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それでも……
学校、塾に行き、『自分の未来のための勉強』などと、先生が言う絵空事みたいな言葉を聞き流し。
結果だけを求め、解放される日だけを目標にノートを開く。
今まで通りの日常を繰り返す。
その日は、なんだか疲労感に苛まれながら、塾からトボトボと駅まで向かっている所だった。
「おー、玲央?」
後ろから声をかけられた。
「拓真さん……」
普通のグレーのスーツも、モデルみたいな頭身の人が着ると、雑誌から出てきた感しかなくて……
現実味が無くて、一瞬幻かと思う。
「一海んとこ、行くぞ!」
俺の肩に腕を回して、有無を言わさず連れ去られる。
置かれた手の場所が、熱い。
6月半ばだから……暑いんだと……
しなくても良い言い訳をした。
「一海、来てやったぞ~玲央も一緒」
鍵のかかっていない、引き戸をあけると、手慣れたように、上がり框に腰掛けた。
皮の靴紐を緩めて、脱ぎ捨てたままで行ってしまった。
俺もその横で靴を脱ぐと、拓真さんの靴を直しながら、その横にスニーカーを並べた。
2足の革靴とスニーカーをピタリとくっつけてみる。
急に嬉しくなった。
あのキスを一海さんは、覚えてるのか……と思いながら、若干、どう反応したらいいのか分からない俺が居間に行くと。
「この間は…本当にすまないっ!!……ほんと、俺、もう呑まない…」
一海さんは頭を畳に擦り付け、全力の土下座をしている。
「いや、別に全く気にしてないですから……何の感情も無いですし、正面衝突事故だと思ってます」
本心で答えた。
悪いことしたと、一海さんが気にしてるんじゃないか……って事を思っていだけなので、俺が大丈夫と答えて完了だ。
一海さんとの件に関しては、これにて、一件落着で…
なんなら、忘れてしまうかもしれないくらいの案件だった。
申し訳なさそうにしつつも、穏やかな笑顔を向けてくれる一海さんには、全く普通に返せるし、ホンワリとした気持ちになる。
この人に対しては…だ。
そっちに答える口とは、別に、俺の目線は、拓真さんがネクタイを少し緩めるその首元をつい、じっと見てしまった。
そこで固まったかのような俺の眼は、
微かに見えた鎖骨の色っぽさに驚いて、やっと目線を下げた。
「れお、ごはん、たこやき」
ニッコニコの詩ちゃんが寄ってくる。
「そうだぞ!玲央、今日は、タコパなんだよ!タイミング最高だよ」
確かに、居間の大きなローテーブルには、真ん中に大きなたこ焼き器と、具材が綺麗に並べられていた。
「タコパって何ですか?」
「は?お前、タコパ知らないの?マジ?どこぞのボンボンか?」
俺の家のレベルを分かっていて白々しい程に驚く拓真さんは、ニヤっとしてる。
「たこ焼きを焼くんでしょ?でも、何の略……タコパ」
「たこ焼きパーティーの略でございますわよ…お坊っちゃま」
俺の頭を撫でくりまわしながら、拓真さんが言ってくる。
そんな、触れ合いが、距離が縮んだみたいで、なんだか凄い嬉しい。
「もう、拓真は、からかうなよ!お前が虐めて玲央が来てくれなくなったら、恨むぞ!」
皿を持ってきた、一海さんがクレームを付けた。
「それは、困るな……玲央、俺の隣に座れ!この俺様自らが、たこ焼きの焼き方を教えてやるから」
何が困るのか……
一海さんに恨まれる事か、俺が来なくなる事か……
まぁ、どちらにしても、前者だよな……と自虐的に思う。
「料理上手ですもんね、お願いします」
「な、なんだよ……そんな素直に来られたら……」
拓真さんの困ったように照れた顔が、妙に可愛いと思った。
流し込まれた生地に手早く具材を散らす。
腕まくりしたワイシャツと、胸ポケットにネクタイの先を入れ込んでるその姿が……
大人のオトコって感じ…
程よい筋肉質の腕に、竹串を回す度、浮き上がる腕の筋を見て……
無性にドキドキしてしまった。
「よく見とけよ?」
拓真さんは、俺に不敵な笑みを1つ寄越し、見事な手付きで、たこ焼きを回転させる。
見る見るうちに、真ん丸なたこ焼きが出来上がり、皿に盛られると、1番に俺に渡してくれた。
「玲央、食べな?」
受け取り、熱々のたこ焼きを頬張る。
「熱っ、うまっ!」
大ぶりの鰹節にソースとマヨネーズの香り、外はカリッと中はフワッと。
まさに、お店の味。
「天才ですね……」
「まっ、まあな!」
「沢山食べてってな!あ、でも、家の人……夕飯大丈夫?」
気遣いの人、一海さんが心配してくれる。
「俺、塾の日は……外食なんで……お金渡されてますから」
「良し、じゃ外食したと思って、そのお金は、好きなもん買えよ?」
翔太さんが俺に追加のたこ焼きを渡しながら言う。
好きなもの……
無いんだよな……
特に欲しいと思う物……あったかな?
