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「馬鹿になんてするつもりなんてなかったのだけれど、ソフィアが負い目を感じて傷つくこともあるかもしれないと、距離を取ってしまったの……実家とも友人とも距離を取ったソフィアは……夫に責められ、一人寂しく死んでいったのかと思うと……」
お母様のために泣いてくれる人がいる。
「一人じゃないです。私を幼い時に育ててくれたマーサがいました。それに……私も……」
ジョアン様がハッとして顔を上げる。
「そうね、そうだわ。ソフィアは一人じゃなかったわね。生まれてきてありがとう。ソフィアを一人にしないでくれて」
今度は私が涙を落とす番だ。
生まれてきて……ありがとうなんて。
「私……私が生まれたせいで、お母様は……」
私を産まなければお母様は死ななかったんじゃないかって。
私が金髪でさえいればお母様は死ななかったんじゃないかって。
私がいなければ……と。
「違うわ。ソフィアはそんな子じゃない。あなたの母ソフィアは、自分の命よりも愛する子供の命を取る女性よ?それに、必死に浮気はしていないと主張したのも、もちろん自分が浮気をしたことを否定する気持ちもあったでしょうが、あなたが父親に認めてもらえないということを心配してのことのはず」
そうだ。確かに日記にもあった。はずなのに……。私は……。
「ソフィアはヴァイオレットの幸せを何より望んでいるはずよ」
そうだ。私は、お母様のためにも幸せにならないと。
「お願いします。ジョアン様。私はあの家を出ます。華族となる人たちと、貧しいながらも慎ましく愛のある家庭を築いて生きていきたいのです」
ジョアン様は、私の再度の訴えに、うんと頷いた。
「分かったわ」
優しく頭を撫でられる。
お母様に撫でられているような錯覚を受けた。
「ではいろいろと確認させてちょうだい。子爵家から籍を抜いてしまってもいいのね?」
「はい」
「では名前は?改名もすることができるわよ?」
名前……。
「ヴァイオレッタは……お母様がつけてくださった名前……」
でも、社交界でヴァイオレッタの名前は悪評が立ちすぎている。
そして、この先もっと悪く言われることになる。
「そうね……ソフィアがあなたに残した大切なものね」
ジョアン様の言葉に首を振る。
「いいえ、お母様が残してくださったのは名前だけではありません。だから……新しい名前を……」
お母様の本には、生まれてくる私への愛をたくさんつづってあった。
そう、女の子が生まれたら、どんな名前を付けようかと。いくつかの候補が書いてあった。その一つに。
「お母様は、日記に名前の候補をいくつか書いていました。その一つに……アンナと」
庶民によくある名前がどうしてと日記を読んだときには首を傾げたけれど。今なら分かる。
「お母様はジョアン様の名前の一部を……名前として付けたかったのではないかと……」
私の言葉に、ジョアン様が、再び泣き出した。
「ソフィア……」
お母様の名を呼びながら。そして、ハンカチで涙をぬぐうと私の顔を見た。
「そう、だったら、あなたの新し名前はソフィアンナではどうかしら?」
「ソフィアンナ……」
お母様の名前とジョアン様の名前二つをいただくなんて……。
「いいんですか?私、気に入りました」
満足そうにジョアン様が頷く。
「では、ソフィアンナにはいろいろな選択肢があるわ。どこかの使用人として働くのであれば、下働きではなく侍女の仕事を紹介できます。書類仕事を手伝っていたということですから、それを生かした仕事に就くこともできます。文官や家庭教師など」
選択肢と言う言葉にびっくりする。
私が何かを選べるの?
