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最終章 異世界に来た俺は魔法少女100人からケツを狙われていた!!!!!!
魔王
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魔王を解放する為には、魔王が封じられている空間にいき、封印をとく必要がある。
天上の杖により空間への扉が開かれ、白き杖と黒き杖が魔王と巫女を封じている扉のかぎになる。
俺様の目的である黄金の巫女は魔王復活と同時に解放される。
「魔王……」
世界のあり方に大きく関係する魔王。いま、祭り上げられた偽勇者こそいるが、魔王と対になるほどの真の勇者では無い。奴にそこまでは期待していない。俺の次の器だ。
つまり、俺の今の身体はどうなっても構わない。
凍った半身を見る。
扉が出現してから進行が早まっている。頬まで凍ってきている。
「もってくれよ」
黄金の扉を解錠する前にその周りにある防御結界を外さねば。くそ、大したことない魔法だが、時間を食う。いっそ七星剣で切り開くか。弐(セカンド)が負けることはないだろうが。ちらりと下を見る。
「瀕死の君たちを黙らせるのに、どんな魔道具がいいかなぁ?」
弐の仮面を付けた女が楽しそうに言う。彼女は庭園にあった木に触れる。すると、手が光り、粘土のように木が形を変える。
「その力って、まさか」
「ご名答!手から魔道具を生み出す力!君のケツと同じ女神の力さ」
粘土細工のように木がグネグネと形を変え、マシンガンの形に
ましんがん?!
「魔道具なんじゃ?!」
「この世界の住人にとっては銃器なんざ魔道具に見えるだろ?まぁ、魔道具要素としては弾切れがないことかな?」
「かりん!王女!物理防御魔法だ!!」
咄嗟に叫ぶ!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
弾丸の雨が降り注ぐ。
「ぐぅ!」
あの様子だと、邪魔は入らなそうだな。
弍(セカンド)
奴は突然現れた。
「やぁ!桜!久しぶりだねぇ」
「……どちら様で?」
まだ転生する前、情報収集に立ち寄った村での酒場でのことだ。無粋にドカッととなりに座り、肩をバシバシと叩いてくる。小柄のショートヘア、にこにこと笑顔を振りまいてくる。酒場には似合わない歳に見えるが、俺の酒をスっと奪い、一気に飲み干した。
「とぼけるなって。僕の事を覚えてないわけが無かろうて」
彼女は外套で隠しながら、手を伸ばし、カウンターにあったフォークを握る。彼女が手を開くとそこにはリボルバーが握られていた。
「っ?!」
俺が飛び退き剣を抜くと、彼女も引き金を引く。
ぱんっと小気味よい音をたてて、旗が飛ぶ。
「……この銃が何か、分かってる時点で、地球から来てることは知ってる。さらに、その剣道をベースにした構えをするのは君ぐらいなもんさ。なぁ、桜。少しやつれたかい?」
「……魔武器庫(デパート)」
「ピンポンピンポン!ご名答!!君と同じ異世界人で」
彼女の両手が光る。
「君の口から聖剣を出す力と同じ、手から魔道具を生み出す力の持ち主だぜ。外に行こうぜ」
「……随分と戦争で儲けたみたいじゃないか」
「そんな恨めしげに僕を見るなよ。タダ働きをしろってのかい?君は戦果をあげることで、僕は武器を提供することで人類に貢献しているのさ」
「人類にも魔族にも武器を提供していたようだが」
「まぁそれは、僕の力が人類に必要なものって言うことをわかってもらうためさ。だって元は相手にされなかったんだから。癪だったしね。」
彼女は手のひらのリボルバーをくるくる回しながら、悪びれずに言った。