考え込んでいると…
頭をポンポンと叩かれる。
「良し、玲央!こっからが、タコパだからな!一海~食材追加!」
あいよ~と台所から返事が来る。
一海さんが持って来た大皿に盛られた数々。
エビ、チーズ、ウインナー、枝豆、ブロッコリー、トマト、餅、それに串に刺さった焼き鳥まであった。
「どれが何だか、作る俺も分からなくなるから、皿に盛られたのは、食べろよ!どうしても食べれない物あるか?」
偏食の無い俺は、首を左右に振った。
勢い良く放り込まれる多種多様な食材。変わり種のたこ焼きが、どんどん出来上がる。
「わぁー、しゅごい~」
と喜ぶ詩ちゃんは、ウインナーを狙ってるらしい。
「あ、これ……エビ。エビ焼きですよ!」
その次に口にしたのは、トマト焼き。
なんか、可笑しくなってきた。
なるほど、これは楽しい。
まさにパーティだと思った。
「なんか、良い笑顔が出るようになったよね、玲央くん」
「まぁな、最初、死んでたからな顔」
「一海さん、拓真さん…」
なんか、この場所に居られる事が、嬉しくて……
確かに、前よりも感情が出るようになったかもしれない。
タコパも初めてだし。
こんな和やかな食事は…味わった事が無い。
我が家の普通は、お手伝いさんの作ってくれる料理、会話も音も無い……沈黙の会食。
塾の帰りに、1人で寄るレストラン。
友人とファーストフード店に向かう同級生達を横目に、これで良いんだと思い込んできた日々。
家での食事を思い出すと、一瞬冷やりとして、
思わず…目尻に涙が溜まった。
「熱っ!」
と、熱かった振りをして涙を流す俺に、気付かない振りをしてくれる、大人が2人。
そこに、場の空気なんて無くし、容赦なく
「ないちゃ、だめよぅ~」
詩ちゃんがティッシュを出してくれる。
ありがとうと、受け取ると、抱きしめてくれる詩ちゃん。
柔らかく小さな身体は、届かない腕を伸ばして、必死に俺を抱きしめる。
「また、来たらいいじゃないですか……そのかわり、僕の勉強見てくださいね……」
無愛想ながらも、黙々とたこ焼きを食べていた凪くんが声をかけてくれた。
みんなが、俺に優しくしてくれる、
小さな事の一つ一つに感動してる自分。
自分の中にも、ちゃんと感情があった事を思い出した一夜だった。
それから、1週間に1度、塾の帰りは、親から渡された外食代でお菓子を買って、円月家を訪れた。
コンビニに寄る事を体験し、初めてのお使いさながら、誰かの為に、相手の喜びそうなお菓子を選ぶ事の楽しさを知ったしまった、また一つ、楽しい事を頭のノートに追加した。
連絡先も交換し、俺のメーセージアプリには、初めて家族以外の連絡先が追加される。
一海さんは、家族写真のプロフ画像で、拓真さんは何も画像を選択してなくて、それがまた拓真さんらしいと思えた。
この間スマホを買って貰ったばかりだと言う凪くんも、連絡先を交換してくれた。
俺はしょっちゅう、メーセージアプリを開いては、眺めてニヤニヤしてしまう。
今日も、行く前にメッセージを送ると、一海さんは今夜は仕事らしくて。
拓真さんが留守番変わりに泊まってくれるから、大丈夫だよ。と返事が来た。
大丈夫だよ……は、取り方次第で、来なくていいって意味か、来ても良いのどちらか、少し迷った。
再度聞くのも仕事中に申し訳無い気がして……
既に、詩ちゃんと凪くん用に買ってしまっていたお菓子の入ったコンビニ袋を下げて、とりあえず向かった。
インターホンを鳴らすと、拓真さんが扉を開けてくれた。
「お、聞いてる、上がれよ」
ホッとした、来て良かったのだと。
「れお~おかし~」
「こら、詩、期待してねだるのは、ダメだぞ。玲央も、自分の物を買えば良いんだから、気を使うな!若いヤツが…」
呆れた顔で言われる。
「俺、欲しい物無くて……」
俯いて言うと…
「玲央は、好きな色は?」
「え?あ……緑、かな…」
「じゃ、好きな食べ物は?」
「うーん、チョコレート…かな」
「ほら、あるじゃねぇの、ちゃんと。もっと、自分に問いかけてみな?」
