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第3話 追い出される
しおりを挟むえ?どゆこと?
目の前のステータスを見て、メーバが言っている事を聞いた俺の脳内はフリーズしていた。
だけど、視界はちゃんと機能している。
「コルビィン様に連絡をお願いします。シー様。あなた達はこの水晶が壊れてないかどうか調べてください。私はキリサメ様のステータスをしっかりと確認したいと思います」
「分かりましたわ。今すぐ父上にお伝えしてきます」
「分かりました。メーバ様」
メーバの指示でみんなが慌ただしく動いている。
シーと呼ばれた女性は、王様が出ていった扉から出て行く。
水晶を持っていた女性二人は、メーバに指示された水晶に異常がないかを調べ始める。
「キリサメ様、もう一度ステータスを見ててもらってもいいですか?」
メーバは慌てるようにしてそう俺に言ってきた。
だが、ステータスを見せようにも今は水晶を調べている最中なので見せる事ができない。
どうしよう。そう考えていると、一つの案が頭に浮かんだ。
それはあるラノベを読んだ時に、ステータスの出し方が載っていた主人公の心情だった。
というわけで、俺はそのラノベに出てきた主人公と同じ事をする。
ステータスが見たい。
俺は心の中でそう強く思う。
すると、目の前に突然透明な板、プレートのようなものが現れた。それをしっかりと見てみると、そこには先ほど水晶に触れた時に出ていたステータスと同じものだったのだ。
「キリサメ様、ステータスオープンと言って、ステータスを出してください」
ステータは既に出ているはずなのに、メーバは俺にそう言ってきた。
あれ? ステータスは出てるよね。なんでだろう。
そう思いながらも、メーバの目には俺のステータスが見えていないことに気がついた。
というわけで言われた通り、ステータスオープンと口に出していうことにする。
「ステータスオープン」
しかし俺の視界に映っている景色は全く変化しなかった。そもそもステータス自体はもともと出ていたため俺からしたら変化しているのかが全くわからなかった。
突然メーバが顔を近づけて来る。
「やはり何も変わっていませんね。ここからどうすれば‥‥‥」
そう口にして困った顔になるメーバ。ということは、しっかり見えていたということだ。
「キリサメ様!至急私についてきてください! 父上にそのステータスを見せてもらいますので」
と、俺の名前を呼ぶ声がこの部屋全体に響く。
声が聞こえた方を見てみると、先ほど王様に俺のステータスの件を言いにいった女性が扉の前で立っていた。
というわけで、俺は彼女の後をついて行くことになった。
***
「‥‥‥ふむ。ステータスを見る限り、勇者としての振る舞いやこれからの戦いには付いて来られぬだろう。だが、ここに居座り続けられても正直困る」
俺は今、王様の目の前に立ちステータスを見せていた。
それと俺をここに連れて来させたのは、王様の娘、シー・サズ・コルビィンである。
今の話を聞いてみて、王様にとって俺がここにいるのはダメであり、今すぐにでも出ていって欲しい。そういうことだろう。
俺はステータスを閉じて口を開く。
「ということは、俺は今からここを出なくてはならないということになりますよね?」
「ふむ。話が早くて助かる。では、早速だが支援金の準備をしよう。シー、袋の中に一週間分のお金を入れて持ってきなさい」
「分かりました、父上」
王様は、娘であるシーにそう言った。
シーはそう返事をすると扉から出て行く。
俺はというと、王様と二人きり。
そこで、王様が口を開いた。
「キリサメ様、これからあなたには王国の隣にある街・ウルクスというところに行ってもらいます。それと、そこまで行くのにこちらから門兵士を二人ほど出して、馬車を引かせますのでそれに乗って行ってください。それからの生活は、あなたの自由です」
「とりあえずは分かりました。では、王様、短い間でしたがありがとうございました」
