幽モブ アダルトルート(完結)

北川晶

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番外 モブに感謝、セドリック・スタインの熱情 ⑧

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 陛下の警備を、今日はラヴェルに任せて。
 俺は、自分にあてられた部屋に、シヴァーディを連れて入った。

 長い日々、彼に触れられず、飢えていたから。室内に入った途端、貪るようにくちづけてしまう。
 余裕などなく。体を引き寄せて。
 頭を抱え込んで。その薄い唇に、己の唇を押し当てる。

 シヴァーディも同じ気持ちでいたのだろうか?
 唇だけでは物足りないと。口を開けて、俺の舌を迎えてくれる。

 口先で、卑猥に唾液のからむ音が聞こえ。
 鼻で息をするのも、つらくなるほどに。夢中にキスして。
 息が、互いに上がったところで、ようやく唇を離した。

 舌先が震えるほどに、官能的なくちづけ。
 すっげぇ、いい。

「セドリック、傷つくことを恐れる、臆病な私を…黙って見守ってくれて。ありがとう。愛することを、あきらめないでいてくれて、ありがとう」

 シヴァーディは、俺が彼の顔に惚れたのだと、思い込んでいた。
 それは誤解だが。
 そう思ってきたシヴァーディが、顔に傷を負い。
 いつ、俺の愛が薄れるだろうかと。おののいていたのだとすれば。
 それはなんて、苦痛な日々だっただろう。

 俺は、傷のことに触れないことで、彼の心が癒えるのを待っていたが。
 それは間違いだった。
 おまえを愛していると、毎日、真摯に訴えるべきだったのだ。

「苦しい思いをさせていたなら、俺こそ謝らなければ。すまなかった、シヴァーディ」
 彼はゆるりと首を振るけど。これは俺の過ちだ。
 気持ちがブレたことなどないが。
 俺たちは。もっと、互いの心をさらさなければならなかった。
 言葉も、思いやりも、足りなかった。
 ありがとうと言う、彼の言葉が。俺の心にぐさりと刺さる。

「おまえのためなら、俺は、いくらでも待てるよ。ありがとう、なんて。それはこちらの台詞だ。俺のことをずっと愛してくれて、ありがとう、シヴァ」
 ありがとうに、深い、深い、謝罪の気持ちを乗せて、告げた。
 俺の思いが伝わったのか、シヴァーディは苦笑して…自分の想いを抱えるように、胸に手を当てる。

「貴方からは、いつも。ゆるやかで温かい、優しい風を感じるのです。私はいつも、貴方の大きな愛に見守られていた。それを感じていました。でも、臆病な気持ちが。この傷を、貴方が醜いと思っているのではないかと疑い。美しい者が現れれば、愛が薄れるのではないかと疑い。貴方と向き合うことを恐れてしまった」
「おまえは、黙って、俺に愛されていればいいんだ。なにも、考えなくていい。俺の愛は絶対、変わんねぇから。俺に寄り掛かっていろよ? わかったな?」
 彼の恐れが吹き飛ぶように、俺は明るく笑い飛ばす。
 そうしたら、シヴァーディは。やはりまぶしそうに、目を細めるのだ。

「えぇ、もう、貴方の愛を疑ったりしません。私は、ただ貴方に身を委ね。なにも考えずに、貴方の愛にひたっています。それが私の幸せだと。気づきました」

 そうして、俺をみつめるシヴァーディは。とても美しかった。
 胸元まで伸びる銀の髪が、キラキラと輝いて。アメジストの瞳を光らせる。
 俺は彼の髪を、指先ですき。
 愛しさがあふれて。彼の額に額をすりつけた。

「それでいい、シヴァ。俺は、おまえが俺に身を委ねてくれる、そのときを待っていた。いつまでだって、待ってやれたが…おまえに触れられなくて、つらかったのも事実だ。抱かせてくれるか? おまえの体を。心を。魂を」

 シヴァーディは小さくうなずいて。俺のキスに応えてくれた。
 唇を深く合わせながら、互いの服を脱がし合う。
 重い、騎士服を。部屋に点々と落としていき。
 一糸まとわぬ姿になった、俺たちは。その体を抱き寄せ。触れ合わせた。

