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セ○クスしないと出られない部屋にノンケ球児2人詰め込んでみました〜2日目〜
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目が覚めた瞬間、まず思ったのは、妙に下半身がスースーするってことだった。
シーツの冷たさが、肌に直接当たってる。いや、正確には──尻に当たってる。
それがやたらリアルで、ちょっとした違和感が、まるで警報みたいに俺の脳を叩き起こした。
「……っ!?」
跳ね起きて、慌てて下を見た。
パンツが、ない。
履いてたはずの、唯一の布きれ──あのトランクスが、 スパっと消えていた。
でも、もっと意味わかんないのは、昨日ベッドの脇に脱ぎ捨てたはずのアンダーシャツが戻ってきてること。
腕に、脇に、またあのじっとり貼りつくやつがぴったりと張りついてる。
アンダーだけじゃない。ソックスも、スパイクも、ジャストサイズで履かされてる。
俺の体は、頭から臍、膝下からつま先までは、完璧に野球部仕様なのに、その間、パンツだけが忽然と消失してた。
「え、は……?」
混乱してる俺の耳に、ガサガサと音がして、隣で康平が起き上がる気配がした。
「……うわ、さみぃ……ん……? ん?」
そのまま数秒、静寂。
「ちょ、おい勇人……」
康平の声が、なぜかやたら素っ頓狂だった。
「……いや、お前もか?」
「え?」
振り返って見れば、康平も同じだった。
上半身にはしっかりアンダーがフィットしてて、スパイクまで履いてるのに、
腰から下──というか、膝上10センチぐらいまではツルンと無防備。
ボクサーパンツがない。つまり、ちんこ丸出し。
「……なんで、こんな事になってんの……?」
「……いや、俺に聞くなや……!」
お互い、一瞬だけ目が合って、
すぐに視線を逸らした。
「てか、アンダー着せられてるし……昨日脱いだよな?絶対」
「脱いだ脱いだ……俺、あのとき確か、パンツ以外は全部脱いだ記憶あるわ……」
「じゃあ、なんでこれ着てて、パンツだけないんだよ……意味わかんなすぎ……」
「いやほんまに、誰がそんなイタズラ仕掛けんねん……」
言いながら、ふたりとも立ち上がった。
でも、パンツがない状態で立ち上がるって、想像以上にヤバい。
ちんこが、ユニの裾から完全にぶら下がってる。
康平は立って伸びをしながら、俺の方を見た。
そして、次の瞬間。
「……てか、お前、ちんこ、アホみたいにでかいな。タッパはないのに」
「……はぁ!?」
あまりに唐突なセリフに、俺は反射的にちんこを手で隠した。
「な、なに言ってんだよ、お前、バカ!」
「いや、いやいやいや、マジで。ちょっとびびるくらいあるで、それ。太さも長さも、ほんまエグい。いや、ええことやと思うけどな」
康平がニヤニヤしながらこっちを見る。
その視線が、妙にチンコの方を意識してる気がして、余計にムズムズした。
「うっせーな……」
「てか、アレやな……お前、顔はちょっと幼い系やん? 普通に、童顔っていうか……それでそのでっかいチンコのギャップはえぐいわ」
「……見るなよ!」
「いや、見えるやろが。隠しきれてへんねんて、そのサイズ……てか、包茎なんやな」
「……お前っ……!」
こっちは恥ずかしさで顔真っ赤なのに、康平はまったく気にしてない様子だった。
逆に、気になって見てしまった。
康平のそれは、少し小ぶり。
形は綺麗で、皮も剥けてて、ムダに整ってるっていうか、
長身のわりに控えめで、ちょっと猿っぽい顔とのギャップがある。
「……お前、彼女いるくせに、ちんこちっせーのな」
そう言ってやると、康平は「は?」って顔をして、
すぐにクッと笑った。
「ははっ、いや、別に不自由してへんし。てか、女ってそんなん気にせえへんで」
「……マジで?」
「マジや。まぁ、使い方次第ってとこやろなぁ」
俺はますます顔が火照って、再び布団を引き寄せて下半身を隠した。
なんかもう、いろいろと見られた気がして、ていうか、俺も見たし、あっちも見たし、変な空気というか、変に“知り合ってしまった感”があった。
「……あ、ちょっとうんこしてくるわ」
康平がぽつりと言って、スッと立ち上がった。
ユニの裾がひらっとなって、またあのケツが見える。こいつ、完全に開き直ってやがる。
