お針子の魔法使いと悪魔の弟子

蛾脳シンコ

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第11話『ラーム通りのインチキ商売人』

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 レンリエッタは街へと向かうため、自室のデスクに置いておいた『必要の財布』を手に取ると懐の中へと仕舞い込んだ。この財布は見てくれこそ大したものでは無いが、その効果は凄まじく、内部にほぼ無限の収納スペースを持つ不思議な財布であり、必要な時に必要な分だけ金貨を出してくれるのだ。
 まだ使った事は無いが…まぁ今日も使う事は無いだろう、なんたっておっちょこちょいだが心の広いエラフィン大先生が気前よく買ってくれると言うのだ。誰かに何かを買ってもらうのは初めてでは無いが、強制されないのは初めてである。
 準備を済ませたレンリエッタが下へと降りると、既にエラフィンはフード付きのケープを羽織って待っており、その横ではグリスもつい先ほどまでは埃まみれだったと言うのに相変わらず綺麗な白いスーツを着こなしていた。

「準備は出来たね?街へと行くよ。グリス、忘れ物は無いだろうね?」
「お任せください、エラフィン様とお嬢様の書類に加えて師弟契約書もお持ちですよ。」
「よろしい…レンリエッタはどうだい?」
「私も忘れ物は無いよ、って言うか本当なら何も持ってかないもん。」
「そうかい、なら出発するよ。全員外に出るんだ。」

 準備が整った三人は玄関から外へ出た。邸宅の周りには森林が青々と広がり、相変わらず温かな太陽の光が上からレンリエッタたちを照らしていた。昨日に比べて少しばかり雲は見えるが、いい天気だ。
 だが、外に出たレンリエッタにひとつ疑問が思い浮かんだ。街から此処へ来るのにスカイドラグーンのドラゴン便を使用したのだがその逆の場合はどうするつもりなのだろうか?
 またしてもドラゴンに乗る羽目になるのだろうか…

「ところで先生、どうやって街まで行くの?またドラゴンで行くの?」
「ドラゴンだって?まさか、そんな古臭い方法は使わないよ。今どきの魔法使いはみんなで飛ぶのさ。」
「飛行杖?」
「言うなれば魔法使い専用の便利な乗り物さ…まぁ見てなって……杖よ翼に!グルーフ!」

 飛行杖と聞いて疑問に思うレンリエッタへ見せるようにエラフィンは持っていた木の杖を掲げて『グルーフ』の呪文を唱えた。すると杖の上部に装着されていた木彫りの怪物の翼がバサッと開き、杖は青い光に包まれた。
 そしてエラフィンが杖を横にした状態で手を離すと、杖は落ちる事無くふわふわとその場に留まった。レンリエッタはその様子を食い入るように見ていたが、グリスはドラゴンが時代遅れだと聞いてから少し不機嫌そうだった。

「どうだい、これが飛行杖さ。まぁ厳密に言えば私のは普通の杖を改造したものだけどね…飛行杖ってのは魔法触媒の長杖ロッドの一種で飛行機能を持つものさ、アンタ達の世界で言えば…そうさね、武器として使える自転車ってところかしらね。けど地上を走るよりずっと早いよ。」
「わぁお……けど、三人も乗れるの?」

 しかしいくら飛べると言っても所詮は杖…まずその長さが足りない。こんな杖に三人が乗れるのだろうか、そりゃあ無理すればイケるかもしれないが危険すぎる。その前にこれに乗ると言うのも十分に危険だが…

「まず私が前に乗って、後ろにレンリエッタ…そして…」
「私めはお留守番ですか…?」
「いいや、アンタは帽子の中に入りな。そんでもってレンリエッタがそれを被って。」
「なんてことをおっしゃるのですか!お嬢様にそのような苦労を掛けさせるなんて…」
「私はいいよ、そのオシャレな帽子を一度被ってみたかったし。」
「ですが…!……うぅむ…仕方ありません……お嬢様、どうか不忠な私めをお許しくださいませ…」
「そんな大げさな…」

 レンリエッタに被ってもらうという提案にグリスはかなり恐れを抱いていたが、結局それ以外に方法は無かったので彼は帽子の中へとシュルシュルスポンッと入ってしまった。レンリエッタはそれを拾い上げ、被ってみると…ちょっとばかり紳士な気分になった。サイズオーバーにも程があるが…