 ふたりとも期待に、体をすでに高ぶらせている。
 ベッドに身を横たえ、せつなく体をすりつけ合う。

「八年も間があくと、おまえのここは、男を受け入れることを忘れてしまったかもしれないな?」
 俺はシヴァーディの体を手で愛撫しながら、臀部に這わせ。後孔を指で探る。
 何度も抱き合ったのだ。忘れてなどいないと、彼の蕾はヒクリと震える。

 でも、シヴァーディは。恥ずかしがって、薄い唇を歯で噛んだ。
 恥じらう姿が、ヤバ可愛い。

「おまえはまた、大きい、早く抜けって、泣くのかな?」
 初めて、抱いた日。
 彼は十四歳で、まだ体が出来上がっていなくて。最後まで挿入できなかった。
 一生懸命、俺を受け入れようとした、彼の気持ちは嬉しかったし、可愛かったけど。
 痛がらせたのは、可哀想だった。

 それを思い出して言うと。シヴァーディは。口をとがらせた。
「泣いてない。ちょっと…無理だっただけだ」
 超絶美人が、負けず嫌いで、拗ねるとか。可愛いが過ぎるっ。

「ははっ、大丈夫。俺も、あのときのような、テクなしじゃない。おまえの体が、初めての頃に戻っていても。トロトロに蕩かせてやるから」
 そうして、舌先をとがらせて。彼の首筋を舐める。
「んぁ…」
 もう、互いのモノは、充分に高まっていて。愛撫の官能を知っている彼の体は、すぐにも燃え上がる。
 蕾は、まだ硬くても。
 シヴァーディの唇も、肌も、屹立も、俺がもたらす淫蕩な刺激を待ち望んでいた。

 俺は彼の体に手を這わせ、口は貪るように乳首を含み、彼の屹立と俺の剛直をこすり合わせた。
「ん、は、はぁ…あ。それ、すぐ…イく」
「一度、気持ち良いのだけで。イこうぜ。高ぶり過ぎて。俺も、すぐ、イく」

 俺は。スレンダーだが、しなやかな筋肉の鎧をまとう、シヴァーディの体を抱き込み。臀部を、手で鷲掴みすると。局部を押し当てたまま、腰を揺らした。
 彼も協力して、足を俺の腰に巻きつける。
 張り詰めた陰茎が密着して、先走りの潤みでくちゅくちゅと、いやらしい音が鳴る。

「あ、あぁ、イく…セディ…も、あ、あぁぁ」
 シヴァーディは、俺の首に手を回してしがみつき。甲高く鳴いたあと、ビクンと体を揺らした。
 その絶頂の声に煽られて。俺も、高揚感がMAXに。
 ポーンと空中に放り出されるような、心地よい解放感。馴染みのある、精を吐き出す快楽に、身をぶるりと震わせた。
 駆け抜けた快楽に、ぐったりと力の抜けたシヴァーディの体を。すかさず、俺はうつ伏せて。腰を上げさせる。
 久しぶりだから、あまり負担のない体位が良い。

 ふたり分の精を、彼の蕾に塗り込んで、指を差し込んでじっくりと慣らしていく。
 解放感で力が抜けていたシヴァーディも、そこで受け入れることに少し緊張して、体を固くした。

「痛くしねぇよ? 任せろ」
「いや…おまえのは物理的に大きいから。人並みではなく、化け物だから」
「色っぽくねぇな」
 ハハッと笑うが、この感じがシヴァーディなのだ。
 ロマンティックだと、恥ずかしくなるのかな?

「おまえから、俺の大きいのが欲しいって、言わせてみせるよ」
「そんなの、言うわけない…あ、ん」
 指が三本入るようになって、俺は彼から指をいったん引き抜いて。蕾に俺の切っ先を押し当てる。
 だが、まだ、挿入はしないぞ?
 そこに当てたまま、俺はシヴァーディの白い背中に舌を這わせる。
 足跡のない雪原に、舌で跡をつけるように唾液で濡らしていく。

 手は、彼の体の前に回して、乳首や脇腹を、じっくりと指先でなぞっていった。
 人差し指で、乳輪を丸くたどり、立ち上がった乳首を親指でこねて。腹筋のおうとつを、指先でくすぐるように撫でていく。
 そうすると、彼は無意識に腰を浮かせる。