「お前、絶対近づくなよ。マジで。うんこやから」
「いや、こっちが近づきたくねーわ」
軽く言い返してやったけど、康平は肩をすくめただけで、スタスタとベッドから数メートル離れたトイレへ向かっていった。
無防備な背中。
でかい体格に、無理なく着こなされたアンダーシャツ。
でも尻は丸出しで。
スパイクは履いたまま、裸足じゃないのがなんか余計に変な感じがする。
高身長で、肩幅もあって、骨格ががっしりしてて、顔はどっちかというと猿っぽい。
俺とは全然タイプが違うな、って思った。
でも、一つ、同じところがある。
刈りたての坊主頭。
ベッドに座ったまま、俺は自分の頭をそっと触った。
じょりじょり、ちくちく。手のひらに感じる抵抗。
たった数ミリしかないはずの髪が、妙に存在感を持って主張してくる。
思い出す。
ここに来た日の、前日。
夕方、部活終わり。
監督の掛け声で、部員全員、理容室に連れてかれて──みんなで、五厘刈り。
来週から、いよいよ夏の大会が始まる。
気合い入れるぞ!っていう、恒例の儀式だった。
俺も康平も、あのとき同じバリカンで刈られて、同じようにちくちく頭を手で撫でて、笑ってた。
なのに、なんで今、俺たち、こんなとこにいるんだよ?
気づいたら、俺は立ち上がってた。
ふらふらと、康平のほうへ歩いていた。
スパイクのソールが、ツルツルの白い床をぺたりぺたりと叩く。
便座に座る、康平の真ん前。
「……なぁ、康平」
「っおい、はあ!? お前、なんで来とんねん!」
「いや……ちょっと、考えててさ。……来週、もう大会だよな。このままだと……やばくね?」
便器に腰かけた康平が、びくっと体を硬直させるのが分かった。
「……いや、まぁ……せやけど。てかお前、空気読め!今うんこ中やっちゅーねん!」
「でも、ほんとに……このままじゃマジで……俺ら、試合出られないまま終わるぞ」
「いや、わかっとる! わかっとるけど……!」
康平が顔をこちらに向ける。
いつもみたいな余裕はなかった。
眉間にしわ寄せて、頬をちょっと赤くして、真剣な顔して怒ってる。
「お前、マジで……なに、言いたいん? 俺とセックスでもすんのか!? 今!? この、訳のわからん部屋で!?」
「……いや、そうじゃなくて……!」
言いかけて、言葉が詰まる。
そうじゃない。そういうつもりじゃない。
「……あっち行け!マジで、見んな、頼むから!」
康平が本気でキレそうな声を上げる。
俺はやっと我に返って、慌てて一歩下がった。
「……わ、わかった、悪かった!もう行くから!」
ぱたぱたと足音を立てて、ベッドまで戻る。
さっきより、なぜか心臓がドクドク鳴ってる。
マジで、なにやってんだ、俺。
ベッドに腰を下ろして、ちんこを隠すように膝を抱えた。
**
その後しばらくして、俺もトイレに行った。
妙な解放感。
ぜんぶが、昨日までの“日常”とは遠くて、なんか、現実感がなかった。
それからふたりで、また棚の菓子パンをひとつずつ手に取って、モソモソと食う。
味は、覚えてない。もうどうでもよかった。
昨日よりマシになったかって言われたら、何ひとつ改善してない。
逆に、パンツがなくなった分だけ、状況は悪化してた。
「……なぁ」
パンを飲み込んでから、俺はぽつりと訊ねた。
「俺たち、ここに来てから2日目……ってことでいいのか?」
「……わっからへん」
康平は、水のボトルを手に取って、ちびちび飲みながら首をかしげた。
「時計もなーんもないし、窓もないし、外の音もせーへんしな。
でもまぁ、野球部生活で叩き込まれた俺の体内時計が正しいなら、たぶん2日目ちゃうか」
「……じゃあ、あれか。大会まで、あと4日」
「多分な。もし出るなら、前日には絶対出なあかんやろ。朝8時には会場おらなあかんねんから」
俺はそれを聞いて、心の中でカウントダウンが始まるのを感じた。
大会まであと、4日。
今日が2日目なら、明日で3日目。
そして4、5……その次が大会初日。
でも、今のままじゃ、どう考えても間に合わない。
というか、出られる見込みも何もない。
「……やっぱ、なんか……出る方法、探した方がよくね?」
「お前、昨日も言うてたやん。それでなんもなかったやろ」
「でも……!」
俺は立ち上がって、壁まで歩いていった。
そして、拳で──
ごつんっ!
