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第5章︰エーリ学院【前編】
第43話
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「あ、おは…ルナちゃん!…その顔どうしたの?」
「え?」
ララが鞄から手鏡を取り出すと、私の方に向けた。目元が赤く腫れて、それはそれは酷い顔をしていた。
「わ…何これ…。」
「ルナちゃん。ちょっと一緒にトイレいこ?」
彼女に手を引かれ、来たばかりの教室から出てトイレへ向かった。
鏡の前にやって来ると、彼女は自分のハンカチを水で濡らし、私に差し出した。
「少し冷やせば、ちょっとはマシになると思うから…。」
「ありがとうララ…。」
冷えたハンカチを目に当てて見ると、少し腫れが落ち着いたように見えた。
「ルナちゃん…大丈夫?何かあったなら聞くくらいは出来るから…。」
「あ…ううん!大丈夫!今朝、目が痛くて擦っちゃったからかも…!ごめんね心配かけて…!」
「あら?2人共何してるの?」
トイレにやってきたユイが後ろから声をかけてきた。
「あ、おはようユイ。」
「ルナちゃんの目が腫れてたから、冷やそうと思って来たの。ユイちゃんはトイレ?」
「ええ。」
「じゃあ、私達は先に教室戻ってるね!」
「さて皆さん!今日の実習ですが、特別講師を呼んでいます。どうぞ!お入り下さい~。」
特別講師という聞き馴れないワードに、生徒達がざわめき出した。ホールの大きな扉がゆっくりと開くと、3人の吸血鬼が現れた。
「え…なんで…。」
「ルナちゃん…?」
その姿に見覚えがあった。左から順にレーガ、エレナ、ヴェラとレジデンスの幹部達が揃ってやって来たようだった。
「えーそれでは…ラギト様から、一言ずつ頂けますか?」
「はーい。みんな初めまして。知ってる人は知ってるかもしれないけど…改めまして、レーガイルラギトです。僕は主に武器の使い方について教えるから、みんな一緒に頑張ろうね。…ほら、次エレナだよ。」
「わ、わざわざ言わなくてもわかりますわ…!わ、私は、エレナタリーシアですわ。主に体術や身を守るための護身術を皆さんに教える事になりましたわ。よろしくお願いしますね。」
「…ヴェラヴェルシュよ。私は魔法全般を教えるわ。よろしく。」
それぞれ個性的な自己紹介を終えると、ニム先生が彼等の前にふわふわと飛んできた。
「これからしばらくは、この御三方に実習をしていただきます~。みなさんしっかりお話を聞いて、勉強してくださいね?えっと…今日は、せっかく3人に来て頂いたので、それぞれ習いたい先生の元に別れて実習を始めましょう。」
3人と生徒達がそれぞれバラけ始めると、私達もその場に立ち上がった。
「ルナちゃんは、誰の所に行くか決めた?」
「うーん…どうしようかなぁ…。フランは決めた?」
「もちろん。僕はラギト様の所に行くつもりだよ。」
「ララは?」
「私は…リーシア様の所かな。護身術が気になるなぁ…って思って。」
「ユイは…ルシュ様の所?」
「ちょっと!あたしには聞かないの!?」
「え?違うの?」
「ち、違わないけど…。」
「よく考えて決めなよ。僕は先に行ってるね。」
「わ、私も行ってるね。」
「早く決めなさいよ?」
みんながそれぞれ別の方向に歩きだして行った。1人残された私の元に、ニム先生が飛んできた。
「ルナさん。どうしました?」
「えっと…どの先生の所に行くか迷ってて…。」
「それなら、順番に見て回ったらどうですか?途中で抜ける時に、先生に断れば大丈夫だと思いますよ~。」
