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新人AD
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久々に聞いたな。この名前。
「綾ちゃんって誰?」
「うわッびっくりした」
石野さんと入れ替えで、隣の椅子にどかんと座った三吉君が話しかけてきた。急に来るものだから肩がビクッとしてしまった。
「で?」
完全に聞く体勢に入られて困る。だって、三吉君に言う程のことじゃないし。
「面白くないよ」
「面白いかどうかは俺が決める」
「ごもっとも」
それはそうだ。正論。ただ、話すか話さないかも自分で決めていいと思う。まあ、秘密にする程のことでもないけど。
「あー、と、子どもの頃仲良くしてた女の子ってだけだよ」
「今は会ってないの?」
「うん。というか、会ってたのも数回だし。ただ、話してていいなーって思ってた。それだけ」
「へえ」
真顔のその「へえ」はどんな感情なんだろう。
「初恋ってわけでもないよ。そこまで行く前に離れちゃったから」
「小学校が一緒とか?」
「ううん。事務所の訓練所に顔出してた時、訓練生でいたんだ」
「へえ」
だから、その「へえ」がちょっと怖いです。
「いつか会えるといいな」
「うん。向こうが覚えててくれてるかも分かんないけど、せっかくなら会ってみたいね」
「訓練所は他に仲良い人はいたのか?」
「もう一人話したことあった子いたけど、一回だけだし、俺もすぐ個人レッスンになっちゃったから」
こうやって話してみると、もっと同世代の人たちと交流しておけばよかったと思う。もしかしたら、大人になってタレントとして再会出来るかもしれないし、この業界で働いている人もいるかもしれない。
でも、すでにデビュー決まってたから、一緒の訓練させてもらえなかったんだよね。確かに訓練生からすれば、デビュー決まってる人がいるって分かったら面白くないだろう。
そう考えると、いつか本当に綾ちゃんと会える時が来るってことも考えられる。ただ、分かるかな。十年以上振りでしょ。すごく変わってたりして。
「上渡さん、三吉さん。今日から入る新人ADの相馬です。慣れないこともあると思いますが、宜しくお願いします」
ADさんが挨拶に来てくれた。その横にすっごい大きい男の人が立っている。百九十は超えてる、強そう。すごい。
それにしても、わざわざ挨拶なんて丁寧だなぁ。ADさんの入れ替わりがあっても、今までは無かった気がする。
「いえ、全然。こちらこそ宜しくお願いします」
お辞儀をしようとしたら、その前に相馬さんに抱き着かれた。なんで。
「梨央! 久しぶり!」
なんで?
「綾ちゃんって誰?」
「うわッびっくりした」
石野さんと入れ替えで、隣の椅子にどかんと座った三吉君が話しかけてきた。急に来るものだから肩がビクッとしてしまった。
「で?」
完全に聞く体勢に入られて困る。だって、三吉君に言う程のことじゃないし。
「面白くないよ」
「面白いかどうかは俺が決める」
「ごもっとも」
それはそうだ。正論。ただ、話すか話さないかも自分で決めていいと思う。まあ、秘密にする程のことでもないけど。
「あー、と、子どもの頃仲良くしてた女の子ってだけだよ」
「今は会ってないの?」
「うん。というか、会ってたのも数回だし。ただ、話してていいなーって思ってた。それだけ」
「へえ」
真顔のその「へえ」はどんな感情なんだろう。
「初恋ってわけでもないよ。そこまで行く前に離れちゃったから」
「小学校が一緒とか?」
「ううん。事務所の訓練所に顔出してた時、訓練生でいたんだ」
「へえ」
だから、その「へえ」がちょっと怖いです。
「いつか会えるといいな」
「うん。向こうが覚えててくれてるかも分かんないけど、せっかくなら会ってみたいね」
「訓練所は他に仲良い人はいたのか?」
「もう一人話したことあった子いたけど、一回だけだし、俺もすぐ個人レッスンになっちゃったから」
こうやって話してみると、もっと同世代の人たちと交流しておけばよかったと思う。もしかしたら、大人になってタレントとして再会出来るかもしれないし、この業界で働いている人もいるかもしれない。
でも、すでにデビュー決まってたから、一緒の訓練させてもらえなかったんだよね。確かに訓練生からすれば、デビュー決まってる人がいるって分かったら面白くないだろう。
そう考えると、いつか本当に綾ちゃんと会える時が来るってことも考えられる。ただ、分かるかな。十年以上振りでしょ。すごく変わってたりして。
「上渡さん、三吉さん。今日から入る新人ADの相馬です。慣れないこともあると思いますが、宜しくお願いします」
ADさんが挨拶に来てくれた。その横にすっごい大きい男の人が立っている。百九十は超えてる、強そう。すごい。
それにしても、わざわざ挨拶なんて丁寧だなぁ。ADさんの入れ替わりがあっても、今までは無かった気がする。
「いえ、全然。こちらこそ宜しくお願いします」
お辞儀をしようとしたら、その前に相馬さんに抱き着かれた。なんで。
「梨央! 久しぶり!」
なんで?
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