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第一章 一新紀元
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…
本のページをめくる音、黒板にチョークがこすれる音、紙の上をペンが滑る音…。
独特の音が、学習の雰囲気を演出する。
「…このように、人それぞれ適正魔法と呼ばれるものがあります。もしかしたら、みなさんの中にも、自分の適正魔法がなにか分かっている人もいるかもしれませんね。」
子どもたちがざわざわし出す。
自分たちの適正魔法について話しているようだ。そんな子どもたちを見ながら、年上の生徒たちがニコニコしている。
「俺、たぶん火の魔法だぜっ!」
「アタシは電気を起こせるのよ!なんの魔法なのかよくわかんないけど!」
元気なようで何よりだ。
…ただ、本人たちは小声で話しているつもりのようだが、完全にこっちまで丸聞こえである。
「電気の魔法は、もしかしたらいくつかの魔法の混合……混ざっている魔法かもしれませんね。」
自然現象の再現や、魔法同士の化学反応のような方法など、特殊な魔法の例はいくつか存在する。
だが、今すべて説明するのは、混乱を招くだけだろう。
魔法好きとしては語りつくしたいところだが、最低限の示唆程度に留めておこう。
「適正魔法は、特定の魔法一つだけが飛び抜けて適正な場合と、いずれかの属性の魔法全部が適正な場合の二つがあります。電気の起こし方にもいくつかありますから、興味があれば、将来は物理学の授業を受けてみてもいいかもしれませんよ。」
「物理かー。お姉ちゃんがちんぷんかんぷんだって言ってたやつかな。…でも、ちょっと気になるかも。」
…
授業時間は、少し長めに取られている。
通しで行うには些か長すぎるので、途中で一度休憩を挟むことにした。
その間も、好奇心旺盛な子どもたちが質問してくる。
「そういえば、せんせーの適正魔法ってなんなの?」
「さあ、なんでしょう。」
そう言って、不意に認識阻害の魔法を発動する。
……少し間を置いた後、質問してくれた子の近くで魔法を解除し、その子の肩を軽く叩く。
「うわあ!びっくりしたぁ。」
「これが、私の適正魔法。闇魔法の、認識阻害魔法です。」
…手慣れたようにも見えるかもしれないが、今日は初出勤である。
警戒されるかと思っていたが、子どもたちは私を怖がるどころかむしろ、興味津々な様子で出迎えてくれた。おかげで、とても授業をしやすくて助かっている。
…後で聞いたことだが、どうやらお爺さん先生が予め、魔法が得意な先生が来ると私のことを紹介していたようだ。
それを聞いた時から、子どもたちは授業の日を楽しみに待っていてくれたらしい。
…
授業の内容についてだが、この学校では魔法学の教科書というものをすでに使っていて、私以外の講師でも魔法の座学の授業は可能だ。
なので、私の担当の授業のうち、座学に充てるべき時間というのはそこまで多くないだろう。
つまり、私に求められているのは魔法の実習だ。
「では、皆さんも自分の適正魔法が何か、調べてみましょう。今から配る用紙に、今から行う計測の結果を記入していってください。」
ワクワクする気持ちを抑えられない生徒の子どもたちを引き連れて、この間使った訓練場へと場所を移す。
本のページをめくる音、黒板にチョークがこすれる音、紙の上をペンが滑る音…。
独特の音が、学習の雰囲気を演出する。
「…このように、人それぞれ適正魔法と呼ばれるものがあります。もしかしたら、みなさんの中にも、自分の適正魔法がなにか分かっている人もいるかもしれませんね。」
子どもたちがざわざわし出す。
自分たちの適正魔法について話しているようだ。そんな子どもたちを見ながら、年上の生徒たちがニコニコしている。
「俺、たぶん火の魔法だぜっ!」
「アタシは電気を起こせるのよ!なんの魔法なのかよくわかんないけど!」
元気なようで何よりだ。
…ただ、本人たちは小声で話しているつもりのようだが、完全にこっちまで丸聞こえである。
「電気の魔法は、もしかしたらいくつかの魔法の混合……混ざっている魔法かもしれませんね。」
自然現象の再現や、魔法同士の化学反応のような方法など、特殊な魔法の例はいくつか存在する。
だが、今すべて説明するのは、混乱を招くだけだろう。
魔法好きとしては語りつくしたいところだが、最低限の示唆程度に留めておこう。
「適正魔法は、特定の魔法一つだけが飛び抜けて適正な場合と、いずれかの属性の魔法全部が適正な場合の二つがあります。電気の起こし方にもいくつかありますから、興味があれば、将来は物理学の授業を受けてみてもいいかもしれませんよ。」
「物理かー。お姉ちゃんがちんぷんかんぷんだって言ってたやつかな。…でも、ちょっと気になるかも。」
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授業時間は、少し長めに取られている。
通しで行うには些か長すぎるので、途中で一度休憩を挟むことにした。
その間も、好奇心旺盛な子どもたちが質問してくる。
「そういえば、せんせーの適正魔法ってなんなの?」
「さあ、なんでしょう。」
そう言って、不意に認識阻害の魔法を発動する。
……少し間を置いた後、質問してくれた子の近くで魔法を解除し、その子の肩を軽く叩く。
「うわあ!びっくりしたぁ。」
「これが、私の適正魔法。闇魔法の、認識阻害魔法です。」
…手慣れたようにも見えるかもしれないが、今日は初出勤である。
警戒されるかと思っていたが、子どもたちは私を怖がるどころかむしろ、興味津々な様子で出迎えてくれた。おかげで、とても授業をしやすくて助かっている。
…後で聞いたことだが、どうやらお爺さん先生が予め、魔法が得意な先生が来ると私のことを紹介していたようだ。
それを聞いた時から、子どもたちは授業の日を楽しみに待っていてくれたらしい。
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授業の内容についてだが、この学校では魔法学の教科書というものをすでに使っていて、私以外の講師でも魔法の座学の授業は可能だ。
なので、私の担当の授業のうち、座学に充てるべき時間というのはそこまで多くないだろう。
つまり、私に求められているのは魔法の実習だ。
「では、皆さんも自分の適正魔法が何か、調べてみましょう。今から配る用紙に、今から行う計測の結果を記入していってください。」
ワクワクする気持ちを抑えられない生徒の子どもたちを引き連れて、この間使った訓練場へと場所を移す。
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