「よし、さぁ乗った乗った!」
「だけど…平気なのこれ…凄く細いし、もし落ちたら一巻の終わりじゃ…」
「安心しな、きちんと安定魔法を掛けてあげるから。たとえ嵐に突っ込んでもビクともしないよ。」
「地面に突っ込まない事を祈るよ……ひぇえ…」

 エラフィンの後ろへ座る様に細い杖に跨ったレンリエッタはその頼りなさに怖気ついたが、不思議にも足を浮かせても倒れたりすることは無かった。それよりかは以外にも良い座り心地だ、喰い込んで痛そうだと思ったがそうでもないようだ。
 杖を出発させる前にエラフィンは足でヒョコヒョコと方角を調節すると…

「それじゃあ行くよ!全速力だ!!ハイッ…ヤァッーー!!」
「うわぁあああ!!き、昨日と全く同じだ…!」

 地面を思い切り蹴り上げ、杖はビュンッと高く空の上へと舞い上がった。その素早さと来たら強烈であり、ドラゴンなんて比ではない。まるで空へ落ちる流星が如くあっという間に雲の真下まで来てしまった…
 ほんの数秒で景色は森のど真ん中から遥か空の上まで移り変わり、レンリエッタは息をする間も無く、呆気に取られた。ちなみに普通なら重力の影響やら酸素の問題が生じるものだが、その点は(極めてご都合的な)魔法で補っているので心配ご無用。
 上空の澄んだ空気を深く吸い込み、エラフィンは街へと杖の先端(通常時は下の部分に当たる)を向けて飛び始めた。離陸時よりは随分と遅かったが、それでもドラゴンと同等あるいはそれ以下に速かった。

「ブッ飛ばしたい気分だが森の外じゃ監視が厳しくてね、悪いが法定速度スレスレのカタツムリ飛行で行かせてもらうよ。」
「いや、全然!もっと遅くても良いよ……うッ!?ひぇえ……じ、地面があんな遠くに…」
「下を見るのは一番危険さ、止めな。下を向くのは惨めな時で充分よ。」

 遥か上空の旅、右を見れば粉砂糖を被ったような岩山が。左を見れば巨大な触手が飛び出す海が見えた…それこそまさに絶景とも言えるが、やはりレンリエッタにはこの状況で景色を堪能するほどの肝は備わっていない。
 グリスに出会ってから飛んでばかりだとレンリエッタは思った。

「それで、街で何か気になったものはあるかい?昨日も行ったんだろう?」
「うん…けどあまりよく見れなかったし、何が何だか全然分からなかったから…」
「ははは!まるでお上りさんだね。良いよ、商売が片付いたら案内してやろうじゃないの。」
「え?ホントに?やったー!」

 レンリエッタはエラフィンが案内してくれると聞いて大いに喜んだ。誰かと一緒に街で店を見て回るということを一度でもしてみたかったのだ。
 すると、帽子の中からこもった声で、グリスが喋りかけた。

『お嬢様…私めもぜひ、お供しますよ…』
「わぁ!グリス、その状態でも喋れるの?」
『ええ…ですが、随分と窮屈です……はぁ、一度帽子の中身を整理した方が良さそうですね…』

 帽子から聞こえる声が妙にくすぐったいと思いながらも二人と一人を乗せた杖は街へと飛んで行く。

 街へと近づくにつれて杖の速度は大きく下がって行き、賑やかな大通りの上部に着いた頃には目で周囲の景色を追えるくらいには落ち着いて来た。街の上空には同じく飛行杖に跨る魔法使いたちが飛び交っており、ビュンビュンと風を切らせていた。
 やがてエラフィンは水の出ていない噴水の広場で降りると、レンリエッタもようやく地面へと足を付いた。

「はぁー!はぁー!慣れるのには時間が掛かりそう…」
「でも便利だったろう?いつかアンタも使うようになるさ、慣れないと」
「この世界に普通の移動手段が無いなんて…」
『あの、お嬢様…お手数おかけしますが帽子を地面へ置いてくださりませんか?』
「え?あぁ!ごめんごめん…直ぐに脱ぐよ…」

 一息ついたところでレンリエッタはシルクハットをスポンッと脱ぎ、逆さまにして地面へ置いた。するとグリスが器用にも手足を伸ばして這い出て来ると、何事も無かったように帽子を拾い上げて被った。
 この世界でも珍しいのか、一連の様を周囲の人々が眺めていた。

「ふぅ……さて、私めは役所へ書類を提出してまいります。その間お二人はどこへ?」
「私とレンリエッタはラーム通りの店に居るさ、出来ればさっさと終わらせて来るんだね。さもないとアンタを置いて二人で行っちまうよ。」
「出来るだけ急ぎ足で向かいますよ…ではお嬢様、また後ほど。」
「うん、ばいばい。」