「そうかその手が…!ありがとうございますニム先生!」
彼の提案により、ひとまずフランが向かった方へ小走りで駆けて行った。
「あ、ルナちゃん。ラギト様の所に来たんだね。」
既に剣を手にしていたフランが、私の姿を見るなり声をかけてきた。
「迷っちゃって、結局全部に少しづつ参加する事にしたの。ニム先生がそうしてもいいよって言ってくれて。」
「なるほど…その手があったね。」
「あ、ルナ!」
少し離れた所からレーガ(ラギト様)が、手を振りながらこちらに駆け寄ってきた。
「レー…ラ、ラギト様…。」
「僕、その名前嫌いなんだけどなぁ…ま、今はしょうがないっか…。僕の所来てくれたんだね嬉しいよ!」
「あ、えと…途中で抜けて、他の先生の元にも行こうと思っているのですが…。」
「えー…そうなの?まあ、どこか1つに絞れとは言われてないしね。わかったよ。」
「ルナちゃん、ラギト様と知り合いだったの?」
「え、あ…うん。」
「あ、フラン!君ならきっと僕の所に来てくれると思ったよ~。」
彼は両手を大きく広げると、フランを剣ごと抱きしめた。
「ラ、ラギト様…。他の生徒の目がありますから…。」
「あ、そっか。ごめんごめん。久しぶりに会ったからつい。」
「2人も会った事があるの?」
「うん。僕とフランは…」
「ラギト様。その話はまた今度にしませんか?今は授業中ですし…。」
「そうだったね。じゃあ、ちょっと他の生徒を見に行ってくるね。」
フランと共に、走っていく彼の背中を見送った。
「2人が知り合いなんてびっくりしたなぁ…。」
「僕もびっくりしたよ。ラギト様と知り合いだったんだね。」
「あ、うん…私、レジデンスに住んでたから…。」
「それは初耳だなぁ。ラギト様に育てて貰ったってこと?」
「え?いや…育てて貰ったと言うか…。兄妹みたいに接してもらっただけだよ?」
「ふーん…そうなんだ。あ、それより、君の武器を出してみせてよ。あれだけの魔法が使えるなら簡単でしょ?」
「う、うん。いいよ。」
呪文を唱え、手腕脚に合計6丁の銃を出してみせた。
「すごいね…1度にそんなに沢山の武器を出せるんだ…。ルナちゃんの武器は銃か…。」
「初めてだした時はもっと沢山出せてたはずなんだけど…。色々考えすぎちゃうからなのか、今は6丁が限界なんだよね…。」
「色々考えるのは良くないんだ?僕、色々考えちゃってたなぁ。」
「でも、フランの場合は剣だし…。何本も出しても邪魔にならない?」
「確かにそうだね。2本くらいが丁度いいのかも。…ルナちゃんと話してると、色んな事がわかってくるから勉強になるなぁ。」
「え、そう?でも私、剣の事はさっぱりだし…!」
「剣を握らない相手からの助言も、違う視点で見れるからいいんだよ。」
「そ、そっか…。」
「ルナちゃん、そろそろ移動しなくてもいいの?」
「あ、そうだね!じゃあ行ってくるね。」
「他の授業の話もよかったら聞かせてね?」
「あらルナ。レーガの所に行ってしまったのかと思っていましたわ。」
こちらに歩いてきた私を見てエレナ(リーシア様)が、生徒の間をすり抜けてやって来た。
「あ、リー…シア様。」
「ふふふ。ルナにそう呼ばれるとすごく不思議な感じがしますわね。」
「あ、ルナちゃん!」
私の姿をみて、ララもこちらに歩み寄ってきた。
「誰ですの?」
「リ、リーシア様…!あの…えっと…。」
「私の友達のララ!エーリで出来た初めての友達なんです。」
「あら、ルナのお友達なのね!それでしたら、これからもルナの事よろしくお願いしますわ。」
「え!?あ、はい…!」