「ずいぶんと大活躍だったみたいじゃないかい。獅子王を押しのけて勇者の座に就くなんて誰が想像できた。異世界人は数多くいたけれども、君ほどその口から聖剣を出す力をうまく使えた奴はいない。魔王さまも予想外だっただろうに。魔力のない人間にここまで追い詰められるなんて」
「追い詰められる……?魔王は死んだんだぞ」
「世間的にはそうさ。魔王と勇者は相打ちになったとして語られている。だけど君がこうして生きているし、同じように魔王様は死んでいなくてもおかしくはないだろう」
「馬鹿な。だったらあいつがあの場で残ったのは」
「意味はあったさ。現に魔王は封印されてるからね。今も必死に黄金の巫女は魔王の封印が解かれないか1人で頑張っている。ご苦労なことにね」
勇者は歯噛みする。
「魔武器庫(デパート)。お前の言うことを信じるための根拠はあるのか。でまかせにしては質の悪い冗談だぜ。俺たちがあいつを犠牲にしてしまった事は俺たちと王たちしか知らないはず。なんでお前がそのことを知っているんだ。返答次第ではこの場でお前を叩き切る」
質問の返答はなかった。しかし
「桜、君は、巫女を助けたくはないか?」
「……なんだと」
これまで各地で探していた答えを奴が持っていた。
「……君たちの運命はとても悲しむべきものだ。世界の真実に翻弄されたかわいそうな若者たち。僕はとても心を痛めているんだ。若い少女は邪悪な魔王のために命を犠牲にし。若い少年は恋人を失った。世界の平和を守るために、そんな大義名分なんてくだらない。そうじゃないかい桜」
「……」
思うところはあった、俺たちの旅が終わって、世界の平和を維持していくために、魔法少女100人のシステムを作った。誰かが犠牲にならずとも、1人の力に頼らずでも世界が平和であるように。今その計画が実行されて数年経った。うまくいくところはうまくいったかそれもたった数年だけ。今や貴族や王族がその恩恵を受け、システムは崩壊しかけている。
「君たちが必死になって作った世界の平和は、くだらない見栄と欲望の塊さぁ。君たちの苦しみなんて知らずに世界の人々は生き続けている。感謝もせず真実も知らず。死後の世界をつなげる女神も今はいない。壊れかけのシステムがこの世界を生かしている。君たちの苦労した旅の軌跡も君たちの苦悩もこの結果はあんまりじゃないか。もしやろうやり直せる方法があるとしたら君はどうする、どうしたい?」
「巫女を、アイツを助けたい」
「僕がこちらの世界に来たときに女神様に聞いたのさ。転生するときに時代は選べるのかってさ。だってそうだろう。原始時代みたいな文明のないところに生まれ落ちるのは絶対嫌だったからね。もしもやり直せることができるなら、仲間を裏切れるかい?命をかけれるかい?」
「………………その方法は?」
彼女が俺に伝えたのは、過去への転生の仕方だった。
「……というわけさ。できるだけ歴史に影響を与えないようにしないと、僕と君が今日ここで会った事実も消えてしまうからね。君が転生する時は別人にならないといけない。」
「だったら巫女を救うことはできないじゃねーか」
「桜、君が本当に魔王を倒せる力を持てばいいのさ。幼い頃から修行を積み、あらゆる魔道具を集め、味方を作り、代役をたて、万全以上の状態で魔王に挑めばいいのさ。巫女に封印され、弱まった魔王を万全の君が迎えうつのさ。」
「なーにめぼしい魔道具や魔導書は把握してるし、なければ僕が作ってあげるよ。」
「……今まで表舞台に立たなかったお前がなんのメリットがあって俺をたすけるんだ」
「僕も商人さ対価は欲しい。」
「なんだ……」
「ある杖を探していてね。何があっても手に入れたい」
「黒濁か?白純か?天上(プラネタリウム)の杖か?」
巫女の杖を思い出す。どれも強力な杖だ。
「いやいや、そんな有名な杖じゃないんだ。導きの杖(ポラリス)って杖なんだ」
「導きの杖(ポラリス)?」
聞いたことがない。
