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1.変わった学校
しおりを挟む身分を隠して過ごすなら、遠くに行ってしまうに越したことはない。もっとも、本当のことを言って信じるというなら話は別だけど。
周りに海しかなかった田舎から出てきたばかりで見た都会の景色は、らしくもなく見惚れてしまう景色だった。
「入学の時期に間に合って良かったわ。編入はいろいろめんどうだし」
偽物だらけの書類を処分しながら静かに玄関の扉を開ける。うん、前の家よりずっと綺麗だ。
「通学路も直線的で迷う心配はなさそうね」
田舎では高い家に住むと変に目立つと姉に言われて少しドアの軋むアパートに住んでいたけど、ここではよっぽどでもない限り目立たないらしい。目立つことは大敵だ。用心しておいて損はない。
少しだけ"力"を使って移動したせいかあっという間に学校に着いてしまった。次はもうちょっとゆっくり歩いてこようかな。
「それにしてもこの高校‥‥」
言いかけて、やめた。長い一人暮らしで癖になってしまっていたが一人言は周りに案外聞かれてしまっているものだ。
私が何を言おうとしたかといえば大したことではないけれど、変だと思った。
校門へ入ってみただけで感じた"それ"は出来れば外れてほしいものだった。
まず一つに、建物の最上階。遠すぎて普通の人間には見えないであろうそこに、誰かがいる。正確には"双眼鏡"を持って下の人間たちを観察している人間がいる。なんだろう、正直言って近づきたくない気もするが。
そしてお嬢様のような人と一緒に歩く明らかに平民の女の子は「この天気に感謝!」などと叫んでいる。さらに小鳥、花などにも感謝を叫んでいるから怖い。
なんにでも感謝するのは見習うべき良いところだろうが、叫んでいるとなれば別だ。心配にさえなってくる。
「私の一人言くらい、可愛いものかもね」
目立つわけにはいかないが、この学園で目立つのはよっぽどのことがない限り大丈夫みたいだ。
特に心配していたわけでもないけど、私は自分の足取りが少しだけ軽くなったのを感じた。
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