【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya

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8 終

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 ジュリアの事業は長く続いた。

 コーヒーサロンは紳士の憩いの場に、女学生向けの喫茶店は令嬢たちの楽しみの場に。

 貴婦人向けのサロン喫茶も展開していきこれも大成功だった。

 慈善活動にも力を入れて、寒い冬の季節に貧民たちに毛布と布団、温かい飲み物を振る舞うサービスも展開した。

 治安面の問題も、事業にバックアップしてくれるレイモンド・ラエル大公が人を派遣して店内の安全確保の確認、指導、慈善活動中の護衛の確保に力を入れてくれて助かった。

「あら、いらっしゃい」

 今日はコーヒーサロンに足を運んでいたジュリアの元に客が一人訪れた。
 右頬に傷ができたアベルだった。

 紛争地に長らく赴任していた彼の雰囲気は近寄りがたいものになっているかといえばそうでもない。

 若い頃に比べて穏やかに物事にあたり、大事に至れば毅然と対応する頼れる将軍として人々の尊敬を集めた。

 しかし、彼は独り身のまま。

 周りから再婚を勧められても聞かず、親戚の子を養子にとり後継とした。

 一度目の結婚で妻を不幸にしたことを自覚してのことだろう。

 そんな彼の楽しみは、コーヒーサロンにかようことだった。


 今日も、ジュリア・ベルティーのお店は芳しいコーヒーの香りで客をもてなす。


(終わり)
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感想 1

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みんなの感想(1件)

笹椰かな
2026.02.23 笹椰かな

初めまして。こちらの作品を最後まで読ませていただきました。

とても素敵なお話でした!
ネットでよく見かける、うまくいかなかった夫婦がよりを戻す話なのかな?と思っていたら、よりは戻さず、あくまでも友人として新たな関係を築くお話だったのでとても好感を抱きました。

アベルは悪い人ではありませんが、ジュリアが離婚したいと考えるには十分な事をしてしまったので、あっさり復縁するよりも最終話のような終わり方のほうが断然好きです。

アベルは離婚をした後にきちんと己の行いを反省していましたし、その後もライバル店に雇われた悪漢からジュリアを守ったり、ジュリアに小切手をそのまま返したりと人間として真面目な部類である事がうかがえるので、私の中の好感度は高かったです。
ただ、妻であったジュリアへの関心が低かったのは事実だろうなとも思いました。結婚には向いていない善人という印象を抱きました。

ジュリアがすごくしっかりした芯のある女性で、同じ女性としてとてもかっこよくて素敵だと感じました。
7話に出てくる「紛争地が~」から始まるセリフが好きです。彼女の心の広さと聡明さが表れていて、かっこいいと思いました。

2026.02.23 ariya

感想ありがとうございます。

離婚した夫婦が元鞘にならずに、でもそれほど悪い関係にはならないものを目指しました。
アベル自身も悪人ではなかったのですがね……仕事や事務的なことは信頼されていますが、確かに結婚、夫婦関係を築くのは苦手だったと思います。

ジュリアをたくさん褒めてくださり嬉しいです。
改めてありがとうございました。

解除

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