彼女はそう言い残すと、他の生徒達の元へ歩いていってしまった。
「ルナちゃん…リーシア様と知り合いなの?」
「あ、うん…前一緒に住んでたから…。」
「え!あの、レジデンスに居たの?じゃあ、ラギト様やルシュ様とも?」
「うん。そうだよ。」
「凄いね…幹部の人達と一緒だったなんて…。あ、それなら、体術とか護身術の事も教えて貰ったの?」
「それは全然聞いた事なかったよ!よかったらリーシア様が話してた事、教えてくれない?」
「うん。いいよ。えっとまずは…後ろから何者かに急に抱きつかれた時だけど…」
ララは、先程教えて貰ったであろう護身術を説明しながら実際にやってみせた。いくつか技を教えてもらい、ルシュ様の所にも行きたい旨を伝えると、彼女は快く送り出してくれた。
「あら、ルナ。随分遅かったわね。」
床に座って本を広げているユイの側まで歩くと、彼女の隣に腰を下ろした。
「他の先生の所にも行ってきた所なの。それ、何の本?」
「魔導書よ。爆破魔法の事について書いてあるやつ。」
「ユイはもう爆破魔法得意なんだから、他の属性魔法を勉強した方がいいんじゃ…」
「あたしは色んなものに手をつけるより、1つに絞ってやり込みたいタイプなの!…そういうルナは、殆どの属性を満遍なくやってるけど…。どれか1つを極めようとは思わないの?」
「うーん…私は…それぞれの属性で使える場面は違ってくるから、色んな事が出来る方が、幅が広かっていいかなー?って思ってるよ。それに…」
「どんな状況にも対応出来るように、常に備えておく。…私の教えた事、ちゃんと心得ているようだなルナ。」
私が言いかけた言葉をヴェラ(ルシュ様)が代わりに言ってみせた。彼女から魔法を習ったのだから、当たり前といえば当たり前なのだ。
「ル、ルシュ様!」
「久しいなルナ。しっかり勉強しているだろうな?」
「も、もちろんです…ルシュ…様。」
「ルナ…あなた、ルシュ様と知り合いなの!?」
「ルナは私の弟子であり妹でもある。」
「で、弟子…!?妹!?」
ユイは、かなり驚いたようで口をあんぐり開け、その場に固まっている。
「ル、ルシュ様!今は…授業中ですから…!」
「ふむ…そうだったな。ユイ、その魔導書はどうだった?」
「あ、はい!とても興味深いです。」
「なら、次の授業まで持っていなさい。あ、読み終わったらルナに貸して、その子にも読ませてちょうだい。」
「わ、わかりました!」
「じゃあ私は、他の生徒を見てくるわ。」
コツコツと靴を鳴らして彼女立ち去った後、ユイが私に迫るように身体を乗り出してきた。
「ちょっとちょっとちょっと…!」
「えっ!?何何!?」
あまりの勢いの良さに押し倒されそうになるのを必死に止め、彼女の肩を掴んだ。
「お、落ち着いてユイ!」
「そ、そうね…落ち着くわ…。ふぅ…。」
胸に手を当て、息を深く吐き出した。
「あのルシュ様の弟子って本当なの?それと妹って言うのは…。」
「確かにルシュ様には魔法を教えて貰った事があるよ。弟子っていうのは初めて言われたと思うけど…。妹…っていうのは、レジデンスに一緒に住んでたから…妹みたいなものだって事だと思う!」
私の言葉に少々驚きつつ、彼女は私の言うことに納得したようだった。
「なるほどねぇ…。どおりで魔法が凄い訳だわ。」
「それは違うと思うけど…。」
「あ、これ、さっきルシュ様があなたに読ませろって言ってた魔導書よ。ちゃんと読みなさいね?」
「う、うん…。わかってるよ…!」
彼女から魔導書を受け取ると、遠くの方からニム先生の声が聞こえてきた。
「みなさーん!そろそろお開きにしましょう~。各自着替えて教室に戻って下さいね~。」
「もう終わりなのね…。行きましょうルナ。」
「あ、うん!」
「え?」
ララが鞄から手鏡を取り出すと、私の方に向けた。目元が赤く腫れて、それはそれは酷い顔をしていた。
「わ…何これ…。」
「ルナちゃん。ちょっと一緒にトイレいこ?」
彼女に手を引かれ、来たばかりの教室から出てトイレへ向かった。
鏡の前にやって来ると、彼女は自分のハンカチを水で濡らし、私に差し出した。
「少し冷やせば、ちょっとはマシになると思うから…。」
「ありがとうララ…。」
冷えたハンカチを目に当てて見ると、少し腫れが落ち着いたように見えた。
「ルナちゃん…大丈夫?何かあったなら聞くくらいは出来るから…。」
「あ…ううん!大丈夫!今朝、目が痛くて擦っちゃったからかも…!ごめんね心配かけて…!」
「あら?2人共何してるの?」
トイレにやってきたユイが後ろから声をかけてきた。
「あ、おはようユイ。」
「ルナちゃんの目が腫れてたから、冷やそうと思って来たの。ユイちゃんはトイレ?」
「ええ。」
「じゃあ、私達は先に教室戻ってるね!」
「さて皆さん!今日の実習ですが、特別講師を呼んでいます。どうぞ!お入り下さい~。」
特別講師という聞き馴れないワードに、生徒達がざわめき出した。ホールの大きな扉がゆっくりと開くと、3人の吸血鬼が現れた。
「え…なんで…。」
「ルナちゃん…?」
その姿に見覚えがあった。左から順にレーガ、エレナ、ヴェラとレジデンスの幹部達が揃ってやって来たようだった。
「えーそれでは…ラギト様から、一言ずつ頂けますか?」
「はーい。みんな初めまして。知ってる人は知ってるかもしれないけど…改めまして、レーガイルラギトです。僕は主に武器の使い方について教えるから、みんな一緒に頑張ろうね。…ほら、次エレナだよ。」
「わ、わざわざ言わなくてもわかりますわ…!わ、私は、エレナタリーシアですわ。主に体術や身を守るための護身術を皆さんに教える事になりましたわ。よろしくお願いしますね。」
「…ヴェラヴェルシュよ。私は魔法全般を教えるわ。よろしく。」
それぞれ個性的な自己紹介を終えると、ニム先生が彼等の前にふわふわと飛んできた。
「これからしばらくは、この御三方に実習をしていただきます~。みなさんしっかりお話を聞いて、勉強してくださいね?えっと…今日は、せっかく3人に来て頂いたので、それぞれ習いたい先生の元に別れて実習を始めましょう。」
3人と生徒達がそれぞれバラけ始めると、私達もその場に立ち上がった。
「ルナちゃんは、誰の所に行くか決めた?」
「うーん…どうしようかなぁ…。フランは決めた?」
「もちろん。僕はラギト様の所に行くつもりだよ。」
「ララは?」
「私は…リーシア様の所かな。護身術が気になるなぁ…って思って。」
「ユイは…ルシュ様の所?」
「ちょっと!あたしには聞かないの!?」
「え?違うの?」
「ち、違わないけど…。」
「よく考えて決めなよ。僕は先に行ってるね。」
「わ、私も行ってるね。」
「早く決めなさいよ?」
みんながそれぞれ別の方向に歩きだして行った。1人残された私の元に、ニム先生が飛んできた。
「ルナさん。どうしました?」
「えっと…どの先生の所に行くか迷ってて…。」
「それなら、順番に見て回ったらどうですか?途中で抜ける時に、先生に断れば大丈夫だと思いますよ~。」
「そうかその手が…!ありがとうございますニム先生!」
彼の提案により、ひとまずフランが向かった方へ小走りで駆けて行った。
「あ、ルナちゃん。ラギト様の所に来たんだね。」