思い切って叩いた。
けど、響かない。まったく軋まない。
ただ、冷たくて、硬い。
「……やめとけやめとけ。お前、怪我すんで」
康平の声が後ろから響く。
優しさというより、あきらめに近い響きだった。
俺は、拳をゆっくり下ろして、そのまま背を壁に預けた。
……くそ。
怒りとか、不安とか、焦りとか、羞恥とか、ぜんぶが腹の奥に溜まっていく。
それをどうにもできないから、俺たちはこうして、またベッドに戻るしかなかった。
「……なあ」
ベッドに座りながら、康平がぽつりと言った。
「寝るってなったら、今日もユニ脱ぐよな。汗で臭いし、ベッドも汚れるし」
「……でも、それ、パンツもねーし……丸裸じゃん……」
「いや、もう、今さらやろ」
康平は言いながら、すでにアンダーシャツを脱ぎかけていた。
ちょっと面倒くさそうに、インナーを体から剥がして、バリッと脱ぐ。
その下から出てきた肌は、野球焼けの跡がくっきり残ってて、腹筋もうっすら割れてた。
「……あんまこっち見んなや」
「見るつもりなくても、見えんだよ……」
俺も、しぶしぶ立ち上がって、アンダーを脱ぐ。
脱いだ瞬間、空気が当たってゾワッと鳥肌が立った。
ソックスとスパイクも外すと、もう、全裸だった。
康平と、ベッドの両側から、無言で入り込む。
最初の夜よりも、ちょっとだけ近くに感じる気がした。
全裸で、無音の白い部屋で、二人きり。
それなのに、俺たちは、野球部の朝みたいな無言の空気の中、何も言わずに、ただ布団に身体を沈めた。
恥ずかしいのに、疲れてる。
見られたくないのに、目を閉じたくなる。
知らなかったはずのことが、今日だけで、いっぱい見えてしまった気がする。
「……なぁ、勇人」
「ん……?」
「起きたら、パンツ戻ってるとええな」
「……うん。マジで、どこいったんだよ、パンツ……」
そう言いながら、目を閉じた。
真っ白な天井は、やっぱり今日も、なんのヒントもくれなかった。
シーツの冷たさが、肌に直接当たってる。いや、正確には──尻に当たってる。
それがやたらリアルで、ちょっとした違和感が、まるで警報みたいに俺の脳を叩き起こした。
「……っ!?」
跳ね起きて、慌てて下を見た。
パンツが、ない。
履いてたはずの、唯一の布きれ──あのトランクスが、 スパっと消えていた。
でも、もっと意味わかんないのは、昨日ベッドの脇に脱ぎ捨てたはずのアンダーシャツが戻ってきてること。
腕に、脇に、またあのじっとり貼りつくやつがぴったりと張りついてる。
アンダーだけじゃない。ソックスも、スパイクも、ジャストサイズで履かされてる。
俺の体は、頭から臍、膝下からつま先までは、完璧に野球部仕様なのに、その間、パンツだけが忽然と消失してた。
「え、は……?」
混乱してる俺の耳に、ガサガサと音がして、隣で康平が起き上がる気配がした。
「……うわ、さみぃ……ん……? ん?」
そのまま数秒、静寂。
「ちょ、おい勇人……」
康平の声が、なぜかやたら素っ頓狂だった。
「……いや、お前もか?」
「え?」
振り返って見れば、康平も同じだった。
上半身にはしっかりアンダーがフィットしてて、スパイクまで履いてるのに、
腰から下──というか、膝上10センチぐらいまではツルンと無防備。
ボクサーパンツがない。つまり、ちんこ丸出し。
「……なんで、こんな事になってんの……?」
「……いや、俺に聞くなや……!」
お互い、一瞬だけ目が合って、
すぐに視線を逸らした。
「てか、アンダー着せられてるし……昨日脱いだよな?絶対」