 再び、官能が満ちてきた合図だ。

 俺はじっくりと体重をかけて、蕾に剛直を押し入れていくが。反発する前に。抜いてしまう。
 精液で濡れたそこが、名残惜しいと言うかのように、くちゅりと音を立てた。
 その動きを何度か繰り返すと。
 自然に、蕾がほころんでいく。
 離れないでと、ヒクリとわななく。

「あ…ん。じ、焦らすな」
「痛いの、嫌だろ? それとも、もう欲しい?」
 耳元で、誘うように聞くと。シヴァーディは唇を歯で噛む。
 まだのようだ。

 少し思い切って、後孔に己の先端をのみ込ませる。
 彼のそこは、大きく広げられたが。健気に俺を迎え入れ。その衝撃に、ヒクヒクとさざめいている。

 俺も、彼からの刺激に。ジワリと、腰が重だるくなる。
 切っ先は、一番敏感な部分だから。そりゃ、ジンジンと愉悦が湧き上がってくるよ。
 構わず、突き入れたくなる、オスの凶暴な感情も出てくるけれど。
 そこは愛でさ。我慢する。

 シヴァーディがメロメロに気持ち良くなきゃ。俺も良くない。だろ?

 だから、最高の悦楽を求めて。ゆっくり、じっくりだ。
 そして、切っ先を慎重に引き抜く。
 シヴァーディがホッと息をつくが。すかさず、また先端をのみ込ませる。それを何度か繰り返した。

「あ、あ、駄目…も、ぬ、抜かないでぇ」
 シヴァーディの、艶のかかった声に、俺はニヤリと笑んで。
 だが、引き抜く。
 あぁ、と。御馳走を取り上げられたような声を出す彼に。再び、突先を入れ込む。

「んぁ、いい。セドリック、いいから、もっと…」
 俺が挿入されることに、喜びを感じ始めたら。もう少しだ。

「シヴァ? 俺の、欲しい? 俺の大きいの、中に入れてもいいか?」
「ん、ほ、欲しい。セディの、大きいの。奥まで…き、て」
 最高の御馳走を前に、我慢した甲斐があったと。俺は舌なめずりをして。シヴァーディの中へ、己を挿入していく。
 じれったいほどに、充分にほぐされた蕾は。先端の、一番張り出した部分を、なんなくのみ込む。
 だが、慌てるな。
 絶対に、痛みは感じさせないぜ。
 手のひらで臀部を左右に広げて、体重をかけて、ゆっくり、ゆっくりと、剛直を押し入れていく。

「あ、あぁ…くる。セディの…んぁ、あぁぁ」
 全部入れ切って、突き当りをえぐるように、腰を入れると。シヴァーディはビクンと体を跳ねさせた。
 剛直をしごき上げるように、中がうねって、まといついてくる。

 くぁ、気持ち良すぎて、ヤベェ。

 つか、入れただけで、イった?
 あぁ、この刺激はたまらない。マズいマズい。
 俺は歯を食いしばって、達しないように耐えたが。
 さっき一回出してなかったら、完全に持っていかれたな。

「セ、セディ…」
 申し訳なさそうに、こちらを振り向くシヴァーディ。
 いつもはキレイ系で、厳しい眼差しだけど。
 頼りなさげに眉を下げて、かっわいい。もう、今夜は離さねぇ。抱き潰す。決定。

 俺は剛直を引き抜くと。彼をあおむけに返して。正面に向かい合った状態で、抱き締めた。
 ほぐれた後孔は、再び俺をのみ込んでくれる。
 シヴァーディは達したばかりだから、すぐに動いたらつらいだろうと思い。剛直を根元まで挿入した状態で、しばらく抱き合い、じっとしている。

 そうしたら、彼の顔に、赤い線が。傷跡が赤く浮き上がって見えた。
 シヴァーディは興奮すると、傷や瞳が赤くなる傾向がある。
 俺の視線に、彼が気づいて。
 シヴァーディは、手で顔を隠そうとする。
「見ないでください」
 もしかしたら、こうして情交をすれば、嫌でも興奮するから。
 それで、傷が浮かび上がる状態を、俺に見せたくなくて、接触禁止にしたのかもしれないな、と思った。

「隠すな。おまえは美しい」
 顔に当てた彼の手を、俺は握って外させ。彼と目を合わせる。
 そんなことないと、彼の瞳が語っているようだった。

「俺を守って、ついた勲章が、醜いわけないだろう? おまえは、存在そのものが美しいよ。バミネの汚い誘惑に屈しない、その高潔な魂が。俺を守るために、アイツに剣を振り上げた、その友情と熱情が。勇猛果敢で気高い騎士そのものだ。こんな傷で、おまえの美しさがかすむことはない」