 レンリエッタはエラフィンと共に踵を返してラーム通りへと向かい、グリスはすぐさま役所へと出向いた。レンリエッタは置いて行かれないようにちょこちょこと走りながら彼女に店について聞いてみた。

「ねぇ先生、店ってどんなお店?薬を買ってくれるの?」
「いいやまさか、買い取ってくれる店なんて無いさ。だから売るんだよ、今から行くのは私の店なのよ。」
「え!お店を持ってるの!?」
「まぁね!…けど、大したもんじゃないよ、それに偶にしか営業しないんだ。」

 どうやら店と言うのは薬を買い取ってくれる店に行くのではなく、エラフィンの営業する店らしい。彼女曰くたまにしか営業しない上に大した場所でも無いらしいが…たしかに、このラーム通りという場所に並ぶ店たちは大通りの賑やかさに比べたら幾分か控えめであり、随分と小さかった。
 ほとんどの店舗が通りにカウンターを構えるように建っており、さながら駅の受付のようである。掲げる看板も随分と安っぽく、華やかさが無かった。そのせいか道行く人も少なめである。
 だがそれでもレンリエッタにとっては面白く、新鮮に感じられた。そんな弟子にエラフィンは忠告した。

「レンリエッタ、あんまりジロジロ見るんじゃないよ。ここの通りは物騒なんだ、トラブルを起こしかねないよ。」
「ト、トラブル…?見てるだけなのに?」
「ラーム通りにまともな商売人は少ないのさ、いちゃもん付けられて財布を取られたくなかったら出来るだけ前を見るんだ。…それか、今なら下を見るのも良いね。」
「分かった…(お、恐ろしい所なんだなぁ…)」

 それを聞いてレンリエッタは店に到着するまでの間、出来るだけ前を見て歩くようにした。道中で妙な花がたくさん詰まった籠をぶら下げる女性に目をが、わざとらしくともそっぽを向いて対処した。
 そして広場から歩き続けて十数分したころ、二人はようやく足を止めた。着いた店は他の同じく小さかったが他より幾分か年季が入っているようにも見えた…しかも大きな看板には『ナメラのアウトレットポーションショップ』と書かれているのだが、その下には以前に入っていたであろう店舗の『殺し…』という文字が見えて、なんとも不穏である。

「さぁどうだい!これが私の店さ!ちょっとこじんまりしてるが中々のもんだろう?」
「おぉ……ナメラのアウトレット…ポーションショップ?」
「そう、ナメラ…ここじゃその名前で通ってるのさ。」
「なんで違う名前を使うの?」
「えぇーっと……質問は禁止!さぁおいで、商売の時間だよ。」

 質問は禁止され、モヤモヤとした疑問感を抱えるレンリエッタは言われるがままにカウンターの横に備え付けられたオンボロのドアを通って中へ入った。すると中も中でオンボロだった。
 暗くて狭い店の中には埃を厚く被った戸棚が並び、床には割れた瓶の破片や死んで干乾びた虫が落ちている。もちろん空気は最悪、カウンターに加えて窓も開けなければいけなかったのだが、これがまた建付けが悪いので時間が掛かった。

「この空気…この埃……最後にお店を開いたのはいつなの…?」
「一週間くらい前さね、埃は半年前からあるよ。」
「掃除…しないの…」
「ほとんどカウンターに居るからねぇ…ま、そんなに気になるなら軽く掃除しようかね。ラフィガディ…カーチャ!!」

 さすがのエラフィンも掃除する気になったらしく、杖を構えて『ラフィガディ・カーチャ』の呪文を唱えると部屋の中央に小さなつむじ風を起こした。風の螺旋は瞬く間に周囲のゴミやら埃やらを巻き込み、カウンターからブワッと外へ放出された。
 片付いたのは良いが…店の外から聞こえた『ウワッ!?』という被害者の声が気の毒に思えた…

「さぁて、片付いた事だし…さっそく営業だ!」
「…商品は?」
「安心しな、ちゃんと持ってきたよ。なにせ一々荷物を運ぶのは面倒だからね、普段はクライムポーチを使うのさ。」

