異世界に一つだけ持って行けると言われたので『ダム』と答えました。

34.久しぶりのティフィール

　翌日も冒険者ギルドのクエストを容易に達成したマナミとサトルは冒険者ギルドに報告に来ていた。
　　
　｢依頼が完了したから手続きを頼む。｣

　「かしこまりました。ギルド証をお願いします。」

　ギルド証を出して待っていると受付がやってくる。

　「依頼の貢献値がたまっていますのでランクアップ試験をうけませんか？」

　「ランクアップか？あげすぎると強制依頼や指名依頼があるから断るよ。」

　「そんなー、そこを何とかお願いします。」

　「どうせギルドマスターの言いつけだろう？」

　「そんなことはありま・・せん。」　　

　ギルドマスターの言いつけみたいだったので断ることにした。街からでる予定だったので速やかにでる。
　そろそろティフィールの商業ギルドにガラスのコップを納品しないといけないのでティフィールに向かうことにするサトル。
　今回冒険者ギルド騒動で商業ギルドとの関係が良くなったので他の支部での納品を相談してみることにする。わざわざティフィールでの納品は後に苦になるかもしれないからだ。

　「マナミ、一旦ティフィールにいくぞ。」

　「急ですねサトルさん。わかりました。」

　馬車での移動はスムーズにいった。盗賊やモンスターを回避しながら進んだ為だ。一週間かかる道のりもサトルの付与魔法の力によって3日でティフィールにつくことが出来た。

　「サトルさん飛ばしすぎですよ。車酔いしました。」

　「馬車酔いか乗り物酔いだろう表現的に、」

　「そうですけど、意地悪！」

　マナミをからかうサトルだった。

　ティフィールでは早速商業ギルドに向かいコップの納品を行う。商業ギルドにつくと副ギルドマスターのレティア・エーマーソンが待ち受けていた。プーリットルを離れる時に商業ギルドに報告していたからだと思う。

　「サトルさん早速ですが話があります。いいですか？」

　すごい勢いで近づいてきたのであっさり許可を出すサトル。

　「わかった。」

　個室にはいると副ギルドマスターのレティアが土下座しながら言ってきた。
　　
　「お願いします、コップをギルドに卸してください。在庫がなくなって大変です。」

　相当困った顔でいってくる。レティアに返す言葉も見つからないサトル。仕方ないのでストックから10個納品をした。

　「1週間滞在するからまた納品をするから安心してくれよ。」

　「本当ですね？言いましたからね。一週間で最低2回は納品をしてくださいお願いします。」

　「ああ。とりあえず今日はかえるよ。」

　レティアの勢いに負けたサトルだった。久しぶりのプーリットルの街並みに安堵したサトルだった。