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子犬一 はぁて

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かわいくてたまらないとき

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 由羽をソファに連れていき寝転がす。体力が尽きてしまったのか、その身体はソファに沈んでいる。俺は由羽の隣に腰掛けて、ぽすぽすと背中をとんとんする。由羽にずっと触れていたくてたまらない。ずっとキスしたままでいたい。けど。最初から俺のペースで飛ばしすぎて由羽が引くとかは1番避けたい。

 ……なんか俺めっちゃ純情なんだが。こんな気持ちになったこと今までなかったのに。

「ふ」

 と微笑を零せば、寝転んだ由羽が上目遣いでこちらを見上げる。

「……どうして笑ってるの?」

「由羽がかわいいからだよ」

 やば。本音すぎて真顔で答えてしまった。由羽どんな反応するかな。

「かわっ!? かわいいかはわかんないけど……ありがと」

「っ」

 きゅうーっと由羽が俺の手のひらを握るのを見て、もう何が何だかわかんない感情が溢れ出してきて止められない。

 尊すぎる……! これはいくらなんでも反則だろ。これ由羽は狙ってやってんのか? いや、由羽のことだから変に計算とかはしてないと思うけどっ。天然タラシってこういうことか。

 一人で口に手をあてて納得していると、由羽の腹から「ぐぎゅるる」という音が聞こえた。

「すげえ音。もう12時かー腹減ったな」

「……うん」

 由羽、お腹が鳴っちゃったのが恥ずかしいのかほっぺた紅い。かわいい……。いいよ。どんどん腹鳴らせよ。俺がなんでも食わしてやるから。

「適当に出前頼むか」

「うん。そうしよ」

 由羽と相談して昼食はハンバーガーとポテトのセットを頼むことにした。俺はダブル和牛アボカドバーガー、由羽はダブル和牛レタスバーガー。20分もしないで届いたので、由羽はよほど腹が減っていたのかすぐに食べ始めた。もぐもぐしている姿がリスみたいでかわいくて、俺はそれをツマミにバーガーにかじりつく。

「うま。和牛いいわー」

「ね! 和牛バーガーなんてめったに食べないから今すごいリッチな気分」

「へえ。普段出前とか取らないの?」

「うん。ほぼ毎日自炊してて、割とヘルシー節約ご飯が多めかな。外食だと好きなものを好きなだけ食べるけどね」

「ふうん。由羽の手料理食べてみたい」

 もちろん、由羽の家へ行く口実でもある。由羽は照れ照れとしていたが、こくんと大きく頷いてくれた。

「いいよ。そんなにたいしたもの出せないと思うけど……それでも良ければ!」

「由羽の作ってくれたものならなんでも美味いよ」

「……ありがと。こんなに褒めてくれるの希逢くんだけだからすごい嬉しい」

「それは他の奴が見る目ないだけ」

 由羽は俺の言葉にくすくすと笑っていた。陽だまりみたいな優しい笑顔に俺の心も綻んでいった。

 ハンバーガーを食べ終えた俺たちは、そこから一緒にソファで映画を見た。契約してる動画配信のサブスクでリモコンを奪い合いながらじゃれていた。由羽は大きな猫みたいだ。見た目はミヌエットに似ている。恥ずかしがり屋で、素直で一途。出会ったばかりの頃は警戒心が強くてつんつんしていたが、今ではもう心を開いてくれている。甘えんぼうなのも知れたし、気配りも上手いし、そして何よりやさしい。今まで出会ってきたどんな人間よりも、心があたたかい人なのだ。だからもっと由羽のことを知りたくなる。好きなことも苦手なことも全部。でも、俺には由羽に隠している秘密がある。はたしてそれを知ったとき、由羽はいつもみたいに笑顔で接してくれるだろうか。俺のことを頼りにしてくれるだろうか。俺のことを、嫌いにならないだろうか。そんな微かな不安が頭をよぎる。長く隣にいるなら、早く伝えておかなければならない。由羽の時間を無駄にしたくない。俺は由羽の頭に、こてっと頭を寄せて今という時間を楽しむことにした。大丈夫。きっと由羽なら受けいれてくれるだろう。そう、疑わずに彼の手を引いた。
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