14 / 135
第2章
第2章 多島海 3
しおりを挟む
3 温泉へ
テリリンカは火山島である。
冠氷した白い頂上部を持つ大きな火山で、沙那からは写真でよく見る富士山のように見えた。
違うのは頂上の火口から揺らめきたなびく白い噴火煙だ。
うっすらと流れるそれはやがて雲と合流して消えていくようだった。
その裾野にある港町が目指すテリリンカの港である。
大型の船が荷揚げしやすいように整備された石で舗装された岸壁と、大きな荷のための木製の骨と歯車で作られたクレーンが何基か見える。
乗降しやすいように木製の桟橋も何本か伸びており、十分に整った港という印象であった。
しかし、停泊する船はとても少なかった。
小型の船が数えるほどしかいないように見える。
沖合に浮かぶ小島を利用した泊地の係留索にも繋がれるような大型船はいない。
規模や施設の割に寂しい印象を与えた。
そこにアダマストール号がゆっくりと近づいていく。
まだ天頂へと昇りかけの太陽の強めの日差しが肌を焼く。
「他にあんまりいないねー」
学校指定セーラー服姿の沙那が船縁に手をついて眺めていた。
温かい、というよりも少し暑いくらいの天気には丁度いいのかもしれない。
西からそよそよと吹いてくる風が肌に心地よい。
「そおねぇ」
マリエッラも同意した。
こちらは普段着にしているスモックだ。
生足見せ見せな沙那と違って、足首まで伸びるスカートとセットである。
暑くない?という沙那の疑問にも微笑みで返す。
この世界ではごく一般的な格好なのだ。
違うとすれば、かなり立派に成長した胸が形がわかるほどに大きく盛り上がっていることくらいか。
「確かに珍しいな」
シュラハトが小首を傾げた。
半袖のシャツから伸びる筋肉質の腕が少し陽に焼けて褐色気味である。
いつも着ている革の鎧は外してある。
山賊に襲われる心配がないので普段着なのだ。
海賊は……?というなら、接敵するまでの時間で鎧を身に着けるには充分だろう。
「普通は船が集まるはずなんだが……」
「ふぅーん。ここには詳しいのー?」
沙那がシュラハトに振り向く。
予備知識がないので何でも興味津々だ。
「詳しいってほどじゃないが、交易の分岐点だからな。なにより……」
シュラハトが片手で黒髪を掻き上げる。
「ここは安全な場所なんだ」
「へー?」
「ああ。このあたりじゃ名高い英雄テリューが開いた島ってことでテリューの島っていうのさ」
上甲板へ上がってきたリンザットが口を挟んだ。
「英雄ー?そんな人いるんだー?」
沙那はリンザットを見た。
長身のシュラハトやリンザットの傍にいると小柄な沙那はまるで子供だ。
「100年くらい前だけどな。辺りの海賊を退治して、交易しやすいように今でもその末裔たちがこの辺りの治安を維持してる」
「おー。かっこいー」
「ま。テリューも海賊の親玉みたいなやつだけどな。通行料も安いし、ちゃんと水路の警備をしてくれてるのは確かさ」
リンザットは小さくウインクした。
彼ら船乗りたちにとってテリューは伝説の英雄だ。
そしてその伝説を今に伝えるように守り続けるテリリンカの町も安心できる港である。
安全安心と低価格。交易商人が集まる由縁だ。
「もう間もなく着く。3日くらい停泊するから、温泉委案内してやるよ」
「…………一刻も早く着いてほしいッス……」
沙那たちの足元、甲板にへたり込んだクローリーが呻いた。
馬車の揺れには慣れているが、どうやら波の揺れには耐えられないようだった。
「……吐くなよ?」
シュラハトは眉を顰める。
「……だいじょーぶ?」
沙那はしゃがんでクローリーの背中を擦った。
「エチケット袋、要るー?」
「……なんとか袋はわからねーっスが……大丈夫っス」