=========
ここにきて……
あれ?やっぱりジョアン様じゃなくてジョアンナ様にしておいたほうがよかったのでは?問題に突き当たる。
ちなみに、いきあたりばったり執筆なのでぇ、このくだりは書いていて出てきた話。
ジョアン様とソフィア母ちゃんの友情物語も楽しそうだな。
と、それはさておき……こりゃ別サイトでアップするときにはジョアンナに改変するかな……
そう。途中で「ざまぁどうすべ?」とか「アイリーンは死ぬ予定だった」とかいろいろ書いてますが、ほんと、いきあたりばったり執筆なのでこんなことが起きる。
短編って登録したのもその名残。もう5万文字超えちゃったから、長編に変更しないと……。あとでやります。
今日も読んでくれてありがとうございます。本当は昨日で完結したかったんですが、書き終わらなかった。今日は終われるか……
お母様のために泣いてくれる人がいる。
「一人じゃないです。私を幼い時に育ててくれたマーサがいました。それに……私も……」
ジョアン様がハッとして顔を上げる。
「そうね、そうだわ。ソフィアは一人じゃなかったわね。生まれてきてありがとう。ソフィアを一人にしないでくれて」
今度は私が涙を落とす番だ。
生まれてきて……ありがとうなんて。
「私……私が生まれたせいで、お母様は……」
私を産まなければお母様は死ななかったんじゃないかって。
私が金髪でさえいればお母様は死ななかったんじゃないかって。
私がいなければ……と。
「違うわ。ソフィアはそんな子じゃない。あなたの母ソフィアは、自分の命よりも愛する子供の命を取る女性よ?それに、必死に浮気はしていないと主張したのも、もちろん自分が浮気をしたことを否定する気持ちもあったでしょうが、あなたが父親に認めてもらえないということを心配してのことのはず」
そうだ。確かに日記にもあった。はずなのに……。私は……。
「ソフィアはヴァイオレットの幸せを何より望んでいるはずよ」
そうだ。私は、お母様のためにも幸せにならないと。
「お願いします。ジョアン様。私はあの家を出ます。華族となる人たちと、貧しいながらも慎ましく愛のある家庭を築いて生きていきたいのです」
ジョアン様は、私の再度の訴えに、うんと頷いた。
「分かったわ」
優しく頭を撫でられる。
お母様に撫でられているような錯覚を受けた。
「ではいろいろと確認させてちょうだい。子爵家から籍を抜いてしまってもいいのね?」
「はい」
「では名前は?改名もすることができるわよ?」
名前……。
「ヴァイオレッタは……お母様がつけてくださった名前……」
でも、社交界でヴァイオレッタの名前は悪評が立ちすぎている。
そして、この先もっと悪く言われることになる。
「そうね……ソフィアがあなたに残した大切なものね」
ジョアン様の言葉に首を振る。
「いいえ、お母様が残してくださったのは名前だけではありません。だから……新しい名前を……」
お母様の本には、生まれてくる私への愛をたくさんつづってあった。
そう、女の子が生まれたら、どんな名前を付けようかと。いくつかの候補が書いてあった。その一つに。
「お母様は、日記に名前の候補をいくつか書いていました。その一つに……アンナと」
庶民によくある名前がどうしてと日記を読んだときには首を傾げたけれど。今なら分かる。
「お母様はジョアン様の名前の一部を……名前として付けたかったのではないかと……」
私の言葉に、ジョアン様が、再び泣き出した。
「ソフィア……」
お母様の名を呼びながら。そして、ハンカチで涙をぬぐうと私の顔を見た。
「そう、だったら、あなたの新し名前はソフィアンナではどうかしら?」
「ソフィアンナ……」
お母様の名前とジョアン様の名前二つをいただくなんて……。
「いいんですか?私、気に入りました」
満足そうにジョアン様が頷く。
「では、ソフィアンナにはいろいろな選択肢があるわ。どこかの使用人として働くのであれば、下働きではなく侍女の仕事を紹介できます。書類仕事を手伝っていたということですから、それを生かした仕事に就くこともできます。文官や家庭教師など」
選択肢と言う言葉にびっくりする。
私が何かを選べるの?
=========
ここにきて……
あれ?やっぱりジョアン様じゃなくてジョアンナ様にしておいたほうがよかったのでは?問題に突き当たる。
ちなみに、いきあたりばったり執筆なのでぇ、このくだりは書いていて出てきた話。
ジョアン様とソフィア母ちゃんの友情物語も楽しそうだな。
と、それはさておき……こりゃ別サイトでアップするときにはジョアンナに改変するかな……
そう。途中で「ざまぁどうすべ?」とか「アイリーンは死ぬ予定だった」とかいろいろ書いてますが、ほんと、いきあたりばったり執筆なのでこんなことが起きる。
短編って登録したのもその名残。もう5万文字超えちゃったから、長編に変更しないと……。あとでやります。
今日も読んでくれてありがとうございます。本当は昨日で完結したかったんですが、書き終わらなかった。今日は終われるか……
応援ありがとうございます!
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