ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!

タタミ

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2人目:弁護士の広瀬①

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「は~っ……疲れました……」
「お疲れ様です。どうぞ、こちらを」

 神崎とのお見合いが終了し、姫子は広間の椅子に脱力していた。
 望月が差し出したココアを飲み、一息つく。

「はぁ……。神崎さんはなかなか強烈な人でしたね……ザ・俺様という感じで……」
「あれ以上ナメた口聞いたら殴ろうかと思いましたけど、まぁ最終的にお嬢の魅力に気づいてたんで許しました」

 『魅力』なんてさらりと言われて、姫子は疲れで下がった口角がぐいぐい上がるのを感じた。口角を上げたまま、暴力的な発言を嗜める。

「望月さん。これから先もお相手を殴るのは極力やめてくださいね」
「笑顔で言われると、期待されてるのかと思っちゃいますが」

 不思議そうに首をひねる望月を見て、姫子はその挙動に更に口角が上がる。お見合いは不服だし心労が募るだけだが、こうして望月との時間が増えることだけを思えば満更でもなかった。

「それにしてもこんなに緊張するイベントがこれから毎日あるんですよね……。着物も息苦しいし……。もうお手伝いさん呼んで脱いでもいいですか?」
「いや。お疲れのところ悪いんですが、実は今日もう1人会ってもらわないといけなくなっちゃって」
「え!? 1日1人じゃないんですか!?」

 龍吾に渡されたファイルには神崎の情報しか書かれていなかった。もう1人相手がいるなんて寝耳に水だ。

「見合い相手はそれなりに収入がある男ばかりなので、なかなか多忙なやつが多くてですね。正直1番時間の融通が効くのお嬢なんですよね」

 姫子は部活に入っていないし、エスカレーター先の女子大には行ける程度の成績を維持しているため塾にも行っていない。望月の迎えで下校したら、お手伝いさんとお茶するか部屋でこっそり乙女ゲームをしたり恋愛漫画を読んだりしている。
 毎日優雅で暇な日々だ。

「それは……まぁ、わかりますけど……。今度はいったいどんな方が?」
「弁護士です」

 望月が広げたファイルには、リムレスの眼鏡をかけた、いかにも知的な男性が微笑んでいた。神崎に引き続き、インテリ圧を感じる。

「弁護士……。私が何か言うたびに罪に問われませんか。揚げ足取られて、恐喝だ! とか……」
「ビビりすぎですよ。ヤクザの家に来る弁護士なんだから犯罪には激甘です。それにこいつは神崎の会社で顧問弁護士をやってます。大蛇組のことは百も承知ですよ」
「それならまだ安心ですけど……。この方は何時に来られるんです」
「仕事の都合がついたと連絡があったのが神崎との見合い中なので、もう着くんじゃないかと」
「えっ、そんなすぐに!?」

 ──ピンポーン。

 姫子が時計を見て目を見開くのと同時に玄関チャイムが鳴った。

「来ましたね。お嬢、第2ラウンドも頑張りましょう」
「ちょ、ちょっと待ってください、まだお相手の情報もちゃんと読めてないのに──」

 姫子は慌ててファイルを見渡した。
 しかし、内容をしっかり読む前に、お手伝いさんが「お客様です」と呼びに来てしまった。
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