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第一章 ミズガルズの層
第十三話 ディシデリーズの塔20層を攻略しよう ~ノルと共闘した件~
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20層のフロアボスはノルが攻撃、俺がサポートすることになった。
フロアボスの所に来る間、ノルは一緒に戦うのが嬉しかったのかジャレついてきた。
「ちょっと! ノル離れろよ。これから戦いだしそんなにくっつくと上手く歩けないよ」
「一緒に戦いうれしいニャ! たのしいニャ!」
「だから、ダメだって」
ノルを無理やり引きはがした。
ノルは少し悲しい顔をしたが、そうも言ってられない。
猫の習性なのか懐いてからと言うものやたらとスリよってくる。
---
20層のフロアボスはハトほどの大きさだが、見た目はハエのようだ。
巨大なハエ。
よく見ると足が10本はあり口から針のようなものが3本ほど出ている。
あの針に刺されたらヤバそうだ。
「戦うニャ! 戦うニャ!」
ノルは腰のナイフを取り出すと嬉しそうに振り回した。
「ノル。今から生きるか死ぬかの戦いするんだから真剣に頼むよ」
「わかったニャ!」
うーん、なんかイマイチ真剣味が伝わってこない。
俺が防御を確実にするしかない。
イズン師匠がフロアボスについて説明してくれた。
「20層フロアボス『シャッガイ』のRPは30000。
ただし、そのほとんどをスピードに使っていて、
ノルの力でも当たれば一撃で倒せるはずよ。
アルスはノルの防御をしつつノルのスピードを強化するのよ」
イズン師匠は、この戦いで俺にスピードを強化する力を磨いて欲しいらしい。
防御の応用だと考えると案外簡単かもしれない。
自宅だと洗濯機のような機械を動かす時にイメージした。
洗濯物が水の中で高速で回るイメージを。
「君達下がりなさい!」
ノルと共闘を開始しようとした所、突然、声をかけられた。
フロアボスの右後方から7人の男達が現れた。
軍隊? 自衛隊か?
銃を構えて隊列してゆっくりと進んでくる。
「自分は攻略隊、第一旅団第一偵察小隊少佐「フクミズ」である!
子供たちは後ろへ下がりなさい!」
現実世界からの召喚者だ。
「攻撃用意! 攻撃!」
フクミズ少佐が号令したその次の瞬間、7人がシャッガイに向けて一斉に発砲した。
ダメだ。
シャッガイは余裕で避けると7人の後方へまわった。
アイツらには見えていない。
「後ろニャ!」
ノルが叫ぶ。
ノルにも見えているみたいだ。
シャッガイが口の針を7人に刺すと全員その場に倒れてしまった。
「大丈夫よ。
シャッガイの能力は針で刺した対象を奴隷化する能力。
シャッガイを倒せば開放されるわ」
イズン師匠が冷静に言った。
「行くぞ! ノル!」
「は、はいニャ!」
ノルは奴隷化という言葉を聞いて少し怯んだように見えた。
ノルを防御しつつスピードを強化するイメージ。
ノルの走るスピードが一気に上がった。
イケる!
ライフル銃の弾丸のスピードは音速の2,3倍だったはずだ。
音速は約340メートル。
高校の頃好きだった女の子の名前が乙羽早由(おとはねさより)で、「音は、さより(れ)」なんて語呂合わせで覚えた。
学校の授業なんて将来役に立たないなんて思ってたが異世界に来たらけっこう役に立っている。
つまり、シャッガイは一秒間に1000メートル以上の速さだ。
ノルのナイフがシャッガイを捉えようとした瞬間。
弾丸がノルへ向かってくるのが見えた。
まずい! 防御を強化!
強化した防御壁によりノルのシャッガイへの攻撃も通らない。
奴隷化した自衛隊員達が銃をかまえている。
全員目はうつろで口からよだれを垂れ流している。
シャッガイに操られているようだ。
「ま、負けないニャ……」
ノルは調子が出ないようだ。
奴隷として捉えれて両親と離れ離れになっている。
夢に見て泣いていることもあった。
奴隷化した自衛隊員が嫌な思い出を呼び起こさせるのかもしれない。
「行くニャ!」
ノルの速度を限界まで強化。
「行けノル!」
弾丸の雨を掻い潜ってノルはシャッガイの元へとつっこむ。
「いける!」
しかし、次の瞬間、シャッガイのスピードが更に上がった。
ノルのナイフは空を切った。
「そいつは奴隷化した対象のRPも自身のスピードにかえるわさ。
アルス! スピード強化は防御と違うわさ!
