アングレカム

むぎ

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出会い

13 Side櫂斗

Side櫂斗

寮に戻った俺は、悶々とベッドに寝そべり過ごしていた。
今でも、出会った瞬間の高揚感と番の可愛さは忘れられない。
ただ、目の前で冷たくなっていく体温も脳裏から離れないのだ。

妹を失った時と似ていた。まだ、繋がりが絶たれた感じはなく、彼は生きているのだろう。
それにはホッとするものの、どうも落ち着かずにザワザワとした心のまま過ごしていた。

Piriririri
電話が鳴り、相手を見ると父からであった。珍しいと思いながらも電話を取る。
「もしもし、櫂斗です。父さん、お久しぶりです。」
「ああ、元気か?」
「はい、ご心配なく。」
「そうか。櫂斗、今日あった事を話しなさい。」
その言葉を聞いた瞬間に、何故、父が知っているのかと凍りついた。
いくらなんでも、知られるのが早すぎる。

「何故知っているのか、と思ってるのだろう。相手のご家族と知り合いでね。先程連絡があったのだ。」
そうなのかと思い、運命の番と出会った事、しかし、目の前で心停止となり蘇生を行った事、すぐに離れ離れになった為、白屋に聞いた名前しか知らない事を伝える。

「そうか…。そんな事が。
月見里の方から櫂斗に頼みがあると電話が来てね。
どうやら、番の子は心臓が悪いらしい。治療を受けたらしいが、病状が安定しないみたいでね。櫂斗が良ければ、学校外の時間を、彼と過ごしてほしいそうだ。
お前はどうしたい?番とは言え、ひと目見ただけの他人だ。生活を犯してまで付き添う必要は無いと私は考えている。」
「いえ、俺は側にいたいです。ひと目しか見ていませんが、運命というだけの結びつきですが、俺は彼と一緒にいたい。
学園への口添えをお願い出来ますか。卒業式には影響を与えないと約束しますので。」

「お前ならそう言うと思ったよ。大事にしてやりなさい。病院と病室を聞いておいた。ああ、突然入室すると何か影響があるかもしれん。ナースステーションで確認してからにしなさい。いいね?」
自分自身も運命の番での結婚をしている父だ。番の引力は1番理解しているだろう。
「はい、ありがとうございます。」

ピッと電話を切り、病院に泊まる準備をする。
制服も持っていって、向こうで準備して登校すれば問題ない。
3日分の着替えがあればクリーニングなどで着回し出来るだろうとボストンバックに詰め込む。


携帯を開き、生徒会のグループを開くと
『お疲れ。俺は事情により、授業及び卒業式準備以外は学園外にいる。要件のあるものは、メールで送ってくれ。緊急のもののみ電話を受け付ける。』
と、一言残して急いで病院へと向かった。
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