「あぁ。まぁ特別すごい力がある訳じゃない。魔法をかけた相手を導く力があるのさ。どう導かれるのか気になるじゃないか。私ほどの魔道士になると大抵の魔法が扱えるから、つまらないのさ。単なる知的好奇心だと思ってくれ」
「……あんたは強いだろう?魔力が抑えられているけど。」
「強さは関係ないのさ。杖に選ばれないとならないからな。僕のような有り余る美貌と力があっても、どうにもならないこともあるのだよ。勇者の君の運を借りたいのさ」
「……その杖を使って何をするつもりなんだ」
「ん?君の決意は脇見をして成し遂げられるほどの簡単なものなのかい?」
「俺たちが無事に助かっても、無事に生活出来なければ意味が無いだろうが」
「まぁ、そうだな。だが、君が元の世界に2人で帰ってしまえば。その事はささいなことだろ?」
「元の世界へ?」
「ああ、そうさ。君は一直線にゴールを目指せばいい。魔王の強さは君が1番よく知っているだろ?」
……俺にとって大切なのは巫女を助け出すこと。ほかのことは、。
目を開けて、空を見上げる。
空の扉が音を立てて、開き始める。
「天上の杖よ、魔王を封じし、12の杖よ。いまこそ約束を果たそう。」
「全てを包め、牡羊座(エアリス)」
「全てを突破せよ、牡牛座(タウロス)」
「全てを真似よ、双子座(ジェミニ)」
「全てを断ち切れ、蟹座(キャンサー)」
12本の杖が空に舞い、黄金の扉に次々と刺さっていく。
「全てを喰らえ、獅子座(レオ)」
「全てを司どれ、乙女座(ヴェルゴ)」
「全てを測れ、天秤座(リブラ)」
「全てを呪え、蠍座(スコーピオ)」
「全てを射抜け、射手座(サジタリウス)」
「全てを呼べ、山羊座(カプリコーン)」
「全てを飲み込め、水瓶座(アクエリアス)」
「全てを覆え、魚座(パイシース)」
壱(ファウスト)の声に反応し扉に魔力が注がれる
「天上杖(プラネタリウム)開演(ライジング)!!!」
金色の扉が開かれ、昼間というのに空に星が溢れ出す。
大陸中の誰もが空を見上げる。
扉からは、
小さく、ぽとりと
黒い塊が落ちてきた。
それは
脈打つ黒い心臓
封印されていた黒い心臓。
扉を叩く音に聞こえていたこの音は
魔王の心臓。
1度脈打つごとに
巨大な音が響く。
次第に力強く。
より大きく。
「ぐ、あぁぁぁ」
現勇者が突然苦しみだす。
ケツを抑え、その場にしゃがみこむ。
「魂ゆらゆら、巨躯を呼べ」
弍(セカンド)が囀るように、言葉を紡ぐ。
溢れ出す黒いモヤは先程とは比ではなく、濃く液体のように溢れ出て、心臓に流れ込む。
「巨躯を纏いて、生まれ落ちよ」
地響きをたて大陸が揺れる。
大地の表面に張られていた魔王の身体の元が心臓目掛けてせり上がる。
宙に浮かぶ帝都を突き刺し、一直線に心臓のもとへ。
帝都を守っていた魔法のシャボン玉も膨大な質量に為す術なく破られた。
「大魔王の復活さあ!!」
土煙がまきおこり、心臓に大地が流れ込む。心臓の音に呼応するように脈打っていた土の塊が次第に形を小さく変えていく。
煙が晴れたあと、人影が見える。
一糸まとわぬ姿で黒髪の少女が空を見上げる。
黒い瞳に褐色の肌。
表情は無い。
「あれが魔王?」
予想とは違う姿に戸惑うも、頭には巨大な角が一対。
片方が欠けてはいるが、異様な姿にその場にいたものは誰も動けなかった。
瓦礫の中、手を空に伸ばす。ぞうさん砲の方だ。
「歳星(ユーピテル)」
小さく呟く。呟いているのか?唇の動きはなく、脳内に音が響く。抑揚のない機械的な声。
彼女の手のひらに縞模様の球体が浮かび、その球体のまわりには丸のこのように高速で回転する輪があらわれる。
「天・刑・星★」
声のトーンと表情が合わない不気味さを持ち、技を放つ。
彼女は風船でも弾くように、その球体を上に弾いた。
「なんだ、ありゃ……」
下にいた少女は、魔王なのか?