そう言うと、俺の頭をポンと叩き、覗き込んできた。
嬉しがる俺の心臓の鼓動は早まった。
今夜は、オムライスらしく、拓真さんが作る円月家でのご飯は、大概いつも、お子様メニューだ。
俺に対してもだけど、なんだかんだ……本当は優しい人だということが分かってきた。
これまた、絶品のオムライスを、あっという間に完食し、俺は、凪くんが分からないと言う問題の説明をしていた。
「玲央さん、勉強ホントに出来るんだ……ちょっと尊敬……」
凪くんにポツリと言われた一言が、もの凄く嬉しかった。唯一の俺の価値である勉強だから。
食後のデザートだ!勉強中断!って、出してくれたのは、俺がコンビニで買ってきた新作スイーツだった。
食べながら、俺は聞いてみた。
「拓真さんは、どうして……塾講師に?」
「は?俺?」
ずっと疑問だった……
一海さんから聞いた所に寄ると、拓真さんは、東大の工学部を出てるらしく……本来、もっと違う職業があったのでは……と。
美形、頭脳明晰、料理上手、優しい…高スペック過ぎるのに…それを全く鼻にかけていない。
「俺な、勉強には苦労した事無くてな……それでも、高校の時、好きな奴に勉強教えるのが、これが……まぁ~、難しくてよ!俺は理解してるけど、相手に理解させようとする事の難関さ…それでも、ソイツが、見事大学に受かるまで必死で見てやって、合格を聞いた時、アドレナリンが出まくってな……」
「好きな奴……って、一海さん?」
「まぁな、アイツ本当に第一志望判定がダメダメでな…。ま、それからよ、人に教える職業につこうかな……って」
「え、でも……それだと普通、教師とか?」
「分かってねぇな、玲央」
ニヤリと笑われた。
学校だと、別に点数なんて気にせず、赤点だけ取らなければ良いって奴もいたり、勉強に向ける気持ちの薄い奴も居る、もちろん真面目に勉強したいやっも居るけど…。
でも、塾は、親に入れられた奴も含め、お金をかけてまでも、みんな点が取りたくて必死なんだ……と。
どう足掻いても、志望校に入れなさそうな奴が見事合格した時の喜びは、拓真さんには、格別らしい。
「あとな、玲央、勉強は苦しんでやるもんじゃねぇからな?それだと、ある一定からの成績が上がらねぇ。ポイントは、楽しいとか、面白い、好きだ!っていう、プラスの方の気持ちだ!」
ちょっと塾講師っぽいだろ?ってドヤ顔で教えてくれた。
確かに……
拓真さんの塾だと、拓真さん目当ての女の子達が、褒めて貰いたくて……
頑張る姿が、パッと目に浮かび……
一瞬、なんかモヤッとした。
「まぁ、玲央の塾が悪いとか言わないけどな。でもな、玲央の場合は、苦しそうにしか見えねぇよ」
見透かされてんだな……と思った。
色んな生徒を見てきたからこそなんだろう。
確かに…全く楽しくなんかは…無い。
今日も車で送ってくれるらしい。
2人きりになると、妙に緊張してしまう。
察したのか……
「んな、ガチガチになんなよ……もう、変なことしないから、悪かったよ」
苦笑いで、俺の頭をクシャっと撫でる。
フワッと大人なコロンの香りが鼻腔をかすめた。
「いや、心配してないです。拓真さんが好きなのは、一海さんだって、知ってるから。」
「まぁな」
前を向いたまま答える表情が真剣で……
綺麗な横顔を見つめていたら、苦しくなった。
拓真さんの言葉を思い出す。
自分の中の“好き”を問いかける事。
俺は、どうやら、不毛なる恋を始めてしまったようだ……好きを探り、息苦しさの正体を探る内、ハッキリと自覚した。
その日、帰ると…
父と母が揃っていて、ものすごく険しい表情で俺に言う。
「玲央、お前…塾の帰り…どこに行っているんだ?」
全身から冷や汗が出てきた。
何も悪い事などしていないのに…
父さんからの厳しい目線に耐えられず、下に下に俯く。
「この間、たまたま時間が出来て、塾まで迎えに行ったら、お前の姿を見つけてな。お前は、家とは逆方向に向かっていたんだが?」
「と、友達のトコに…」
咄嗟で言い訳が思い付かなかった。
