰影の落ちたちんこ。
そして、その右手には、糸を引いた白濁が、べっとりと絡んでいた。
「……なぁ」
康平が、いつもより少し声を落として言った。
「お前、どうやって拭い……ああ、アンシャツ使ったんか」
俺が使い終わって丸めたアンダーシャツに目をやって、康平も一言呟いたあと、自分のアンダーシャツを脱いだ。
その布で、手のひらをぬぐう。
ぬちゅ……と音がして、粘ついた精液が繊維に吸い込まれていく。
続いて、下腹、股のつけ根、陰毛に引っかかった白濁。
ちんこにも一瞬触れながら、淡々と拭っていく姿を、俺はなぜか──じっと、目を逸らせずに見つめてしまっていた。
動作が終わると、康平はため息をひとつついて、ボトルの水を少し飲んだ。
「……今日はもう、寝てまう?」
「……そだな」
自然な流れで、素っ裸になり、ふたりともベッドに向かった。
昨日と同じ。
いや──昨日よりも、もっと“何か”がこびりついてる気がした。
部屋の空気に、うっすらと精液の香りが漂っている。
乾ききっていない粘りの気配。
顔をしかめながら、それでも素っ裸でベッドに潜り込む。
もう羞恥心とか、あんまりよく分かんなくなってきた。
康平が枕を抱きしめながら、ぽつりと言った。
「……ほんま、どないしよか」
「……いや、それな」
「ってかさ、お前もシコりだすとは思わんかったわ」
「……俺だって、溜まってたんだよ」
「ははっ、まぁ、3日抜いてないって条件は一緒やしな」
条件は、一緒。そう、言葉では、そうだった。
でも、それは、本当に“同じ”なんだろうか?
康平は、自分の欲に正直だった。
さらっと「シコる」って言って、何の迷いもなく抜いた。
俺は、少し違う。
康平の声を聞いて、音を聞いて、気づけば勝手に手が動いてた。
なんだか、「やらされた」ような気分になってた。
同じようで、少し違う。
でも、その「違い」が、なんなのかは……今の俺には、うまく言葉にできなかった。
ベッドの上で、目を閉じる。
真っ白な天井の残像が、瞼の裏にじわっと滲んで、どこか、遠くから聞こえる康平の寝息が、さっきの喘ぎ声と、ゆっくりと、混ざっていった。
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