 赤い目が潤んで、せつなげにみつめられると。
 なんか、こっちまで悲しくなってくる。大丈夫なのに。

 もう二度と、誤解されないよう。言葉を惜しまず、己の想いをすべて口にする。
 どれだけ自分が、シヴァーディに惚れているか。
 これでもかと思うくらい、わからせてやるのだ。

「それに、おまえの目が赤くなると、おまえが俺の色に染まっているみたいで…すごく、好き。だから、隠すな」
 にっかり笑うと。シヴァーディはようやく笑みを見せてくれた。

「セドリック…セディ。私が、守った、セディ…」
 シヴァーディは、俺の頬に手を当てて、愛しげに撫でた。
 最高の宝物を見るように、俺をみつめてくれる。
 すごく、いい気分だった。

「そうだ。おまえが守ったのだから、俺は、全部おまえのものだぞ? シヴァ」
 ゆっくりと腰を揺らめかせ、言う。
「これも、な?」
「…バカ」
 潤んだ目で睨んで来るけど、シヴァーディは俺の腰に足を巻きつけてきた。

 俺はニヤリと笑って、彼と、甘く、甘く、唇を合わせる。
 そして、ふたりで息を合わせて、再び快楽の泉に飛び込んでいった。
 小刻みに剛直を突き入れると、彼の隘路が己のモノにまといつき。ビクビクと締めつけてくる。
 濃厚で、刺激的な、最高の悦楽だ。

「あ、あ…太い。この太さ、熱さが、セドリックって思う。おまえが、私の中にいる」
「馬鹿、あんま、可愛いことを言って、俺を煽るな」

 そう、言うが。己のシンボルを、己だと感じると言われるのは、嬉しい。
 だって、第二の俺、みたいなものだ。
 このシンボルで、シヴァーディを悦ばせられるのが、一番なんだからな。

「おまえしか、許さないから。私の中に入れるのは、セドリックだけだからな」
「当然だ。愛してる。シヴァ」
 煽られっぱなしで、俺はもう降参だった。
 彼の脈動が、剛直を甘やかに締めつけて。もう、激しくこすりたてないと、じくじくして、もどかしくて、たまらない。
 俺は腰を上下に激しく揺すりあげた。

「ん、あ、んぁ…好き、それ、あぁ、ん、や、ぁ」
 いつも凛としているシヴァーディが、のけぞるほどの悦楽に、唇をゆるませる。
 その理性の飛んだ顔が、とても色っぽい。
 つか、エロい。

 こうなれば、もう、この体の交歓に溺れるだけだ。
 荒い息の間に、微笑み合い。痺れる疼きに、身悶え。そそり立つ剛直の刺激に、わなないて。

「あ、あ…セディ…いい、い、も…あ、あぁぁっ」
 すぼまりがぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てるほどの、苛烈な責めたてに。シヴァーディの熱い体はヒクヒクと震えている。高みはもうすぐだ。

 同じ想いで、同じ熱さで、同じ激しさで。身を焦がし。
 同じタイミングで、高みに向かって駆け上がって…俺たちは精をほとばしらせた。
 だが、長年のブランクだ。
 まだまだ、夜は長いし。そのあとも、何度も…。


 森のフクロウが、鳴き止んで。深夜も大きく過ぎた頃。
 さすがに翌日の…というか、今日の勤務に支障が出るということで。俺たちは体の対話を終えた。
 だが、もう少し、話しておきたいことがあるんだよな?

「俺は、あの日のことを、ずっと悔やんでいる。今でも思うんだ。俺の命と引き換えに、おまえが傷つくことはなかったんじゃないかって。そうしたら、おまえが八年も悩むことはなかった…」
 寝台のベッドヘッドにクッションをいっぱい並べて、それを背に腰かけている。
 俺は、腕をシヴァーディの肩に回し、手のひらで撫でる。
 なめらかな肌の感触を、楽しんでいた。

