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6.ジャック・オー・ランタン
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週末の金曜日だけに、ハロウィン本番ではないものの、それにかこつけて飲み会でもしようという人たちが、ものの見事にハロウィングッズを買っていく。おかげで、ハロウィン関連の商品が入っていた棚が、いくつか空いてきていた。
「この前、あった、かぼちゃのランプっぽいのって、ありますか」
「あのー、これと同じツケマ、ないですか?」
そう聞いてくるお客さんの多いこと。基本的に商品は店頭に出してストックを持たないのが、うちの店。だから店頭になければ、ストックもないし、この時期に再入荷なんてありえない。
「申し訳ございません、店頭になければ、ないですね」
本当は、あんまり『申し訳ない』とは思ってないけど、とりあえず言葉にする。それですめば楽だし、たいがいは相手も仕方ないって思ってくれる。
「他の店に行けばまだあるかな」
そう言って他店の在庫のことを聞かれることもある。だけど、こっちはそこまでは把握してないし、そんな余裕もない。それはお客さんが振り返ればわかること。どれだけお客さんが並んでいるかって。
「どうでしょう。一番近いのは〇〇店ですけど」
「そう、わかった。ありがとう」
心の中では、きっともうないんじゃないかなぁ、と思ってるけど、そんなのは顔に出さない。
「それ、すごいね」
この前同様、顔に貼られた傷跡シールは、気が付くお客さんごとに反応される。ジッと見る人もいれば、「それ、どこにあります?」と聞いてくる人、「触ってもいい?」と聞いてくる人。
手はそれほど気にはならなかったけど、顔ともなると少しばかり躊躇する。だけど、触ろうとしてくる人は、単純な好奇心からなのがわかるから、少しばかり恥ずかしいけど、頬を差し出し、触らせていた。そのたびに、「おおおっ!」と反応が返ってくるから、それはそれで楽しかった。
今日も、もう少しで閉店時間だという頃。いつもなら、駆け込みのお客さんが並んでいたりする時間帯ではあるのに、珍しく、少し閑散としていた。
そして、そういえば、まだ山本さんが買い物に来てないな、ということに気が付いた。金曜日の夜だし、ハロウィンだし、もしかしたら、会社の飲み会でもあったのかな、と思った瞬間、ふと、小島さんの顔が頭をよぎった。あの人、男の僕が山本さんと話してる姿を見ただけなのに、怖い顔してた。もしかしたら、今日は、小島さんと一緒だったりするのだろうか。
「こんばんわ」
ぼうっとしていた僕の目の前に、少し低めの声とともに、酒のつまみの入ったカゴが差し出された。この声は、山本さんだ。僕は慌てて顔をあげると、やっぱり、少しばかり頬を染めた山本さんが立っていた。
「お、お疲れ様です」
「ん、ああ」
ふぅっ、と吐く息が少しばかり甘ったるい気がして、もしかして呑んできたのかな?と思ったら、つい、言葉になって出てしまった。
「飲み会ですか?」
すぐに余計なことを言ったかも、とちょっとだけ焦りながら、僕はカゴの中のつまみのバーコードを読み取ろうとした。今日のおつまみは、アーモンド小魚、砂肝ジャーキー。あれ、珍しくポテトチップスなんてのもある。
「ああ、ちょっと部署のね。何、酒臭い?」
山本さんが微かに顔をしかめる。
「え、いえ。そんなに」
「そんなにって、やっぱり臭うのか」
僕は答えられなくて、「324円です」と言いながら、つまみをレジ袋につめた。久しぶりに見る姿は、少し酔ってるとはいえ、いつも通りで、それを嬉しく感じる僕がいる。飲み会があったのに、また家で飲みなおすのかな、と思ったら、ちょっと可笑しくなった。
「この前、あった、かぼちゃのランプっぽいのって、ありますか」
「あのー、これと同じツケマ、ないですか?」
そう聞いてくるお客さんの多いこと。基本的に商品は店頭に出してストックを持たないのが、うちの店。だから店頭になければ、ストックもないし、この時期に再入荷なんてありえない。
「申し訳ございません、店頭になければ、ないですね」
本当は、あんまり『申し訳ない』とは思ってないけど、とりあえず言葉にする。それですめば楽だし、たいがいは相手も仕方ないって思ってくれる。
「他の店に行けばまだあるかな」
そう言って他店の在庫のことを聞かれることもある。だけど、こっちはそこまでは把握してないし、そんな余裕もない。それはお客さんが振り返ればわかること。どれだけお客さんが並んでいるかって。
「どうでしょう。一番近いのは〇〇店ですけど」
「そう、わかった。ありがとう」
心の中では、きっともうないんじゃないかなぁ、と思ってるけど、そんなのは顔に出さない。
「それ、すごいね」
この前同様、顔に貼られた傷跡シールは、気が付くお客さんごとに反応される。ジッと見る人もいれば、「それ、どこにあります?」と聞いてくる人、「触ってもいい?」と聞いてくる人。
手はそれほど気にはならなかったけど、顔ともなると少しばかり躊躇する。だけど、触ろうとしてくる人は、単純な好奇心からなのがわかるから、少しばかり恥ずかしいけど、頬を差し出し、触らせていた。そのたびに、「おおおっ!」と反応が返ってくるから、それはそれで楽しかった。
今日も、もう少しで閉店時間だという頃。いつもなら、駆け込みのお客さんが並んでいたりする時間帯ではあるのに、珍しく、少し閑散としていた。
そして、そういえば、まだ山本さんが買い物に来てないな、ということに気が付いた。金曜日の夜だし、ハロウィンだし、もしかしたら、会社の飲み会でもあったのかな、と思った瞬間、ふと、小島さんの顔が頭をよぎった。あの人、男の僕が山本さんと話してる姿を見ただけなのに、怖い顔してた。もしかしたら、今日は、小島さんと一緒だったりするのだろうか。
「こんばんわ」
ぼうっとしていた僕の目の前に、少し低めの声とともに、酒のつまみの入ったカゴが差し出された。この声は、山本さんだ。僕は慌てて顔をあげると、やっぱり、少しばかり頬を染めた山本さんが立っていた。
「お、お疲れ様です」
「ん、ああ」
ふぅっ、と吐く息が少しばかり甘ったるい気がして、もしかして呑んできたのかな?と思ったら、つい、言葉になって出てしまった。
「飲み会ですか?」
すぐに余計なことを言ったかも、とちょっとだけ焦りながら、僕はカゴの中のつまみのバーコードを読み取ろうとした。今日のおつまみは、アーモンド小魚、砂肝ジャーキー。あれ、珍しくポテトチップスなんてのもある。
「ああ、ちょっと部署のね。何、酒臭い?」
山本さんが微かに顔をしかめる。
「え、いえ。そんなに」
「そんなにって、やっぱり臭うのか」
僕は答えられなくて、「324円です」と言いながら、つまみをレジ袋につめた。久しぶりに見る姿は、少し酔ってるとはいえ、いつも通りで、それを嬉しく感じる僕がいる。飲み会があったのに、また家で飲みなおすのかな、と思ったら、ちょっと可笑しくなった。
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