 本来なら邸宅を出た時点で気付くべきだがエラフィンの持ち物は杖のみである。一体何処に商品を持ち歩いているのかと思えば、彼女は被っているフードの中へゴソゴソと手を突っ込み、中から小さな物を取り出した。
 それは小さなポーチだった。チャックが付いた小さなポーチ…ジジジッと開け、更に中へと手を突っ込めば薬が入った瓶が一本、二本…と次々に出てきた。

「ほうら、ちゃんと持って来ただろう?」
「…へぇ~。」
「……なんだい?もっと驚いてくれるかと思ったんだけど…」
「ごめん、グリスの帽子で見慣れちゃったから…でも便利だね、私のお財布みたい。」
「まぁアンタの財布ほど珍しいもんじゃないけど、これも結構便利でしょ。」

 残念ながらレンリエッタはそのようなアイテムをもう見慣れてしまった上に持っているので大して驚きはしなかった。
 それはさておき、エラフィンは薬の瓶を数本を取り出すと、カウンターに並べた。そして戸棚から名札を取り出すと『万能打ち消し薬』と名を打った。

「ねぇそれって私の口を開けたやつだよね?万能薬だったの?」
「え?……あぁ…そうさ、なんにでも効くんだよ!そりゃもう腹痛から流行り病まで色々とね!」
「………」
「ちょ、ちょっとなんだいその目は…疑っているのかい?そりゃ、万能は大袈裟かもしれないが…一応効くには効くんだよ?」
「でもそれって詐欺じゃないの?」
「いいかいレンリエッタ、魔法の薬なんてちょいとばかり大袈裟に書かないと売れないんだ。さもないとお客はみーんなクレイジーCウィザードWポーションズPに取られちまうからね。」

 明らかな詐欺行為にレンリエッタは少し納得が行かなかったが、よく見れば周囲の店も怪しいのは確かだった。向かいの店では『風水学的に最も効果のあるチャーム』とやらが売られているらしく、その右隣の店には『週刊ケバスナッチで紹介された美容飲水』と看板が出ている。
 なんだか胡散臭いものばかりが並ぶ通りだが、そうこうしているうちに客がひとりやって来た。所々毛の剥げた犬顔の獣人だ、初めて見るがこの世界では一般的なのだろう。
 エラフィンは黄色い眼をギラギラに光らせながら対応した。

「やぁいらっしゃいな!」
「ねぇこの打ち消し薬ってカマトリムシに効果あるかい?最近…もらっちゃって…ほら、あそこの通りの店で…」
「それなら任せな!当店の薬は啜り虫から腸詰線虫まで効くよ!もちろんカマトリムシにもね!……ひとつ聞いておくけどもらってからどれくらい?」
「えぇーっと…毛が抜け始めたのは一週間くらい前なんだ…本当なら病院に行くべきなんだろうけど…俺ちょっと首に賞金が掛かってて…」
「じゃあ安心だね、うちのは発症から1年でもバッチリ効くよ!毛生え薬と一緒に服用すれば直ぐに完治するさ」

 どうやら客も客でまともな人では無いらしい。エラフィンは上手く彼を口車に乗せ、まんまと薬を売ってしまった。

「はーっはっは!やったよレンリエッタ、あのバカ見事に3ケイルも払いやがったよ!」
「でも大丈夫なのかな…あの人すごく顔色が悪かったし…」
「なぁに安心しな、アイツの症状はカマトリムシじゃないよ。きっとカルベラダニのアレルギーだね、もしホントに寄生されてりゃ毛が抜ける前に歩けなくなるのさ。それに薬に全く効果が無いってわけでもない、嘘はついてないだろう?」
「うーん……でも人を騙したりするのはちょっと…」
「ラーム通りの掟は、知らずをカモに…だ。知識が無いヤツぁ喰われるだけさ、アンタはよーく私を見習って騙されないようにしな。」

 やはりレンリエッタは納得し切れなかったが、その後も薬は飛ぶように売れた。ある者は腹痛に、ある者は手の火傷に、そしてある者は二日酔いに…
 そんなわけで持ってきた数本の薬はあっという間に完売してしまい、エラフィンは上手く儲けたおかげでケタケタと笑いながらケイル札を数え始めた。やっている事はかなりあくどいが、法律的には問題が無いらしい…なんたってこの薬にラベルも商品説明も無いのだから。

「はーっはっはっはっは!どうだいレンリエッタ、ボロい商売だろう?」
「儲かったのは良いけど…なんだかなぁ…」
「さぁてと、苦情が来る前にさっさと店じまいだ。店を閉めるからアンタは外で待ってな。」
「うん…ねぇ、ちょっとだけそこら辺を歩いてみても良い?」
「えぇ?まぁ良いけど、何か買わされそうになったら逃げるんだよ。それと絶対に路地裏には入らないように。」
「はーい」