防御は対象の周囲を守るイメージだけ。
スピード強化は対象と一体化するイメージが必要よ!」
イズン師匠がアドバイスをくれた。
そうだ!
防御は対象の周囲を守るだけで良かった。
だが、スピード強化はノル自身を感じ、ノルを増強するイメージだ。
ノルと一体化するイメージだ!
---
炎につつまれた木製の家々が眼の前に広がっている。
逃げまどっているのは獣人族だ。
「オスと齢を取ったのは殺してしまえ! メスと子供は傷つけるな! 高値で売れるぞ!」
剣や斧などの武器を持った黒い鎧姿の者達が殺戮と強奪を繰り返している。
「おい! ここに獣人族のガキがいるぞ!」
「つかまえろ!」
剣を持った黒い鎧姿の男が近づいてくる。
足がすくんで動かない。
「ノルちゃん! 逃げて!」
獣人族の女が黒い鎧姿の男の前に立ちはだかる。
「こいつも連れていけ!」
「きゃああああああ」
獣人族の女は後から来た黒い鎧姿の男達に縄をかけられ連れて行かれた。
恐怖、悲しみ、混乱。
頭の中で繰り返し体が動かない。
こ、これはノルの記憶?
アイツこんなことに……。
奴隷として捕まえられた時のことは怖くて聞けなかった。
ノルが嫌な記憶を思い出すんじゃないか?
とおも思ったのだが、それ以上に
自分がノルの話を聞いた時に何も出来ないんじゃないか?と
自分自身の恥ずかしさとか、そんな下らない理由でノルと向かい合ってなかった。
フレイヤに対してもそうだ。
ヒムロとの事や現実世界での事、俺は色々な事から逃げて、
何一つ真剣に向かいあったことがなかった。
---
「アルス!」
フレイヤの声で現実に引き戻された。
ノルは?
大丈夫だ。
あのノルの記憶、ほんの数秒の出来事のようだ。
なぜか目頭に涙が溜まっていた。
涙を人差し指でふき取って叫んだ。
「ノル! いくぞ! 俺を信じろ!」
「はいニャ!」
ノル自身が俺自身であるとイメージし、その速度を強化する。
ノルの速度は、それまでの2倍、3倍、もっと上がっていく。
「いけええええええええええ!」
ノルのナイフがジャッガイの胴体を真っ二つに切り裂いた。
---
奴隷化した自衛隊員達は意識が戻るのに時間が掛かるとのことで、
ノルの運び屋の能力により袋の中へ全員入れて街の病院へと運んだ。
ノルが持っている袋は一見ダンボールぐらい入りそうだが、そこは運び屋の能力。
なんと中には十畳ぐらいの空間が広がっている。
自衛隊員たちを運び入れて運ぶのに十分だった。
袋の重さは変化なかったしイズン師匠の地下室の部屋みたいにRPで亜空間でも生み出してるんだろうか?