「脱いだ脱いだ……俺、あのとき確か、パンツ以外は全部脱いだ記憶あるわ……」
「じゃあ、なんでこれ着てて、パンツだけないんだよ……意味わかんなすぎ……」
「いやほんまに、誰がそんなイタズラ仕掛けんねん……」
言いながら、ふたりとも立ち上がった。
でも、パンツがない状態で立ち上がるって、想像以上にヤバい。
ちんこが、ユニの裾から完全にぶら下がってる。
康平は立って伸びをしながら、俺の方を見た。
そして、次の瞬間。
「……てか、お前、ちんこ、アホみたいにでかいな。タッパはないのに」
「……はぁ!?」
あまりに唐突なセリフに、俺は反射的にちんこを手で隠した。
「な、なに言ってんだよ、お前、バカ!」
「いや、いやいやいや、マジで。ちょっとびびるくらいあるで、それ。太さも長さも、ほんまエグい。いや、ええことやと思うけどな」
康平がニヤニヤしながらこっちを見る。
その視線が、妙にチンコの方を意識してる気がして、余計にムズムズした。
「うっせーな……」
「てか、アレやな……お前、顔はちょっと幼い系やん? 普通に、童顔っていうか……それでそのでっかいチンコのギャップはえぐいわ」
「……見るなよ!」
「いや、見えるやろが。隠しきれてへんねんて、そのサイズ……てか、包茎なんやな」
「……お前っ……!」
こっちは恥ずかしさで顔真っ赤なのに、康平はまったく気にしてない様子だった。
逆に、気になって見てしまった。
康平のそれは、少し小ぶり。
形は綺麗で、皮も剥けてて、ムダに整ってるっていうか、
長身のわりに控えめで、ちょっと猿っぽい顔とのギャップがある。
「……お前、彼女いるくせに、ちんこちっせーのな」
そう言ってやると、康平は「は?」って顔をして、
すぐにクッと笑った。
「ははっ、いや、別に不自由してへんし。てか、女ってそんなん気にせえへんで」
「……マジで?」
「マジや。まぁ、使い方次第ってとこやろなぁ」
俺はますます顔が火照って、再び布団を引き寄せて下半身を隠した。
なんかもう、いろいろと見られた気がして、ていうか、俺も見たし、あっちも見たし、変な空気というか、変に“知り合ってしまった感”があった。
「……あ、ちょっとうんこしてくるわ」
康平がぽつりと言って、スッと立ち上がった。
ユニの裾がひらっとなって、またあのケツが見える。こいつ、完全に開き直ってやがる。
「お前、絶対近づくなよ。マジで。うんこやから」
「いや、こっちが近づきたくねーわ」
軽く言い返してやったけど、康平は肩をすくめただけで、スタスタとベッドから数メートル離れたトイレへ向かっていった。
無防備な背中。
でかい体格に、無理なく着こなされたアンダーシャツ。
でも尻は丸出しで。
スパイクは履いたまま、裸足じゃないのがなんか余計に変な感じがする。
高身長で、肩幅もあって、骨格ががっしりしてて、顔はどっちかというと猿っぽい。
俺とは全然タイプが違うな、って思った。
でも、一つ、同じところがある。
刈りたての坊主頭。
ベッドに座ったまま、俺は自分の頭をそっと触った。
じょりじょり、ちくちく。手のひらに感じる抵抗。
たった数ミリしかないはずの髪が、妙に存在感を持って主張してくる。
思い出す。
ここに来た日の、前日。
夕方、部活終わり。
監督の掛け声で、部員全員、理容室に連れてかれて──みんなで、五厘刈り。
来週から、いよいよ夏の大会が始まる。
気合い入れるぞ!っていう、恒例の儀式だった。
俺も康平も、あのとき同じバリカンで刈られて、同じようにちくちく頭を手で撫でて、笑ってた。
なのに、なんで今、俺たち、こんなとこにいるんだよ?