 レンリエッタはエラフィンが店を閉める間に、少しばかり付近を見て回る事にした。危険に変わりは無いがあまり遠くに行ったりせず、いざとなったら此処に逃げて来ればいいだろう。
 店から出てこじんまりとした通りを眺めれば、すぐに客を呼ぶ声が聞こえて来た。

「水晶玉!水晶玉が安いぞ!ウチのは中古だが全品5ケイル均一だぞ!よーく磨かれてるよ!大丈夫、血は全部拭き取っておいたから!」
「たったの500ルゾンで手相を占いますよ…きちんと鑑定魔法も使いますよ…私こう見えても元王宮鑑定士でして…」
「古着の制服はいかがかね?バックルバッツ学校からメイドールアカデミーまで幅広く揃えてるよ、オバーリング女学園の征服には偽の卒業証書がオマケに付いとるぞ。」

「こうして見ると、ここもけっこう賑やかなんだなぁ。」

 先ほどは警戒していたせいであまり分からなかったが、このラーム通りもそれなりに賑やかだとレンリエッタは思った。確かに道行く人々はどこか怪しい雰囲気を醸していたり、物騒な刃物を携えているのだが活気は見られる。
 そんな風に歩いていると、レンリエッタは路地裏の陰から声を掛けられた。

「ちょいとそこのお嬢さん?良ければ私達の商品を見て行かない?」
「品揃えには自信があるんだ、珍品貴重品なんでもござれだよ。」
「え?いや…わ、私は…」
「まぁまぁ!そんなこと言わずに!大丈夫、無理やり売りつけたりはしないからさ!」

 声を掛けて来たのは怪しい黒いコートを羽織った2人の色白な男女。顔が似ているのでおそらくは双子だろう、背丈から察するにレンリエッタより少し年上と言った感じで随分と若かった。
 アヤシイ雰囲気にレンリエッタは断ろうとしたのだが、額の右に角を生やした女に迫られたせいで断り切れなかった。ちなみに男の方は額の左に角を生やしていた。

「じゃ、じゃあそんなに言うなら見るだけでも…」
「ほい来た!珍しいのと貴重なの…どっちが見たい?」
「どちらもお求めやすい価格だよ。」
「うーん…なら、珍しいので…」
「はっはっはー!ウェルカム!どうぞ心行くまで見て行って!」

 そう言うと女の方はコートをバッと広げて、内側に縛り付けていた品々を見せ付けて来た。商品は『珍しいもの』とわざわざ言うだけあり、どれもこれも妙な雰囲気を醸し出すものばかりだ。
 金色の鎖が光る青いペンデュラムや小さな羽が幾つも縫い付けられた人形、瓶の中に詰められた小さな二つの目玉など…不気味だがどれも興味をそそってくるではないか。

「うわぁ……なんか、独特な感じだね…」
「キモイって言いたいわけ?だとしたら褒め言葉として受け取っておくよ。ともかく、もし気になったものがあったら言ってみなさいな!」
「じゃあ、この綺麗なペンダントはどんなものなの?」
「ほほう!お目が高い!それはほしと海のペンデュラムだよ!大昔にかの有名な魔法使い、シャラムック4世が使っていたものさ!魔法触媒として使えば氷結と水流の魔法を高めてくれるよ!」
「彼は生前、砂国で名を馳せた魔法戦士だったんだ。冷酷流水師の異名が有名だね。」
「えーっと…はは、さっぱり分からないや…でも綺麗…」

 レンリエッタが目を付けたペンデュラムは『鴛と海のペンデュラム』というものらしく、さっぱり分からないが有名な魔法使いとやらが使っていた品らしい。経歴はまるで無視するとしても、この綺麗な青い光に心を奪われそうになったレンリエッタは値段を聞いてみることにした。

「ねぇこれいくらなの?」
「えぇ!?買ってくれるの?でも…このペンデュラムは物凄く貴重品なんだ、私達みたいな若輩者の学生風情が持てる物じゃないって元々の持ち主は中々売ってくれなくてね…最低でも……8モナスは必要かなぁ?」
「は、8モナス!?高いなぁ…私そんな大金持って……ないよ…」