少し遅れて…晩御飯の為にレストランに向かっていた…と言えば良かった、と気付いたが、今更の訂正が効かない相手だ。
「変な友達じゃないんだろうな…お前は、塾と家と学校を往復してれば良いんだ…これからもその事を守れ!」
「は、い……」
決定事項だった。
それ以上の会話は、もちろん無く…
俺は、反論する事など出来るはずも無かった。
父は、世間にも名の知られた大企業の社長であり、威圧感の塊みたいな人だった。
幼い頃から、父の機嫌を損ねないように…逆らう事など許されず、静かに静かに、勉強をしている姿を見せる事が日常で、歯向かった事なんて一度も無いし…反抗期なんて、勿論、一切許されなかった。
親にとって当たり前の、元通りの毎日。
俺にとっては地獄みたいな日々。
一度知ってしまった、穏やかで優しくて暖かい楽しい世界。
知ってしまった今は、何も思わずに元の生活を送る事が難しかった。
我慢して我慢して…
壊れそうになる自分を抑え続けた。
代わる代わる3人から「大丈夫?」って短いけど、心配したメッセージが、送られてくる度、大丈夫だよ…と返すが、その度、心は折れそうだった。
学校、塾に行き、『自分の未来のための勉強』などと、先生が言う絵空事みたいな言葉を聞き流し。
結果だけを求め、解放される日だけを目標にノートを開く。
今まで通りの日常を繰り返す。
その日は、なんだか疲労感に苛まれながら、塾からトボトボと駅まで向かっている所だった。
「おー、玲央?」
後ろから声をかけられた。
「拓真さん……」
普通のグレーのスーツも、モデルみたいな頭身の人が着ると、雑誌から出てきた感しかなくて……
現実味が無くて、一瞬幻かと思う。
「一海んとこ、行くぞ!」
俺の肩に腕を回して、有無を言わさず連れ去られる。
置かれた手の場所が、熱い。
6月半ばだから……暑いんだと……
しなくても良い言い訳をした。
「一海、来てやったぞ~玲央も一緒」
鍵のかかっていない、引き戸をあけると、手慣れたように、上がり框に腰掛けた。
皮の靴紐を緩めて、脱ぎ捨てたままで行ってしまった。
俺もその横で靴を脱ぐと、拓真さんの靴を直しながら、その横にスニーカーを並べた。
2足の革靴とスニーカーをピタリとくっつけてみる。
急に嬉しくなった。
あのキスを一海さんは、覚えてるのか……と思いながら、若干、どう反応したらいいのか分からない俺が居間に行くと。
「この間は…本当にすまないっ!!……ほんと、俺、もう呑まない…」
一海さんは頭を畳に擦り付け、全力の土下座をしている。
「いや、別に全く気にしてないですから……何の感情も無いですし、正面衝突事故だと思ってます」
本心で答えた。
悪いことしたと、一海さんが気にしてるんじゃないか……って事を思っていだけなので、俺が大丈夫と答えて完了だ。
一海さんとの件に関しては、これにて、一件落着で…
なんなら、忘れてしまうかもしれないくらいの案件だった。
申し訳なさそうにしつつも、穏やかな笑顔を向けてくれる一海さんには、全く普通に返せるし、ホンワリとした気持ちになる。
この人に対しては…だ。
そっちに答える口とは、別に、俺の目線は、拓真さんがネクタイを少し緩めるその首元をつい、じっと見てしまった。
そこで固まったかのような俺の眼は、
微かに見えた鎖骨の色っぽさに驚いて、やっと目線を下げた。
「れお、ごはん、たこやき」
ニッコニコの詩ちゃんが寄ってくる。
「そうだぞ!玲央、今日は、タコパなんだよ!タイミング最高だよ」
確かに、居間の大きなローテーブルには、真ん中に大きなたこ焼き器と、具材が綺麗に並べられていた。
「タコパって何ですか?」
「は?お前、タコパ知らないの?マジ?どこぞのボンボンか?」
俺の家のレベルを分かっていて白々しい程に驚く拓真さんは、ニヤっとしてる。
「たこ焼きを焼くんでしょ?でも、何の略……タコパ」
「たこ焼きパーティーの略でございますわよ…お坊っちゃま」
俺の頭を撫でくりまわしながら、拓真さんが言ってくる。
そんな、触れ合いが、距離が縮んだみたいで、なんだか凄い嬉しい。
