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信憑性
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ドースさんは、説明を続けた。
「君も知っているかもしれないけれど、この国は多くの少数民族を抱えている。
その土地も含め、本国が一方的に支配する形でね。
ラグクラールの村及びそこに住むラグクラール民族は、その代表的な一民族なんだ。
先天的に特殊な力――『スキル』を授かる民族の代表格。ラグクラールの他にも、高い確率でスキルを授かる子が育っている少数民族は幾つかあるんだ。
それらの村は、生活や教育においてあらゆる面で国に管理されている。
そしてスキルを授かった子が現れると本国から迎えが行き、奴隷として主にダンジョンで働かされるようになる。『スキル奴隷』なんて呼ばれ方をしてね。
私たちはそのあり方に疑問を持ち、その子たちを一人でも多く、国の支配から解放しようとしたんだ。
……でももうそれは、ずっと昔のことだ。
メンバーの何人かが命を落としたり行方不明になったりして、私たちの活動は自然に消滅した。
私は活動していた人間の中で、運よく難を逃れた、数少ないうちの一人なんだ。
志のあった人たちからすれば、それは恥ずべきことかもしれない。
でも私もね、そういう活動がどれだけ危険な行いなのかということを、身をもって知っている。
だから、怖いんだ。今さらこの安全な生活を捨てるのが。
臆病な人間なんだよ」
「……」
何と言えばよいか分からない。
だが、ドースさんを責めることは決してできない。それだけは分かる。
「君の話を聞かせてくれるかな」
僕は顔を上げた。
ドースさんは微笑んだ。苦しそうな笑みだった。
「どこまで手助けできるかは分からない。もう他のメンバーとのつながりはないし、危険を冒すことが昔より怖い。
でも、話を聞かせて欲しい。
どんな形でかは分からないが、力になれることがあるかもしれないから」
「……ありがとうございます」
僕は礼を言って、村を出てからのことを話し始めた。
家を出るなり、身柄を拘束され本国に連れてこられたこと。
ザン=ダールアンに徹底的な『教育』を受け、自分の立場を教え込まれたこと。
そこで知った自分のスキル、『レアドロッパー』の実態。自分は冒険者などではなく、スキルだけが必要とされた『道具』なのだという事実。
それからダンジョンに連れて行かれて、「死と再生」が繰り返される日々を過ごしたこと。
「……ひどい」
ラコさんは肩を震わせて呟いた。
口を真一文字に結んでいたドースさんは、それをといて言った。
「大変だったね。
しかしそんな監視の厳しい状況の中で、ここまで逃げてくるなんて。
本当に、君はよくやった」
ドースさんは、僕の肩を叩き、称えてくれた。
「そのことなんですが……」
僕はためらった。
ドースさんとラコさんが信用できないわけではない。
ただ、信じてもらえるのかが分からなかった。
自分でも、もし体感したことがなければ、ありえない話だと思うから。
それでも、ドースさんなら何か知っているかもしれない。
「ドースさんは……その、一人の人間が二つ目のスキルを授かることって、あると思いますか?」
ドースさんは口元に手を持っていった。
「スキルについては、私も分からないことだらけだ。
なぜ本国の大半の人間は授からないのか。
対照的に、極めて高い確率でスキルを授かる民族がいるのはなぜか」
そして僕の方を見た。
「一人の人間が、二つ目のスキルに目覚める。
少なくとも、私は聞いたことがない。仲間内でも、そんな話が一度として出たことはなかった。
頭の上には空があり、足元には大地がある。
それと同じくらい、『授かる人間一人にスキルは一つ』というのは、私たちにとって常識的なことだ。
しかし……」
ドースさんははっとした。
「君はまさか……授かった、のか。
二つ目のスキルを。
それがあったから、奴らを出し抜いてここまで逃げてこれた。
そういうことなのかい……?」
