100均で始まる恋もある

三森のらん

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8.クリスマスツリー

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 ジングルベルの曲が鳴り響く中、さすがクリスマスの週末。普段の週末なんか目ではないくらいの混雑ぶり。お客さんが手に持ってくる商品を見る限り、すでにクリスマスからお正月に変わりつつあるみたいではある。

 僕は、朝、山本さん……いや、崇さんの家を出ると、いったん、自分のアパートに寄った。

「テルくん、今日と明日は、バイト終わったらうちにおいで」

 崇さんの家を出る時、玄関先で僕にそう言ってくれたから、僕は泊るための準備をするためにも、自分のアパートに戻ったのだ。玄関のドアを開けようとした時、崇さんが背中から抱きしめてくれた。

「気を付けて行っておいで」

 ギュッと抱きしめられて胸が切なくなる。別に今生の別れというわけでもないのだけれど、崇さんの腕の力は、僕の心をここに残させようとしてるみたいだった。

 事務所の中のロッカーの中は、少し膨らんだ、たまにしか使わないリュックを強引にに詰め込んである。昨日は、ほぼ勢いだったけれど、今日はちゃんとお泊りに行くんだ。そう思うと、なんか、ちょっと恥ずかしい。

「濱田くん、悪いんだけど、今日、少し残業できる?」

 エプロンをつけながら振り向くと、店長の矢島さんが申し訳なさそうな顔で立っている。

「え、なんでですか」
「いやぁ、長谷川さんがさぁ、急に来れなくなったっていうからさぁ」
「長谷川さん? 珍しいですね」

 滅多なことでは遅刻も急な休みも言わない長谷川さん。フリーターとはいえ、そういうところ、しっかりしてる人だっただけに、少し驚いた。

「ああ、なんかね、おじいさんが危篤とかいう連絡が入ったらしいんだわ」
「この年末に……大変ですね……」

 一応、冬休みだけで、というバイトの子がいるらしく、その子が来てくれるらしいのだが、僕の終わりの時間までには来れないというのだ。僕はそういうことなら仕方がない、と、残業することにした。崇さんには、いつもより少し遅くなるとだけメールして、僕は混雑しているフロアに向かった。

 バイトが終わり、僕の背中には大きく膨らんだリュックと、片手にうちの店のレジ袋を持って、崇さんの家に向かう。崇さんは、何も買ってこなくていい、と言ってくれたけれど、さすがに手ぶらで行くわけにはいかない。
 昨日と同様、崇さんの家に向かう道は、クリスマスのライトアップされた住宅であふれていた。電気代とか大丈夫なのかな、とか、明るくて眠れなくないのかな、とか、思いながら、家々を眺めて歩く。しばらく歩くと、途中で、ポツンと暗くなった家が現れる。
 崇さんの家だ。
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