クローリーは若干グロッキーだ。
「じゃ。これでも飲め。酔い止めになるぞ」
リンザットがクローリーに1パイントほどの緑の瓶を投げ渡す。
「なんスか?これ?」
「命の水さ」
クローリーが両眉を寄せる。
「……酒じゃないっスか」
「そいつを飲めば、酒で酔ってるか船で酔ってるか分からなくなるから丁度良いぞ」
リンザットが笑う。
本気とも冗談ともとれる。
「まじ勘弁ス……」
クローリーがさらにぐんにゃりとした。
ミニスカでしゃがんだ沙那のスカートの中身が見えないかな?と視線を向けるが何も見えないことにもっとがっかりする。
「あ。そーいえば」
沙那がリンザットをじいいーと見上げる。
「妖精さんはー?」
「は?」
「言ってたじゃない。妖精さん」
沙那が頬を膨らませる。
「ああ。だって嵐もなく順調だったろ?風の妖精の加護ってもんさ」
リンザットは7割がた畳んでる帆を指さした。
港が近いので速度を落としているのだ。
見えないものを妖精と呼ぶのはこの世界の人々では普通のことだ。
「……むー。妖精さん、見てみたかったー」
そのむくれる様子を見て笑いながら、リンザットは片手を上げて挨拶しながらその場を離れていく。
接岸まで舵を取るためだ。
これから船員たちは少し忙しくなるのだ。
「じょーりーくっ!」
渡り板を元気よく跳ねながら沙那が桟橋に降りる。
久しぶりの陸地である。
とはいえ何でも面白体験な沙那にとっては、渡り板も遊び場みたいなものだ。
「……人少ねぇな」
沙那に続いてシュラハトが降りてくる。
鎧は身に着けてないが、護身用として予備武器の長剣を腰に付けていた。
大きな都市部なら憚られる武装だが、こういった辺境の町ならぎりぎり許される。
都市部で冒険者があまり良い目で見られない理由でもある。
「ほんとねぇ……」
マリエッラも首を傾げる。
こういった港町は大きな船が着くと荷物の上げ下ろしで日銭を稼ぐ港湾労働者が集まったり、春を売る商売女たちが客引きをするものだ。
もちろん珍しい商品を見に集まる商人たちもいておかしくはない。
「……やっと着いたっス~~」
よろよろとクローリーが続く。
魔術師だがさすがにローブは着ていない。
みんなと同じ半袖のスモックの上に日除けの……色々隠し持てるようにクロ―クを羽織っている。
「さにゃは元気っスなあ……」
「クロちゃんはぼろぼろだねー。レモンとかオレンジとかさっぱりするようなもの買おうよー?」
「そうっスなあ……」
辺りを見回しても露店や屋台が見当たらない。
普通なら幾らでもいそうなのだが。
「じゃ、温泉行くか!」
リンザットがクローリーの背中をバンバン叩いて降りてくる。
「叩くなっス……」
「汗を流せばさっぱりするって!」
「……逆に湯あたりするかもっス……」
「バーッカ!!」
リンザットがクローリーの肩を組む。
「……隣は女風呂だぜ?」
耳元に囁いた。
「お。……おー!?」
「壁一つ越えれば……な1?」
「おーっ!!」
クローリーが背筋を伸ばした。
「さ。行くっスよー!」
途端に元気になった。
「……騙されたッス……」
クローリーが鼻までお湯に沈む。
ぶくぶくぶく……と不満を訴えるように泡を立てる。
危険のないように角を丸められた岩々で囲まれた露天風呂だった。
大量に噴出する天然温泉が掛け流しになっている贅沢なものだ。
前は港が見える海、後ろはテリリンカを象徴する火山という絶景である。
そして、クローリーの見上げる先は壁……というよりは崖だ。
同じ高さではなく、女湯は男湯よりも高い位置にあって覗けないようになっているのだ。
逆に女湯からは男湯が覗き放題なのだが、わざわざ覗く女性はそうはいない。
「これって罰ゲームっすよな……」
となりのシュラハトを見る。