「もう、拓真は、からかうなよ!お前が虐めて玲央が来てくれなくなったら、恨むぞ!」
皿を持ってきた、一海さんがクレームを付けた。
「それは、困るな……玲央、俺の隣に座れ!この俺様自らが、たこ焼きの焼き方を教えてやるから」
何が困るのか……
一海さんに恨まれる事か、俺が来なくなる事か……
まぁ、どちらにしても、前者だよな……と自虐的に思う。
「料理上手ですもんね、お願いします」
「な、なんだよ……そんな素直に来られたら……」
拓真さんの困ったように照れた顔が、妙に可愛いと思った。
流し込まれた生地に手早く具材を散らす。
腕まくりしたワイシャツと、胸ポケットにネクタイの先を入れ込んでるその姿が……
大人のオトコって感じ…
程よい筋肉質の腕に、竹串を回す度、浮き上がる腕の筋を見て……
無性にドキドキしてしまった。
「よく見とけよ?」
拓真さんは、俺に不敵な笑みを1つ寄越し、見事な手付きで、たこ焼きを回転させる。
見る見るうちに、真ん丸なたこ焼きが出来上がり、皿に盛られると、1番に俺に渡してくれた。
「玲央、食べな?」
受け取り、熱々のたこ焼きを頬張る。
「熱っ、うまっ!」
大ぶりの鰹節にソースとマヨネーズの香り、外はカリッと中はフワッと。
まさに、お店の味。
「天才ですね……」
「まっ、まあな!」
「沢山食べてってな!あ、でも、家の人……夕飯大丈夫?」
気遣いの人、一海さんが心配してくれる。
「俺、塾の日は……外食なんで……お金渡されてますから」
「良し、じゃ外食したと思って、そのお金は、好きなもん買えよ?」
翔太さんが俺に追加のたこ焼きを渡しながら言う。
好きなもの……
無いんだよな……
特に欲しいと思う物……あったかな?
考え込んでいると…
頭をポンポンと叩かれる。
「良し、玲央!こっからが、タコパだからな!一海~食材追加!」
あいよ~と台所から返事が来る。
一海さんが持って来た大皿に盛られた数々。
エビ、チーズ、ウインナー、枝豆、ブロッコリー、トマト、餅、それに串に刺さった焼き鳥まであった。
「どれが何だか、作る俺も分からなくなるから、皿に盛られたのは、食べろよ!どうしても食べれない物あるか?」
偏食の無い俺は、首を左右に振った。
勢い良く放り込まれる多種多様な食材。変わり種のたこ焼きが、どんどん出来上がる。
「わぁー、しゅごい~」
と喜ぶ詩ちゃんは、ウインナーを狙ってるらしい。
「あ、これ……エビ。エビ焼きですよ!」
その次に口にしたのは、トマト焼き。
なんか、可笑しくなってきた。
なるほど、これは楽しい。
まさにパーティだと思った。
「なんか、良い笑顔が出るようになったよね、玲央くん」
「まぁな、最初、死んでたからな顔」
「一海さん、拓真さん…」
なんか、この場所に居られる事が、嬉しくて……
確かに、前よりも感情が出るようになったかもしれない。
タコパも初めてだし。
こんな和やかな食事は…味わった事が無い。
我が家の普通は、お手伝いさんの作ってくれる料理、会話も音も無い……沈黙の会食。
塾の帰りに、1人で寄るレストラン。
友人とファーストフード店に向かう同級生達を横目に、これで良いんだと思い込んできた日々。
家での食事を思い出すと、一瞬冷やりとして、
思わず…目尻に涙が溜まった。
「熱っ!」
と、熱かった振りをして涙を流す俺に、気付かない振りをしてくれる、大人が2人。
そこに、場の空気なんて無くし、容赦なく
「ないちゃ、だめよぅ~」
詩ちゃんがティッシュを出してくれる。
ありがとうと、受け取ると、抱きしめてくれる詩ちゃん。
柔らかく小さな身体は、届かない腕を伸ばして、必死に俺を抱きしめる。
「また、来たらいいじゃないですか……そのかわり、僕の勉強見てくださいね……」
無愛想ながらも、黙々とたこ焼きを食べていた凪くんが声をかけてくれた。
みんなが、俺に優しくしてくれる、
小さな事の一つ一つに感動してる自分。
自分の中にも、ちゃんと感情があった事を思い出した一夜だった。
それから、1週間に1度、塾の帰りは、親から渡された外食代でお菓子を買って、円月家を訪れた。