壱(ファウスト)は戸惑う。
下から打ち上がってきた。球体が近づくと、壱は悪寒を感じその場を一気に飛び退いた。
「?!」
自分の意思ではなく本能的に、反射的に動いた結果。
球は傾いたぞうさん砲にあたり炸裂した。
巨大なぞうさん砲から木々が生え伸び、内側から破壊した
「はぁ?!!」
「木星(ジュピター)」
彼女は空を見上げる。
黄金の扉に向けて手を伸ばす。
先程とは比べ物にならない魔力が片手に集まる
天上の杖により空間への扉が開かれ、白き杖と黒き杖が魔王と巫女を封じている扉のかぎになる。
俺様の目的である黄金の巫女は魔王復活と同時に解放される。
「魔王……」
世界のあり方に大きく関係する魔王。いま、祭り上げられた偽勇者こそいるが、魔王と対になるほどの真の勇者では無い。奴にそこまでは期待していない。俺の次の器だ。
つまり、俺の今の身体はどうなっても構わない。
凍った半身を見る。
扉が出現してから進行が早まっている。頬まで凍ってきている。
「もってくれよ」
黄金の扉を解錠する前にその周りにある防御結界を外さねば。くそ、大したことない魔法だが、時間を食う。いっそ七星剣で切り開くか。弐(セカンド)が負けることはないだろうが。ちらりと下を見る。
「瀕死の君たちを黙らせるのに、どんな魔道具がいいかなぁ?」
弐の仮面を付けた女が楽しそうに言う。彼女は庭園にあった木に触れる。すると、手が光り、粘土のように木が形を変える。
「その力って、まさか」
「ご名答!手から魔道具を生み出す力!君のケツと同じ女神の力さ」
粘土細工のように木がグネグネと形を変え、マシンガンの形に
ましんがん?!
「魔道具なんじゃ?!」
「この世界の住人にとっては銃器なんざ魔道具に見えるだろ?まぁ、魔道具要素としては弾切れがないことかな?」
「かりん!王女!物理防御魔法だ!!」
咄嗟に叫ぶ!
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ」
弾丸の雨が降り注ぐ。
「ぐぅ!」
あの様子だと、邪魔は入らなそうだな。
弍(セカンド)
奴は突然現れた。
「やぁ!桜!久しぶりだねぇ」
「……どちら様で?」
まだ転生する前、情報収集に立ち寄った村での酒場でのことだ。無粋にドカッととなりに座り、肩をバシバシと叩いてくる。小柄のショートヘア、にこにこと笑顔を振りまいてくる。酒場には似合わない歳に見えるが、俺の酒をスっと奪い、一気に飲み干した。
「とぼけるなって。僕の事を覚えてないわけが無かろうて」
彼女は外套で隠しながら、手を伸ばし、カウンターにあったフォークを握る。彼女が手を開くとそこにはリボルバーが握られていた。
「っ?!」
俺が飛び退き剣を抜くと、彼女も引き金を引く。
ぱんっと小気味よい音をたてて、旗が飛ぶ。
「……この銃が何か、分かってる時点で、地球から来てることは知ってる。さらに、その剣道をベースにした構えをするのは君ぐらいなもんさ。なぁ、桜。少しやつれたかい?」
「……魔武器庫(デパート)」
「ピンポンピンポン!ご名答!!君と同じ異世界人で」
彼女の両手が光る。
「君の口から聖剣を出す力と同じ、手から魔道具を生み出す力の持ち主だぜ。外に行こうぜ」
「……随分と戦争で儲けたみたいじゃないか」
「そんな恨めしげに僕を見るなよ。タダ働きをしろってのかい?君は戦果をあげることで、僕は武器を提供することで人類に貢献しているのさ」
「人類にも魔族にも武器を提供していたようだが」
「まぁそれは、僕の力が人類に必要なものって言うことをわかってもらうためさ。だって元は相手にされなかったんだから。癪だったしね。」
彼女は手のひらのリボルバーをくるくる回しながら、悪びれずに言った。
「ずいぶんと大活躍だったみたいじゃないかい。獅子王を押しのけて勇者の座に就くなんて誰が想像できた。異世界人は数多くいたけれども、君ほどその口から聖剣を出す力をうまく使えた奴はいない。魔王さまも予想外だっただろうに。魔力のない人間にここまで追い詰められるなんて」
「追い詰められる……?魔王は死んだんだぞ」