イズン師匠の自宅、ホームのフロアへと戻ってきた。
「よくやったわさ。ノル、アルス」
イズン師匠が、俺とノルの頭を撫でてくれた。
俺まで猫あつかいか……
「ノルちゃん。すごかったわ」
フレイヤが話かけると
「はいニャ! ありがとうニャ! でもアルスのおかげニャ!」
そう言うとノルは、また腕にしがみついてベタベタしてきた。
「ちょっと……、ノル……」
フレイヤの前だし、ノルを引き剥がそうとしたが、やめておいた。
今日ぐらいはいいだろう。
「俺はサポートしただけ、ノルの力だよ」
しがみついてくるノルの頭を撫でてあげた。
「うれしいニャ! うれしいニャ! うれしいニャ!」
ノルは号泣しながら叫んだ。
「なんだよ、ノル。泣くことはないだろう」
「うれしいニャ! うれしいニャ! うれしいニャ!」
いつも明るく振る舞っているノルの事を少しだけ知れたのかもしれない日だった。
フロアボスの所に来る間、ノルは一緒に戦うのが嬉しかったのかジャレついてきた。
「ちょっと! ノル離れろよ。これから戦いだしそんなにくっつくと上手く歩けないよ」
「一緒に戦いうれしいニャ! たのしいニャ!」
「だから、ダメだって」
ノルを無理やり引きはがした。
ノルは少し悲しい顔をしたが、そうも言ってられない。
猫の習性なのか懐いてからと言うものやたらとスリよってくる。
---
20層のフロアボスはハトほどの大きさだが、見た目はハエのようだ。
巨大なハエ。
よく見ると足が10本はあり口から針のようなものが3本ほど出ている。
あの針に刺されたらヤバそうだ。
「戦うニャ! 戦うニャ!」
ノルは腰のナイフを取り出すと嬉しそうに振り回した。
「ノル。今から生きるか死ぬかの戦いするんだから真剣に頼むよ」
「わかったニャ!」
うーん、なんかイマイチ真剣味が伝わってこない。
俺が防御を確実にするしかない。
イズン師匠がフロアボスについて説明してくれた。
「20層フロアボス『シャッガイ』のRPは30000。
ただし、そのほとんどをスピードに使っていて、
ノルの力でも当たれば一撃で倒せるはずよ。
アルスはノルの防御をしつつノルのスピードを強化するのよ」
イズン師匠は、この戦いで俺にスピードを強化する力を磨いて欲しいらしい。
防御の応用だと考えると案外簡単かもしれない。
自宅だと洗濯機のような機械を動かす時にイメージした。
洗濯物が水の中で高速で回るイメージを。
「君達下がりなさい!」
ノルと共闘を開始しようとした所、突然、声をかけられた。
フロアボスの右後方から7人の男達が現れた。
軍隊? 自衛隊か?
銃を構えて隊列してゆっくりと進んでくる。
「自分は攻略隊、第一旅団第一偵察小隊少佐「フクミズ」である!
子供たちは後ろへ下がりなさい!」
現実世界からの召喚者だ。
「攻撃用意! 攻撃!」
フクミズ少佐が号令したその次の瞬間、7人がシャッガイに向けて一斉に発砲した。
ダメだ。
シャッガイは余裕で避けると7人の後方へまわった。
アイツらには見えていない。
「後ろニャ!」
ノルが叫ぶ。
ノルにも見えているみたいだ。
シャッガイが口の針を7人に刺すと全員その場に倒れてしまった。
「大丈夫よ。
シャッガイの能力は針で刺した対象を奴隷化する能力。
シャッガイを倒せば開放されるわ」
イズン師匠が冷静に言った。
「行くぞ! ノル!」
「は、はいニャ!」
ノルは奴隷化という言葉を聞いて少し怯んだように見えた。
ノルを防御しつつスピードを強化するイメージ。
ノルの走るスピードが一気に上がった。
イケる!
ライフル銃の弾丸のスピードは音速の2,3倍だったはずだ。
音速は約340メートル。
高校の頃好きだった女の子の名前が乙羽早由(おとはねさより)で、「音は、さより(れ)」なんて語呂合わせで覚えた。
学校の授業なんて将来役に立たないなんて思ってたが異世界に来たらけっこう役に立っている。
つまり、シャッガイは一秒間に1000メートル以上の速さだ。
ノルのナイフがシャッガイを捉えようとした瞬間。
弾丸がノルへ向かってくるのが見えた。
まずい! 防御を強化!
強化した防御壁によりノルのシャッガイへの攻撃も通らない。
奴隷化した自衛隊員達が銃をかまえている。
全員目はうつろで口からよだれを垂れ流している。
シャッガイに操られているようだ。
「ま、負けないニャ……」
ノルは調子が出ないようだ。
奴隷として捉えれて両親と離れ離れになっている。
夢に見て泣いていることもあった。
奴隷化した自衛隊員が嫌な思い出を呼び起こさせるのかもしれない。
「行くニャ!」
ノルの速度を限界まで強化。
「行けノル!」
弾丸の雨を掻い潜ってノルはシャッガイの元へとつっこむ。
「いける!」
しかし、次の瞬間、シャッガイのスピードが更に上がった。
ノルのナイフは空を切った。
「そいつは奴隷化した対象のRPも自身のスピードにかえるわさ。
アルス! スピード強化は防御と違うわさ!