コンビニに寄る事を体験し、初めてのお使いさながら、誰かの為に、相手の喜びそうなお菓子を選ぶ事の楽しさを知ったしまった、また一つ、楽しい事を頭のノートに追加した。
連絡先も交換し、俺のメーセージアプリには、初めて家族以外の連絡先が追加される。
一海さんは、家族写真のプロフ画像で、拓真さんは何も画像を選択してなくて、それがまた拓真さんらしいと思えた。
この間スマホを買って貰ったばかりだと言う凪くんも、連絡先を交換してくれた。
俺はしょっちゅう、メーセージアプリを開いては、眺めてニヤニヤしてしまう。
今日も、行く前にメッセージを送ると、一海さんは今夜は仕事らしくて。
拓真さんが留守番変わりに泊まってくれるから、大丈夫だよ。と返事が来た。
大丈夫だよ……は、取り方次第で、来なくていいって意味か、来ても良いのどちらか、少し迷った。
再度聞くのも仕事中に申し訳無い気がして……
既に、詩ちゃんと凪くん用に買ってしまっていたお菓子の入ったコンビニ袋を下げて、とりあえず向かった。
インターホンを鳴らすと、拓真さんが扉を開けてくれた。
「お、聞いてる、上がれよ」
ホッとした、来て良かったのだと。
「れお~おかし~」
「こら、詩、期待してねだるのは、ダメだぞ。玲央も、自分の物を買えば良いんだから、気を使うな!若いヤツが…」
呆れた顔で言われる。
「俺、欲しい物無くて……」
俯いて言うと…
「玲央は、好きな色は?」
「え?あ……緑、かな…」
「じゃ、好きな食べ物は?」
「うーん、チョコレート…かな」
「ほら、あるじゃねぇの、ちゃんと。もっと、自分に問いかけてみな?」
そう言うと、俺の頭をポンと叩き、覗き込んできた。
嬉しがる俺の心臓の鼓動は早まった。
今夜は、オムライスらしく、拓真さんが作る円月家でのご飯は、大概いつも、お子様メニューだ。
俺に対してもだけど、なんだかんだ……本当は優しい人だということが分かってきた。
これまた、絶品のオムライスを、あっという間に完食し、俺は、凪くんが分からないと言う問題の説明をしていた。
「玲央さん、勉強ホントに出来るんだ……ちょっと尊敬……」
凪くんにポツリと言われた一言が、もの凄く嬉しかった。唯一の俺の価値である勉強だから。
食後のデザートだ!勉強中断!って、出してくれたのは、俺がコンビニで買ってきた新作スイーツだった。
食べながら、俺は聞いてみた。
「拓真さんは、どうして……塾講師に?」
「は?俺?」
ずっと疑問だった……
一海さんから聞いた所に寄ると、拓真さんは、東大の工学部を出てるらしく……本来、もっと違う職業があったのでは……と。
美形、頭脳明晰、料理上手、優しい…高スペック過ぎるのに…それを全く鼻にかけていない。
「俺な、勉強には苦労した事無くてな……それでも、高校の時、好きな奴に勉強教えるのが、これが……まぁ~、難しくてよ!俺は理解してるけど、相手に理解させようとする事の難関さ…それでも、ソイツが、見事大学に受かるまで必死で見てやって、合格を聞いた時、アドレナリンが出まくってな……」
「好きな奴……って、一海さん?」
「まぁな、アイツ本当に第一志望判定がダメダメでな…。ま、それからよ、人に教える職業につこうかな……って」
「え、でも……それだと普通、教師とか?」
「分かってねぇな、玲央」
ニヤリと笑われた。
学校だと、別に点数なんて気にせず、赤点だけ取らなければ良いって奴もいたり、勉強に向ける気持ちの薄い奴も居る、もちろん真面目に勉強したいやっも居るけど…。
でも、塾は、親に入れられた奴も含め、お金をかけてまでも、みんな点が取りたくて必死なんだ……と。
どう足掻いても、志望校に入れなさそうな奴が見事合格した時の喜びは、拓真さんには、格別らしい。
「あとな、玲央、勉強は苦しんでやるもんじゃねぇからな?それだと、ある一定からの成績が上がらねぇ。ポイントは、楽しいとか、面白い、好きだ!っていう、プラスの方の気持ちだ!」