気づいたら、俺は立ち上がってた。
ふらふらと、康平のほうへ歩いていた。
スパイクのソールが、ツルツルの白い床をぺたりぺたりと叩く。
便座に座る、康平の真ん前。
「……なぁ、康平」
「っおい、はあ!? お前、なんで来とんねん!」
「いや……ちょっと、考えててさ。……来週、もう大会だよな。このままだと……やばくね?」
便器に腰かけた康平が、びくっと体を硬直させるのが分かった。
「……いや、まぁ……せやけど。てかお前、空気読め!今うんこ中やっちゅーねん!」
「でも、ほんとに……このままじゃマジで……俺ら、試合出られないまま終わるぞ」
「いや、わかっとる! わかっとるけど……!」
康平が顔をこちらに向ける。
いつもみたいな余裕はなかった。
眉間にしわ寄せて、頬をちょっと赤くして、真剣な顔して怒ってる。
「お前、マジで……なに、言いたいん? 俺とセックスでもすんのか!? 今!? この、訳のわからん部屋で!?」
「……いや、そうじゃなくて……!」
言いかけて、言葉が詰まる。
そうじゃない。そういうつもりじゃない。
「……あっち行け!マジで、見んな、頼むから!」
康平が本気でキレそうな声を上げる。
俺はやっと我に返って、慌てて一歩下がった。
「……わ、わかった、悪かった!もう行くから!」
ぱたぱたと足音を立てて、ベッドまで戻る。
さっきより、なぜか心臓がドクドク鳴ってる。
マジで、なにやってんだ、俺。
ベッドに腰を下ろして、ちんこを隠すように膝を抱えた。
**
その後しばらくして、俺もトイレに行った。
妙な解放感。
ぜんぶが、昨日までの“日常”とは遠くて、なんか、現実感がなかった。
それからふたりで、また棚の菓子パンをひとつずつ手に取って、モソモソと食う。
味は、覚えてない。もうどうでもよかった。
昨日よりマシになったかって言われたら、何ひとつ改善してない。
逆に、パンツがなくなった分だけ、状況は悪化してた。
「……なぁ」
パンを飲み込んでから、俺はぽつりと訊ねた。
「俺たち、ここに来てから2日目……ってことでいいのか?」
「……わっからへん」
康平は、水のボトルを手に取って、ちびちび飲みながら首をかしげた。
「時計もなーんもないし、窓もないし、外の音もせーへんしな。
でもまぁ、野球部生活で叩き込まれた俺の体内時計が正しいなら、たぶん2日目ちゃうか」
「……じゃあ、あれか。大会まで、あと4日」
「多分な。もし出るなら、前日には絶対出なあかんやろ。朝8時には会場おらなあかんねんから」
俺はそれを聞いて、心の中でカウントダウンが始まるのを感じた。
大会まであと、4日。
今日が2日目なら、明日で3日目。
そして4、5……その次が大会初日。
でも、今のままじゃ、どう考えても間に合わない。
というか、出られる見込みも何もない。
「……やっぱ、なんか……出る方法、探した方がよくね?」
「お前、昨日も言うてたやん。それでなんもなかったやろ」
「でも……!」
俺は立ち上がって、壁まで歩いていった。
そして、拳で──
ごつんっ!
思い切って叩いた。
けど、響かない。まったく軋まない。
ただ、冷たくて、硬い。
「……やめとけやめとけ。お前、怪我すんで」
康平の声が後ろから響く。
優しさというより、あきらめに近い響きだった。
俺は、拳をゆっくり下ろして、そのまま背を壁に預けた。
……くそ。
怒りとか、不安とか、焦りとか、羞恥とか、ぜんぶが腹の奥に溜まっていく。
それをどうにもできないから、俺たちはこうして、またベッドに戻るしかなかった。
「……なあ」
ベッドに座りながら、康平がぽつりと言った。
「寝るってなったら、今日もユニ脱ぐよな。汗で臭いし、ベッドも汚れるし」
「……でも、それ、パンツもねーし……丸裸じゃん……」
「いや、もう、今さらやろ」
康平は言いながら、すでにアンダーシャツを脱ぎかけていた。
ちょっと面倒くさそうに、インナーを体から剥がして、バリッと脱ぐ。
その下から出てきた肌は、野球焼けの跡がくっきり残ってて、腹筋もうっすら割れてた。
「……あんまこっち見んなや」
「見るつもりなくても、見えんだよ……」
俺も、しぶしぶ立ち上がって、アンダーを脱ぐ。
脱いだ瞬間、空気が当たってゾワッと鳥肌が立った。
ソックスとスパイクも外すと、もう、全裸だった。
康平と、ベッドの両側から、無言で入り込む。
最初の夜よりも、ちょっとだけ近くに感じる気がした。
全裸で、無音の白い部屋で、二人きり。
それなのに、俺たちは、野球部の朝みたいな無言の空気の中、何も言わずに、ただ布団に身体を沈めた。
恥ずかしいのに、疲れてる。
見られたくないのに、目を閉じたくなる。
知らなかったはずのことが、今日だけで、いっぱい見えてしまった気がする。
「……なぁ、勇人」
「ん……?」
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