「世間的にはそうさ。魔王と勇者は相打ちになったとして語られている。だけど君がこうして生きているし、同じように魔王様は死んでいなくてもおかしくはないだろう」
「馬鹿な。だったらあいつがあの場で残ったのは」
「意味はあったさ。現に魔王は封印されてるからね。今も必死に黄金の巫女は魔王の封印が解かれないか1人で頑張っている。ご苦労なことにね」
勇者は歯噛みする。
「魔武器庫(デパート)。お前の言うことを信じるための根拠はあるのか。でまかせにしては質の悪い冗談だぜ。俺たちがあいつを犠牲にしてしまった事は俺たちと王たちしか知らないはず。なんでお前がそのことを知っているんだ。返答次第ではこの場でお前を叩き切る」
質問の返答はなかった。しかし
「桜、君は、巫女を助けたくはないか?」
「……なんだと」
これまで各地で探していた答えを奴が持っていた。
「……君たちの運命はとても悲しむべきものだ。世界の真実に翻弄されたかわいそうな若者たち。僕はとても心を痛めているんだ。若い少女は邪悪な魔王のために命を犠牲にし。若い少年は恋人を失った。世界の平和を守るために、そんな大義名分なんてくだらない。そうじゃないかい桜」
「……」
思うところはあった、俺たちの旅が終わって、世界の平和を維持していくために、魔法少女100人のシステムを作った。誰かが犠牲にならずとも、1人の力に頼らずでも世界が平和であるように。今その計画が実行されて数年経った。うまくいくところはうまくいったかそれもたった数年だけ。今や貴族や王族がその恩恵を受け、システムは崩壊しかけている。
「君たちが必死になって作った世界の平和は、くだらない見栄と欲望の塊さぁ。君たちの苦しみなんて知らずに世界の人々は生き続けている。感謝もせず真実も知らず。死後の世界をつなげる女神も今はいない。壊れかけのシステムがこの世界を生かしている。君たちの苦労した旅の軌跡も君たちの苦悩もこの結果はあんまりじゃないか。もしやろうやり直せる方法があるとしたら君はどうする、どうしたい?」
「巫女を、アイツを助けたい」
「僕がこちらの世界に来たときに女神様に聞いたのさ。転生するときに時代は選べるのかってさ。だってそうだろう。原始時代みたいな文明のないところに生まれ落ちるのは絶対嫌だったからね。もしもやり直せることができるなら、仲間を裏切れるかい?命をかけれるかい?」
「………………その方法は?」
彼女が俺に伝えたのは、過去への転生の仕方だった。
「……というわけさ。できるだけ歴史に影響を与えないようにしないと、僕と君が今日ここで会った事実も消えてしまうからね。君が転生する時は別人にならないといけない。」
「だったら巫女を救うことはできないじゃねーか」
「桜、君が本当に魔王を倒せる力を持てばいいのさ。幼い頃から修行を積み、あらゆる魔道具を集め、味方を作り、代役をたて、万全以上の状態で魔王に挑めばいいのさ。巫女に封印され、弱まった魔王を万全の君が迎えうつのさ。」
「なーにめぼしい魔道具や魔導書は把握してるし、なければ僕が作ってあげるよ。」
「……今まで表舞台に立たなかったお前がなんのメリットがあって俺をたすけるんだ」
「僕も商人さ対価は欲しい。」
「なんだ……」
「ある杖を探していてね。何があっても手に入れたい」
「黒濁か?白純か?天上(プラネタリウム)の杖か?」
巫女の杖を思い出す。どれも強力な杖だ。
「いやいや、そんな有名な杖じゃないんだ。導きの杖(ポラリス)って杖なんだ」
「導きの杖(ポラリス)?」
聞いたことがない。
「あぁ。まぁ特別すごい力がある訳じゃない。魔法をかけた相手を導く力があるのさ。どう導かれるのか気になるじゃないか。私ほどの魔道士になると大抵の魔法が扱えるから、つまらないのさ。単なる知的好奇心だと思ってくれ」
「……あんたは強いだろう?魔力が抑えられているけど。」
「強さは関係ないのさ。杖に選ばれないとならないからな。僕のような有り余る美貌と力があっても、どうにもならないこともあるのだよ。勇者の君の運を借りたいのさ」
「……その杖を使って何をするつもりなんだ」