クローリーも魔術師とは思えないほど均整の取れた筋肉質の体なのだが、シュラハトに比べるとだいぶ細く見える。
「隣には筋肉達磨……正面には」
視線を移す。
「……裸のおっさん」
リンザットもシュラハトに負けない鍛え抜かれた筋肉を見せている。
「立ち上がるなっス。……ヤなもん見せつけられるのはさらに気分が沈むッス」
「そういうな。お前こそ、魔法でびゅーんとか飛んだろ出来ないのか?」
リンザットが不思議そうにクローリーを見る。
「……めちゃくちゃ金かかるっス。サファイアと……蝙蝠の翅と……」
「ああ……わかったわかった。便利そうで不便だよな。魔法」
強力な魔法はそれに見合うコストが掛かる。
気軽に飛行出来たら戦争自体も大きく形態が変わってしまうだろう。
だからこそ強力な力を持つ異世界召喚者を求める国や組織が後を絶たないのだ。
「クロよ……」
それまでじっと黙ってお湯に漬かっていたシュラハトが口を開く。
「お前の筋肉は何のためにある?」
「へ?」
「たかだか数メートルの岩壁。しかも凹凸があって足場も十分そうじゃないか?」
「お?」
「冒険者として鍛えられたオレたちなら登れる気がしねえか?」
「う……む……」
「あの壁こそが、お前が越えなくてはならない……そう、超えるべき心の壁だ」
「なるほど!そうっスな」
クローリーは水飛沫を立てて立ち上がった。
何かを決意したような表情だった。
シュラハトが頷いて応えると、クローリーが岩壁に手をかける。
体重のわりに筋力が勝る彼はぐいぐいと壁を登り始める
「結構やるな」
リンザットが感心して眺めている。
と、上からお湯が降ってきた。
頭からお湯を被ったクローリーは、濡れた岩壁に滑って落下した。
「ま。そうなるよな」
シュラハトが呆れた。
更に止めのように、クローリーの頭に木桶が叩きつけられた。
テリリンカは火山島である。
冠氷した白い頂上部を持つ大きな火山で、沙那からは写真でよく見る富士山のように見えた。
違うのは頂上の火口から揺らめきたなびく白い噴火煙だ。
うっすらと流れるそれはやがて雲と合流して消えていくようだった。
その裾野にある港町が目指すテリリンカの港である。
大型の船が荷揚げしやすいように整備された石で舗装された岸壁と、大きな荷のための木製の骨と歯車で作られたクレーンが何基か見える。
乗降しやすいように木製の桟橋も何本か伸びており、十分に整った港という印象であった。
しかし、停泊する船はとても少なかった。
小型の船が数えるほどしかいないように見える。
沖合に浮かぶ小島を利用した泊地の係留索にも繋がれるような大型船はいない。
規模や施設の割に寂しい印象を与えた。
そこにアダマストール号がゆっくりと近づいていく。
まだ天頂へと昇りかけの太陽の強めの日差しが肌を焼く。
「他にあんまりいないねー」
学校指定セーラー服姿の沙那が船縁に手をついて眺めていた。
温かい、というよりも少し暑いくらいの天気には丁度いいのかもしれない。
西からそよそよと吹いてくる風が肌に心地よい。
「そおねぇ」
マリエッラも同意した。
こちらは普段着にしているスモックだ。
生足見せ見せな沙那と違って、足首まで伸びるスカートとセットである。
暑くない?という沙那の疑問にも微笑みで返す。
この世界ではごく一般的な格好なのだ。
違うとすれば、かなり立派に成長した胸が形がわかるほどに大きく盛り上がっていることくらいか。
「確かに珍しいな」
シュラハトが小首を傾げた。
半袖のシャツから伸びる筋肉質の腕が少し陽に焼けて褐色気味である。
いつも着ている革の鎧は外してある。
山賊に襲われる心配がないので普段着なのだ。
海賊は……?というなら、接敵するまでの時間で鎧を身に着けるには充分だろう。
