上 下
30 / 159

29 日が沈む……うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ

しおりを挟む
 てなわけで、授業後もみんな残って自主的に訓練。
 素振り班はメトロノームみたいなもので、リズムを合わせて素振り、素振り。
 型班は、フレッドを中心に型のチェック。修正していく。
 で、レンガ班は、レンガ割りが禁止になった。割りすぎて練習用のレンガが品切れだそうだ。
 補給班は、他の学年の先輩のところに情報収集に走っている。
 ぶっちゃけ、当日どういうことに気を付けて動けば点数が稼げるのか謎だからだ。ある程度は先生が教えてくれるけれど……。
 私は、トーナメントは一人だけなので誰かと一緒に練習するわけじゃないけど、一人だけ帰るのも申し訳なくて、付き合っている。
 だってさ、謎マスク男にしごかれた人も、練習時間を無駄にしてしまったっていって、取り返さなきゃとか言って、痛めた体を引きずって、あ、いや、引きずるほどの怪我ではないんだけど、それでも、動くと痛みが走るからだで練習してるんだよ?
 だから。うん。
「剣の握り方は……」
 とりあえず、初心者に剣の握り方から教えることにします。はい。今まで兄たちに何かを教えられるばかりだったから、こうして誰かに何かを教えるのはとっても新鮮。思わず時間を忘れて……。
 はぁ!
 やばい!
 まじで時間忘れてたよっ!
 気が付けば、太陽が、太陽がぁぁぁ!
 なんか補給班がよいこらしょ、どっこいしょと薪を運んできたので気が付いた。第七訓練場には照明施設がないから、暗くなってからも使うには火をたかないといけないらしい。
 って、暗くなってもみんな練習しちゃうわけ?
 私はまずい。太陽が沈んだら、呪いが解ける。
 こんなところで女に戻っちゃったら、中等部生活1日で、1日でクラスメイトにばれちゃうっ!
 あほもいいところだよっ!しかも、第二王子(発狂死)がいる前で悪役令嬢姿をさらすとか、何のための、呪いなのか!
「僕、そろそろ帰るね。ごめん、家で、兄に練習をつけてもらうからっ」
 いそげ。夕日よ、もうしばらく待ってくれ。待ってくれ!
 体操服から制服に着替える時間はなさそう。
 教室に行って、カバン持って……教室が、遠い!第七訓練場だから仕方がないんだけど、遠いよっ!
 やばい、太陽が、太陽がっ。
 カバンをひっつかんで、教室を出て階段を駆け下り、昇降口で、どっかーん。
 しりもち。
 うわー、人とぶつかった。下駄箱で人がいるの見えなかった。
 私はしりもちをみっともなくついて、ぶつかった人は、しりもちをつかないように踏ん張って、前によろめいて私の上に倒れ込んだ。
 いや、さすがに誤ってチューしちゃうような倒れ方はしないよ。どんなラブコメだよっ!
 両手を床……じゃない、片手は床、もう片手は私の体の上についた。
 と思ったら、すぐにパッと手を離して、床についた手を軸にくるりと床で一回転して立ち上がった。
「す、す、す、すまない、その、このお詫びは……できうる限りのことは……」
 すんごく焦った声。
「いや、ボクがよく周りを水に走っていたのが悪いんだ……」
「僕?え?君、女の子……だよね?」
 はぁ?
 フレッド、マージに付き合って、女の子みたいってネタはいいんだよっ!
 文句を言ってやろうと立ち上が……るときに、上半身を起こしてさらりと頭から落ちてくる長い髪。
 ぴぎゃぁーーーーーーっ!


=======
ぶつかったのはフレッドでした。

ひぎゃーっ


えーっと、タイトルがなかなか決まらず、ころころ変えてご迷惑をおかけしております。
当初あた八男という単語は7人の兄と転性という言葉に分け、ひとまず落ち着きました。
こう、残った、下剋上的な、Fクラスで頑張る適な意味が消失してるんですが、何かいいタイトルないですかね?
……(´・ω・`)うーん

しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

あなたの世界で、僕は。

BL / 連載中 24h.ポイント:1,662pt お気に入り:54

消滅した悪役令嬢

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:6,796

処理中です...