王様の話を聞いた俺は、そう返事をした。
と、ちょうど、お金を取ってきたシーが戻って来た。
「キリサメ様。こちらが支援金になります」
「ありがとうございます」
お金の入った袋を渡して来たので受け取り、お礼の言葉を口にする。
「では、キリサメ様、お元気で」
最後に王様がそう口にしてこの場は幕を閉じた。
それから俺はシーに連れられて、城の外にある馬車まで連れてこられたのだった。
***
そして現在は、馬車に揺られている。出発してからしばらく時間が経っているのだが、未だにウルクスには着かないようだ。
「勇者様も災難でしたねぇー。まさか、村人以下のステータスなんて最悪でしたよね」
「まあ、仕方ないですよね」
馬車を引く王国の兵士二人は俺にそう言ってきながらアハハハと笑う。
「そうですね」
俺は苦笑いしながらそう答えた。まあ、別にイラつきもしてはいない。が、さすがここまで言われると親の顔も見てみたくはなる。
話は変わるが、見たところ今いるところは平地。なにもなくただ一本道が続いているだけだ。
馬車を引く兵士楽しそうに二人で話しているので、とりあえず今の俺の状況をまとめるとしよう。
まず一つ目は、俺の服装はこの世界に召喚された時のまま制服だ。服はウルクスに着いてお金に余裕があるなら買おうと思う。
次に二つ目は、王国から出る際に貰った袋の中には、金貨三枚と銀貨五枚が入っていた。だが、この世界でのお金の価値観が全く分からないため使うのは後だ。というか、後で聞いた方がいいのかもしれない。
最後に三つ目は、俺のステータスにあるスキルを使ってみて改めて異世界感を感じたことだろう。
とまあ、これら三つが今の俺の状況をまとめてみた結果である。
ーーガタンッ!
そんな音がすると同時に馬車が揺れる。
「おっと」
そして俺は馬車が揺れたせいで前に倒れそうになり、どうにか耐えた。
「クソッ! ていうか、なんで俺らがこんなことしなくちゃなんねぇんだよっ!」
「仕方ないでしょ。この無能勇者様を送ったら大量の金が手に入るって言われてるんだから」
「まあ、そーだな」
一人の兵士が突然怒鳴るようにそう口にした。だがすぐにもう1人の兵士がそう言うと、二人の兵士は笑い始める。
無能勇者のせいでこんなことさせてごめんなさいね!!
俺は少し切れ気味にそう思いつつ、無視をした。
どうせウルクスに着いたらもう合わないし、自由な生活が待っているのだから、今はどうでもいい。
「おっ! ウルクスが見えてきたなー」
「そうですね。では、勇者さまはここで降りて、ウルクスまで自分の足で歩いていってくださいね」
ウルクスが見えてきたのか二人の兵士はそう言ってきた。
しかし、俺からは見えていないのでわからなかった。
「え、あ、はい。分かりました」
まあ、見えないからと言って降りないのも彼らの怒りに触れてしまうかもしれない。ここは、言われた通りに降りた方がいいだろう。
俺はそう思い、馬車から降りる。
そして、視界は今まで見たこともない景色に変わった。木々が立ち並び、草々が生い茂っている。
「それじゃあ、無能勇者様、さようなら」
「そうですね。こっちはもう二度と会いたくありませんね。無能とは」
「は、はい。ここまでありがとうございました」
二人の兵士がそう言ってきたので俺はそう口にする。
すると、二人は俺の反応が気に食わなかったのか、
「チッ! 無能って意味がわかってねぇーのかよ?」
「仕方ないですよね。異世界から召喚された無能様ですからね」
そう口にしながら、来た道を馬車を引いて戻っていった。
俺はというと、一人ウルクスの街が見えるくらいの距離で一人になっていた。
というか、無能無能煩かったな。ま、もう会わないだろうし、それに王国とは関わらないだろうからもうどうでもいいか。
最後にそう思った俺は、ウルクスの街の方を向きながら歩いていくのだった。
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