ちょっと塾講師っぽいだろ?ってドヤ顔で教えてくれた。
確かに……
拓真さんの塾だと、拓真さん目当ての女の子達が、褒めて貰いたくて……
頑張る姿が、パッと目に浮かび……
一瞬、なんかモヤッとした。
「まぁ、玲央の塾が悪いとか言わないけどな。でもな、玲央の場合は、苦しそうにしか見えねぇよ」
見透かされてんだな……と思った。
色んな生徒を見てきたからこそなんだろう。
確かに…全く楽しくなんかは…無い。
今日も車で送ってくれるらしい。
2人きりになると、妙に緊張してしまう。
察したのか……
「んな、ガチガチになんなよ……もう、変なことしないから、悪かったよ」
苦笑いで、俺の頭をクシャっと撫でる。
フワッと大人なコロンの香りが鼻腔をかすめた。
「いや、心配してないです。拓真さんが好きなのは、一海さんだって、知ってるから。」
「まぁな」
前を向いたまま答える表情が真剣で……
綺麗な横顔を見つめていたら、苦しくなった。
拓真さんの言葉を思い出す。
自分の中の“好き”を問いかける事。
俺は、どうやら、不毛なる恋を始めてしまったようだ……好きを探り、息苦しさの正体を探る内、ハッキリと自覚した。
その日、帰ると…
父と母が揃っていて、ものすごく険しい表情で俺に言う。
「玲央、お前…塾の帰り…どこに行っているんだ?」
全身から冷や汗が出てきた。
何も悪い事などしていないのに…
父さんからの厳しい目線に耐えられず、下に下に俯く。
「この間、たまたま時間が出来て、塾まで迎えに行ったら、お前の姿を見つけてな。お前は、家とは逆方向に向かっていたんだが?」
「と、友達のトコに…」
咄嗟で言い訳が思い付かなかった。
少し遅れて…晩御飯の為にレストランに向かっていた…と言えば良かった、と気付いたが、今更の訂正が効かない相手だ。
「変な友達じゃないんだろうな…お前は、塾と家と学校を往復してれば良いんだ…これからもその事を守れ!」
「は、い……」
決定事項だった。
それ以上の会話は、もちろん無く…
俺は、反論する事など出来るはずも無かった。
父は、世間にも名の知られた大企業の社長であり、威圧感の塊みたいな人だった。
幼い頃から、父の機嫌を損ねないように…逆らう事など許されず、静かに静かに、勉強をしている姿を見せる事が日常で、歯向かった事なんて一度も無いし…反抗期なんて、勿論、一切許されなかった。
親にとって当たり前の、元通りの毎日。
俺にとっては地獄みたいな日々。
一度知ってしまった、穏やかで優しくて暖かい楽しい世界。
知ってしまった今は、何も思わずに元の生活を送る事が難しかった。
我慢して我慢して…
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「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
タトゥーの甘い檻
マリ・シンジュ
BL
執着系わんこ攻(大学生)× 高潔な美形教授受(30代)
どのお話も単体でお楽しみいただけます。
「先生、ここ……僕の瞳を入れるから。ずっと、僕だけを見てて」
真面目な大学教授・新城が、大学生の・羽生にだけ許した、あまりにも淫らな「わがまま」。
それは、誰にも見えない内腿の奥深くに、消えないタトゥーを刻むこと。
「下書き」と称して肌を赤く染めるペン先の冷たさ。
アトリエの無機質なライトの下、四つん這いで晒される大人の矜持。
ずっと年下の青年の、必死で、残酷で、純粋な独占欲。
愚かだと知りながら、新城はその熱に絆され、ゆっくりと「聖域」を明け渡していく――。
「……お前のわがままには、最後まで付き合う」
針が通るその時、二人の関係は一生消えない「共犯」へと変わる。
執着攻め×年上受け、密やかに刻まれる秘め事のお話。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
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