 レンリエッタは8モナスと聞いて度肝を抜いた。8モナスと言えば80ケイル、ルゾンで換算すれば80000にも上る大金だ。ペンデュラムの相場は分からないが、この値段を見るによほど貴重なものなのだろう。
 一瞬財布の金貨についてレンリエッタは考えたが、おいそれと話すのは危険だと判断して買えないと嘘をついた。すると彼女は途端に態度を崩し始めた…

「えぇ?なによ、身なりが良いくせにケチなガキね。」
「むっ…なにその言い方…そんなこと言うけど私にも買えるような品を置いてないそっちにも問題があるんじゃないの?それとも私みたいなガキに売る物も無いの?」
「なんですって?アンタいくつよ、年上に生意気な口利くなって教わらなかったのかしら?や~ね~、育ちが悪いったらありゃしない!親の顔が見てみたいわ!」
「お生憎様、私だって生きてる親の顔を見てみたいよ!そういうアンタの親もロクな奴じゃ無いんでしょうね!だってこんなインチキ通りで胡散臭い品を売ってるんだから!!」

 いつもならオドオドとしながら引き下がるレンリエッタだったが、場所の変化に伴い心境も変化したのか珍しく相手に言い返した。すると相手も同じように言い返して来たので二人の間はピリピリとし始める…
 後ろで見ていた双子の男はそんな二人を見てオロオロし始め、どうにも困っている様子。

「良いわ、ならアンタが買えそうなものを売ってやるけど…絶対に買いなさいよ?さもないと痛い目に遭わせるから。」
「はん!客を脅さないとモノが売れないなんて商人としてどうなの?」
「くぬぅ~!!ホンットに可愛くない奴ね!アンタみたいのがうちの学校に居なくて良かったわ!」
「こっちこそ、アンタみたいなのが居る学校に行かなくて良かったよ。」
「あぁもう!!ほら!!これならどうよ!!たったの300ルゾンよ!!」

 がみがみ怒鳴りながら彼女が出して来たのはなんとも簡素な眼鏡だった。丸い大きなレンズと細い金属が支えるという…着けたらナード丸出しになりそうな代物だ。
 たったの300ルゾンと聞けばかなり安いが…ただの眼鏡を何の用も無しに買うほどレンリエッタはちょろく無いのだ。

「なぁにそれ、ただの眼鏡?」
「言っとくけどただの眼鏡じゃないわよ、これは遺言語翻訳眼鏡レガシーレンズよ。大昔に滅びたシュナル王国文明の文字を翻訳する事が出来るの。」
「シュナル……えーっと…よく分かんないけど魅力が全然感じられないよ。」
「なぁーにぃー!?ふざけんじゃないわよ!!買いなさいよ!!アンタのせいで時間喰ってるのよ!午後の授業に遅れたらどーしてくれんのよ!!」
「ねぇコギア、もう行こうよ…こいつ一文無しだよきっと…」
「いいえミミク…私は絶対に引かないわよ!このクソガキに商品売りつけるまで付き纏ってやるんだから!」

「誰だい?うちの弟子にクソガキなんて言う輩は?」
「えっ…」「ひぇ…」

 その時だった、レンリエッタの背後からエラフィンが現れた。蛇のような皮膚、黒い眼に金の瞳孔、スラッとした立ち姿……その風貌は大いに二人を怖がらせた。
 コギアとミミクの顔が真っ青になって行く様は白い肌も相まって大変分かりやすかった。

「それで、何してたのさ?まさか私の弟子にインチキ商品を売りつけようなんて企んでるんじゃ無いだろうね?言っとくがアンタ達二人を簀巻きにして売り飛ばす事だって出来るんだよ?」
「いえ、あの、わたしは…その…あの……はは…」
「怒らないで、私が生意気言ってちょっと揉めただけだから。眼鏡を買おうとしたの。」
「え?…あぁ!そうなんです!!こちらの可愛いお嬢さんに似合う眼鏡を…」
「まさかその眼鏡、全部逆に見える…なんてもんじゃないだろうね?」
「うぅっ!?」

 レンリエッタの助け舟にここぞとばかりにおべっかを使うコギアだったが、エラフィンの鋭い観察眼には敵うことなく、さらに青くなった。そして「渡しな」という言葉に逆らえず、彼女はエラフィンへ売ろうとしていた眼鏡を渡した。
 エラフィンはそれをしばらく眺めると……笑い始めた。