防御は対象の周囲を守るイメージだけ。
スピード強化は対象と一体化するイメージが必要よ!」
イズン師匠がアドバイスをくれた。
そうだ!
防御は対象の周囲を守るだけで良かった。
だが、スピード強化はノル自身を感じ、ノルを増強するイメージだ。
ノルと一体化するイメージだ!
---
炎につつまれた木製の家々が眼の前に広がっている。
逃げまどっているのは獣人族だ。
「オスと齢を取ったのは殺してしまえ! メスと子供は傷つけるな! 高値で売れるぞ!」
剣や斧などの武器を持った黒い鎧姿の者達が殺戮と強奪を繰り返している。
「おい! ここに獣人族のガキがいるぞ!」
「つかまえろ!」
剣を持った黒い鎧姿の男が近づいてくる。
足がすくんで動かない。
「ノルちゃん! 逃げて!」
獣人族の女が黒い鎧姿の男の前に立ちはだかる。
「こいつも連れていけ!」
「きゃああああああ」
獣人族の女は後から来た黒い鎧姿の男達に縄をかけられ連れて行かれた。
恐怖、悲しみ、混乱。
頭の中で繰り返し体が動かない。
こ、これはノルの記憶?
アイツこんなことに……。
奴隷として捕まえられた時のことは怖くて聞けなかった。
ノルが嫌な記憶を思い出すんじゃないか?
とおも思ったのだが、それ以上に
自分がノルの話を聞いた時に何も出来ないんじゃないか?と
自分自身の恥ずかしさとか、そんな下らない理由でノルと向かい合ってなかった。
フレイヤに対してもそうだ。
ヒムロとの事や現実世界での事、俺は色々な事から逃げて、
何一つ真剣に向かいあったことがなかった。
---
「アルス!」
フレイヤの声で現実に引き戻された。
ノルは?
大丈夫だ。
あのノルの記憶、ほんの数秒の出来事のようだ。
なぜか目頭に涙が溜まっていた。
涙を人差し指でふき取って叫んだ。
「ノル! いくぞ! 俺を信じろ!」
「はいニャ!」
ノル自身が俺自身であるとイメージし、その速度を強化する。
ノルの速度は、それまでの2倍、3倍、もっと上がっていく。
「いけええええええええええ!」
ノルのナイフがジャッガイの胴体を真っ二つに切り裂いた。
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奴隷化した自衛隊員達は意識が戻るのに時間が掛かるとのことで、
ノルの運び屋の能力により袋の中へ全員入れて街の病院へと運んだ。
ノルが持っている袋は一見ダンボールぐらい入りそうだが、そこは運び屋の能力。
なんと中には十畳ぐらいの空間が広がっている。
自衛隊員たちを運び入れて運ぶのに十分だった。
袋の重さは変化なかったしイズン師匠の地下室の部屋みたいにRPで亜空間でも生み出してるんだろうか?
イズン師匠の自宅、ホームのフロアへと戻ってきた。
「よくやったわさ。ノル、アルス」
イズン師匠が、俺とノルの頭を撫でてくれた。
俺まで猫あつかいか……
「ノルちゃん。すごかったわ」
フレイヤが話かけると
「はいニャ! ありがとうニャ! でもアルスのおかげニャ!」
そう言うとノルは、また腕にしがみついてベタベタしてきた。
「ちょっと……、ノル……」
フレイヤの前だし、ノルを引き剥がそうとしたが、やめておいた。
今日ぐらいはいいだろう。
「俺はサポートしただけ、ノルの力だよ」
しがみついてくるノルの頭を撫でてあげた。
「うれしいニャ! うれしいニャ! うれしいニャ!」
ノルは号泣しながら叫んだ。
「なんだよ、ノル。泣くことはないだろう」
「うれしいニャ! うれしいニャ! うれしいニャ!」
いつも明るく振る舞っているノルの事を少しだけ知れたのかもしれない日だった。
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