「ん?君の決意は脇見をして成し遂げられるほどの簡単なものなのかい?」
「俺たちが無事に助かっても、無事に生活出来なければ意味が無いだろうが」
「まぁ、そうだな。だが、君が元の世界に2人で帰ってしまえば。その事はささいなことだろ?」
「元の世界へ?」
「ああ、そうさ。君は一直線にゴールを目指せばいい。魔王の強さは君が1番よく知っているだろ?」
……俺にとって大切なのは巫女を助け出すこと。ほかのことは、。
目を開けて、空を見上げる。
空の扉が音を立てて、開き始める。
「天上の杖よ、魔王を封じし、12の杖よ。いまこそ約束を果たそう。」
「全てを包め、牡羊座(エアリス)」
「全てを突破せよ、牡牛座(タウロス)」
「全てを真似よ、双子座(ジェミニ)」
「全てを断ち切れ、蟹座(キャンサー)」
12本の杖が空に舞い、黄金の扉に次々と刺さっていく。
「全てを喰らえ、獅子座(レオ)」
「全てを司どれ、乙女座(ヴェルゴ)」
「全てを測れ、天秤座(リブラ)」
「全てを呪え、蠍座(スコーピオ)」
「全てを射抜け、射手座(サジタリウス)」
「全てを呼べ、山羊座(カプリコーン)」
「全てを飲み込め、水瓶座(アクエリアス)」
「全てを覆え、魚座(パイシース)」
壱(ファウスト)の声に反応し扉に魔力が注がれる
「天上杖(プラネタリウム)開演(ライジング)!!!」
金色の扉が開かれ、昼間というのに空に星が溢れ出す。
大陸中の誰もが空を見上げる。
扉からは、
小さく、ぽとりと
黒い塊が落ちてきた。
それは
脈打つ黒い心臓
封印されていた黒い心臓。
扉を叩く音に聞こえていたこの音は
魔王の心臓。
1度脈打つごとに
巨大な音が響く。
次第に力強く。
より大きく。
「ぐ、あぁぁぁ」
現勇者が突然苦しみだす。
ケツを抑え、その場にしゃがみこむ。
「魂ゆらゆら、巨躯を呼べ」
弍(セカンド)が囀るように、言葉を紡ぐ。
溢れ出す黒いモヤは先程とは比ではなく、濃く液体のように溢れ出て、心臓に流れ込む。
「巨躯を纏いて、生まれ落ちよ」
地響きをたて大陸が揺れる。
大地の表面に張られていた魔王の身体の元が心臓目掛けてせり上がる。
宙に浮かぶ帝都を突き刺し、一直線に心臓のもとへ。
帝都を守っていた魔法のシャボン玉も膨大な質量に為す術なく破られた。
「大魔王の復活さあ!!」
土煙がまきおこり、心臓に大地が流れ込む。心臓の音に呼応するように脈打っていた土の塊が次第に形を小さく変えていく。
煙が晴れたあと、人影が見える。
一糸まとわぬ姿で黒髪の少女が空を見上げる。
黒い瞳に褐色の肌。
表情は無い。
「あれが魔王?」
予想とは違う姿に戸惑うも、頭には巨大な角が一対。
片方が欠けてはいるが、異様な姿にその場にいたものは誰も動けなかった。
瓦礫の中、手を空に伸ばす。ぞうさん砲の方だ。
「歳星(ユーピテル)」
小さく呟く。呟いているのか?唇の動きはなく、脳内に音が響く。抑揚のない機械的な声。
彼女の手のひらに縞模様の球体が浮かび、その球体のまわりには丸のこのように高速で回転する輪があらわれる。
「天・刑・星★」
声のトーンと表情が合わない不気味さを持ち、技を放つ。
彼女は風船でも弾くように、その球体を上に弾いた。
「なんだ、ありゃ……」
下にいた少女は、魔王なのか?
壱(ファウスト)は戸惑う。
下から打ち上がってきた。球体が近づくと、壱は悪寒を感じその場を一気に飛び退いた。
「?!」
自分の意思ではなく本能的に、反射的に動いた結果。
球は傾いたぞうさん砲にあたり炸裂した。
巨大なぞうさん砲から木々が生え伸び、内側から破壊した
「はぁ?!!」
「木星(ジュピター)」
彼女は空を見上げる。
黄金の扉に向けて手を伸ばす。
先程とは比べ物にならない魔力が片手に集まる
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※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
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