「はははは!こりゃ傑作だね!こんなもんをまだ売ってるやつが居たなんて!」
「う、うぅうう…」
「ねぇその眼鏡って何なの?」
「ははははは…あぁこれかい?鏡眼鏡だよ、ひと昔前に流行った詐欺商品さ。鏡写しの古代文字をでっちあげてその翻訳に使うってもんなんだけど、まさかまだ売ってるなんてね…アーッハッハッハ!!さてはアンタ達も騙されたね?上手いこと言われて買わされたんだろう?」
「だって……子供相手に売ればすぐ儲かるって言ってたもん…」
「破産だよ…俺達、その眼鏡を3ケース買うのに去年の小遣い全部使っちゃったから…」

 それを聞いてエラフィンはさらに笑った。その声の大きさたるや、通りの人々が何事かと思ってチラチラ見て来るのでレンリエッタは視線が随分と痛かった…しかし、騙されないで本当に良かったとホッとする気持ちもあった。
 ひとしきり笑った後、エラフィンは涙を拭うと二人へ聞いた。

「それで…ははは……一体いくら使っちまったんだい?」
「12モナス…普通なら15のところをお得意様値段だって…」
「おかげですっからかんだよ、親父には角を折られそうになるし…」
「あーあー、可哀想だねぇ…はは、良いよ。あんまり哀れなもんだから商品を無料で提供してやるよ。こいつを売ればすぐに12モナスは取り返せるよ。」
「え!?ホントに!?」

 そう言い、エラフィンは先ほどのポーチを取り出すとまたしても手を突っ込んで内部を探り始めた。すると取り出したのは細い小瓶に入った緑色の薬…一本や二本などではなく、数十本が出てきた。

「こいつは変声薬だよ、昔に仕事で作ったんだけど使わなくてね。これを売るにも趣味じゃないんで持て余してたところさ、一本1モナスで売れば大儲けだよ。」
「うわー!…でもそんな値段で誰が買うわけ?たかだが変声薬に1モナスなんて…」
「確かに普通の子供でも買わないようなもんだ…だが相手が純粋な子供かつ金持ちだったら?メイドールアカデミーの低学年の子供たちはきっと欲しがるだろうね。それこそ親から潤沢にもらった小遣いで。」

 それを聞いて二人は大いに目を輝かせた。レンリエッタは相変わらず「あくどい商売だなぁ」とは思っていたが、まぁ薬を偽造して売るよりかはマシだろうと口を出さずに見守る事にした。
 二人はすぐにその薬を懐に詰めた。ポーチなどと同じような素材なのだろうか、薬を全部詰めてもコートはまるで膨らんだりしていない。

「ありがとう!アンタの先生、すっごく良いやつだな!」
「えーっと…はは、うん…そうだね。」
「よっしゃあ!ミミク!早速今日の授業が終わったらアイツ等をカモりに行くよ!じゃあね、親切な鱗の人!」
「あー待ってよ!コギア…えーっと、またね!!」
「はははは!上手くやりなよ!」

 エラフィンとレンリエッタは慌てて走り去って行く二人を見送った。それからすぐに遠くから学校のものと思わしき鐘の音が聞こえて来た。

「それで、大丈夫かいレンリエッタ?路地裏の方には行ってないね?」
「うん。だけど…なんでそんなに路地裏を気にするの?」
「あとで話してあげるよ。まずは……そうだ、グリスを待とうじゃないの。」
「あぁそうだった!グリスのことすっかり忘れてたよ…」

 すっかりグリスの事を忘れていたレンリエッタはエラフィンと共に店の前で待機しながら、しばしの時間を過ごした。相変わらず通り行く人々は物騒ながら此処には何とも言えない空気感が漂っているのを感じた。
 少しして、レンリエッタはひとつエラフィンに聞いてみることにした。先ほどの二人組が言っていた学校とやらが気になってしょうがないのだ。

「ねぇ、あの人たちは学校って言ってたけど…この世界の学校はどんなことを教えてるの?」
「どんなことって?大体は人間のと変わらないだろうね…まぁそれが普通の学校ならね。きっとあの子たちが通ってるのはマクスロッド魔法学校よ。」
「魔法学校…!それって魔法を教える学校ってこと?」
「あぁもちろんさ。」

 魔法学校という刺激的な言葉にレンリエッタは心を躍らせた。今まで学校というのは子供を苦しめるものだとばかり思い込んでいたが、言葉だけで行ってみたいと思えるのは初めてだ。