「普通は船が集まるはずなんだが……」
「ふぅーん。ここには詳しいのー?」
沙那がシュラハトに振り向く。
予備知識がないので何でも興味津々だ。
「詳しいってほどじゃないが、交易の分岐点だからな。なにより……」
シュラハトが片手で黒髪を掻き上げる。
「ここは安全な場所なんだ」
「へー?」
「ああ。このあたりじゃ名高い英雄テリューが開いた島ってことでテリューの島っていうのさ」
上甲板へ上がってきたリンザットが口を挟んだ。
「英雄ー?そんな人いるんだー?」
沙那はリンザットを見た。
長身のシュラハトやリンザットの傍にいると小柄な沙那はまるで子供だ。
「100年くらい前だけどな。辺りの海賊を退治して、交易しやすいように今でもその末裔たちがこの辺りの治安を維持してる」
「おー。かっこいー」
「ま。テリューも海賊の親玉みたいなやつだけどな。通行料も安いし、ちゃんと水路の警備をしてくれてるのは確かさ」
リンザットは小さくウインクした。
彼ら船乗りたちにとってテリューは伝説の英雄だ。
そしてその伝説を今に伝えるように守り続けるテリリンカの町も安心できる港である。
安全安心と低価格。交易商人が集まる由縁だ。
「もう間もなく着く。3日くらい停泊するから、温泉委案内してやるよ」
「…………一刻も早く着いてほしいッス……」
沙那たちの足元、甲板にへたり込んだクローリーが呻いた。
馬車の揺れには慣れているが、どうやら波の揺れには耐えられないようだった。
「……吐くなよ?」
シュラハトは眉を顰める。
「……だいじょーぶ?」
沙那はしゃがんでクローリーの背中を擦った。
「エチケット袋、要るー?」
「……なんとか袋はわからねーっスが……大丈夫っス」
クローリーは若干グロッキーだ。
「じゃ。これでも飲め。酔い止めになるぞ」
リンザットがクローリーに1パイントほどの緑の瓶を投げ渡す。
「なんスか?これ?」
「命の水さ」
クローリーが両眉を寄せる。
「……酒じゃないっスか」
「そいつを飲めば、酒で酔ってるか船で酔ってるか分からなくなるから丁度良いぞ」
リンザットが笑う。
本気とも冗談ともとれる。
「まじ勘弁ス……」
クローリーがさらにぐんにゃりとした。
ミニスカでしゃがんだ沙那のスカートの中身が見えないかな?と視線を向けるが何も見えないことにもっとがっかりする。
「あ。そーいえば」
沙那がリンザットをじいいーと見上げる。
「妖精さんはー?」
「は?」
「言ってたじゃない。妖精さん」
沙那が頬を膨らませる。
「ああ。だって嵐もなく順調だったろ?風の妖精の加護ってもんさ」
リンザットは7割がた畳んでる帆を指さした。
港が近いので速度を落としているのだ。
見えないものを妖精と呼ぶのはこの世界の人々では普通のことだ。
「……むー。妖精さん、見てみたかったー」
そのむくれる様子を見て笑いながら、リンザットは片手を上げて挨拶しながらその場を離れていく。
接岸まで舵を取るためだ。
これから船員たちは少し忙しくなるのだ。
「じょーりーくっ!」
渡り板を元気よく跳ねながら沙那が桟橋に降りる。
久しぶりの陸地である。
とはいえ何でも面白体験な沙那にとっては、渡り板も遊び場みたいなものだ。
「……人少ねぇな」
沙那に続いてシュラハトが降りてくる。
鎧は身に着けてないが、護身用として予備武器の長剣を腰に付けていた。
大きな都市部なら憚られる武装だが、こういった辺境の町ならぎりぎり許される。
都市部で冒険者があまり良い目で見られない理由でもある。
「ほんとねぇ……」
マリエッラも首を傾げる。
こういった港町は大きな船が着くと荷物の上げ下ろしで日銭を稼ぐ港湾労働者が集まったり、春を売る商売女たちが客引きをするものだ。