既に剣を手にしていたフランが、私の姿を見るなり声をかけてきた。
「迷っちゃって、結局全部に少しづつ参加する事にしたの。ニム先生がそうしてもいいよって言ってくれて。」
「なるほど…その手があったね。」
「あ、ルナ!」
少し離れた所からレーガ(ラギト様)が、手を振りながらこちらに駆け寄ってきた。
「レー…ラ、ラギト様…。」
「僕、その名前嫌いなんだけどなぁ…ま、今はしょうがないっか…。僕の所来てくれたんだね嬉しいよ!」
「あ、えと…途中で抜けて、他の先生の元にも行こうと思っているのですが…。」
「えー…そうなの?まあ、どこか1つに絞れとは言われてないしね。わかったよ。」
「ルナちゃん、ラギト様と知り合いだったの?」
「え、あ…うん。」
「あ、フラン!君ならきっと僕の所に来てくれると思ったよ~。」
彼は両手を大きく広げると、フランを剣ごと抱きしめた。
「ラ、ラギト様…。他の生徒の目がありますから…。」
「あ、そっか。ごめんごめん。久しぶりに会ったからつい。」
「2人も会った事があるの?」
「うん。僕とフランは…」
「ラギト様。その話はまた今度にしませんか?今は授業中ですし…。」
「そうだったね。じゃあ、ちょっと他の生徒を見に行ってくるね。」
フランと共に、走っていく彼の背中を見送った。
「2人が知り合いなんてびっくりしたなぁ…。」
「僕もびっくりしたよ。ラギト様と知り合いだったんだね。」
「あ、うん…私、レジデンスに住んでたから…。」
「それは初耳だなぁ。ラギト様に育てて貰ったってこと?」
「え?いや…育てて貰ったと言うか…。兄妹みたいに接してもらっただけだよ?」
「ふーん…そうなんだ。あ、それより、君の武器を出してみせてよ。あれだけの魔法が使えるなら簡単でしょ?」
「う、うん。いいよ。」
呪文を唱え、手腕脚に合計6丁の銃を出してみせた。
「すごいね…1度にそんなに沢山の武器を出せるんだ…。ルナちゃんの武器は銃か…。」
「初めてだした時はもっと沢山出せてたはずなんだけど…。色々考えすぎちゃうからなのか、今は6丁が限界なんだよね…。」
「色々考えるのは良くないんだ?僕、色々考えちゃってたなぁ。」
「でも、フランの場合は剣だし…。何本も出しても邪魔にならない?」
「確かにそうだね。2本くらいが丁度いいのかも。…ルナちゃんと話してると、色んな事がわかってくるから勉強になるなぁ。」
「え、そう?でも私、剣の事はさっぱりだし…!」
「剣を握らない相手からの助言も、違う視点で見れるからいいんだよ。」
「そ、そっか…。」
「ルナちゃん、そろそろ移動しなくてもいいの?」
「あ、そうだね!じゃあ行ってくるね。」
「他の授業の話もよかったら聞かせてね?」
「あらルナ。レーガの所に行ってしまったのかと思っていましたわ。」
こちらに歩いてきた私を見てエレナ(リーシア様)が、生徒の間をすり抜けてやって来た。
「あ、リー…シア様。」
「ふふふ。ルナにそう呼ばれるとすごく不思議な感じがしますわね。」
「あ、ルナちゃん!」
私の姿をみて、ララもこちらに歩み寄ってきた。
「誰ですの?」
「リ、リーシア様…!あの…えっと…。」
「私の友達のララ!エーリで出来た初めての友達なんです。」
「あら、ルナのお友達なのね!それでしたら、これからもルナの事よろしくお願いしますわ。」
「え!?あ、はい…!」
彼女はそう言い残すと、他の生徒達の元へ歩いていってしまった。
「ルナちゃん…リーシア様と知り合いなの?」
「あ、うん…前一緒に住んでたから…。」
「え!あの、レジデンスに居たの?じゃあ、ラギト様やルシュ様とも?」
「うん。そうだよ。」
「凄いね…幹部の人達と一緒だったなんて…。あ、それなら、体術とか護身術の事も教えて貰ったの?」
「それは全然聞いた事なかったよ!よかったらリーシア様が話してた事、教えてくれない?」
「うん。いいよ。えっとまずは…後ろから何者かに急に抱きつかれた時だけど…」
ララは、先程教えて貰ったであろう護身術を説明しながら実際にやってみせた。いくつか技を教えてもらい、ルシュ様の所にも行きたい旨を伝えると、彼女は快く送り出してくれた。
「あら、ルナ。随分遅かったわね。」
床に座って本を広げているユイの側まで歩くと、彼女の隣に腰を下ろした。
「他の先生の所にも行ってきた所なの。それ、何の本?」
「魔導書よ。爆破魔法の事について書いてあるやつ。」
「ユイはもう爆破魔法得意なんだから、他の属性魔法を勉強した方がいいんじゃ…」
「あたしは色んなものに手をつけるより、1つに絞ってやり込みたいタイプなの!…そういうルナは、殆どの属性を満遍なくやってるけど…。どれか1つを極めようとは思わないの?」
「うーん…私は…それぞれの属性で使える場面は違ってくるから、色んな事が出来る方が、幅が広かっていいかなー?って思ってるよ。それに…」
「どんな状況にも対応出来るように、常に備えておく。…私の教えた事、ちゃんと心得ているようだなルナ。」
私が言いかけた言葉をヴェラ(ルシュ様)が代わりに言ってみせた。彼女から魔法を習ったのだから、当たり前といえば当たり前なのだ。
「ル、ルシュ様!」
「久しいなルナ。しっかり勉強しているだろうな?」
「も、もちろんです…ルシュ…様。」
「ルナ…あなた、ルシュ様と知り合いなの!?」
「ルナは私の弟子であり妹でもある。」
「で、弟子…!?妹!?」
ユイは、かなり驚いたようで口をあんぐり開け、その場に固まっている。
「ル、ルシュ様!今は…授業中ですから…!」
「ふむ…そうだったな。ユイ、その魔導書はどうだった?」
「あ、はい!とても興味深いです。」
「なら、次の授業まで持っていなさい。あ、読み終わったらルナに貸して、その子にも読ませてちょうだい。」
「わ、わかりました!」
「じゃあ私は、他の生徒を見てくるわ。」
コツコツと靴を鳴らして彼女立ち去った後、ユイが私に迫るように身体を乗り出してきた。
「ちょっとちょっとちょっと…!」
「えっ!?何何!?」
あまりの勢いの良さに押し倒されそうになるのを必死に止め、彼女の肩を掴んだ。
「お、落ち着いてユイ!」
「そ、そうね…落ち着くわ…。ふぅ…。」
胸に手を当て、息を深く吐き出した。
「あのルシュ様の弟子って本当なの?それと妹って言うのは…。」
「確かにルシュ様には魔法を教えて貰った事があるよ。弟子っていうのは初めて言われたと思うけど…。妹…っていうのは、レジデンスに一緒に住んでたから…妹みたいなものだって事だと思う!」
私の言葉に少々驚きつつ、彼女は私の言うことに納得したようだった。
「なるほどねぇ…。どおりで魔法が凄い訳だわ。」
「それは違うと思うけど…。」
「あ、これ、さっきルシュ様があなたに読ませろって言ってた魔導書よ。ちゃんと読みなさいね?」
「う、うん…。わかってるよ…!」
彼女から魔導書を受け取ると、遠くの方からニム先生の声が聞こえてきた。
「みなさーん!そろそろお開きにしましょう~。各自着替えて教室に戻って下さいね~。」
「もう終わりなのね…。行きましょうルナ。」
「あ、うん!」
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