「この王都内には魔法学校が全部で4つあるの。マクスロッド魔法学校、バックルバッツ術者学校、オバーリング魔法女学園、そしてメイドール魔術アカデミーだね。魔法学校は普通の学校と違って生徒が自分で学びたい学部を選べるのさ。たとえば重力魔法を覚えたいなら重力学部に、火炎魔法を覚えたいなら熱学部だとか…そんなもんよ。」
「うわぁ…!それってすごく…為になりそう!」
「まさか!今の学校なんて行くだけ無駄だよ。規制だらけの教科書を読んで、生っちょろい魔法を習って、教師も威張るだけの能無しばっかりだ。」
「そ、そうなんだ…」

 しかしエラフィンは魔法学校に対して随分と否定的な様だ。やれ「昔の学校は呪術も扱っていたのに」だとか、やれ「学費ばかり取ってロクな知識も付かない」と文句を垂れている。
 だがそれでもレンリエッタは魔法学校をいつか訪れたいと考えていた…少なくとも、魔法というモノをもう少し理解して扱えるようになったらの話だが。今は初級魔法とやらも扱えないヒヨッコ以下なのだ。

 しばらく二人がぎこちないような会話を行っていると、ひょろ長なシルエットが目に入った。グリスだ、少し軽いような足取りから聞かずとも結果は察せる。

「おかえりグリス。」
「ようやくお出ましかい、グリス…随分と遅かったじゃないか。」
「申し訳ございません…今日に限っては国民課に人が多くて……ですが書類はきちんと受理されました、お嬢様は晴れて我々ヘルドの一員でございますよ!」
「じゃあ私、もう此処に居ても大丈夫って事だよね?不法滞在…ってのにはならないよね…?」
「もちろんでございます!もう、お嬢様は合法的にこの国での身分をお持ちなのですよ。」

 やはり推測通り書類の申請は無事に通過したらしい。強制送還にならなくて本当に良かったとレンリエッタは安堵の息を漏らし、ようやく一息ついたような気分になった。

「それじゃあ、野暮用は全部済んだね?大通りに行って大衆的な品々を見て回ろうじゃないか。今日は色々と買うものがあるよ、なんたって住人が一気に二人も増えたんだからね。」
「もちろんです。食料や日用品に加えて…必ず殺鼠剤も調達しましょう……もうたくさんですよ、あんな場所で武器を振り回すのは…」
「殺鼠剤だって?あんなの買わずとも調合つくってやるさ。熊も殺すようモノだってお手の物だよ?」
「ご遠慮したいですね…お嬢様と私めの安全を第一に考えてくれてるのでしたら…」

 エラフィンの危険な提案にグリスは丁寧に断りを入れ、毒物惨事の未来を逃れた。

 その後、三人は大通りへと向かい、しばし楽しいひと時を過ごした。レンリエッタは『デッドウォッチ書店』でファランシス・マヌーロ著の『怨霊的な呪い大全:上』を買ってもらおうとしたがエラフィンの「呪いはダメ」の一言で却下されてしまった。
 だが、そのおかげでレンリエッタはその隣の店で運命的な出会いを果たしたのだ。

「ねぇこれ欲しいよ…先生…」
「呪いの次はなんだい?裁縫道具だって?そんなもの何に使うのさ?」
「もちろん裁縫だよ!私、こう見えても針の腕には自信があるの!」
「そう言えばウェアクロース家は代々仕立屋の家系でしたね。」

 書店の隣に位置する雑貨店のショーウィンドウに飾られた裁縫道具がレンリエッタの心にトキメキを与えてくれた。針も糸もハサミも…全部揃っている上に『道具はすべて錬成純銀を使用』と書かれている。お針子ならばこれ以上に望むものがあるだろうか?
 エラフィンはまたしても却下しようとしたのだが、あまりにもレンリエッタが必死に願い込むものなので断る事が出来なかった。幸いにも埃を被っていたせいか、少しだけ値引きをしてくれた。

「わーい!針道具だ!ありがとう先生!」
「まったく…そんなに針仕事が好きなら私の古着をうんと仕立ててもらおうかしら?」
「もちろん!任せてよ!ガッカリはさせないから、絶対に。」
「本来であれば私めがすべき事なのでしょうが…お嬢様が楽しめていただけるなら私は何も言いませんよ。」

 レンリエッタは買ってもらった裁縫道具を大事に抱え、サタニズム街の空を見上げた。なんと晴々とした空だろうか。
 慣れないことばかり起きる世界だが、針と糸さえあれば何処でも故郷のようなものである。少なくともこの世界は、あのテーラーの作業室に比べれば圧倒的に広いのだ。
 もうあそこに戻らなくても良いという幸福と開放感がレンリエッタの心の中をスッキリさせてくれた。


つづく…
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