「なにを言っているんだ? おまえが死んだら、八年悩むどころか、一生嘆き苦しむに決まっているだろう」
 シヴァーディは俺を怒って、ゴチリと頭突きしてきた。いてぇ。

「おまえは、私の恋人だから、無論そうなる。だが、それを差し引いても。おまえは優秀な騎士で、安定感のある、組織をまとめられる、統率力のある、稀有なリーダーだ。おまえの損失は、国にとっても大きな損失なんだ」
 ゴチリとぶつけてきた頭を、謝罪の軽いチュウで癒し。
 シヴァーディは、やれやれというように、俺を見やる。

「全く、おまえは。自分がすごいやつだって、自覚が薄くて困るよ。もしも、おまえが私に告白をしないで、恋人でなかったとしても。私は、おまえのそばにいたと思う。おまえの魂は、すっごく透明で、キラキラしていて。いつもまぶしい。この純粋なきらめきを、私は愛している。友として。恋人として。家族として」
「…シヴァ」

 どんな告白よりも、胸が熱くなる言葉だ。
 俺の中に、彼への愛しさがあふれる。

 俺も、彼のこめかみや、鼻の頭に、チュッと音の鳴る小さなキスを贈った。
 こんなこと言われたら、好きになるに決まっている。
 先ほどよりも。
 一秒前よりも。シヴァーディが好きだっ。
 真の愛情、真の友情に、触れたような気がした。

「だが、陛下のことは別だ。私は、騎士として。陛下に忠誠を捧げた。もしもおまえが、盾に取られたとしても。私は陛下を害さない。騎士の誇りにかけて…」
「もちろんだ。そこは俺も同じ。騎士として、殉じ。騎士の誇りを守る。これは、最悪のパターンだがな。おまえの気持ちは。俺だって、騎士の端くれだ。理解しているさ」

 究極な心持ちだが、主人より後に死ぬことは、騎士の恥である。
 主人をかばって死ぬ騎士を、邪魔立てすることも、騎士の誇りを汚す行為になる。

 一番はもちろん、みんなが無事でいられること。
 でも、最悪な出来事が起きたとき、俺らは。陛下より後に死ぬことはない。
 陛下を守って、死ぬのだ。

「端くれって…」
「だって、おまえは騎士の中の騎士。俺は不敬で却下だもんな」
 口をとがらせて、昼間の出来事を卑下して言うと。シヴァーディが、苦笑した。

「…昔、セドリックが。剣の伝承は、見どころのある養子をとっても良いと。言っていたのを覚えているか?」
「あぁ。おまえとふたりで子育て、が条件だったな」
 シヴァーディの、唐突な昔話に。俺は首を傾げる。

「あの頃、こうして、孤島にふたりで来るなんて、思いもしていなかったが。期せずして、陛下をご指導することになり。優秀な剣士に育て上げた。私たちの子供、というのは。恐れ多いし、年齢も近いが。私は、そういう気もある。私たちの剣を伝承した、私たちの子供を、命を懸けて守るのだ」
「なるほどな。わかりやすい。至極同意だ」
 ふたりの気持ちがぴったり重なり、それが心地よくて。
 シヴァーディに、またまたくちづけた。

「陛下に、俺らが恋仲だと告げても良いか?」
「別に、言わなくても良いだろう」
「報告しないままでいるのは、陛下に隠し事をしているみたいではないか? 後ろめたい気になる」
「…そうだな」

 上半身では、取り留めもない話をしているが。
 布団の中では足で、彼の足に絡みつき。イチャイチャする。
 官能を呼び起こすものではない、触れていたいだけの、イチャイチャだ。

「それに、教えて差し上げたいこともある。クロウが、お尻を引き裂かれたら、大変だろう?」
「おまえは本当に下世話だな。そういうことは本人たちの裁量でやるものだ」
「しかし、この島には。男同士の睦み合いなど、参考資料がないだろうが? 陛下はきっと、男女の性教育しかされていないぞ? これが原因で、陛下の初恋が実らなかったら、どうするんだ?」
「そ、それは…」
「陛下とクロウだったら、俺とシヴァーディ以上の体格差があるぞ。陛下の陛下を挿入されて、クロウが快楽を得るのは、大変だろうからな。少し助言をしたいだけだ」
「うーん、まぁ、そういうことなら…」
「じゃ、報告しておくな?」

 明るく告げると。
 シヴァーディは、不安だ、という顔を隠しもせず。
 でも、最終的にはうなずくのだった。シヴァーディはなんだかんだ、俺に甘いよな。

 俺ってば、シヴァーディに超愛されているっ。

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