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第 十章 拡大する町。始動する商会。

第151話 相談しましょう!

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    さて、赤鯱から押収したお宝は、魔鉄の片手剣五本に槍が三本、金貨約三万枚に白金貨五百枚程、あとは各種宝石と金の延べ板と言った所だった。

    騎士団にはボーナスとして各自金貨二枚の支給をした。ドレイクには手当てとして金貨百枚を渡した。船の維持にも金がかかるし、商会の建て直しにも金がいるからね。かなり有り難く思ってくれたようだ。 

    残る海賊団は『白鯨団』『黒カモメ団』『青海蛇団』と『赤鮫団』の残党になるが、ただなぁここ二、三日の内に大工の皆さんが工事でやってくる予定なんだよな。俺が頼んで来て貰ったのに、呼んだ本人が当日にいないじゃ礼を失する事になる。やはりここはキチンと挨拶しないといけないな。やはり、赤鮫団の所はレナード達に頼むか。

    「旦那様、夕食の準備が整いました、食堂で皆様お待ちしております。」

ノックの後、サウルが入ってきて、伝えにくる。

「もう、そんな時間かい?分かった。行こうか。」

    昼間に赤鯱団のアジトを襲い、人から物まて全て押収してきた。この中で、困ったことが一つ出来た。
海賊団に拐われていた女の人が五人いたのだ。
皆同じ村の出身だそうで、つい最近に連れてこられたそうだ。

    家族や親族が生きていたら村に帰る事も出来るが、既に殺されているようなら、保護して生活がたつようにしてあげないといけない。
さて、どうしたものか。

「皆お待たせ。」
「兄ちゃん遅いにゃ。」
「悪い悪い。アルメイダ待たせたね。まずは食事にしよう。やってくれ。」

合図と共に料理が運ばれてくる。
今日はメインに白身魚の切り身のパイ焼きだ。
日本で生きていた時でさえも、パイ焼きなんて物は食べたことがない。
パイ皮を崩して、中身を切り出す。バターが効いていて旨いね。あーアジの干物に白いご飯が食べたいな。
町の南には大きな川があって、川の近くは湿地だから田んぼにしやすいのだけどね。
    なんて、色々考えていても、しっかり食べている辺り、さすが俺。食事は美味しくいただくのは、料理と料理人達への、礼儀だと思うな。

    「いただきました(にゃ)。」

    皆、席から立ち上がろうとしている所、サウルとレナードに声をかける。

    「サウルとレナードは悪いが執務室に来てくれ。ガトー、お茶を頼む。」

二人を連れて執務室へ入っていく。
三人がソファーに座ると、はかった様にガトーが入ってきて、お茶をいれてそれぞれの前におく。

「ありがとう。」

声をかけるとお辞儀をして退出した。
まずは、一口飲んで落ち着く。二人も飲んで落ち着いた所で、話を切り出す。

    「今日の昼間行った赤鯱海賊団の討伐なんだが、結果としては上出来だが、問題も出てきた。端的に言うと、捕まっている人間がいるとは想定してなかった。助け出した五人の身の振り方を考えないといけない。何か知恵はあるかい?」
「閣下、まずは話を聞いて、どこの村から拐われたのか聞いて、村の現状を確認しては如何でしょうか。ただ、まあ正直言いまして、海賊団に襲われたとなると、生き残りがいるのか疑問ですが、それから考えても遅くはないかと。それまでは、保護と言うことで、ここで預かっては如何ですか?」
「う~ん、たしかにねぇ。」
「旦那様。それに、何か得意なことはないか訊ねてみてはどうでしょう。もし、なにがしかの特技があれば、商会の方でも雇えるかもしれません。」
「そうだね。いずれにしても、本人達に話を聞かないと始まらないか。分かった。明日話してみよう。それと、次に海賊団の件だが、今日一つ潰した訳だが、あと三つの海賊団と残党が一つ残っている。だが、私はここ二週間近くは、内政にかかりきりになる。来週にはビル達が町に着くだろうし、近日には町の拡張工事のために大工の皆さんが来る予定なんだよな。なので、明日朝食後、女性五人の話を聞いたあと、西の防壁を新しく作り直す為に出掛けるから、サウルは五人の面倒見といてくれるかな?話の内容によっては指示もするから。」
「承知しました。」
「で、レナード達には近い内に赤鮫団の残党を捕まえに行ってくれるかな。ドレイクと相談して。目的は水夫の確保だから、殺しては駄目だよ。捕まえてくれれば、使うかどうかは私が判断するから。まあ、使える奴がいればいいけどね。今日捕まえた海賊は兵舎に入れておいてね。衣食住はキチンと出してあげてね。もう、アイツ等は下手なマネは出来ないから。暫くは警戒監視という事で対応してくれ。レナードいいかい?」
「は、承知しました。」
「サウルもゴタゴタするけど、宜しくね。」
「承知しました。旦那様。」

「じゃあ最後に、今年年末までの各活動費と運営費を渡すよ。はい、サウルには王都の屋敷の分もだ。鏡を使って送ってもいいし、今度向こうに行った時に同行して渡してもよい、帳簿管理を忘れずにすること。魔法使いのスティンガーなら参謀兼務で団の軍政も出来るだろうから、色々と使ってやってくれ。
うん、話は以上だ。お疲れ様。」

二人が出ていくのを見送り、立ち上がって執務机の椅子に座るとノックがあり、アルメイダが執務室に入ってきた。

「お、アルメイダ。どうしたんだい?」
「ここ暫く、ショウ兄ちゃん忙しくてアルの事構ってくれなかったから、構ってもらいに来たにゃ。」

そう言うと、シェイプチェンジで小虎になって座っている私の膝の上に飛び乗り丸くなった。

「アル~。これではまるきり、ネコだぞ。(笑)」
「この際、仕方ないのにゃ。ネコでも何でも良いから、ショウ兄ちゃんと居るにゃ。」

    仕方ないので、ノドを掻いてやると、ゴロゴロ言い出した。ケモミミの感触を堪能しつつ助け出した五人の身の振り方を考えた。まず、話を聞いた上で身寄りが有ればそちらへ行くも良し。いなければ、商会の工房に勤めてもらっても良いかもしれない。マヨネーズやケチャップを作るにしても人手はいるからな。それに、話してみて、何か特技があればそれを生かす道も考えられるし。メイドさんの口は今のところ一杯でないしな。やっぱり工房の職員にした方が良いかもだな。

    その日は就寝時間まてあれこれと考えたが、ベッドに向かう頃には、アルは寝ていたので、久々に寝苦しくなく寝入った。

(お休みなさい。明日はノンビリ出来ます様に。)


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