もちろん珍しい商品を見に集まる商人たちもいておかしくはない。
「……やっと着いたっス~~」
よろよろとクローリーが続く。
魔術師だがさすがにローブは着ていない。
みんなと同じ半袖のスモックの上に日除けの……色々隠し持てるようにクロ―クを羽織っている。
「さにゃは元気っスなあ……」
「クロちゃんはぼろぼろだねー。レモンとかオレンジとかさっぱりするようなもの買おうよー?」
「そうっスなあ……」
辺りを見回しても露店や屋台が見当たらない。
普通なら幾らでもいそうなのだが。
「じゃ、温泉行くか!」
リンザットがクローリーの背中をバンバン叩いて降りてくる。
「叩くなっス……」
「汗を流せばさっぱりするって!」
「……逆に湯あたりするかもっス……」
「バーッカ!!」
リンザットがクローリーの肩を組む。
「……隣は女風呂だぜ?」
耳元に囁いた。
「お。……おー!?」
「壁一つ越えれば……な1?」
「おーっ!!」
クローリーが背筋を伸ばした。
「さ。行くっスよー!」
途端に元気になった。
「……騙されたッス……」
クローリーが鼻までお湯に沈む。
ぶくぶくぶく……と不満を訴えるように泡を立てる。
危険のないように角を丸められた岩々で囲まれた露天風呂だった。
大量に噴出する天然温泉が掛け流しになっている贅沢なものだ。
前は港が見える海、後ろはテリリンカを象徴する火山という絶景である。
そして、クローリーの見上げる先は壁……というよりは崖だ。
同じ高さではなく、女湯は男湯よりも高い位置にあって覗けないようになっているのだ。
逆に女湯からは男湯が覗き放題なのだが、わざわざ覗く女性はそうはいない。
「これって罰ゲームっすよな……」
となりのシュラハトを見る。
クローリーも魔術師とは思えないほど均整の取れた筋肉質の体なのだが、シュラハトに比べるとだいぶ細く見える。
「隣には筋肉達磨……正面には」
視線を移す。
「……裸のおっさん」
リンザットもシュラハトに負けない鍛え抜かれた筋肉を見せている。
「立ち上がるなっス。……ヤなもん見せつけられるのはさらに気分が沈むッス」
「そういうな。お前こそ、魔法でびゅーんとか飛んだろ出来ないのか?」
リンザットが不思議そうにクローリーを見る。
「……めちゃくちゃ金かかるっス。サファイアと……蝙蝠の翅と……」
「ああ……わかったわかった。便利そうで不便だよな。魔法」
強力な魔法はそれに見合うコストが掛かる。
気軽に飛行出来たら戦争自体も大きく形態が変わってしまうだろう。
だからこそ強力な力を持つ異世界召喚者を求める国や組織が後を絶たないのだ。
「クロよ……」
それまでじっと黙ってお湯に漬かっていたシュラハトが口を開く。
「お前の筋肉は何のためにある?」
「へ?」
「たかだか数メートルの岩壁。しかも凹凸があって足場も十分そうじゃないか?」
「お?」
「冒険者として鍛えられたオレたちなら登れる気がしねえか?」
「う……む……」
「あの壁こそが、お前が越えなくてはならない……そう、超えるべき心の壁だ」
「なるほど!そうっスな」
クローリーは水飛沫を立てて立ち上がった。
何かを決意したような表情だった。
シュラハトが頷いて応えると、クローリーが岩壁に手をかける。
体重のわりに筋力が勝る彼はぐいぐいと壁を登り始める
「結構やるな」
リンザットが感心して眺めている。
と、上からお湯が降ってきた。
頭からお湯を被ったクローリーは、濡れた岩壁に滑って落下した。
「ま。そうなるよな」
シュラハトが呆れた。
更に止めのように、クローリーの頭に木桶が叩きつけられた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる