ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!

タタミ

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集団見合い

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 都内の一等地に建つ一流ホテル。
 1泊数十万円もくだらない、その立派なエントランスを抜けた先にある控室に通された姫子は、椅子に腰かけると深いため息を吐いた。

「お嬢。そんな大きなため息したら、幸せが逃げちゃいますよ」
「ため息も出ますよ。はぁ~……」

 佐々良と会ってから1週間ほどは何も動きがなく、姫子は平和な日常を送っていたのだが、それも昨晩で終わりを告げた。
 優雅に夕飯を食べていた姫子に、突如として龍吾が言い渡したのが『集団見合い』だった。

「急に来たかと思えば、『明日11時にこのホテルに行け! 集団見合いだ!』って勝手なことを言っていなくなってしまって……。お父様は対話を知らないんでしょうか」
「見合いを盛り上げようと空回ってるんですよ。一対一じゃない形式を考えた結果が集団見合いだったんでしょう。親父の遊び心というか」
「別に一対一で会うのが嫌だから反抗してるわけじゃないですし、集団で会う方が勝手がわからなくてイヤですよ」
「まぁ、一気に見合いが終わるって思えば、少しはマシじゃないですか。15人目まで今日で会えるみたいですし」

 そう。望月の言う通り、なんと今日1日で事前に渡されていたお見合いファイルに載っている15人目まで一気に会わなければならない。そのせいで、姫子は始まる前から疲れを感じていた。

「今日で15人目まで会ったとしても、16人目以降もお父様は用意する気でしょう? 終わらぬお見合い地獄」
「お嬢が15人の中から相手を選べれば、残りの10人は用意されないですよ」
「それができれば苦労しません……」

 望月が淹れてくれたお茶を飲みながら、姫子はお見合いファイルを開いた。

「政治家に投資家に……。肩書も威圧感が高まってますし、何よりグレーゾーンどころかガチの犯罪を生業にしてらっしゃる方がちらほらいるんですがどうなってるんですか」
「ガチの犯罪者、嫌なんですか? 俺たちヤクザがそもそもガチの犯罪者じゃないですか」
「そう言われちゃなんにも言えませんけども……」

 「犯罪者は嫌ですよ」と堂々と言い返せない出自の姫子は大人しく口をつぐむ。望月の自認が犯罪者なら、余計に言い返せない。

「見合いがスタートしたら、順番に相手の男がお嬢のとこに来ます。適当に喋ってもらって、時間になったら男が交代していくスタイルです」
「そんな回転寿司みたいな感じでやるんですね」
「そうですね。寿司ネタだと思って接してみてください。大トロがいるといいですね」

 謎のアドバイスをしてくる望月に笑ってしまって、少し気分転換になる。
 それはそれとして、姫子は誰と何を話そうか悩みながら、集団見合いのスタート時間までため息交じりにファイルを眺めていた。
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