「僕の感覚がおかしくなっていないのであれば。
どうやらそうらしいのです」
「君も知っているかもしれないけれど、この国は多くの少数民族を抱えている。
その土地も含め、本国が一方的に支配する形でね。
ラグクラールの村及びそこに住むラグクラール民族は、その代表的な一民族なんだ。
先天的に特殊な力――『スキル』を授かる民族の代表格。ラグクラールの他にも、高い確率でスキルを授かる子が育っている少数民族は幾つかあるんだ。
それらの村は、生活や教育においてあらゆる面で国に管理されている。
そしてスキルを授かった子が現れると本国から迎えが行き、奴隷として主にダンジョンで働かされるようになる。『スキル奴隷』なんて呼ばれ方をしてね。
私たちはそのあり方に疑問を持ち、その子たちを一人でも多く、国の支配から解放しようとしたんだ。
……でももうそれは、ずっと昔のことだ。
メンバーの何人かが命を落としたり行方不明になったりして、私たちの活動は自然に消滅した。
私は活動していた人間の中で、運よく難を逃れた、数少ないうちの一人なんだ。
志のあった人たちからすれば、それは恥ずべきことかもしれない。
でも私もね、そういう活動がどれだけ危険な行いなのかということを、身をもって知っている。
だから、怖いんだ。今さらこの安全な生活を捨てるのが。
臆病な人間なんだよ」
「……」
何と言えばよいか分からない。
だが、ドースさんを責めることは決してできない。それだけは分かる。
「君の話を聞かせてくれるかな」
僕は顔を上げた。
ドースさんは微笑んだ。苦しそうな笑みだった。
「どこまで手助けできるかは分からない。もう他のメンバーとのつながりはないし、危険を冒すことが昔より怖い。
でも、話を聞かせて欲しい。
どんな形でかは分からないが、力になれることがあるかもしれないから」
「……ありがとうございます」
僕は礼を言って、村を出てからのことを話し始めた。
家を出るなり、身柄を拘束され本国に連れてこられたこと。
ザン=ダールアンに徹底的な『教育』を受け、自分の立場を教え込まれたこと。
そこで知った自分のスキル、『レアドロッパー』の実態。自分は冒険者などではなく、スキルだけが必要とされた『道具』なのだという事実。
それからダンジョンに連れて行かれて、「死と再生」が繰り返される日々を過ごしたこと。
「……ひどい」
ラコさんは肩を震わせて呟いた。
口を真一文字に結んでいたドースさんは、それをといて言った。
「大変だったね。
しかしそんな監視の厳しい状況の中で、ここまで逃げてくるなんて。
本当に、君はよくやった」
ドースさんは、僕の肩を叩き、称えてくれた。
「そのことなんですが……」
僕はためらった。
ドースさんとラコさんが信用できないわけではない。
ただ、信じてもらえるのかが分からなかった。
自分でも、もし体感したことがなければ、ありえない話だと思うから。
それでも、ドースさんなら何か知っているかもしれない。
「ドースさんは……その、一人の人間が二つ目のスキルを授かることって、あると思いますか?」
ドースさんは口元に手を持っていった。
「スキルについては、私も分からないことだらけだ。
なぜ本国の大半の人間は授からないのか。
対照的に、極めて高い確率でスキルを授かる民族がいるのはなぜか」
そして僕の方を見た。
「一人の人間が、二つ目のスキルに目覚める。
少なくとも、私は聞いたことがない。仲間内でも、そんな話が一度として出たことはなかった。
頭の上には空があり、足元には大地がある。
それと同じくらい、『授かる人間一人にスキルは一つ』というのは、私たちにとって常識的なことだ。
しかし……」
ドースさんははっとした。
「君はまさか……授かった、のか。
二つ目のスキルを。
それがあったから、奴らを出し抜いてここまで逃げてこれた。
そういうことなのかい……?」
「僕の感覚がおかしくなっていないのであれば。
どうやらそうらしいのです」
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