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第 五章 王都と陰謀と武闘大会

第 57話 王都到着と巻き込まれる俺。

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    領都ドラクルを出て、二日目の昼過ぎに、お約束の影が襲い来る。さて、どうなるやら。

    先ずは、騎士団長のラルフさんに、襲撃者達がいることを教えねば。

    「ラルフさん、この先の森の中で四十人程の襲撃者達が奇襲を掛けようと隠れて待っているので早く迎撃の準備をしてください。侯爵一家にも伝えるようにお願いします。
    後、くれぐれもセイラお嬢様を攻撃に参加させないようにお願いしますね。侯爵一家の襲撃者達なので、どんな手練れがいるか、分からないので、手出しさせないように。念のため皆さんには矢避けの魔法を掛けておきますね。〈マルチロック〉・・・〈エアカーテン〉」

車列にいる味方全員に矢避けに魔法をかける。自分には〈シールド〉〈クイック〉〈身体強化〉をかけて、気配を消して森に近づいて行く。

(ピロ~ン♪『武技の極み』により、〈忍び足〉〈気配消し〉〈気配察知〉が上がりました。)

    襲撃者達は、森の中央辺りで道を挟んで二十人ずつに分かれて待機している。
    気配を消したまま、王都に向かって右側の森にいる連中の背後に回り込み、配置を見ると弓を構えているのが五人、王都側に十人で森の入り口側に五人で、道を挟んだ向こう側も同じ配置だ。

    (さて、そろそろ馬車がくる頃だ。車列の前後左右に五人ずつ騎士を置いているな。それでは、まず飛び道具を封じますかね。)

「〈マルチロック〉〈スリープ〉!」

道を挟んだ向こうとこちらにいる弓持ちの襲撃者を〈スリープ〉で強制的に眠らせた。

(ピロ~ン♪『魔導の極み』により、〈闇属性魔法〉が上がりました。)

    レジストした者はいなかったようだ。近づき五人を縛り上げ武器は全て取り上げインベントリィにしまった。

    盗賊よりもかなり上等な装備品を使っているようだ。こりゃあ、益々きな臭い事件だな。あーヤダヤダ。

    侯爵一行の馬車が森に入ってきた。襲撃者達も動き出した。前に二十人後ろに十人で挟み、左右は弓矢持ちで十人で囲む積もりのようだった。ま、予想通りだね。    
    ではこちらも第二段階の準備だ。お、いよいよ侯爵一行に襲い掛かって行くな。

    まず、頭数を減らしておきますか。

「〈マルチロック〉〈シァイニングジャベリン〉」

森の入り口側にいる十人に
光の槍が四本ずつ降り落ちる。この魔法は現在の最大威力の対個人用魔法なので、当たればまず動けなくなる。って言うか、大概死ぬね。
    実際、一発も外れることなく命中して、全員即死だった。マップ上の赤い光点が一斉に消えたからね。
    森を突っ切り道を跨いで向こう側に向かう。道を横切る途中で、ラルフさんに馬車後方の敵は全て倒したとつたえた。そのまま反対側の森に入り、寝てる弓兵を縛り上げ武器を取り上げてインベントリィにしまう。

    逃げられないのを確認して、馬車の前を塞ぎ騎士達と戦っている襲撃者達の背後に気配を消し忍び足を使って回り込んだ。誰がリーダーか探すためだ。
    探すまでもなかった。直ぐに見つかったよ。なぜなら、後ろで弓はどうした?とか挟み撃ちのはずが、騎士が何故全て前にいるんだ?とかわめいているからだ。一人だけ戦闘に参加していない者がいたからね。
    色々と事情聴取したいから、捕まってもらいましょうか。

    リーダーを指差して呪文を唱えた。

「〈スリープ〉!」

    男は膝から崩れ落ちていった。それを見てから剣を抜き加勢していく。元々車列の前は騎士が集まり二十対十五だったので、十分互角に戦っている。

    俺は倒れているリーダーをロープで縛り上げ所持品を全て取り上げた。中々良い剣や毒らしきビンにはいっていた。透明な液体や何かの手紙のようだった。そして、猿ぐつわをして、仲間から消されない様に侯爵の馬車の近くに放り置きセバスさんに見張ってもらった。

    改めて、戦闘の状況を見ると、襲撃者達は半数が倒されていた。残りも既に逃げ腰になっている。中々騎士団強いよね。魔物の時より全体が強くなっていた。それとも精鋭部隊だからか?

    今からの援護はいらないだろう。ケガ人がさすがにいるようなので、騎士全員にマルチロックでヒールをかけた。更に士気が上がり、遂に全員を倒しきった。ラルフさんが指示を出しながら俺の方へくる。

「オオガミ君、助かったよ。君が早目に気付いてくれて。それで、そいつがリーダーなのかい?」
「はい、恐らく間違いないでしょう。こんな物を持ってましたよ。」

ラルフさんに奪った所持品を見せる。

「これは毒かい?あとこの手紙は・・・・」

手紙を読み始めた途端、顔つきが真剣になり、俺に一緒に侯爵様の所に着いてきて欲しいと言ってくる。
あー、やっぱり巻き込まれるのか。

    出来れば、貴族間の政争には係わりたくないのだがな。まっ、取り敢えず侯爵様の所に行きますか。

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